コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!! 作:社畜だったきなこ餅
趣味と実益を堪能しつつなんとか生き残ろうともがき足掻き、時々策に溺れる話である!
ちょくちょくうろ覚えとか捏造が挟まれますが許して下さい、何でもはしませんから!
時は宇宙世紀0087、なんやかんやあってなんだかんだと地球連邦に牙を剥いたジオンがすったもんだの末に中枢血族が軒並み星屑になってから大体8年ぐらいだった今日この頃。
大体4年ぐらい前に北米の穀倉地帯にコロニーが落ちたせいで、ティターンズと称するハイパータカ派な連邦軍人たちがブイブイ言わせてるわけだが。
「カツ! お前また勝手に展示品弄ったな!?」
「げぇ父ちゃん!? これにはキリマンジャロより低くてマリアナ海溝より高い理由が……!」
「問答無用だ!今度こそお前のそのねじ曲がった性根叩き直してやる!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ?!助けてぇぇぇレツ、キッカァァァァ!!」
俺ことカツ・コバヤシは今日も今日とて義父であるハヤトに襟首掴まれて引きずられていた。
義理の弟妹であるレツとキッカがまたやってるよと言わんばかりにこっちを見ているが、助けを求める俺に諦めろと言わんばかりの表情をするばかりである。無情。
何? 自分が思っているカツとなんか違う? そりゃそうさ。
見た目はカツ・コバヤシだが、中にいるのは一山いくらのどこにでもいるガノタの一人なのだから。
俺が自分がこの宇宙世紀に転生したと自覚したのはそう、宇宙世紀0079年にジオンのザクがサイド7にやってきて今世の両親が目の前で瓦礫に潰されたその時だった。
あの時は狼狽したし滅茶苦茶取り乱したもんさ、なんせあのザクが我が物顔で歩いてたんだからな。
その後はまぁ大体初代ガンダムの原作通りさ、と言っても原作カツみたいな勘の良さとは無縁だから弟と妹が言語化できない予感を何とかクルーの人らに伝えたり……。
ガノタにとって必須科目と言える初代ガンダムの流れから、ガンダムに爆弾仕掛けられる時の騒動とかを何とかうまい事やりくりして。
ついでにノイローゼ発症したアムロの愚痴を聞いたり、連れ込んだミハルさんが悲惨な事にならないよううまい事カイに伝えたり……いやぁ大変だったわうん。
自分語りが長い事については勘弁してほしい。
今この瞬間も、父ちゃんことハヤトにキレイに一本背負い極められてる俺のささやかな現実逃避なのだから。
「……まったく、お前はまるでアムロみたいに機械バカになってしまったな」
「そりゃ光栄な話だよ父ちゃん」
「口の減らないバカ息子め……」
戦争博物館の空き部屋にハヤトの意向で設置された畳部屋と言う名の柔道場にて、大の字になって転がる俺に苦笑いしながら声をかけてくるハヤトに軽口を叩けば、どうしてこうなったと言わんばかりに頭を抱えさせる義理の息子の俺である。
不肖のバカ息子で申し訳ない限りだが、脇見運転からの隕石衝突とか言う自損事故逝去とか言うハイパー親不孝はしない予定なので許してほしい。
「で、父ちゃん。ほどよく展示品の部品をB級品に替えて抜いといたのはいつものとこにまとめておいたよ」
「……お前と言うヤツは本当に……」
「大丈夫だって父ちゃん、監査に引っ掛からない程度には動くようにしてあるから」
さっきハヤトに怒鳴られた場所はどこに耳があるかわからないけど、ここなら安心だ。
元ホワイトベースクルーと言う事でハヤトに監視がついているとはいえ、何度か一緒にコーヒーも飲んだやる気のない監視員ならこんな奥までわざわざ来ないしね。
バレたら只では済まない話……それこそ反ティターンズ組織カラバへの支援の話とかやるにはもってこいだ。
ちなみに部品が抜かれたMS06ことザクII君は最低限動く程度になっております。すまない俺は連邦派なんだ、許してくれ。
「そう言えば父ちゃん、頼んでたお酒届いた?」
「ああ、今朝の便で届いたが‥…本当にお前が呑むわけじゃないんだよな?」
「信じてよ父ちゃん、この義息子の穢れなきつぶらな眼を」
「うん、欠片も安心できないな」
漸く息も整ってきたので畳から上体を起こしつつ、ハヤトに頼んでいたブツが届いたか確認してみれば無事届いたと言われ内心ガッツポーズ。
あの酒好き女好きな髭の人が次の赴任地に行くまでに間に合って良かったぜ。
現在地球連邦内部でブイブイ言わせているティターンズであるが、まぁ極タカ派と言うべき活動が多く所属人員の大半が横暴極まりない関係で、ハヤトはティターンズに反旗を翻している組織カラバにうまい事支援を続けているのだけど……。
その活動を俺の方からも出来る範囲でお手伝いをしてるワケだ、摘発されたら家族まとめてティターンズにしばかれかねないが……危ない橋を渡るのはホワイトベース時代からやる事変わってないからヨシ!と言う事で一つ。
「じゃあちょっと出てくるよ父ちゃん、頼まれた仕事はあらかた片付けてあるからいいよね」
「ああ、だが無茶はするなよ?」
「わかってるよ父ちゃん」
俺を心配してくれるハヤトに手をヒラヒラ振って返しつつ部屋から出、シャワーで汗を流した俺は届いた酒……それも結構上等なヤツの入った木箱を愛用のワッパに積み込むと、ハンドルを握って街へと繰り出す。
目的地は街の中でも、ティターンズの軍人が多く屯する酒場だ。 そこに目当ての人物がいる、と言うか顔を出す度に見るけどあのおっさんサボってばかりじゃなかろうか。
「こーんにーちはー」
「おう来たか坊主、坊主お気に入りの飲んだくれはいつもの場所にいるぜ」
「ありがとねマスター。あ、コレ前に修理頼まれてたラジオだよ」
「お? ありがとな坊主」
最早顔馴染みとなったマスターに、この前来た時修理を頼まれてたラジオを渡した俺は木箱を抱えて目的の席へと向かう。
その場所には、今日も元気に飲んだくれていた茶髪で髭のティターンズ軍人こと、モンシアのおっちゃんが座っていた。
「お? 博物館とこの坊主じゃねぇかぁ、例の酒ぁ届いたのかぁ?」
「うん、父ちゃんの伝手のおかげで手に入ったよ」
酒の事は良く知らないから確認してね、と言いつつ木箱を渡せばモンシアは勢いよく木箱を掻っ攫い、中身を確認すると……その赤ら顔に一瞬だがどこか懐かしむような表情を浮かべた。
どうやら注文通りのお酒を届けられたらしい。
「ありがとよ坊主、この酒はな……戦死した俺の上官と最後に一緒に呑んだ銘柄なんだ、大事に呑ませてもらうぜ」
「喜んでもらえて何よりだよモンシアのおじさん、で……約束覚えてるよね?」
「……忘れてなかったかクソ、しょうがねぇ。約束通りMSのシミュレータに乗せてやるよ」
ここでそんな約束知るか、とか言われたら全力でしょんぼりしつつ帰ってマスターに助け船出してもらう予定だったが、素直に約束の履行をする事をモンシアのおっちゃんが言ってくれた。
そう、俺は戦争博物館の業務とハヤトの手伝いと並行し、街へ繰り出して色んな事をやって地道に好感度をあちこちで稼いでいる出来るカツなのである……!
「そうと決まれば話ははええ! 折角だからこの俺様がいっちょ揉んでやるとするかぁ!」
「え? い、いやその、軍の最新シミュレータでちょっと遊ばせてもらえたらなぁなんて思ってたんだけど……」
「男がグダグダ抜かすんじゃねぇ! 行くぞ坊主!!」
なんか火がついたモンシアがそう言って立ち上がると、小脇に酒の入った木箱を大事に抱えもう片方の手で俺の襟首をむんずと掴んで歩き出す。
あ、あるぇー?ちょっとガノタの趣味と将来あって困らないMS操作技術の習得の両立が出来たらいいなー、なんて思ってたんだけど。なんか雲行きが怪しくなってきたぞぉ!?
その後俺は、ティターンズ権限を全力で振りかざすモンシアによってMSシミュレータをこれでもかと言うぐらい動かせたのは良かったのだが。
鬼教官と化したモンシアによって新兵さながらのしごきを受ける羽目になっただけでは飽き足らず、定期的にモンシアが博物館にやってきては俺を乱暴に基地まで連行するようになった。
どうしてこうなったと頭を抱えたくもあるが、まぁ結果オーライと言う事にしておこう。うん。
これは俺がノリと勢いみたいな流れで……グラサンノースリーブと女のような名前をしたキレたナイフのコンビによって、エゥーゴに補充人員として引っ張られるまでにあったささやかな日常の話である。
このカツは一年戦争中、ノイローゼになってたアムロの隣に座ってジュースをちゅーちゅーしながら。
「アムロも人間だし、しんどいよね」とか色々喋って愚痴を聞いてたタイプのカツです。
多分基地に軟禁されてるアムロにも、原作と違って。
「アムロは8年前あれだけ戦って頑張ったんだから、ゆっくりしても許されると思うよ? ハニトラにかかった分は働いた方良いと思うけどさ」
とか抜かす。