コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!!   作:社畜だったきなこ餅

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前話で頂いた感想から閃いたネタ

モンシア「待ちなさーい!」
ヤザン「あのクソガキ、メッサーラとパイロットの小娘を盗むつもりよ!」
モンシア「そんなの許さないわー!」
某幼稚園児劇場版のマカオとジョマの格好をしたおっさん二人に猛追されるカツ。
何だコレ地獄かね。

ちょっと今回のお話は独自解釈と独自展開多めでお送りいたします。
え?ジュピトリスからサラごとメッサーラ盗んでる時点で今更?


コバヤシさん家のカツ、ガンダム受領と後始末

 

 

最近感じる視線や気配や思念的に、どう考えてもアニメじゃない。そんな宇宙世紀のグリプス戦役の真っ只中。

メッサーラをサラごとかっぱらい、レコアさんの脱出を支援するために近くに待機していたカミーユのZガンダムと一緒にアーガマに帰った俺ことカツ・コバヤシ。

 

喜ばれ泣かれ怒られまくりましたが、総合的な感想を一言で言うならば『生きとったんかワレェ!!』でした。いやほんと申し訳ない。

ちなみにカミーユから鉄拳制裁されるのではないかと戦々恐々していたのだが……。

 

 

「……生きていてくれて良かったよ」

 

 

最初は殴ろうとしていたっぽいカミーユであるも、喜びが勝ったのか力なく俺のボデーに軽く拳を当てて気恥ずかしそうに告げるのみでした。

 

 

「……カミーユがデレた?!」

 

「カツお前この野郎!」

 

 

その後やっぱり殴られました、しょうがないね。

 

そんなこんなで平常運転となった我らが母艦アーガマでございますが、度重なる戦闘によってあちこちにガタが来ているそうで……。

現在アナハイムさん家のところのラビアンローズにて修理、整備中です。

 

ちなみにかっぱらってきたメッサーラは……。

 

 

「コレは月の工場に送らせてもらうぞ」

 

「そんなー」

 

 

 

何故かラビアンローズにいたウォンさんの指示でアナハイムの人に回収されました、色々と研究するそうです。 

ヤザン達に撃ち抜かれて爆裂四散したネモハイマニューバの後継機として狙ってただけに、地味にショックである。

 

だけど捨てる神あれば拾う神ありと言ったものでして。

 

 

「代わりとして渡すのも変な話だがな、お前には新型のガンダムが用意されている」

 

「マジですか?!」

 

「マジだとも、当初はクワトロ大尉に回される予定だったが諸事情があってな。あの機体だ」

 

 

ショボーンとなっていた俺に対しウォンさんは苦笑いを浮かべながら、そこそこ厚いマニュアルを渡しつつ顎で新型のガンダムとやらがある方向を示す。

その仕草に釣られてそちらを見てみれば、そこにいたのは確かにガンダム。

 

全体的にスマートな印象かつZ系列な頭部で、急ピッチでメンテナンスが行われている。

アレ、もしかしなくてもガンダムMk.IIIじゃね???

 

 

「あのー、ウォンさん。凄く嬉しいのは正直なところなんですけども、俺に宛がうよりクワトロ大尉に回した方が良くないですかね?」

 

「私も再三大尉にはそう伝えたのだがね、大尉が直々にお前に回してやった方がいいと言ったからしょうがないだろう。それにお前は今ではエゥーゴの中でも上位に位置するパイロットだぞ」

 

 

そりゃ俺だってガノタだからガンダムに乗れるなら嬉しいけど、俺より相応しい人いるんじゃね?とウォンさんに問いかければまさかの回答。

……クワトロさん、もしかしなくても。ニュータイプの少年だからガンダム宛がっときゃ大丈夫だろ。とか考えてない?

 

 

「次の作戦までには整備も完了してアーガマに積み込まれる、それまでの間にマニュアル確認とシミュレータ訓練は済ませておけよ」

 

 

話は以上だと言葉を閉めると、多忙極まりない現場主義者なウォンさんは俺の前から足早に立ち去って行った。

何だか気が付いたらエゥーゴの機動戦力の中核に位置していたでござる、の巻。

 

 

「なんだかすごい話になって来たなぁ」

 

 

低重力空間にいるのにズシリと重たく感じるガンダムMk.IIIのマニュアルの重さを感じつつ、手すりに体重をかけてメンテナンス中のガンダムMk.IIIを見ていると背後から声をかけられる。

そちらへ視線を向ければ、そこにいたのはエマさんとレコアさんの仲良しコンビの二名である。

 

 

「折角ガンダムを宛がわれるってのに、随分と元気なさそうじゃない」

 

「あー、これには理由があるというか変なこだわりと言うか……」

 

 

小悪魔のような笑みを浮かべたレコアさんに揶揄われ、ガノタのこだわり的に自分が乗って良いか困ってるなどと言えない俺は曖昧に笑って誤魔化しつつ。

どこか心配そうな目で俺を見ているエマさんへ話題を振る。

 

 

「エマさんはその、ガンダムMk.IIを任された時どんな気持ちでしたか?」

 

「え? そうね、最初は誇らしく感じたわ」

 

 

その誇らしさもティターンズの蛮行を知ってからは消え失せたけどね、と肩をすくめるエマさんに申し訳なさを感じ頭を下げる。

残留思念の人達もだからお前はデリカシーが無いんだと責めてくる。畜生強気で否定できねえ。

 

 

「まぁ気楽に考えなさいな、アンタはただでさえ前の機体でも無茶苦茶してたんだから」

 

「アナハイムの人達もネモの稼働限界を時々超えていたって言ってたわね」

 

 

ぺしぺしと俺の肩を叩きながら励ましてくるレコアさんに、爆裂四散した元愛機が限界突破状態だったことを補足するエマさん。

何というかこう、多感な青少年故……親しみやすい可愛い系お姉さんのエマさんと、キツめだけど面倒見の良い姉御系お姉さんのレコアさんには頭が上がらないのは内緒だ。

 

 

『内緒でも何でもないと思う』

『まぁお前さんはホワイトベースでも年上のお姉さんに囲まれてたからな、ミライも更に良い女になっていたもんだ』

『姉さん女房もいいゾォ』

『少年よ、ガンダムに浮かれるのもいいが。ラトーラを置いていった俺のようになるなよ』

 

 

そして物凄い勢いで残留思念の人達から明確なツッコミが飛んでくる。

最後のヴァルヴァロの人は洒落になってねえから、ちょっとマジで気を付けんといかん……。

 

ガンダム受領とか何やらでてんてこまいだが、そもそも俺はそれどころじゃないのだ。半ば自業自得だけど。

 

この前メッサーラごとジュピトリスから掻っ攫い、現在捕虜として手厚く扱われつつも独房に入れられているサラの事とか。

 

 

「そんな気にしなくていいのよカツ、私はすでに割り切ってるのだから」

 

「いえエマ、この神妙な顔はどうせ女の子……ソレもティターンズの機体ごと盗んできたあの子の事考えてるわよ」

 

「そ、そそそ、そんなことあるわけないですじゃんじょん!?」

 

「語るに落ちてるわね」

 

 

そして速攻でレコアさんに看破された、この人もしかしてニュータイプじゃなかろうか。

 

 

「アンタが判りやすいだけよ」

 

「そんな、まさか思考を?!」

 

「顔に書いてあったわ」

 

 

俺の思考を読み取ったかのようなレコアさんの言葉に愕然とすれば、レコアさんはケタケタ笑いながら愉快そうに俺の頭をべしべしと容赦なく叩く。

なんだろう、叩くと音が鳴る面白い玩具と書いてパシリに使える弟って読む扱いを受けている気がする。

 

 

「……どうすればいいっすかね?」

 

 

アーガマに帰還してから毎日サラへ面会をしているが、当たり前だが一言も口をきいてくれないしなんなら背中を向けて顔も見せてくれない状態がずっと続いている。

食事はちゃんと食べているらしいからそこは安心であるし、嫌われて当然のことをしたのだからしょうがない反応と言えばそうなのだが……。

 

 

「どうせアンタの事だから差し障りのない言葉を投げかけてるんでしょ?」

 

「う゛っ」

 

「無理やり連れてきたことを平謝りするだけじゃなく。なんで連れ出したのかしっかり伝えたの?」

 

「はぉ゛っ」

 

 

レコアさんがビシバシと言葉の暴力を叩きつけてくる度に俺は言葉の圧力に呻き声を上げて悶絶。

エマさんはどうしたものかと見守っているが、伝わる感情的に割とレコアさんに同意気味っぽくて助け舟は期待できない。

 

 

「しっかりアンタの言葉で伝えてあげなさい、いつも変に気を回すアンタらしくないぐらい感情的に動いたんだから」

 

「……うっす」

 

「うっすじゃない!今すぐ駆け足!」

 

「イエスマム!」

 

 

スパァン!と勢いよくレコアさんに背中をはたかれ慌てて駆け出す俺。

目指す先は捕虜を留めておく独房である。

 

 

『大佐に似て女性を口説くのは得意でも、愛するのは下手そうですね』

『ちげえねえ!あのシャアのヤツに可愛がられてりゃそうもなるか!』

『ニュータイプでも男女の機微は理解できないのだな』

『ガハハハハ!面白いぞ小僧、ミネバが興味を示しただけはあるな!』

 

 

うるっさいよジオン色の強い残留思念共!!

 

 

 

 

 

 

「……何よ?」

 

 

そして全力疾走で粗い息を吐く俺に気付くとサラは背中を向け、ちらりと俺に対して一瞥してくる。

……今日はまだ機嫌がいいな、ヨシ!

 

 

「サラ、俺は自分勝手な理由と感情を……人質にするって理由で誤魔化して君を無理やり拉致して誘拐した」

 

 

小賢しい考えや言い訳を取り除き、嘘偽りない本音を鉄格子で隔たれた向こうにいる少女へと言葉を紡ぐ。

ニュータイプとかガノタとか……今も見守っている思念達も関係ない、俺自身の気持ちと言葉で。

 

 

「俺は君がシロッコに対して心酔し、その命を投げ出してもいいとすら思っている事も知っている」

 

「……っ! だったら、なんで!?」

 

「俺が!俺が、それは嫌だったから!」

 

 

アニメ版でも小説版でも彼女、サラ・ザビアロフが辿る運命はシロッコに利用され使われた末に死ぬという結末は変わらない。

例え彼女自身はどちらの媒体でも納得した上で死んでいったとしても、他人と切り捨てて切り分けて考えるには俺は彼女と関わり過ぎたし……好意を抱いてしまった。

 

 

「力を貸してくれなんて言わないしシロッコ相手に共に戦ってくれとも言わない……敵対だけ、しないでほしい」

 

「……なんで、なんでそこまで私の事を考えてくれるのなら。シロッコ様の為に一緒に戦ってくれなかったの?!」

 

 

慟哭するかのように振り返りながら叫ぶサラの目には涙が浮かんでいた。

彼女にして見たら敬愛する上司の元から無理やり連れだされただけではなく、共に戦えると思っていた存在に裏切られたのだからその怒りも叫びも正当だ。

 

 

「シロッコは殺し合いを、この戦争をゲーム盤としか見ていない。そんな男の為には戦えない」

 

「じゃあカツ、あなたは自分が違うっていうの!? その超然とした態度は、ニュータイプとして他人は皆どうでも良いと思っているからじゃないの!!」

 

 

俺の言葉を遮るようにサラは叫ぶ。

その言葉はある意味真っ当だ、実際俺は一年戦争の前半は超越者を気取っていたし……。

現実として悲惨さを見てきても尚、どんな状況でも前向きに楽しむという気持ちも捨てていない。

 

だけど、それでも。

 

 

「サラ、俺の手を取ってくれ」

 

「何よ……」

 

「いいから、変な事はしないから」

 

 

鉄格子の傍まで近づき、隙間から右腕をサラへ向かって伸ばす。

サラは疑問を感じた様子を浮かべながらも俺の手にその手を重ねる。

 

ニュータイプ同士でなくても、高い共感能力があれば触れ合う事で意思を伝えられる。

ソレは人類が普遍的に持っていた家族や隣人、他人と折り合いをつけていくための能力で。俺は重ねた手から俺の意思と気持ちに偽りがない事をサラへ精一杯送る。

 

 

「カツ……あなた」

 

「俺の嘘偽りのない気持ちだよ、サラ」

 

 

気持ちと意思が伝わったのか、サラは態度を軟化させながらも困惑した視線を向けてくる。

俺は鉄格子から少しだけ離れ、いつもの呑気な笑みを浮かべてサラに応じる。

 

 

「……あなた、自分が死んでも宇宙に意思として残るのが責任って……どういう、こと?」

 

「あ゛」

 

 

そしてどうやら、サラはニュータイプだったのか強化人間だったのかは不明だが。

俺の根っこにある意思まで受け取ってしまっていた。何という事だ。

 

 

「……詳しく話しなさい」

 

「……はい」

 

 

しかし据わった目付きで俺を問い詰めようとするサラからはもう、逃げられそうにないのであったとさ。




今回もはっちゃける、どこかで見たような残留思念達です。

ところで、サラってニュータイプだっけ、強化人間だっけ……。
ゲームとかだと強化人間な事多いけど実際どうなのか最早自信がない(イマサラタウン)


感想でご指摘頂き、思念からの受信内容をぼやけから『』に変更してみました。
まぁ実際、一発ネタならともかく多用するなら少しは配慮すべきでしたわね!
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