コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!!   作:社畜だったきなこ餅

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精神的に問答でシロッコに敗北したカツ(一般通過ガノタ入り)
しかしこのトンチキ生物がおとなしくしているわけもなく……。


コバヤシさん家のカツ、大脱走の巻

 

どうでも良いと投げ捨てて来たとか言えたらカッコ良いけど、夢も愛する事も捨てられない俗物。

皆さんこんばんは、カツ・コバヤシです。

唐突ですが誰か助けて下さい。

 

 

「フハハハ!小僧、貴様は面白いガキだな!!」

 

「おいヤザン!てめぇいい加減にしやがれ、このバカ弟子を扱くのは俺様の仕事だっつってるだろ!!」

 

 

ジュピトリスに拾われた私は今、元祖野獣の眼光を瞳に宿した男ことヤザンさんにめっちゃシミュレータでいじめられております。

こっちは必死こいて機体をぶん回して生存優先で動いてるのに、なんでこんなにご機嫌なのかコレがわからない。

 

ついでに師匠ことモンシアさん達まで、それに参加するものだからもうわけがわかりません。

今もニュータイプな能力で感じるけど、シミュレータルームにいるっぽいサラからは何やってんだこいつらみたいな思念を感じております。

 

 

まぁ泣き言を言っても手心加えられるどころか、泣き言言えるならもっとイケるな!とか言われるから頑張るしかないんだけどな!

ラムサスさんとダンケルさんからは同情の視線を向けられてるの、絶対気のせいじゃないってコレ。

 

 

「やっと俺様の出番か、オラバカ弟子!気合入れろよコラ!」

 

「師匠、俺扱い的に捕虜の筈なんですけどいいんですかね?」

 

「いいんだよ!この船の大将が良いって言ってんだからな!」

 

 

そうしてる間にヤザンが何かで呼ばれたのか悪態を吐きながらシミュレータルームから退出、それと入れ替わりで師匠がIN。誰か俺に配慮してくれませんかね(震え声)

ともあれ俺はここぞとばかりに、医務室から退院後受けている扱いで疑問を感じていた内容を師匠へ問いかけるが、返って来たのは何となく想定していた内容である。

 

どう考えなくてもコレ、シロッコ……俺をガチで取り込みに来てるよな……。

何が怖いって個人で接する分にはそんな悪い人物でもないんじゃないか? そう思わせてくる人心掌握術が真面目に怖い。

 

ついでに割と顔に泥塗った扱いなのに、今も弟子としてかわいがり(意味浅)してくれる師匠たちの事もあると敵対するのが若干心苦しくもある。

 

 

 

 

 

「と言うワケで、どうしたもんかねサラさんや」

 

「そんな事相談されても困るわよカツ」

 

 

師匠やヤザンとの交流という名のシミュレータ地獄から珍しく解放されたとある日の事。

俺はゲテモノから不思議な機体まで色々と込み合っているジュピトリスのハンガーにて、メッサーラのチェックを終えたサラ相手に愚痴を零していた。

 

 

「シロッコ様から通信が来たから行くわ。……おとなしくしていてね?」

 

「気を付けてなー」

 

 

機体の準備が完了したことが整備員から伝えられたサラはキャットウォークを蹴ると、低重力環境の中をふわりと浮き上がってシロッコの元へ向かう通路を進んでいく。

サラのあの言葉は俺を案じていたのかそれとも。

 

俺の様子から既に腹を括っているのが気付かれたか、どちらかだろう。

 

 

「色々と警備が緩い備品の場所はアソコとココとソコだよー」

 

「整備員のスーツの場所はアソコとアソコ。アクセス方法は……」

 

 

俺は不審にならない程度に視線を各所へ巡らせながらハンガーから退出しつつ、親切な残留思念から助言をもらっていく。

ニュータイプ空間から還ってきてから絶えず人の気配や声が聞こえて来たから最初はビビったけど、慣れると色々助かる事この上ない。

思念の人達もしっかりお願いしたらこっちがパンクするようなことはしないでいてくれるしな。

 

 

「さて、師匠たちに捕まる前に部屋に戻ってひと眠りでも」

 

 

体を伸ばしながら呑気に呟こうとしたら唐突に響く警報音と、艦内へ侵入した工作員が出たという音声。

 

コレもしかしなくても、ジュピトリスにレコアさんが潜入していた?そして潜入がバレた?

アレ……? そもそもあの話って確か、本来だとアクシズ接触前だよな……何が原因かわからないけど、うん、俺みたいなのがいる時点で拘る理由もないか。

 

そもそもな話、確か穏便にレコアさんとシロッコの接触は本来終わってた筈だしなぁ。

 

 

「カツ?!アンタ生きてたのね!!」

 

「あ、ども」

 

 

艦内の兵士を撒くように動いていたであろうレコアさんが、息を切らせながら通路の向こうからやってくると偶然遭遇した俺の顔を見て驚愕しながらも喜んでくれる。

普段便利な弟分としてコキ使われ愚痴吐き装置扱いされてた時からは考えられないぐらいの感情のオーラに、思わずたじろぐ俺。

 

 

「何よアンタ、生きてたなら何か通信なり寄越しなさいよ」

 

「まぁ色々ありまして……あ、そこの部屋に隠れててください」

 

 

しかしすぐにいつもの調子とノリを取り繕うとレコアさんは俺の頭を軽く小突きながら説教をしてくるも、通路の角から聞こえる慌ただしい足音にそれどころじゃなさそうなので。

シロッコから発行されたカードキーを使って適当な近くの部屋を開けると、その中に色々言いたそうな顔をしたレコアさんを押し込む。

 

 

「あ、ども。お疲れ様っす」

 

「む、君か……敵対組織から来たであろう工作員がこちらに来ていないか?」

 

「工作員? あっちの方へ行きましたよ、何かあったんですか?」

 

「ありがとう、いや、君が気にする必要はない」

 

 

俺の言葉を信じた警備兵の隊長さんは部下に指示すると、規律の取れた動きで俺が示した方向へと走っていった。

何でこんなにも簡単に信用されたか? その理由はシロッコが俺をエゥーゴの捕虜として明言していない事が関係してくる。

それだけだと怪しさ極まりないのだが……筋金入りの連邦兵である師匠ことモンシアさんやヤザン達に念入りに可愛がられているのが、ここで効いてくる。

 

明確に誰も俺の身分は保証こそしていないが、ベテランの連邦軍人が可愛がるって事はティターンズ関係の子息か何かなのだろう。

そんな感じの絶妙にフワっとした扱いに落ち着いたのがジュピトリスのカツなのだ、いやそれでいいのかジュピトリス。

 

 

「かくかくしかじか、と言うワケでちょっとの間は大丈夫ですよレコアさん」

 

「……アンタ、私よりも潜入工作員として食ってけるわよ。保証する」

 

 

そんなわけで押し込んだ部屋の中に俺も入り、俺が拾われた経緯と状況を簡単にまとめてレコアさんに話したのだが。

レコアさんは理論の外にいる珍獣のような目で俺を見てきた。解せぬ。

 

 

「しかしこうなると、どうやって脱出したものかしらね」

 

「来た時と同じやり方はダメなんです?」

 

「使えるとは思うけど……」

 

 

レコアさんの様子を見るに使えないワケではなさそうだがいまいち端切れがよろしくない。

でもまぁ、何かしらの手段はありそうな雰囲気はあるけども。

 

 

「サラがメッサーラに向かってるよ、奪ったりするなら今だよ」

 

「え?マジ???」

 

「急にどうしたのよカツ」

 

 

唐突に脳に届いたニュータイプ通信という名の、残留思念からの情報に思わずビビる俺。

しかし、うーん、確かに今しかないけどアレで脱走とか辛くない……?

 

いや、逡巡してもいわれないか。

 

 

「レコアさん、大博打な大脱走作戦あるけど。ノリます?」

 

「急に悪い顔するわねカツ、いいわ。詳しく話しなさい」

 

 

そうして始まる悪巧み、ちなみに計画を話したところレコアさんにめちゃくちゃドン引きされたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

そんなこんなで作戦を開始した俺とレコアさんは分かれて行動を開始し、ジュピトリスに漂う思念に導かれるまま予備のノーマルスーツを着用すると……。

 

メッサーラに乗り込もうとしていたサラに便乗する形で、決して広いとは言えないメッサーラのコクピットに一緒に入り込む。

 

 

「ちょ、ちょっとカツ! あなた何でこんなところに……?!」

 

 

まさかの不法侵入者こと俺の存在に、サラはスーツのバイザー越しに目を白黒させて大慌てしている。

畳みかけるなら今しかない……! 何処に出しても酷いなオイ。

 

 

「サラ、俺はエゥーゴに……アーガマに戻るよ」

 

「っ! こ、このバカ……!」

 

 

思念が導くままメッサーラのコンソールを操作し、コクピットハッチを閉めながら告げた俺の言葉にサラは最初こそ困惑するが俺を強く睨みつけると。

シートの脇に収納されていた銃の銃口を俺の胸に押し当てる。

 

サラからは俺への怒りと失望と、裏切られたという強い悲しみが伝わってくる。 いやホントごめんて。

 

 

「撃てよサラ・ザビアロフ、君に殺されるならそれも悪くない」

 

 

死にたくはないが、俺がこれからやろうとしている事を思うとサラにはその権利があるだろうから、その気持ちから俺の口からは自然と言葉が紡がれる。

俺の胸元に押し付けられた銃口が激しく震え、サラの目尻に涙がにじむのが見える。

 

サラは俺を撃たなかった、そして俺に向かって小さくバカと呟いてメッサーラのコクピットから飛び出そうとして。

 

 

 

今この瞬間メッサーラのコクピットハッチが閉まっている事に気付く。

 

 

「はぁ?!」

 

「いやー、ごめんなサラ」

 

「ごめんって言いながら手錠までかけるヤツがどこにいるの!?」

 

 

自分が置かれた状況にサラが困惑している間に手に持ったままの銃を拝借し、ジュピトリス内でかっぱらっておいた手錠をサラの手頸へとはめる。

 

フゥアハハハーー!君は人質として頂かせてもらう!!

 

 

「置いていったらどうなるか心配ならそう言えばいいのに」

「クズだ、人間のクズがここにいる」

「こんなのが人類の革新……?」

「コレもはやニュータイプじゃなくてぬータイプだろ」

 

 

五月蠅いよ宇宙に漂う浮遊霊共!!




と言うワケでカツさん、サラさんごとメッサーラをかっぱらうという暴挙に出た模様。
コイツやりたい放題してんな。
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