前回のあらすじ
ブラストちゃんの大怪我
ブラストさんが大怪我をしてしまった日からしばらく、私たちはライスさんの京都新聞杯を応援しに京都レース場に訪れていた。
関係者と言うことで、酉川トレーナー、私、マックイーンさん、ゴルシ、ブラストさんとリリスちゃんでライスさんの緊張をほぐしていた。
「うぅぅ・・・ドキドキする・・・。」
「まぁ・・・だろうな。」
レースを走る緊張感を抑えきれないらしいく、ライスさんは不安な表情を浮かべている。
「ふふっ、その緊張ごと楽しむことをお勧めしますわ。」
「ライスさん、大丈夫です~。いっぱいトレーニングしてきたじゃないですかぁ~。」
そんなライスさんに向けて、マックイーンさんとリリスちゃんは言葉をかける。
幾分か緊張が解けたのか、軽く深呼吸をして元気いっぱいな表情を浮かべる。
「うん、楽しんで・・・そして、ブルボンさんに勝ってくる!」
「いいぞっ!その意気その意気!!」
「私たちも精一杯応援するからね!」
「・・・応援しすぎで怪我の悪化はするなよ、ブラスト。」
「そ、そんなことしませんよ!酉川トレーナーのいじわる!!」
「はっはっはっ、悪い悪い。」
酉川トレーナーとブラストさんの掛け合いにより、場の空気がさらになごんでライスさんとブラストさんを含む全員が笑ってしまう。酉川トレーナーはうれしそうな表情を浮かべるだけだが、それでもライスさんをしっかりと見つめている。
「やることは覚えてるか?」
「うん、”いつも通り”だよね?」
「あぁ・・・思いっきり走ってこい!」
「わかった、がんばるよっ!」
・・・そうして、ライスさんはターフの上にへと走り去っていった。
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ゴルシが率先して、ブラストさんとリリスちゃんを連れて行き・・・私はマックイーンさんと一緒に見えなったライスさんを眺め続ける酉川トレーナーの側に控えていた。
「・・・トレーナーさん、ライスさんは勝てますか?」
「あぁ、勝てるだろうな。」
「―――んにゃ、俺のブルボンが勝つぜ?」
と、後ろから第3者の声が聞こえてくる。マックイーンさんと一緒に振り返ると、そこには筋肉マッチョのスキンヘッドで凶悪そうな顔の男の人と、体操服を着ているブルボンさん・・・そして制服のバクシンオーさんが、こちらを見ていた。
やがて、酉川トレーナーがため息をつき”めんどくさい奴に見つかった”と言わんばかりの苦虫をかみつぶした表情で振り返った。
「随分なご挨拶だな、猿山。」
「がははっ!そういうお前こそ、その仏頂面どうにかしろよな。」
ど、どうやらそのスキンヘッドで凶悪そうな男性が、酉川トレーナーの同期の一人、”猿山トレーナー”らしい。
「んで?誰が、うちのブルボンに勝つって?」
「・・・・・・。」
親し気な空気から一変、猿山トレーナーは挑発的な笑みを浮かべながら酉川トレーナーを睨み、ブルボンさんは猿山トレーナーの声に反応したのかチラリと酉川トレーナーを見た。
「・・・
・・・まさに売り言葉に買い言葉、
私は一歩離れてその光景を見ているが・・・道のど真ん中で睨み合いをしているせいで他のトレーナーやウマ娘が少しだけおびえてしまっている。
「猿山トレーナー!模範的なトレーナーとしてはそこまでにしといたほうがよろしいかと!!」
「バクシンオーさんの言う通りですわ、ここで酉川トレーナー方が威嚇しあっていると、他の方の迷惑になりますわよ?」
咄嗟にバクシンオーさんとマックイーンさんが間に入り、トレーナー二人はハッとし他のトレーナーやウマ娘に頭を下げて隅っこで縮こまる。えぇ、めっちゃ弱い・・・。
「と、ともかくブルボン!手を尽くすことは尽くしきった。後はお前次第だ、行って来い!」
「はい、マスター。」
「・・・お前そんな趣味あったのか?」
「ないと断言するぞ!」
・・・もしかしてこの二人って実は仲がいい?
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side:ライスシャワー
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ゲートに入り、小さく深呼吸をする。
いつも通りのレースをして・・・でも今日は、
「ブルボンさんに、ついてく。」
「10名のウマ娘がゲートに収まり・・・・・・スタートがきられました。勢いよく飛び出しました10番ミホノブルボン。他のウマ娘を一気にかわしてスルスルと先頭に立ちました。」
日本ダービーの時より速いけれど、酉川トレーナーが予想した通りだ・・・ついていける。目標をブルボンさんに絞りつつ、4番手の位置に静かに移動する。
「一番人気、ミホノブルボンがレースを引っ張る形となりして二番人気、本レースで下剋上なるかライスシャワーはよん・・・4番手?!し、失礼しました。4番手の位置で様子を見ています。ミホノブルボンが先頭のまま、各ウマ娘が第2コーナーを回って向こう正面へと入ります。」
実況の人により
「順位はほぼ変わらず、京都最大の特徴である第3コーナーの坂を下っていきます。」
(
仮契約が解除されて、どうしようと迷っていた時に手を差し伸べてくれた酉川トレーナー。いつも気に掛けてくれて、ライスにアドバイスをしてくれたマックイーンさん、ライスに
(諦めたくない、ライスは・・・
『そこだよ!』
(っ!?)
不思議な声が聞こえて、
「ここでライスシャワーが仕掛けました、ミホノブルボンを狙うように3番手から2番手にまで上がってきたぞ!まるでダービーの再現だ!ミホノブルボン先頭で最終コーナーを回る!勝負は最後の直線へともつれ込みました!!しかし突き放すようにミホノブルボンが加速する!」
実況の男の人が熱を持ってそう叫ぶ・・・でも、どうしてだろう、加速したブルボンさんに追いつけている。
「しかしライスシャワーが食らいつく!まるで逃がさないと言わんばかりに距離をじりじりと詰めていきます!!ライスシャワーが懸命に追う、しかしミホノブルボン全く落ちない!先頭を譲らないッ!!」
ブルボンさんの鼓動の音・・・息遣いが聞こえてくる。
ブルボンさんが
(
「ッ!!」【G00 1st.F∞; mark.Ⅱ Lv.10】
「並んだ!ライスシャワーが並んだ!!名優の弟子が、二代目努力王に並んだッ!!」
あと、200m・・・このままなら、
「・・・まだ、ですッ!!」
【G00 1st.F∞; Lv.20】
(―――ぇ?)
「しかし勝者は、ミホノブルボンッ!影を踏んだライスシャワーを置き去りに、今ゴールイン!!圧勝の無敗7連勝とはなりませんでしたが、三冠ウマ娘へ向けての視界は良好だーっ!!」
―――負けた。
あんな、あんな隠し玉があるだなんて、
「ライスちゃん、惜しかった!」
「ライスちゃーん!いい走りっぷりだったよー!!」
「ナイスファイト!次はいけるぞーッ!!」
(・・・あっ。)
ライスに向けて、手を振って応援してくれていた・・・ファンがいた。
チームのみんなも、手を振ってくれている。まだ、大丈夫。ライスは、まだ折れない。
次は、必ず・・・抜きさって見せる。
いつから、G00 1st.F∞; mark.Ⅱが本命だと思った?
ぶっちゃけた話、G00 1st.F∞; mark.Ⅱはブルボンが猿山と共に編み出したリミッター付きのG00 1st.F∞;で、大本命である【G00 1st.F∞;】が強力すぎるゆえの、代替え案だったりする。
(今のライスちゃんだと逆立ちをしても勝てない)