天使のお迎え   作:赤穂あに

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FILM REDで精神壊れちゃったので書きました。
夢主に名前と能力があります。

※pixivとだいたい同時投稿です。


天使のお迎え

 

 私の生まれた国は、心が豊かなところだった。音楽を愛し、歌を紡ぎ、弦を撫でて、あらゆる音に満ちていた。そんな国で生まれ育った両親は、私にも音楽を愛してほしい、愛されてほしいと願ってオトと名付けた。私は、その名前に恥じない人間に育った。

 小石をかち合わせながら歌を唄った。川面を叩いて曲を作った。拍手はまるでシンバルのようで、駆ける音はカスタネットになった。草笛をオルガンに、口笛をトランペットに。私は名前の通り、音になれた。

 人の枠を超えた私の才は、なんてことはない。人の枠を超えたものによりもたらされた力だった。子供の頃に食べた信じられないほど不味い果物が、悪魔の実だったというだけだ。

 私は生涯泳げない身体になってしまったわけだが、それもなんてことはない。私の全てで奏でる音楽がある。それは、なによりも素晴らしいことであるはずだ。

 音楽は素晴らしい。美しく、眩しく、力強いものだ。全てなくなってしまった故郷の空に響き渡る天使の歌声を聴いた時、そう思った。

 

✳︎✳︎✳︎

 

 幸か不幸か生き残ってしまった私にとって、ウタは希望そのものだった。ゴードンさんも存命だったことも大きく、彼女は天性かつ理外の才をもってして日々その歌声をより素晴らしいものへと昇華させていった。

 空に飛び立てそうな、思わず踊り出してしまいそうな力がこもった歌声。しかし、それを生み出すウタ自身はいつもどこか暗い目をしていた。

 聞けば、彼女は父親に捨てられたのだという。この国を滅ぼし全てを奪い去っていった海賊は、代わりにウタをエレジアに置いていった。

 涙ながらに話してくれたウタの頭を抱き寄せて、背中をさすった。うわ言のように父や家族の名前を呼び、なんでなの、と繰り返した。この時、ウタと出会って既に二年が経っていた。それだけの時間をかけてようやく、私はあの子に信頼されたのだと思う。

「オト、ちょっといい?」

「どうしたの?」

「ライブの話。もうすぐでしょ?」

 ウタの目には、ずっと暗い光が宿っている。希望と絶望と野望。自分にできること、求められているもの。手に入れたもの、手に入らないなにか。それらの全てが、ウタの歌に輝きを与えた。人を惹きつけてやまない魅力となった。

 私は、それを残してくれたシャンクスに感謝している。父も母も友も家も国も、何もかもを奪われてなお余りあるウタ。彼女に魅入られてしまった私も、きっとどこか歪んだ目をしているのだろう。

 

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 恨みつらみを並べ立てて、泣くしかできなかった日に聴いた心臓の音を今も覚えている。

 

 オトは言葉の少ない人だった。彼女がその全てをもって織りなす音が、語るよりも雄弁だったからだと思う。机を叩く指先、階段を踏み締める足音、髪を撫でる僅かな音でさえ、彼女の心を知らせてきた。

 だからすぐに信用できた。彼女は嘘がつけなかったから。私を騙したりしない、利用しない。できない。わかってたのに、私はオトを信頼できなかった。ゴードンに対しても同じ。私は、誰かに寄りかかるのはもう嫌だった。

 寝食を共にして、音楽の研鑽を積んで、畑仕事や家畜の世話をしながら、私はただ目の前のことを全力でこなした。私の中にある、私だけが作り上げることのできる新時代を、いつか現実にすることだけを夢見て。

 でもそんな生活、すぐに破綻する。張りつづけた弦はいつか切れる。なんの前触れもなく。

 雨の日の翌日のぬかるんだ土が、指をかすかに切った草が、少し焦げた野菜が、燃え尽きる前に消えてしまった蝋燭が、不気味なほど静かな夜が、三人しかいない城の空気が、うまくいかない些細な全てが、私の足を躓かせた。

 そうして、気付けば一つ間を空けた隣の部屋の扉をノックしていた。短い許可の言葉の後ろからは、軽やかなヴァイオリンの音が聞こえた。オトの指は縫い糸さえも音楽にする。彼女は手元の針と糸から目を離さずに、どうしたのとだけ聞いてきた。

 鼓膜を震わせる美しい音色は、ただ私に優しかった。

 なんの脈絡もなくシャンクスたちのことを話す私を、オトは静かに受け入れた。汚く、みっともなく泣きじゃくってもなお、オトは黙って私の話を聞き続けた。耳に直接響く心臓の音と小さな相槌が優しくて、あたたかくて、静かで。

 彼女の全身が私を可哀想だと言っていた。同情していた。だから優しくしてくれるのだろうか。でも、それでもいい。嘘をつかれるより、独りっきりにされるより、ずっといい。理由が何であれ、私はあの日、救われた。

 

 私はオトにもゴードンにも感謝している。私を育ててくれたこと、私と生きてくれたこと。感謝したってしきれない。二人は私の家族だ。もう一つの、家族だ。

 だからどうか、幸せになってほしい。私が幸せにしてあげたい。私がそうしてもらったように。それだけのことなのに、どうしてこんなに難しいんだろう。

 

✳︎✳︎✳︎

 

 エレジアは豊かな国だったのだと、滅びを迎えたあとになって私は理解した。一切の武力を持たず、しかし世界中に溢れかえる理不尽な暴力に晒されることもない。それこそが芸術の持つ力であり、人々がウタに求めた新時代だ。

 音楽を愛して、日々研鑽し、素晴らしいものを世に送り出し、心を豊かにする。それはまさしくエレジアの在り方だったが、ゴードンさんは無言で反対の意を示した。何を恐れたのかは、言葉にするまでもない。

 しかし、彼の反対ぐらいでウタが止まるわけもなく、そして彼もまた、意思表示以上のものを明確にしようとはしなかった。平等に刻まれる秒針だけが、きたる未来を尊重していた。

「ねえオト」

「なあにウタ」

「……なんでもない」

 ウタはずっと悩んでいた。熱が出るほど考え込んで、城の地下を暴いてしまい込んで、出した結論にまた悩んで、今もこうして言葉にできないほど、心を置く場所を決めかねている。

「なんでもなくないね、熱出てる音がする」

「んー……」

「ほら、おいで。もう寝よう」

 ライブを成功させるんだろうと半ば無理やり手を引いて、ウタのベッドに押し込む。もう子どもじゃないと口を尖らせる姿からは、世界を丸ごと塗り替えてしまえる力があるなんて想像もできない。

 笑ってしまう。撫で付けられて眠ってしまうようなこの子がだ。寝ている時のあどけない顔を見ればわかることを、誰も理解できない。

 でもそれは仕方のないことで、諦めなくてはならないことだ。この無情で残酷なほど平等な世界では、全ての価値は綿毛のように軽くなるのだから。

 

✳︎✳︎✳︎

 

 具合が悪いとき、オトは決まって私を無理やりベッドに寝かせた。そして子守唄を歌いながら、私の心臓のあたりをとんとんと優しく叩く。この時のオトは、とても珍しいことに能力を使わない。普通の歌と、普通のリズム。

 それなのに、不思議と私はいつも直ぐに寝入ってしまう。起きたらどこが悪かったか思い出せないくらい絶好調で、絶対オトが何かしていると思うけど、元気になった私をあまりにも嬉しそうに見てくるからいつも聞けずじまいだ。

「絶好調ならいいでしょ、大事な日だよ」

「そうだね」

 結局、最後まで聞けなかったなぁ。ゴードンにもライブのことは認めてもらえてない。私は何もかも中途半端で、それでも私を求めてる人が、救いを望んでいる人が、数えきれないほどいる。この壁の向こうに。

 雨が降りそうな最低な天気の中、このエレジアまで、世界で最も最悪な場所──海を渡って集まった、待つしかできないみんな。力のないばかりに、泣くしかできない私たち。そんな現実がまかり通る、今のこの世界。

「行こう、新時代はもうそこだよ」

「……長かったね」

「……うん」

 よかったとも、おめでとうとも、頑張ってともオトは言わなかった。コツコツとステージから離れていく足音だけが響いていて、私はなんだか、少しだけ不安になった。

 

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 ライブが始まって、私はゴードンさんのところに行った。もしかすると、ウタより思い悩んでいるかもしれない彼の心中は、いつだって清廉だ。

 国を失った国王は、それでも国の魂までは失くすまいとただ善良であり続けた。音楽を愛した。音楽に愛された私たちも愛し、導いた。いつか私たちが生み出す音楽によって、日の目を見る日を夢見て。

 世界に広く花咲く前に潰れるしかなくなった私の芽は、もう咲き誇ろうという気持ちさえないけれど。

 ウタは違う。あの子は輪郭を掴めないほどの大輪を咲き乱れさせることができる。文字通り、できるのだ。そしてそれを成すための志も、舞台も整った。

「だからゴードンさん、もう諦めてよ」

「……オト、わかっているのか? あの子の力は、本人が考えているよりも凄まじく、危険視されているものだ」

「でもここに来るのは、それを望んだ人たちだ」

 だからもう、いいだろう。人に寄りかかってしか生きられないなら、それを夢の中に望むなら、この音楽の墓場でウタと共に眠ればいい。

「ウタもここに来る人たちも、そうしたいならすればいい」

「オト?」

「私もしたいようにするよ。ゴードンさんも、せめて邪魔はしないであげて」

「何を隠している? 声が……音が、なにか……」

 世界で一番の音楽家。音楽に愛された私たちじゃなくて、どんな時でも音楽を愛し、守り、決して捨て去ろうとしないゴードンさん。今やこの人くらいだろう、私の音を正確に聴き分けられるのは。

「そのうち分かるよ。分かったら、必ず海に捨ててね」

 今は理解してくれなくていい。嫌でもみんな、思い知るのだから。世界はそんなに優しくないし、寛大じゃないし甘くもない。残酷なことだけが現実だ。

 

✳︎✳︎✳︎

 

 私の世界にはなんでもある。美味しいものに楽しいこと、幸せになるための全てがここにある。けど、そんなものはまやかしだ。

 私の知ってる全てと、ここにいるみんなの知る全てを合わせても、世界中のなんでもにはならない。私は、私の無知を知っている。世間知らずな自覚はある。だからこそ、嫌なものを除いた楽しい世界が作れるんだって信じてる。

 信じてたの。しあわせは、ほんの小さなものだけで作られてるって知っているから。

「あーあ」

 不思議な七色に輝く海の下、私の歌を求めてエレジアにやってきたみんなは物言わぬぬいぐるみになった。私がそうした。我慢しててほしい、どうせあと一時間もないからさ。

 そうしたら、私はここにしかいなくなって、この頭を掻きむしっても晴れない苛立ちからも解放されて、またみんなが求めるウタに戻って、ずっとずっとライブをする。そうするの。そう願われたから。

 だからさ、ルフィももう諦めてよ。私のこと殴る気もないのに、どうするのさ。

 ここでは誰も私に勝てない。海賊だって海軍だって、天竜人だって関係ない。みんな平等、みんな私の思いのまま。

 悪い人はやっつける。弱い人は守ってあげる。悲しい人は幸せに。辛い人は楽しみを。与えてあげるんだから、大人しくそれを貪って、ただ笑顔のままに暮らそうよ。

 それの何がいけないの? 私が一番幸せだった時は、そうだったよ。愛する父、尊敬する船長、信頼する仲間、あたたかい家族、少しだけチビな男の子、目線の近い友達。全部全部楽しくて、笑う以外必要なかった。

 私は、何を、間違えたの?

 私の歌を聴きにきた大切な家族、私にやめろとしか言ってくれない友達、私が間違ってるんだと、襲ってくる悪い人たち。諭してくる、もう一つの家族の一人に、何も言ってくれなくなった、私の。

「あああああぁああ!」

 冷たいばかりの現実が、私のファンを傷つける。もう少しで苦しみから解放される私たちを、正義を振りかざす海軍は認めてくれない。おかしいよね、こんなに苦しいのに、痛いのに、それじゃあ死んじゃうのに! ここにいろって言うなんて!

 いいよ、わかった。そんなに言うならここにいる。ここに残る。ここでも、私が一番強くあればいいだけだもんね! そうすればみんな、幸せになれるの!

 歌を唄おう。私にしか唄えない歌を。絶望の讃歌を。あの日の悪夢を。

 

✳︎✳︎✳︎

 

「かくして、魔王は討たれ、人々は歌姫により悪夢から覚め、世界は平和になりました、ってとこかな」

 まあ、歌姫も魔王も同一人物なんだけど。終わってしまえばどうでもいいことだ。ウタはもうすぐ死んでしまうし、『Tot Musica』も今回ばかりは廃棄を免れない。ゴードンさんは、愚直に音楽を愛する人だけど馬鹿じゃない。音楽を守ろうとするあまり、次のウタを生み出しかねない可能性は摘んでくれるはずだ。

 観客たちは放っておけば数時間で目を覚ますだろうし、海軍も赤髪と一戦構えずに引いていった。何もかも丸く収まった。めでたしめでたし、酷い話だ。

「ねえ? ウタはあんなに頑張ったのに」

「オト……」

「つらくて悲しくて、縋られすぎて、覚悟を決めたのにね?」

「……怒ってる? オト、わたしね」

「でもあなたは何も失っていなかった」

 娘に近寄る不審者を品定めする父も、必要ならば動けない娘の代わりに叩きのめしてやろうと鼻息荒くする家族も、間違ったことを叱ってくれる友達も。失くしたと思っていた全てを今、取り戻して。二度と得られないと諦めた幸福の中で死のうとしている。

 ずるいなあ。羨ましい。代わってほしいよ、心の底から。

「私の全てはあなたが壊したのに!」

 声も出ないのか、ウタは小さく咳き込んだ。血の気がない顔に、光の消えかけた瞳に絶望が宿って、名前も知らない誰かがウタの代わりに怒りを口にする。そんな雑音に構っている時間はない。

「ねえ、ウタ」

 優しく笑いかけて、横たわるウタの前にしゃがみ込む。肌が少しひりついたのは、覇気ってやつなのかな。もう、どうでもいいことだけど。

 左手を私の心臓に、右手をウタの心臓に。子守唄は歌わない。今にも止まってしまいそうな右手に伝わる頼りない鼓動と、こんな状況で不思議と落ち着いている聴き慣れた左手の音。

「オト、やめて、だめ、おねがい」

「おい、何してる」

「娘に生きてほしいなら黙ってて」

「いやだ、やめてよ、おねえちゃん」

 初めてウタを胸に抱き寄せた日と同じ顔で、ウタは懇願した。理解できていないと思っていたけど、薄々勘づいてはいたらしい。

 そうだよ、ウタ。私はね、あなたのために、可愛い妹のために、ここで死ぬの。

「やめない。だって私、あなたには苦しんでほしいから。死んでも許さないから、覚えててね」

 私の体、音叉になった腕を伝って、私の鼓動がウタのものに、ウタの鼓動が私のものになる。

「オト! いやだ! 起きてよねえ!!」

 顔に当たるあたたかい液体、ウタが泣いてる。それでいい。つらいなら泣いて、悲しいなら泣いて、苦しいなら助けを求めればいい。そうしてもがいて、生きていけ。この国の消えた命の分も、生きていけ。

 

✳︎✳︎✳︎

 

 全てが終わり、オトが死んだ。遺体に顔を押しつけて大声で泣きじゃくるウタを見て、私はまた間違えたのだと理解する。私の弱さが、ウタに誤った道を進ませ、オトを死なせた。

『そのうち分かるよ。分かったら、必ず海に捨ててね』

 ふと、オトと最後に交わした言葉を思い出す。あの時の歪な声が、音が、今まさに私に理解しろと囁く。爪が食い込むほどに握り締められていた手を意識して解き、ならば私はあの子の願いを叶えなければと足を動かす。

 私が近くまできたことにも気付かずに、ウタは泣き叫んでいた。辺りは不気味なほど静かで、波の音しか聞こえない。きっと、まだ起きてきた人はいないのだろう。誰より愛された天使を、慰める者はいなかった。

「ウタ」

「ゴードン……、オトが、オトが」

「その子を置いて、早く逃げなさい。ここに居てはいけない」

「え……?」

「こんなことは、言いたくないが」

 ウタが生きていると知られれば、すぐにでも海軍は彼女を倒すためにやってくるだろう。十二年前の悲劇も合わさって、懸賞金だってかけられるはずだ。そうなれば、もうエレジアでは生きていけない。ここには、なんの武力もないのだ。

 ウタ自身が強力な能力を有しているが、それも起きている間だけ。疲れて眠ったところを狙われればひとたまりもない。私は、何もしてやれない。

「だがお前には、守ってくれる家族がいる。だから、ここから逃げなさい。あとのことは、今度こそ私がなんとかしておこう」

「私は、また逃げるの? 私が犯した罪から、また、私だけが! 逃げるの?! それは正しいことなの? ねえ! オトも私のせいで死んだ! それでもまだ、私は自分が守られる道を……選ばなきゃいけないの……?」

「そうだ。オトの代わりに生き残ったのならば、そうしなくてはならない。あの子も、ウタが生きることを望んでいる」

「苦しめって、オトは言った!」

「それが生きるということだ」

 生きることが苦しみに満ちていることは、私も、ウタも、オトもよく知っている。私たちはそれぞれたくさんのものを失い、苦しみ、それでも支え合って生きてきた。取り返しのつかない間違いを重ねて、また一つ失い、そして、ウタ、お前はかけがえのないものを取り戻した。

 羨ましいなあ、オト。お前の苦しめと言った言葉の重みを、私だけが理解できるのかもしれない。隠しきれない一欠片の羨望と憎悪、けれど、そんなものは瑣末なことだと笑い飛ばせるだけの、時間と愛情。何より、その恐ろしいまでの素晴らしく美しい歌声を、愛さずにはいられない、我らエレジアの魂を。

「……ウタ。お前は、シャンクスたちを信じなかったこと、後悔しているか? 私の言葉を信じた自分を、恨んではいないか?」

「……」

「お前は、どちらを信じるんだ。オトの言葉と、お前が共に過ごしたあの子。信じたいものは、どれだ」

「私は、私は」

「自分で決めるんだ。ウタ、お前はそうして、生きていかなくてはならない」

 か細い声でオトを──姉を呼んだウタは、シャンクスたちとエレジアを出た。私はそれをオトの亡骸と共に見送った。もう大丈夫だろう、二度と会うことはないかもしれないが、あの子が幸福の中で歌を紡ぐことができるのなら、私たちはそれ以上何も望まない。

 

 オトの体は、たくさんの楽器と共に海に沈めた。時間をかけて、肉を啄まれ、魚になり、鮫になり、海王類になり、世界中の海へわかたれていくことだろう。そうしてあの子は海になり、海上を走るウタの歌を聴く。

 ウタがいつか天に召されるその日まで、オトは海の中から見守り続ける。残酷な世界でも許される、ほんの僅かな幸福だ。

 




原作キャラを助けたら夢主には死んでほしい症候群という病に罹っています。
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