とあると灼眼と魔法少女   作:K太

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ちょっと行動がなぞなカミやん
つめすぎてスカスカ


幻想殺しと守護騎士

日が沈み始め夜になりつつある学園都市を上条は歩いていた。

本来ならこの時間はすでに上条は自宅である寮についているのだが、今日は突然現れた炎髪の少女達と情報交換をしていたためこの時間になってしまったのだ。

炎髪灼眼の少女、シャナはこのことに少し驚きを見せたが、事象として淡々と理解していた。土御門はあまり感情を見せず魔術師としての姿勢で、魔術の説明と現状の推測を話した。

それに上条と悠二達4人は驚愕していた。なぜなら

(いきなり異世界だ、なんて言われてもなぁ・・・)

信じられないわけではない。上条自身、学園都市でも魔術関係の事件に関わる稀有な存在だ。大抵のことは納得できるつもりでいた。だが、科学でも魔術でもない異世界のものだと言われてもいまいち理解できなかった。

(でもシャナが出した炎、よくわかんないけど能力とは違うみたいだった。土御門も魔術じゃないって言ってたし)

土御門が嘘をついている可能性もあるが、この状況で上条に真実を隠すメリットはない。

(まぁ、あいつらが言うには自然現象みたいだから大丈夫か)

それより早く帰ろう、と駆け出そうとして人気のないことに気付いた。今はまだ夕方と夜の間で街が静まるにはかなり早い。ステイル等が使った人払いの魔術を思い出した。突然の非日常に上条は拳を構える。

「なんだあの壁。シャナが使ってた封絶ってやつか?」

上を見ると空が不自然な色に染まっていた。外からの干渉を阻む壁のように見える。さらに、

「ぐっ・・・ぅぁ・・・!」

という呻き声が前の路地から聞こえ、上条は駆け出した。

「おい、どうした?何があった!」

路地に飛び込むと見慣れない服を着た男が倒れていた。手には長い警棒のようなものがありそう簡単に倒されるとは思えない。

そして立っていたのは、真っ赤なドレスを着た小学生くらいの女の子だった。とても警棒を持った男を倒せるようには見えない。たまたま現場に居合わせたのだろうと上条は考えた。

「どうしたんだ?ここで何があった。こいつは誰にやら・・・」

そこまで言って上条は少女の持つものに声を止めた。

ドレスを着た少女に不自然なほど似合っている、機械的なハンマー。

「ん?なんだよおまえ」

少女はそんな上条に気付いたようで、軽く睨みつけながら声をかけた。

「何もんだ?魔導師じゃねえな、魔力反応もねえし。どうやってこの結界の中入った。何が目的だ?」

上条は少女の問い掛けを無視して聞き返す。

「何があった。そこに倒れてる男はお前がやったのか?」

「あ?そうさ。魔力持ってるみたいだったから、闇の書のエサになってもらった。たいした足しにはなんなかったけどな」

「闇の書?」

「結界に入れるんならおまえも名前くらい聞いたことあんだろ?魔力集めることで所有者に絶大な力を与える『闇の書』。あたしはその守護騎士の一人『鉄槌の騎士』ヴィータ」

ドレスの少女ヴィータは上条の反応を待った。これを聞けば大抵のものは逃げ出すか震えて動けなくなる。だが

「・・・闇の書だって?知るかよそんなもん」

「なに?」

返ってきたのは全く予想だにしないものだった。逃げ出すどころか怒りに満ちている。

「そんなくだらないもんのためにこんなことすんのか。何人も苦しめるのか。そんなこと、許されると思ってんのか!良いわけねえだろ。そんなもんで手に入れた力を好き勝手に使って良いわけないだろうが!!」

上条から放たれた言葉に苦い顔をするヴィータ。

「おまえに・・・、おまえ何がわかんだよ・・・」

「わかんねえよ。でもこんなこと繰り返しちゃいけないことぐらい、お前にもわかるだろ?」

「っ・・・!そんなの・・・わかってんだ。でもだめなんだよ。集めないといけないんだよ・・・。じゃないとはやてが・・・」

俯いてそう漏らすヴィータの姿はとても小さく年相応の少女のようだった。だが次にあげた顔は怒気に満ちていた。

「あいつつぶすぞ、アイゼン!」

[了解]

自らの相棒、アームドデバイス-グラーフアイゼンに問い掛け上条に接近するヴィータ。

振り下ろされるアイゼンは魔力で強化され、生身の上条には一撃すら耐えられない。

回避を諦めた上条はとっさに右手を構える。

意味のわからない行動にヴィータは戸惑うが

(それなら右手に一撃ぶち込んでノックアウトだ!はやてのために殺しはしない!)

全力で当てるために力をこめる。

しかし、ヴィータの考えは裏目にでる。

上条の右手にグラーフアイゼンを当てるということは、

 

異能の力を全て打ち消す"幻想殺し"に魔法で攻撃するということだ

 

パァーン、という高い音が辺りに響く。

その光景は何も変わっていない。

しかし、変わっていないからこそヴィータには信じられない光景だった。

「おまえ・・・くっ、何しやがった!!」

アイゼンは上条の右手に阻まれダメージを与えることはなかった。上条は特に苦もなく右手で防いでいる。

「くそっ」

ヴィータは悪態をつきつつ距離を取る。防いだにも関わらず上条から追撃はない。

(幻想殺しに反応した。ってことは異能の力、能力か魔術か、たしか自在法だっけ)

上条はさっきの情報交換で、"紅世の従"やフレイムヘイズのことをシャナから多少聞いていた。

(どれにせよ、右手が効くならなんとかなる。でも・・・)

「アイゼン、カートリッジロード!」

[了解、ロードカートリッジ]

ヴィータの声に応じグラーフアイゼンから薬莢が吐き出される。そして、アイゼンの形が少しずつ変わる。片方には鋭いスパイクが付き、もう一方にはロケットの噴出口のようなものができた。

「んな!?」

噴出口に火がつき動き始める。アイゼンを持つヴィータを中心に本人を振り回すように回り、そして

 

「ラケーテンハンマー!!」

 

そのスピードのまま上条に突撃した。

上条は腕を腰から回し右手を目一杯打ち出す。

「うおぉぉぉぉ!!」

共に一撃に集約した攻撃がぶつかる。

だが、パァーンという高い音が鳴る。

「くそっ、なんだよおまえ!」

ヴィータが叫ぶ。アイゼンは再び上条の右手に阻まれていた。

「っ・・・!」

だが上条も無傷というわけではなく、アイゼンのスパイクが拳に刺さり血を流している。

それでも本来ヴィータのラケーテンハンマーが作る怪我ではない。

「このっ!」

ヴィータはもう一度距離を取ろうと下がる。しかし上条は離れないように走り右手を振りかぶった。

「ちっ!」

ヴィータは回避を諦め正面に障壁を張った。

「おぉぉぉ!」

それでも上条は全力で拳を振った。障壁を無視してヴィータに向けて。

(バカかこいつ。何考えてやがる)

ヴィータはそう思いつつ障壁に集中した。

そして右手が障壁にふれ

 

パリーンというガラスの割れるような音と共に障壁は粉々になった。

 

「うおぉぉぉぉ!!」

上条の拳がヴィータに向かう。防御手段のないヴィータは恐怖に目を閉じた。

だが、いつまでも殴られた衝撃はなく、誰かに頭を撫でられていた。

「・・・何してんだおまえ?」

「イヤー、泣きそうな子供殴るほど人間やめてないって」

「あたしは子供じゃねー、泣きそうにもなってねー!」

そうムキになるヴィータが面白いのか、上条はさらに続ける。

「そうだな〜。ヴィータちゃんは子供じゃないよな〜」

「ぐぐ・・・このー!とにかくあたしの頭撫でるのやめろー!」

 

* * *

 

しばらくヴィータの頭を撫でた後、上条とヴィータは場所を変え向かいあっていた。互いに少しずつ自分のことを話している。

「じゃあ、さっき言ってたはやてってやつがお前の主なのか?」

「そうだ、はやてはなめちゃめちゃ優しいんだ。それにはやての料理はギガうまなんだぞ。そんでな・・・」

さっきの上条のなでなで大作戦でヴィータはかなり心を開いたようで、少し前まで殴りあってたとは思わなかった。

「そのはやてが魔力を集めろって言ったのか?力が欲しいからって」

「違う。蒐集はあたしたちが勝手にやってることだ。はやては、人様に迷惑かけたくないから力はいらねーって」

「だったら、何で?」

そう聞いた途端ヴィータは辛そうな表情になる。

「それを聞いて、どうすんだ。ここの魔導師に言うのか。管理局に知らせるのか?」

上条の様子をうかがい何か望むような上目遣いをするヴィータに上条は優しく微笑み応える。

「んなことしねーよ。知り合いに魔術師はいるけど魔導師はいねーし。管理局なんて聞いたこともない」

微笑む上条にヴィータはおずおず聞く。

「信じていいのか?」

「ああ、上条さんを信じなさい」

上条の優しい返事にヴィータは少しずつ自分たちと主のことを話し出した。

闇の書というのは魔力を集めることで封印が解かれ主に絶大な力を与える魔導書だということ。自分が闇の書と主を守る守護騎士の一人ということ。今の主は小さな小学生の女の子で力を求めていないということ。少女の足には原因不明の病がありそれが闇の書の呪いであること。そして、その呪いが徐々に上に侵食していること。すなわち、

「このままじゃはやては近いうちに死んじまう。そんなのやなんだ!闇の書の侵食を止めるには、闇の書を完成させてはやてを本当の主にするしかねえ。そのためにあたしはさっきの管理局の魔導師をやったんだ」

「そうだあいつ!」

「死んじゃいねえ、2.3時間もすれば起きる。しばらく魔法は使えないけど命に別状はねえ」

それに、と前置きして

「はやての未来を汚したくないから殺しはしねえ。でも、それ以外ならなんでもする。そう決めたんだ」

「そうか」

上条は静かに頷いた。ヴィータはその、はやてのことが本当に好きで何をしてでも守りたいのだということが伝わってきた。

「なら、そのはやてに会わしてくれるか。俺にも何かできるかもしれないし、手伝えこともあるだろ?」

「手伝って、くれるのか・・・?」

「ああ、手を伸ばせば届くのに見捨てるなんてしたくないし、知らないところで誰かが不幸になるのは嫌なんだ。それに、泣きそうな子供をほっとくなんてできないさ」

「誰が子供だよ。でも、ありがとう当麻」

そういって笑って向き合う2人。心なしかヴィータの顔が赤みがかってるように見える。

「じゃ、俺達は今から仲間だ。だからヴィータの仲間も俺の仲間だ」

「おう!」

「よーし、行くぞヴィータ」

「あ、てめぇ当麻!あたしより先に行ってどうすんだよ!」

 

 

 

そしてまた1つ

幻想殺しと守護騎士達の出会いが

3つ目の歯車が加速させる




「なでるな~!」がやりたかったんだ
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