とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ

地獄の釜は開かれた



最近、おま環なのか分からないけどTwitterの予約投稿が不調気味・・・
これで「仕様です」だったらTwitterは・・・もう、ねぇ?(ちい○わキメラ)


Re:ライスシャワー 2R

 

[テレビの音音「だから、ライスシャワーが勝ちをもぎ取り、ミホノブルボンが負けた!そこに何の違いもありはしないだろうが!!」]

[テレビの音声「違うって言ってんだろうが!あの日、あの時、あの場面!!誰もがミホノブルボンの勝利を確信した、だが勝ったのは()()()()()()()()()のライスシャワー・・・誰がそんなものを予想した!誰が勝たせた!!また賄賂か、メジロマックイーンの有馬記念の時のように!!」]

[テレビの音声「貴様ぁッ!!」]

 

怒号が飛び交って若い専門家が年老いた専門家に向かったところで、緊急特番の討論番組は”しばらくお待ちください”の文字と共にナイスなボートが湖を往く映像に差し替えられる。それを見た酉川トレーナーと小鳥遊トレーナー・・・そして猿山トレーナーは三者三様のため息をついた。そんな中、私とナラクさん・・・そして、ベテルギウスのサポートウマ娘数名で、お茶出しや書類整理、情報収集を行っている。(ベテルギウスの皆さんがシリウスのトレーナー室にいるのは、猿山トレーナーいわく当事者同士で協力し合った方が事を対処するのが早いとのことで・・・)

 

「役に立たない討論番組だ・・・マックイーンの1件でJURA(Japan Uma-musume Racing Association)がキレイになったと思ったら、今度はファンの民度がコレか。」

「前々から、JURA(Japan Uma-musume Racing Association)の汚職と同じく、長年の間で問題視されていましたが、ここにきて、こんな風に爆発するなんて思いもしませんでした。」

「懸念と疑惑があったが、そこに踏み込めるほどの問題がこれまで起きてなかったって言うのも問題だな・・・その標的が、ブルボンとライスに向けられてんのが気に喰わねぇけどな。あ”ぁー、クソッ、考えただけでもイライラしてくるぜ・・・。」

「やめろ猿山、今ここでお前が暴れると抑えきれない。」

「・・・はぁ、分かった。ちょっと外の空気を吸ってくる。」

 

猿山トレーナーはそれだけ言い、座っていたソファーから立ってシリウスのトレーナー室から出ていく、心配したであろうベテルギウスのサポートウマ娘の一人が同行しようとするが、手で制し、頭を撫でてからそそくさと廊下の奥へと消えていった。

 

「いいんですか?」

「猿山も大人だ、感情のコントロールはできる。そうだ、小鳥遊、ここ1週間のレースはどうなった?」

「1週間どころか、秋の天皇賞の開催まで危ぶまれてますよ。伏島の一件で、意地でも不正のないレースを開催したいJURA(Japan Uma-musume Racing Association)と、ウマ娘の安全を最優先に考えてる中央トレセン学園(秋川理事長)と、でね。」

「まあ、そうだろうな。としか言えねぇ事態だ」

 

酉川トレーナーが目つきを鋭くしつつタブレットをにらみつけている。

小鳥遊トレーナーも、次から次へとベテルギウスのサポートウマ娘の一人から渡される手紙を一つ一つ丁寧に開封しては捨てたり、保管したりを繰り返している。

 

・・・。現在、中央トレセン学園は不気味なほど静かだ。

なにせ、無敗3冠まであとちょっとだったミホノブルボンさん、そしてそんなブルボンさんに待ったをかけたライスさんの勝負で、一時期はレース科のウマ娘たちがそれに感化されて、練習意欲の種火になったのだが・・・すぐさま起きた観客席での大乱闘で、沈静化・・・それどころか、オープンや重賞レースを辞退する子が多い。拍車をかけてしまったのは、ライスさんの努力はこの中央トレセン学園において思いのほか、言い伝わっていたことだ。何度負けても、諦めずにトレーニングに励むライスさんを見て「自分もああなりたい」、「自分だって頑張れば壁を越えられる」と言う熱気ですら、現状の世間の争い・・・「努力して勝ったライスさんを迫害する」状態を見て、もはやお葬式のような空気、そしてライスさんに続いて努力していたウマ娘たちは口々に「どんなに努力しても、才能を持ったウマ娘に勝つと消される」とまで言われ始めている。

生徒会では、早急に生徒の”メンタルケア”の仕事を開始したのだが、会長さん、グルーヴさん・・・そして、このループのブライアンさんは才能で勝利をもぎ取った三人、メンタルケアをしようとしてもそれ以上に反感を買い・・・反生徒会組織が中央トレセン学園内にでき始めている。会長さんもその事態を重く受け止め、何とかはしているが、長くはもたないだろう。

マックイーンさんの時は、伏島という”言い逃れのできない悪党”が居たからこそ、最近では話題にされないほど沈静化した。けれど、ブルボンさんとライスさんの問題は、その”言い逃れのできない悪党”は存在しない。もし、それを言及してしまったら、ウマ娘のレースが今回の”言い逃れのできない悪党”なのだから。

 

「ぁぃっ・・・。」

「ナラクさん、どうかしたの?」

 

と、そんなことを考えつつ作業をしていると、手伝ってくれているナラクさんの顔が随分と暗いことに気付く。一度、手を止めて話を聞こうとすると、ナラクさんは首を横に振り「何でもない」と教えてくれる。おそらく、彼女にとって触れてほしくない事情なのだろう。私は、そっと頷いてクッキーの準備を再開した。

 

=====

 

クッキーの準備を終え、焼き始めたと同時に猿山トレーナーがシリウスのトレーナー室に戻ってきて書類作業の続きを再開する。

猿山トレーナーの外見からして、書類作業はガサツそうだなぁと見た目で判断していると、その判断はいい方向に裏切られて思わず目を丸くしてしまった。酉川トレーナーはパソコンで書類を作成しているがそれでもミスがそこそこ多い方で、小鳥遊トレーナーはパソコンでも手書きでもほとんど完ぺきにこなすどころか酉川トレーナーのミスを添削したいしている。

対して、猿山トレーナーは何と完全手書き、ボールペンにも関わらずにパソコンで書面を作って印刷したかのように正確で整った文面を創り出す・・・それもそんなに時間をかけずにだ。あれ、この人熱血系かと思ったら案外インテリ系?けど、やっぱりミスはするみたいで小鳥遊トレーナーに指摘されて項垂れていたのを目撃してしまった。

 

「とりあえず今のところは、酉川の書類で最後だな。」

「ああ、もうちょっとで終わるからのんびりメグルの焼いたクッキーでも食べて待っててくれ。」

「あ、酉川先輩。ここのこの文章、脱字してますよ。」

「おっとマジか・・・」

 

酉川トレーナーに言われて、ちょうど焼きあがったため大皿に並べてそそくさと運び出す。

ローテーブルに置くと、猿山トレーナーは嬉々として一枚手に取り口にする。と、猿山トレーナーは目を見開いて頷いている。どうやら今回のアレンジもうまくいったみたいだ。

 

「んー、こいつはシナモンクッキーだ!うんめー!!」

「猿山トレーナーさん、飲み物はどうしますか?コーヒーに紅茶、普通のドリンクもご用意してますよ?」

「おっ、コーヒーか・・・頼んでいいか?できれば、ブラックのシティ・・・って言っても分からな―――」

「ブラックのシティですね。ペルー産のコーヒー豆でいいですか?」

「へっ?あ、ああ・・・頼む。」

 

猿山トレーナーが驚いているが、コーヒーは私の得意分野だ。カフェ姉さんには劣るけれど、これでもコーヒーに関しては喫茶店を営んでいるお義父さんにお墨付きをもらっている。(構図的には”お義母さん>カフェ姉さん≧私>お義父さん”だ。)さっそく、コーヒー豆を・・・

 

[バンッ!]

マスター!

 

準備しようとすると、シリウスのトレーナー室のドアを勢いよくブルボンさんが開け放った。

その目はどこか真剣だ。けれど、ミミは絞られていて、雰囲気から明らかに怒っている様子が見受けられている。

 

「おーう?どうしたブルボン、トレーニングとレースならしばらく休みにーーー」

「どうして、記者会見を断ったんですか?」

 

ズンズンとブルボンさんが猿山トレーナーに詰め寄り、今にもつかみかかりそうな距離だ。

ベテルギウスのサポートウマ娘のみんなが、すぐに取り押さえられるように構えだし、酉川トレーナーと小鳥遊トレーナーも真面目な雰囲気にいつの間にか切り替えていた。

 

「どうしてって、あの記者会見に正当性なんてないからだ。」

「っ・・・しかし、記者の皆さんに誠心誠意の言葉を伝えればーーー」

「「―――無理だな。」」

 

ブルボンさんの言葉に猿山トレーナーだけでなく、酉川トレーナーまでもが言葉を返す。猿山トレーナーが、苦笑いを浮かべつつ酉川トレーナーを見ると、ブルボンさんは今度は酉川トレーナーに詰め寄った。

 

「どうして無理と仰るんですか?」

「今の世の中を考えれば、ブルボン・・・君がどんなに誠心誠意の言葉を伝えたところで、記者は都合のいいように君の言葉を書き換えて火に油を注ぐ。それどころか、本人が言ったという確証を作られ、油どころか、石油・・・いや、ニトログリセリンをぶちまける行為だ。」

「しかし、今現在の世間で話題になっているのは、私が偶然でライスさんに負けたという100%のデマです。こればかりは、私は納得できません。」

 

ブルボンさんは真剣な表情だ。酉川トレーナー用の机を挟んで、見つめ合ってはいる物の・・・机と言う障害物がなければブルボンさんは今にも酉川トレーナーをビンタしてしまいそうだ。対して酉川トレーナーは、ブルボンさんの言葉を聞きながら、カタカタとパソコンを操作し、最後に静かにエンターキーを押した。

 

「・・・で?」

「・・・はい?」

 

そんな、酉川トレーナーの目が鋭いものに変わる。

 

「納得できない、ソイツは結構。それで?」

「・・・?」

「その先は?納得できないならどうする?」

「ですから、記者会見を行い、菊花賞での結果は、偶然ではなく、必然だったとーーー」

「じゃあ、ブルボン・・・君はこう言いたいわけだね?京都新聞杯で勝てたので余裕をかましていたら菊花賞で負けてしまいました。って」

「おい、タクヤ!それ以上はーーー」

「黙ってろ、コウジ。」

 

・・・酉川トレーナーが、珍しく本気で怒っている。

猿山トレーナーの名前を読んで、猿山トレーナーでさえ黙らせている。

 

「ミホノブルボン、君は一つ決定的な勘違いをしている。」

「かん、ちがい・・・ですか?」

「本当に納得していない。と言うなら、やるべきことは記者会見じゃない。黙して、何も語らないことだ。」

「それでは、いまライスさんが魔女狩りのように責められていることを見過ごせと言うんですか!?」

 

と、ブルボンさんが激情して感情を露わにして、酉川トレーナーの胸ぐらをつかんだ。

慌ててベテルギウスのサポートウマ娘たちがブルボンさんを抑えにかかるが、ブルボンさんはびくともせずに酉川トレーナーの胸ぐらをつかみ、にらみつけている。

 

「確かに、あのレースを走った当人からしてみれば、今この現状、ライスシャワーが魔女狩りの魔女のように責められているのは非常に腹立たしいものだろう。特に、ミホノブルボン、君は大接戦の末の敗北だ。当然、悔しいだろう?」

「ええ、あの時・・・あの時、私はライスさんに言いました。また私と走ってくださいと・・・このままでは、ライスさんは・・・」

「・・・今のライスは、どうにもできない。いくら俺でも、()()()()()()に陥ったウマ娘の治療法なんて知らない。」

 

酉川トレーナーが、仕事の途中だというのに言葉を包まずにこぼす。

ギリィと、誰かが歯を食いしばる音が聞こえ、ブルボンさんが顔を伏せ・・・酉川トレーナーから手を離して、フラフラとシリウスのトレーナー室から出て行った。酉川トレーナーは力なく座り、猿山トレーナーはベテルギウスのサポートウマ娘の一人に声をかけて、ブルボンさんの後を追わせた。

 

「酉川にもどうにもできない、レース恐怖症・・・レース中かレース後のトラウマ・精神的恐怖から発症する精神疾患。レース科に所属しないウマ娘たちとは違い、後天的なレース嫌い・・・か。」

「ケガをしたり、事故にあったり、事件にあったり・・・とにかく、あまりにも大きいストレスを受けたウマ娘が陥りやすい症状だ。無論それは、ブラストとリリス、パンプキンですら発症してもおかしくない。」

「・・・現役トレーナー推薦組は違うな、酉川。」

「実技主席が何を言ってる、猿山。」

 

そして、シリウスが抱えている問題、ブラストさんリリスさん、パンプキンさんの怪我とは別の、本当ならなかったはずのイレギュラー。ライスさんの・・・レース恐怖症。

 

(・・・私がもっとしっかりしていればっ!)

 

言い表せない後悔を心に秘めつつ、猿山トレーナーにコーヒーをお出しするのだった。

 

 





ライスちゃんが、レース後の大暴動を見てレースにトラウマを持ったよ!
自分で曇らせとかわいそうはカワイイを書いててダメージを受けてる作者が居るらしいんですよ。ライドウっていう名前なんですけどね?

ごめんなライス・・・俺はお兄様失格だ!

俺は恥ずかしか!生きておられんごっ!
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