前回のあらすじ
ブルボンの独壇場
日本ダービーで善戦したライスさん、結果は2着となってしまったけれども…帰った後も泣き続けて…ついに泣きやんだと思ったらストレスで私が作ったスイーツをやけ食いして…マックイーンさん用のスイーツじゃなくて普通のスイーツだったから、案の定”太り気味”になって、やっと元に戻った。(ちなみに、レースから付いてきた二人、コンバットヘブンさんとグローグルームさんは、ライスさんとお友達になったみたいだ。)
そして、その日から数日後…私たちチーム『シリウス』は、千葉県のとある遊園地にやってきた。
「うわぁ~!ここがあの”有名な遊園地”なんだ!お姫さまが住んでるお城とか、ビックカミナリ山があるんだよね!」
頑張ったライスさんのご褒美としてずっと憧れていた遊園地にやってきた。遊園地にはやってきたのだが…
「あれ?ライスたちしかいなくて貸し切りみたい。えへへ、なんだかうれしいなっ♪」
問題なのは、ここがライスさんが憧れている遊園地ではないということだ。
「ちょっと、酉川トレーナー…小鳥遊トレーナーも……ライスさんはここが”あの遊園地”だと本気で信じてますわよ…。」
「あんな目を見てまだシラを切るんです・・・?それに、ライスさん以外気付いてるんじゃ・・・」
「「うっ」」
私はマックイーンさんと一緒に酉川トレーナーたちにそっと耳打ちする。チラリと、4人でライスさんの居るところを見ると…ライスさん以外の『シリウス』メンバーは薄々感づいているらしく、カフェ姉さんやタキオンさんまでも、目をそっとこちらから外した。デジタルさんはライスさんの行動を見て倒れ、パンプキンさんに支えられている。
「いくら、今月のお給料がピンチだからと言って・・・”こっちの遊園地”はちょっと。」
「メグルさんの言う通りですわ・・・・・・。言えば、わたくしの口座から全員分のチケットぐらい」
「学生からお金を出させるか、自腹で別とはいえ遊園地に連れていくかという選択肢ならば、俺は自腹で別の遊園地に連れていく。」
「元々、酉川先輩がチケット予約を忘れたのが悪かったのでは・・・」
「そ、それは~・・・・・・ッスーーー。」
・・・マヌケは見つかったようですね。マックイーンさんとほぼ同時にため息をつき、ライスさんに目を向けると相変わらずほほえましい笑顔でいまだに辺りをきょろきょろしている。
ともかく、目的の遊園地ではないにしろリフレッシュにはなるだろう。ライスさんのご褒美も兼ねているが、本当の目的はメンタルケアだ。今は元気だけど、ライスさんは相当精神的に参っているらしく、美浦寮の同室であるゼンノロブロイさんが”寝てる間はうなされている”と、教えてくれたぐらいだ。
そうなっているときの危うさは、私が一番理解している。私はゴルシのおかげでマシになった・・・とはいえ、ライスさんはそうじゃない。だからこそ、酉川トレーナーにお任せする。
「話し終わったかー?なら、もう行こうぜ!地下に裏のアトラクションがあるって噂があるから楽しもーぜ!」
「きゃっ!ご、ゴルシ!急に引っ張らないでよ!!し、しかもそこ関係者専用の出入り口!!」
「ゴールドシップだけでは危ないですね。
「私も行きます。なにせ、私は・・・メグルのお姉ちゃんですから。」
「えっちょっ・・・マックイーンさん!?カフェ姉さんまでゴルシの悪ノリに乗らなくていいから!」
「ライスたちもいこう、酉川トレーナー♪」
「あ、ああ。」
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早撃ち射的場
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ゴルシに連れてこられてやってきた早撃ち射的場。
そこでゴルシとマックイーンさんは、早撃ち勝負をしているのだけれど、マックイーンさんが初めてということもあり(ゴルシはゴルシだし・・・)10000点差で、マックイーンさんが早撃ちで負けてしまっていた。
「にっしし、早撃ち勝負じゃぁ。アタシの方が上だなぁ?マックちゃんよー??」
「くっ、油断しましたわ・・・。」
少し悲しそうにするマックイーンさん、何せこの早撃ち勝負では、お昼ご飯の時に私から”あーんされる権利”が賭けられており(ゴルシが勝手に言い出した)、マックイーンさんは勝負しだした。という経緯があるが、どうして私があーんをするだけなのにマックイーンさんは全力を出したのだろう・・・?
と、そこまででマックイーンさんが何かを思いつき、私の隣で早撃ち勝負を見ていたカフェ姉さんに目線を向ける。カフェ姉さんも少し驚いているけれど何を思いつい―――
「こうなったら、カフェさん!メグルさんのお姉さまとしていい所見せてあげてくださいまし!」
「ええ、私はお姉ちゃんなので任せてください。」
―――そっ・・・そうきたか~~~~っ。
た、確かにカフェ姉さんはそう言えば、間違いなく参戦はするだろう。実際、頭の白いアホ毛としっぽをブンブンと振り回して張り切っている。で、でもだ・・・マックイーンさんは一つ勘違いしている、カフェ姉さんはそう言うゲームは得意じゃないのだ、前に二人でお出かけしたとき好奇心でやったガンゲームではカフェ姉さんは明後日の方向を撃っていて、ほとんど私が倒していたぐらいだ。いくらカフェ姉さんと言えど、このゲームでゴルシに勝つのは無理だよ!
「おぉ~ん?今度はカフェがやんのかぁ?」
「・・・すこし、練習しても?」
「あぁ、別にいいぜ~?」
「ふふっ、優しいですね。」
「・・・?」
そんな事を考えているとカフェ姉さんはゴルシから許可を取り、そのうえ職員さんにお金を渡したうえで数発のコルクとおもちゃの銃を受け取る。
しっかりと説明を聞いたうえで、試射と言う名の練習をはじめ―――
[パパパパパンッ!!]
「・・・、狙いやすいですね。」
あ、あのカフェ姉さんが・・・早撃ちで百発百中・・・?えっ、おともだちなにかした?”冤罪だー!私は何もやってないよ!?”あ、ごめん。
「・・・勝負ですゴールドシップ。」
「へっ、おもしれー女・・・いいぜ、勝負だ!!」
~~~~~
[(チープな電子音)ハイスコア更しーん!おめでとー!!]
「・・・ふふっ、私の、勝ちです。ゴールドシップ、さん?」
「うそ、だろ・・・宇宙早撃ち大会出入り禁止の、このゴルシ様が・・・0点!?」
か、カフェ姉さんが勝った?えっ、うそ・・・夢じゃないよね?
試しに自分の手の甲を軽くつねると、痛みが走る。うん、夢じゃない☆(思考放棄)
カフェ姉さん、いくら私のお姉ちゃんだからって、いろいろ崩壊しすぎだぞ☆(オマエモナー)
「では、マックイーンさん。メグルの”あーん♡”は私のもので、いいですよね?」
「はい?もう一度おっしゃってくださいませんこと?
「メグルのお姉ちゃんである私が、ゴールドシップに勝ったんです。別に、おかしい事ではありませんよ?」
「やってやろーじゃねぇですの。ゴールドシップに勝ったからってメグルさんの”あーん♡”は
「・・・向かって、来るんですね。逃げずに、この私に・・・向かってくるというんですね?」
「あれー?」
結局、カフェ姉さんとマックイーンさんの勝負も始まり・・・
「はぁ、はぁ・・・勝ってやりましたわこんちくしょー!さあ、メグルさん!昼食の時にわたくしに”あーん♡”を―――」
「―――いや、ゴルシが勝手に言い出したことですし、やりませんよ?」
「なん・・・ですって・・・?」
「うそ・・・だよね・・・?」
「まじ・・・かよっ・・・。」
結局、全員が膝から崩れ落ちた。
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二人の時間
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おひるご飯も(おおむね)無事に終わり、私はゴルシと一緒に観覧車に入っている。
ライスさんと酉川トレーナーは私たちの二つ後ろに乗っている・・・はずだ。
言ってしまえば、もう夕方だった。みんながみんな、それぞれ遊園地を楽しみ。最後にライスさんが観覧車に乗ろう!と言って、みんなで乗っているところだ。乗る順番と人はくじ引きで決めたが、私はゴルシと一緒に乗ることになった。今日は、マックイーンさんとカフェ姉さんがずっと一緒にいたから、ゴルシだけと一緒だと、ちょっとだけ落ち着く気分になれる。
「・・・終わっちまうな。」
「うん、楽しかったね。」
「・・・ああ。」
窓の外を見つめて、口数の少ないゴルシ。もしかして、嫉妬しているのだろうか・・・それとも、もっと別なことなのだろうか。私には分からないけれど、ゴルシは何も言わず・・・ううん、何も言えずにただ夕日を眺めている。
「なにか、悩んでるの?」
「っ・・・まあ、な。アタシでも悩むときはあるんだぜ?」
「うん、知ってる。」
「・・・なんだよもう。」
ゴルシがちょっと拗ねたようで頬を膨らませて、視線を私に送り始める。
多分、今回ゴルシが悩んでいることは・・・私が関わっちゃいけないようなことだろう。私だってゴルシに対して隠し事とかいっぱいあるし、ゴルシだって私に対して(隠しちゃったらダメな奴もあったけれど)隠し事の一つや二つは持っているだろう。
「あっ、ねえねえ、ゴルシ。」
「どうした?」
「今度、あーんってやつしてあげようか?」
「・・・急にどうしたんだよ。」
「ゴルシだけには特別ってやつだよ、それぐらいは・・・やってあげてもいいよ?もちろんゴルシ以外にはやらないし。」
「そ、そうかー?うへへへっ・・・」
怖い顔をして悩んでいたゴルシが、へにゃりと柔らかい笑みを浮かべれる。
うん、私は怖い顔をしているゴルシより、こうやって柔らかい笑みを浮かべているゴルシの方が好きだ。
そんな事をしていると、眩しい光がゴンドラの中に差し込む。ゴルシがちょうど夕日にあたり、白毛に近い葦毛がキラキラと光る。対して私は、残念ながら影の中に入ってしまっている。
「約束、な。」
「うん、約束。」
そう言いながら、二人で右手の小指を絡ませ・・・
「「ゆーびきり、げんまん、うそついたら、はりせんぼん、のーます!ゆびきった!!」」
そう、約束事をした。
どうしてゴルシに勝てなかったマックイーンが、ゴルシに勝ったカフェに勝てたかって?アレですよ、カフェさんゴルシとの勝負に全集中しすぎで、ちょっとだけ疲れてたんです。