とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ

ミホライと裏切り


Re:ライスシャワー 11R

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side:ゴールドシップ

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ブルボンとライスの祝勝会。

シリウスのトレーナー室で行われているそこから、アタシとスケちゃんことスケアリーハンターは抜け出してくる。

スケちゃんが、どうしても話したい。と小さな声で訴えかけたので、ばれないようにこっそりと抜け出して、前を歩くスケちゃんについて行っているところだ。

 

「・・・なー、スケちゃーん。どこまで行くんだー?」

「もう少しだけだ、なに。たまには美人な同期と、散歩デートでも・・・と考えただけだ。」

(・・・んー?)

 

スケアリーハンターが冗談を言った。

珍しいこともあるもんだとは思いつつも、同期のよしみだからなのかスケアリーハンターが複雑そうな気持ちを持っていることに気付く、けれどそれを指摘するほどアタシは空気が読めねぇ訳じゃねぇし、スケちゃんに限って・・・そう言ったことは絶対に相談する。だから、もうちょっと、スケちゃんの言う通り同期との散歩デートでも楽しむとする。

 

「・・・、ゴールドシップ。」

「んぁ?なーんだよスケちゃん。いつもみたいにゴルちゃんって呼んでくれたっていいんだぜぇ?」

「真面目な話だ、聞いてくれ。」

 

やがて、スケちゃん・・・スケアリーハンターは足を止める。

辿り着いた場所は、三女神像の広間。夕日が差し込んで、噴水の水がオレンジ色に変色している。

・・・正直に言って、アタシはここが好きじゃない。ここに来ると、どうしても・・・あの湿気っていた時期を思い出すからだ。

 

「それで、話って何だよ?愛の告白なら間に合ってるぜぇ、アタシにはメグメグが―――」

 

「―――その彼女とのループは、どうだった。」

 

その言葉を聞いて、スケアリーハンターをにらみつける。

コイツは、何かを知っている。アタシとメグメグのループ現象を知っている。

 

「・・・その反応、やはり黒幕は知らなかったわけだな。」

「どういうことだよ。黒幕も何も、アタシとメグメグのループ現象を引き起こしているのは、あの酉川トレーナーじゃないのか?」

「あたらずといえども遠からず、だな。確かに酉川トレーナーはループ現象を()()()()()()。」

 

スケアリーハンターが三女神像の噴水の淵に座る。やがて、隣に座るように視線で催促され・・・アタシは大人しくそれに従う。

 

「不思議に思わなかったのか?どうして、禁断の恋愛をしていても順風満帆のはずなのにループ現象が引き起こされているのか。」

「・・・アタシとメグメグは、それが分からずに何度もループしてんだ。尾行だって何度もした・・・けど、いつの間にか消えてるんだ。」

「なるほど。では、こう思わなかったか?なぜ、()()()()()()()()()()()()()3()()()()()()()()()っと」

「・・・・・・まさかっ、酉川トレーナーはループ現象の()()()()なのか?」

 

スケアリーハンターの提示したヒントのおかげで、そこまで紐解けなかった謎がつながり・・・スケアリーハンターは小さく頷く。

アタシとメグメグは、酉川トレーナーがループ現象の主犯だとは思っていた。けれど、実行する理由も動機も、今の今まで訳が分からなかった。けれど、ループ現象が酉川トレーナーの意志ではないとしたら、その原因不明に理由が付く。ただ利用されていただけという理由が・・・。

 

つまり、アタシらは今の今まで・・・意味のない事を、繰り返してきていたのか?

メグメグと一緒に必死に考えた作戦や、今までアタシがやってきた色々なことは・・・全然、ループ現象を止めるのに関係がなかったことなのか?

 

「そう落ち込むな、少なくともゴルシたちがやってきたことは意味があった。むしろ、酉川トレーナーを引き留めようとしたことに意味がある。」

「っ・・・お前、まるで犯人みたいなことを言うじゃねぇかよ・・・。」

「・・・その片棒を担ってい―――」

 

[大きな水しぶきの音]

 

バチン!乾いた音共に、スケアリーハンターが噴水に落ちる。気が付けば、アタシは平手を振り切っていた。

スケアリーハンターも、そうされることが分かっていたのか、表情を変えず・・・いや、茶化すように笑顔を浮かべて濡れたままアタシを見上げた。

 

「いいビンタだ。さすがは、水星ビンタ大会ベスト100の―――」

「お前・・・今まで、騙してたのか?」

「・・・・・・。」

 

くぐもった声が聞こえて目線を逸らされる。

仲間だと思っていた奴の中に、アタシらを3年間のループの中に閉じ込めていた犯人の一人が居たことに、アタシは冷静でいられなくなる。

噴水の淵を跨いで、靴と靴下が濡れようがお構いなしにスケアリーハンターに近づき、胸ぐらをつかむ。

 

「アタシを、メグメグをお前が苦しめていたのかッ!?」

「・・・ああ。」

「メグメグが・・・メグリメグルがどれだけ悲しんだと思ってるッ!どれだけメグリメグルが泣いたと思ってるッ!?」

「・・・すまない。」

「謝ってすむかよっ!アタシ一人なら、アタシもこれだけ怒らなかっただろうよ・・・でもなぁ、メグリメグルを巻き込むことは違うじゃねぇかよッ!!」

「・・・・・・そうだな。」

 

怒りという激情の中、ループ現象を引き起こしていた奴らの仲間だったということよりも、コイツが・・・こいつらがメグメグを巻き込んだという怒りの方が先に来る。

・・・いや、本当ならアタシもメグメグの為に怒る資格なんてないんだ。アタシだって、メグメグがループ現象に巻き込まれたことを喜んでいたし・・・ループ現象が永遠に続けばイイなんて思っている。分かっていても・・・怒らなければいけなかった。

アタシに怒鳴られているスケアリーハンターは、目を閉じ・・・悲壮の表情を浮かべて、俯いている。

後悔に苛まれているようで、それでいて・・・罪悪感に押しつぶされている。小さく震える肩が、それを十分に伝えている。

 

「ゴールドシップ、キミの怒りはもっともだ。だが、遅かれ早かれ、メグル嬢はループ現象に巻き込まれていたさ。」

「・・・どういうことだよ。」

「彼女は・・・とある人物の計画の中心人物だ。」

「・・・誰だよ、ソイツ。」

 

アタシが低い声で聴き返すと、スケアリーハンターは覚悟を決めたのか、悲しげな表情を変えて・・・真剣な眼差しでアタシを見上げる。

 

 

「・・・ソイツの名は、ストームドラグーン。ストームロードの、血のつながった妹だ。」

 

 

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ストームドラグーン。その名前は、アタシは深く覚えのある名前だった。

いわく、【立てば厄災、座れば混沌、歩く姿は悲劇的破滅(カタストロフ)】・・・そんな噂が立つほどに、末恐ろしい容姿を備え、他を寄せ付けない圧倒的なレースをできる・・・文武両道で、生まれた時から究極のウマ娘。

シンボリルドルフが皇帝、トウカイテイオーが帝王・・・そして、ストームロードが君主であるのなら、ドラグーンは『竜王』・・・もしくは『魔王』の呼び名がふさわしいとも言われている。

 

「・・・どうして、どうしてドラグーンが、メグメグを?」

「・・・・・・それを、」

「言えよ・・・言えよ、スケアリーハンター!」

「それを知ることはメグリメグルの秘密を知ることになる!!」

 

怒鳴ったアタシを怒鳴り返すスケアリーハンター。

・・・どうして、そうなる?

 

「いいか、ゴールドシップ。もし、このループ現象を止めたくないという気持ちがあるのなら、今すぐ私を掴む手を離して去れ。」

「なんでそうなる・・・」

「覚悟がないのならループ現象を止めることも、メグル嬢の秘密を知る資格はないからだ。」

「・・・わけ、分かんねぇよ。」

「だろうな、だが・・・どうする?」

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スケアリーハンターから、手を離す。

ヨロヨロと立ち上がって・・・三女神像の広場から立ち去るために、歩を進める。

 

「・・・心変わりしたのなら、また私に声をかけろ。」

 

最後の言葉も、訳が分からなかった。

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