前回のあらすじ
怪異
批判じゃないけど、某鍵の作品ってたまにこういうシナリオあるよね。大好き。
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side:ライスシャワー
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怖い
ブラストさんの怪我も、ライスとのトレーニングが原因だし、リリスさんとパンプキンさんも、私が日本ダービーで勝ったからケガしちゃった。
そして、その影響で、酉川トレーナーさんにも、小鳥遊トレーナーさんにも、猿山トレーナーさんにも・・・シリウスだけじゃなくて、ベテルギウスの人たちにも、迷惑をかけてるし、マックイーンさんやゴールドシップさんに、
「ライスさん!」
ライスが、そこまで考えると、お姉さまが駆け寄ってきてくれる。
でもそれが、とても・・・心苦しくて
「き、来ちゃダメっ!」
「っ・・・ライスさん?」
お姉さまが不思議そうな顔で、少しだけ離れてくれる。
そう、これで、いいんだ・・・
「ライスが、ライスが近くにいると・・・ケガ、しちゃうから・・・。だから、だからね・・・お姉さま・・・ライス、考えたの。
ライスのせいで、ケガとかしちゃうなら・・・ライス、ずっと、ひとりのままがいいなって。」
「・・・ライスさん。」
ライスがトレーニングするから、みんなケガをしちゃう。ライスがレースに出るから、みんな怒っちゃう。ライスが居るから、みんな不幸になっちゃう。
なら、ライスができることは、一つしかない。
「だからね、ライス・・・レース科、やめる。学校も・・・退学する。」
「っ!?」
「そうすれば・・・みんな、不幸にならないから。みんな、ケガしないから。」
ライスが居なくなれば、みんな幸せになれるんだ。
ライスが居るから、みんな不幸になるなら、いなくなればそうなるはずだ。
でも、ライスは・・・私は、どうしても、暗い気持ちになる。
「それで・・・いいんですか、ライスさん?」
「・・・うん。私が・・・決めたことだから。」
暗い気持ちに蓋をして、お姉さまに嘘をつく。
私は、ここに居てはダメなんだ。この場所にいると、関わる人全員を不幸にしてしまう。
だから、いなくなってしまおう。そうすればみんな幸せに―――
「嘘をつくな!ライスシャワーッ!!」
・・・お姉さまの怒鳴り声が、私の耳をつんざいた。
温厚で、いつも笑顔から表情を変えなかったお姉さまが怒ってる。でも、不思議と怖くはなかった。
「そうして誰が幸せになれる。自分に嘘をついて逃げ出して、それで後悔せずに納得できるのかッ!?」
「それは・・・」
「出来ないだろう、今でさえ納得できずに後悔しているのに!」
見透かされていた。ライスが本当は今の状態に納得していないことに。
お姉さまは、怒りながらもゆっくりとライスに近寄ってくる。
「これ以上、自分に嘘をつかなくていい、自分を責めなくていい、前を向かなくたっていい、ただ、自分が納得して後悔のないようにすればいいから。」
お姉さまの言葉が、じんわりと心に響く。
その言葉は、冷めきっていたライスの心にゆっくりと火をつけなおしてくれる。
でも、それ以上に、お姉さまの言葉がうれしくて、泣いてしまう。
「・・・ごめんなさい、ごめんなさいっ。」
「大丈夫ですよ。ほら、おいで?」
お姉さまが両手を広げて、ライスを呼んだ。その言葉に素直に甘えて、お姉さまの胸に飛び込む。
本当のお姉さまが居るのなら、きっと本当にこんな感じなのだろう。メグルさんは、私の本当のお姉さまではないけれど、それでも優しく、私を撫でてくれる。
それが、とっても温かくて、気持ちよくて、不思議と安心できる。
「ほら、戻りましょう?みんな、心配してますよ?」
「・・・うん。」
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「・・・あれ?」
気が付けば私は、あの部屋に戻っていた。
隣のベットには誰もいないけれど、誰かがここまで運んでくれたみたい。
・・・きっと、運んでくれたのはお姉さまだと思う。私が風邪をひかないようにブランケットまでかけてくれて・・・。
「・・・やるよ、お姉さま。ライスは、やってみせる。」
ベットから降りて、この部屋のドアへと向かう。
ここから先は、ライスにとって過酷な世界なんだと思う。きっと、心無い言葉で責められたり、私のせいでもっと多くの人がケガしちゃうかもしれない。
でも―――
「―――ライスは・・・私が納得できる道を進む。」
まずは、みんなに謝ろう。
ここまで、迷惑をかけて・・・きっと心配しているはずだ。
・・・ドアノブを回して、扉を開ける。
「だから、一緒に行こう。怖がっている
『―――うん、行こう。』
割と強引な終わりにした気がする・・・