とあるモブウマ娘が、ループするお話。   作:ライドウ

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前回のあらすじ

生徒会とカノープス、そして…



なお、当小説ではエーペックスエイジのような、史実ではいなかったウマ娘が多数登場いたしますができれば受け入れていただけると幸いです。


7R

 

ゴルシとの軽い並走も怪我無く終わって、更衣室に併設されているシャワー室でシャワーを浴び終わり、素早く制服に着替えて休憩している。

ゴルシはどうやら走り足りないらしく、ジョーダンのところに行ってくる!と言ってどこかへ行ってしまったし…少しだけ暇になったな。

なんてかんがえていると…更衣室のドアを開けた左耳にリボンをつけたウマ娘がいた。

 

「……メグリメグルか。」

「あれ、ストームロードさん?」

 

そのウマ娘は、ストームロードさん。

この学園における、ルドルフさん、シービーさんと同じ”最強”に最も近いといわれているウマ娘だ。そして…とあるループで私が敵として認定しているエーペックスエイジですら勝てなかった”凱旋門賞”を取ってきたウマ娘である。

 

「これから、トレーニングなんですか?」

「……忘れ物だ。」

 

そう言ってロードさんは、ロッカーを開けて土汚れのついたジャージを手にしていた。どうやら、汚れたジャージを洗濯するはずがいつもの癖でロッカーに片づけてしまいそれに気づいて取りにきたらしい。

 

「……オペラオー……走っていて……転んだ。」

「あぁ、なるほど。」

 

私がジィーとジャージを見つめていると、ロードさんが恥ずかしそうにそういう。

ロードさんは目つきが鋭くて口数も少ないので他のウマ娘たちから怖がられているが、実は少しだけ天然な人だ。本人曰く、たまに忘れ物をしてしまったり空に浮かぶ雲を眺めていて先生の話を聞いていなかったりなど…ともかく、不思議な人である。

 

「……転んだのも……私のせいだ。」

「さしずめ、オペラオーさんの王冠に気を取られていたら足をターフにひっかけて転んでしまった…とかですか?」

「…………あぁ。」

 

私が言ったことはどうやら全くその通りだったらしい、ロードさんが真顔を真っ赤にしている。

しかし、耳を見てみれば恥ずかしそうにパタパタと動いており本当に恥ずかしがっているのがよくわかる。ウマ娘の耳は口ほどにものをいうとはよく言ったものだ…

 

「…あ、そうだ。せっかくだし、途中まで一緒に行きませんか?」

「……寮までか?」

「はい…別々の寮ですけど学校を出るところまでは一緒なので!」

「……ああ。」

「じゃあ、行きましょう!」

 

私は立ち上がり、ロードさんと一緒に更衣室から出る。

体育館から出ると、ちょうど放課後の練習終わりなのか次々とジャージ姿のウマ娘たちが更衣室へと向かっている。一方、グラウンドでは残って練習を続けているウマ娘もちらほらと見かける。

 

「そういえば、ロードさんはトレーニングは順調なんですか?」

「……今は、凱旋門だ。」

「なるほど、凱旋門賞に向けて東条トレーナーと念入りに相談しているんですね?」

「……ああ。」

「それならリギルの皆さんに差し入れを持っていきましょうか?」

「……いいのか?」

「はい、ルドルフさんたちには普段からお世話になってますし。」

「……シンボリルドルフ……果報者だな。」

 

そんな会話をロードさんとしながらゆっくりと正門へと歩いていく。

最近の出来事とか、話題のドラマとか…そんな他愛ない会話をしつつ歩いていると。

 

「な゛ぁ~。」

 

雑木林の低木から体格のいい猫がノシノシと出てきた。

その猫は、かがみもちという名前で小さい頃から私が飼っている猫で…カフェさんの実家に置いてきたはずがいつの間にかこっちに移動していた飼い猫だ。最初に栗東寮の入り口で寝ていたところを見たときは驚いた。

ちなみに、寮には入れていないが庭先にフジキセキさんから許可をもらって、私が組み立てた猫ハウスに住んでいる。結構賢い猫で、言えば覚えてくれるそんな猫だ。そして、栗東寮周辺の他に、学園までも縄張りにしておりここら辺をたまに見回っている。ちなみにメスだ。

 

「見回りお疲れ様、かがみもち。一緒に帰る?」

「な゛ぁ~。」

「……知り合い?」

「あぁ…私の飼い猫なんです。寮はペット禁制なので、栗東寮の庭に放してるんですけど…賢いので逃げないんです。」

「……そうか。」

「よかったら撫でます?」

「……いいのか?」

 

ロードさんの耳がせわしなく動いており、とても触りたがっているのがよくわかる。

私がかがみもちの名前を呼ぶと、意図を察してくれたのかノシノシと私たちの足元まで寄ってくれた。

ロードさんが戸惑いながら、手を伸ばすとかがみもちは動じずにその手をクンクンと嗅ぎ出す。

しばらくして、ロードさんの手から鼻を放すと自分から顔を摺り寄せた。

 

「……愛い。」

「ロードさん、そうしたらかがみもちの背中をやさしくなでてあげてください。」

「……こうか?」

「はい!」

 

ロードさんが私の指示通りにかがみもちの背中をやさしくなでると、撫で方が恐る恐るということもあってかかがみもちはおとなしくなでられ続けている。どうやら、ロードさんの撫で方は問題ないみたいだ。

 

「……初めてだ。」

「もしかして、猫を撫でる事がですか?」

「……猫に……嫌われている。」

「あー…猫が見ただけで逃げるけど、猫は好きだったから撫でてみたかったんですね。」

「……感謝する……満足だ。」

「いえ、かがみもちがお役に立てたなら幸いですよ。」

「な゛ぁ~。」

 

ふと、ロードさんが真顔から美しい笑みを浮かべてかがみもちを見ていた。

ロードさんの表情が動くのは初めて見たけれど、この人が笑うとヤバすぎる。

多分、ロードさんの親衛隊(ファン)が見たら全員、うれしい悲鳴を上げて倒れてしまいそう。

 

「……いこう。」

「…はい、ロードさん!」

 

ロードさんが立ち上がり、私も立ち上がって正門を抜ける。

お互いに挨拶をして、それぞれの寮へと向かう。

ノシノシとかがみもちが、私の前を歩き…私はかがみもちを踏んでしまわないように気を付ける。

 

「ねぇ~かがみもち?」

「な゛ぁ~?」

「よかったらこれからもロードさんに撫でられてあげてね。」

「な゛ぁ~。」

 

そんな会話をしながら、私とかがみもちは栗東寮へと帰るのであった。

 

 





今回は少し少なめ!
軽く紹介だけしちゃいます!


ストームロード

シンボリルドルフ、ミスターシービーと並ぶ中央トレセン”最強”の一角。
とあるループでは、エーペックスエイジが勝てなかった凱旋門賞に勝っており中央トレセン最強討論(それぞれのファンによる不毛な議論)でも名が挙がる。
本人は目つきが鋭く表情筋が仕事をしない系天然口数少なめ左耳リボンウマ娘で、すごくマイペース。


かがみもち

メグリメグルの飼い猫、寮はペット禁制なのでフジキセキやその他の許可を取って栗東寮の庭を住処としている体格の大きなギザミミの猫…枕として扱われる程度にはでかくて丈夫。あれ、こいつほんとに猫か?ちなみにメスである。
最近ではナリタブライアンの枕になっているのを目撃されたことがある。
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