世界の異変から2日後、11月第3土曜午後。
なのはと御坂の2人は本日も上条を捜索しに街を練り歩いていた。
「あーもう!ったくどこにいんのよあのバカ!」
なかなか見つけることができずイライラしている御坂。
「2日も探して見つからないなんて、なにかあったのかな?」
なのはもそれなりに疲れた様子で首を傾げ考える。
「何かって・・・、まさかあいつまた別の女の子と!」
「また?」
「あのバカ困ってる人はほっとけないとかで、かなりの人数を不良から助けたりいろいろしてんのよ。で、助けるのが十中八九女の子ってわけ」
「えと、それは・・・」
苦笑するなのはは話題の転換をこころみる。
「そもそも、直接ケータイとかで連絡してみるのはどう?」
御坂はその提案に頬を掻く。
「えっと、私あいつのアドレス知らない・・・のよねー」
でも今更聞くってのもなんか・・・、など下をむいて言う御坂になのはは困ったように笑うしかなかった。
そして、
[マスター、結界の反応。先日と同じものです]
「それって封絶のこと?シャナちゃん達?」
[おそらく]
「うーん、御坂さん!私ちょっと急いでいってくるね。説明は後で!」
駆け出して行くなのはにあわてて声をかける御坂。
「ちょっと、なのは!どこ行くのよ!」
「ファンシーパーク!御坂さんは待ってて」
そう言って近くの路地に入って行くなのは。
「待ちなさいって、なのは!」
後を追って路地に入る御坂だが、すでになのははバリアジャケットを身に纏い空を飛んでいた。
「すごい・・・。あれがなのはの使う魔法」
目の前の光景に見とれる御坂だが
「・・・ってそんな場合じゃなかった!ええと、大戸ファンシーパークだっけ?」
状況を思い出し、なのはの飛んでいった方向に走っていった。
* * *
御坂と別れたなのはは全速力で大戸ファンシーパークに向かっていた。
[距離30・・・20・・・]
目視で見える紅色(くれない)のドームは先日よりおおきくアトラクションを易々一つ覆い隠しているようだった。
「(この中にシャナちゃんと悠二さんが・・・)ディバインシューター、シュート!」
なのはは杖(レイジングハート)を軽くふり数発の魔力弾で封絶に穴を空け侵入する。
中にあったにはアトラクションと思われる建物ひとつ。
さらにその中から大きな力がぶつかりあっているのを感じた。
先に進みなのはが見たものは、剣を手に構えるシャナと、仮面を着けたたずむヴィルヘルミナ。
* * *
(炎による最強の一撃を最初に叩き込む)
シャナは大太刀『贄殿遮那』に炎をまとわせ振り上げる。
(それで全てを見せる。見せて認めさせる)
身のうちにある“存在の力”を瞬時に練り燃焼させる。
(私は、『炎髪灼眼の討ち手』は、間違ってなんかいないと)
まさに全力の一撃をぶつけるため。
受ければ存在の維持すら難しいだろう。
それほどの熱量を持っていた。
「すごい炎・・・」
思わずなのははそうもらした。ヴィルヘルミナを心配しそちらに視線を移したが、彼女の表情に焦りはなくリボンを前方に備えているだけ。
それを見たなのはは嫌な予感がした。
「レイジングハート!」
[Shoting mode]
急ぎ備えるなのは。
だが、数秒遅い。
「--だぁっ!!」
シャナはヴィルヘルミナならぎりぎりで耐えてくれるだろうと予想していた。
「---」
そう、あまく見ていた。
「--!?」
ヴィルヘルミナが繰り出したのは白い半球状のリボンの塊。
表面には桜色の自在式が見え、シャナはのヴィルヘルミナ考えとともに、その効果を看破する。
(反射!?)
とっさに炎の放出を止めるが間に合わない。
幾重にも夜笠を体に巻き身を守るシャナだが防ぎきることはできない。
だが、炎の奔流は
「助けたい」
[Divine]
それを上回る桜色の閃光によって
「届いて!」
[Buster]
掻き消される。
なのはの放った砲撃は、リボンで作られた半球ごと炎をまとめて消し去った。
その威力を前にヴィルヘルミナはもとよりシャナと悠二も驚きを隠せない。
(今のが魔法・・・。なんか、想像と違うけど凄い威力・・・!)
ただただ目を丸く悠二だが、無傷とはいかなかった。飛び散った瓦礫などにより傷を負っていた。
一方シャナは自らの炎に体中いたるところに火傷を負い、床の上に倒れていた。
「また貴女でありますか」
ヴィルヘルミナは射線上のなのはを見つけそういった。
「これはフレイムヘイズの問題、部外者には関係ないといったはずであります。なのになぜ再び邪魔をするのでありますか」
表情を仮面の下に隠しなのはに目をむけるヴィルヘルミナ。だがその構えには警戒がみられ動揺しているようにも見えた。
「事情は聞きました。悠二さんのことも、『零時迷子』のことも」
レイジングハートを構えながらなのはは答える。
「それでも私は悠二さんを守ります。ただ知ってる人を・・・友達を守りたいんです!フレイムへイズとかトーチとかそういうのは関係ないんです!」
あって間もないものを、人間ではないものを、少女は『友達』とそう呼んだ。
「だからシャナちゃんの話を聞いてあげてください!話し合いで解決できるはずです」
熱心に訴えるなのはだが、ヴィルヘルミナから返ってくるのは恐ろしいまでの冷たい言葉と、攻撃。
「これ以上の言葉は必要ないであります!」
その瞬間ヴィルヘルミナの放つリボンが数本なのはに向かう。
[protection]
「くっ!」
後方に距離をとりながら防ぐなのは。しかし、室内で思ったほど離れない。
強力な砲撃や誘導性の高い魔力弾での長距離攻撃を得意とするなのはに、狭いアトラクションの中での戦闘は向かない。
「つっ!」
ヴィルヘルミナと対等に戦うなのはを見て、シャナは自らを奮い立たせる。
(私が悠二を守る。私の強、さをヴィルヘルミナに認め、させる!)
だが直撃をまぬがれたとはいえ自身の全力の一撃。体のいたるところが焼け体がフラつく。
決して砕けることのない大太刀『贄殿遮那』を杖として体を支えヴィルヘルミナを見た。
「ゆ・・・さない」
立会いながらヴィルヘルミナは仮面で表情を隠しそれを聞く。
「ゆる、さない」
「結構・・・」
静かに答えるヴィルヘルミナ
「・・・『やめて』だの『許して』だのという、哀れみを請うようなことを言ったなら、すぐにそのミステスを破壊していたであります」
「・・・!?」
なのはと対峙している以上それは難しいはずだが、それほどの覚悟の元であるということだろう。
「守らねばならないであります、完全なるフレイムヘイズを」
「・・・勝手なこと、ばっかり!」
声の切りとともに、シャナの両足が爆発し驚異的な加速を産む。
悠二に向かうリボン目掛けて大太刀の切っ先が走る、
が
一瞬でその切っ先が、ふわり、とリボンに包まれる。刺突の勢いを殺さず力のベクトルにわずかに変え、恐ろしい勢いでシャナを後方へ投げ飛ばす。
「私に不意打ちは効かないであります」
「無駄」
しかし、投げ飛ばすならばわずかながら隙が生じる。
そのわずかな時間さえあれば、もう一人(魔導師)の少女は砲撃が撃てる。
「いくよ、ディバイーン」
[Divine]
「バスター!!」
[Buster]
放たれる桜色の閃光
はじめの一撃ほどまではいかないが、魔力弾とは比べものにならない威力。
「うっ・・・!」
ヴィルヘルミナは束ねたリボンでわずかに射線をそらし身をひねることで直撃をさける。だが防いだリボンはすぐに焼け落ち、本人をかるく接触した。
「−−っはぁ!」
そして、それを見たシャナはヴィルヘルミナにせまる。
が「万条の仕手」はこの程度で戦いの流れを見誤らない。
「炎髪灼眼の討ち手」懇親の刺突、何の工夫もない、気力を込めたであろう、最後の一撃。その先端を捉え先ほどと同じようになげ飛ばした。
床に転がるシャナを見て彼女は勝利をーー
「危険っ!!」
ヴィルヘルミナは気付いていなかった。
彼女の正面、先ほどまで倒れていた少年が、見慣れぬ大剣を、真っ向から振り下ろしていた。
(が、甘い!!)
ドン、
と、はこの斬撃を、ふれる寸前の距離で、リボンを交差させ受け止め、今度こそ勝利と、
錯覚する。
(−−−−−−−−−−−はあああぁぁぁぁ!!!)
悠二はその身に宿す莫大な“存在の力”を大剣『|吸血鬼<ブルートザオガー>』に注ぎ叫ぶ。
この剣の力、“存在の力”を注ぎ込むことで触れた敵の体を切り刻む。
それが、並の“絶世の徒”をはるかに凌駕する悠二の“存在の力”を注がれ、ヴィルヘルミナに襲い掛かった。
バッ、
と血が、宙に舞う。
「あーーっー・・・!?」
「姫!?」
ティアマトーの叫びが一瞬遠くに聞こえ、無数の傷にヴィルヘルミナの意識は闇に落ちる。
* * *
「よかったです。無事お話できた見たいで」
「結局両方とも実力行使だけどね」
「しかもやりすぎ」
吉田の言葉に、苦笑する悠二と軽く睨みつけるシャナ。
「でもホッとしました。みんな無事で」
フレイムヘイズは大抵の怪我はすぐに治る、と聞いてなのはは一層安堵した様子だった。
「なのはー!」
遠くから呼ぶ声を聞いてなのはがそちらを向くと、御坂が走ってこちらにやってくるところだった。
「心配したのよ。大丈夫・・・ってこの人たちボロボロだけど、どうしたの?」
「あーん、えと、あはは・・・」
苦笑いをしてなのははことの顛末を説明した。
〜〜〜説明中〜〜〜
「ふーん、その人たちがねぇ」
「はい」
「てことはなのは、あんた随分と壮大な親子喧嘩に首突っ込んだわけね」
「うぅ・・・、ごめんなさい」
御坂の追及に謝りだすなのはだが、御坂はそんなこと気にしてもいない。
「良いわよそんなの。その吉田さん含め頭数は揃ってるみたいだし、無事だったんでしょ?」
「うん」
「だったらいいのよ。それより、今度からこういうときはちゃんと私に言いなさいよ。これでも超能力者(レベル5)の第3位なんだから」
その言葉にその場の殆ど(ヴィルヘルミナ以外)は驚きを見せた。代表するように悠二が問い掛ける。
「ほんとに君が第3位の超能力者?」
それに御坂は憮然として答える。
「そうよ。常盤台の『超電磁砲(レールガン)』って言えばわかるでしょ、ってそういえばそっちの人達は?」
御坂の新しい疑問に、それを悟ったなのはが答える。
「シャナちゃんと悠二さんはあの時の異変わかってるみたい」
「吉田さんもね」
「ヴィルヘルミナは?」
補足する悠二と、ヴィルヘルミナに確認をするシャナ。
「異変とは一体何のことでありますか?」
「情報提示」
「わかってないみたいね」
説明を求める1人で2人のフレイムヘイズ。
彼女と1番親交のあるシャナが説明を始める。
「今はまだここにいない人物の仮説でしかないんだけど」
真剣な表情でヴィルヘルミナを見るシャナ。
「複数の世界が一つになった、そう考えるのがいいらしい」
・・・・・・
「「は?」」
ある程度事を理解していた御坂さえも目を丸くした。
なのはさん、これでカートリッジ前・・・