転生したらリコリスでした、長生きしたいです。 作:花餅ふわり
「菊理~、この服着てみよう!」
「こっちの服はどう?」
「これも可愛い~!!」
千束ちゃんの着せ替え人形になってだいぶ経った気がする。手元に時計が無いので正確な時間は分からないけど、感覚的には一時間位。
ワンピースにセットアップ、フェミニンなフワフワした服からクールなボトムスまで様々な服を取っ替え引っ替えで着せられてるけど…これはなんと言うか、その…恥ずかしいかな!千束ちゃん気付いて!店員さんめっちゃ苦笑いしてるよ!!
すごく楽しいけれど、すごーく目立つ。あああああ!目立ちたくないのに!
コナン世界は"目立つイコール死"に直結する世界である。"命大事に"をモットーとしている私としては非常によろしくない。が、しかし。楽しそうに私の服を選んでくれる千束ちゃんとそれにちょこちょこと付いて回るたきなちゃんがすごく可愛くて何も言えず、ずっと与えられる服を黙々と着ている。うーん、たきなちゃんめっちゃ可愛くない?ひよこかチョ○ボみたい、癒しだなあ。
たきなちゃんはしばらく千束ちゃんと私を交互に見ていたけれど、ふと『少し離れます』と言って何処かに行ってしまった。厭きちゃったのかな…申し訳ない。
千束ちゃんも時計を見てギョッとした様な表情でかなり吃驚してる。『もうこんなに時間過ぎてたの?!』って…、流石に私の服選びに夢中になり過ぎじゃない?あ、たきなちゃんは何処に行ったのだろうか、早く合流しないと。
色々と考えていると、ずっとスマホを見ていた千束ちゃんが顔を上げて『よし、もう少し服選んでよっか!』と笑顔でサムズアップ。ーーーんんん?ええんか?相棒が何処に行ってしまったんだぞ。
だがしかし、そんな心配を余所に彼女は戻ってきた。
一枚の服を携えてーーー。
「菊理さん!これはどうです!」
たきなちゃんが目を輝かせて満面の笑顔で差し出した服を見て、千束ちゃんはビキッと音を立てて硬直し、私は曖昧に微笑みゆっくりと顔を逸らした。
裾が長く膝裏まであるコートのような黒い服。までは…まぁ『季節外れだよ』とか『裾が長過ぎない?』色々と言いたい事は山ほどあるけど言葉を呑み込もう。
でもその申し訳程度に付いたポケットと、決して使う用途ではないであろうの飾りチャック、襟と袖に付いたファーはちょっと…。
否、確かに彼女は"世間の流行に疎い"と言う性格ではあったけれども、これは"疎い"とか言う次元の話ではない。今時の男子中学生ですら着ないようなデザインの服を喜々として掲げて帰って来るとは思いもしなかった。千束ちゃんですらまだその衝撃から抜け出せていない。私は何て声を掛ければ良いか思案中である。彼女を傷付けたくはないが、その服だけは着たくない。決して、絶対に、着たくない。断固拒否である。
「どうしました?」
「あ、いや、その…。」
キョトンと此方を見る表情はすごーく可愛いのに、持っている物が可愛くない。
「ちょいちょいちょーい!!」
やっとこさ、衝撃から抜け出せたらしい千束ちゃんの渾身の『ちょい×3』は結構な大きさでデパート内に響き渡った。気がする。
■とても遅くなってしまい申し訳有りません。
■暫くは月に1回の更新予定です。