コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!! 作:社畜だったきなこ餅
あの後なんやかんやの末にアウドムラに乗る羽目になったカツのお話です。
時は宇宙世紀0087年、誰かが刻の涙を見たりZガンダムは今は動けない状態だったりする頃。
なんやかんやのどったんばったん大騒ぎの末に、アウドムラに乗る事となった俺ことカツ・コバヤシは今……。
「なぁカツ、コレ一体何なんだ?コリコリして不味くはないんだけど」
「え? 鶏の足の素揚げだよ」
「ぶぅっ! よくも変なモノ喰わせたなカツぅ!?」
「半分以上平らげといて暴力に訴えるの良くないと思うよカミーユ!?」
切れたナイフことカミーユ・ビダンと共に、ホンコンシティの屋台街にて食べ歩きをしていた。
あ、ちょっと本気で鉄拳ぶちこむのやめて! ついさっき蛙の唐揚げを騙して食べさせたこと謝るから!
むしろアレのお詫びで、高級品調達したのに殴るの酷いよ! いや反応見たくて黙ってたのは事実だけど。
ベンチに座ったまま手に持ったヌードルが零れないよう、ジャッキーなチェンさんみたいなムーブで必死こいて回避する俺とカミーユのやり取りに、周囲の人間がやんややんやと囃し立て始め。
見世物のようにされる事への不快感をカミーユは隠そうともせず、どっかと乱暴に椅子へと座り残った鶏足の素揚げを口へ放り込む。
文句言いつつもしっかり食べるし、残さない辺りカミーユの育ちの良さがわかるよなぁ。うん。
そんな感じでヌードル啜りながらカミーユを見てれば、彼はこちらをジト目で睨みながら口を開く。
「そもそも何でフォウと会おうとしたのにお前がついてきてるんだよカツ!!」
そう、既に現時点でカミーユはフォウとのロマンスな出会いを終えており……チキチキサイコガンダム大暴れ大会(第一回)も、ブライトさんの妻子ことミライさんとハサウェイ君の誘拐騒動も終わっていたりする。
この二件ともまぁ、それなりに上手い事軟着陸したし俺も頑張ったからかカミーユは俺の事をぞんざいに扱いながらも、悪い扱いはしなくなったように感じている。
「え?そんなの……あんな気立てが良くてかわいい幼馴染いるのに旅先で出会った女の子にうつつ抜かしてるカミーユを全力でおちょくる為に決まってるじゃん?」
まぁソレはソレとして、あんな出来た幼馴染のファさんがいるのにフォウにうつつ抜かしてるのは腹立つからおちょくるんだけどな!
何を当たり前な事言ってんの、とばかりにヌードルを啜り終えて満面の笑みを浮かべてカミーユへ告げれば、カミーユは顔を俯かせてその肩を震わせ始める。
あ、コレあかんやつや。
「お前みたいなカツ、修正してやるぅぅぅぅぅ!!」
「ぎゃーーー!? 顔は止めて、顔は!!」
さすがに二回目は許してもらえず、国民的青狸アニメでボコボコにされた主人公の少年みたいな独創的な顔面にされてしまう俺なのであった。
「あいたたた……あ、カミーユ。あの人でしょ? フォウって人」
「今度同じ事やったら容赦しないからなカツ。え? あ、フォウ!」
「会いたかったよカミーユ、そっちの男の子は……ええっと、お友達?」
ボコボコにされながら二人して月餅を齧っていたところ、視界の端にエメラルドグリーンの髪色をした女性を見つけそれとなくカミーユへ伝えれば。
フォウを想っている自分よりも先に俺が気付いた事に複雑な表情を見せながらも、大声を出してフォウを手招きして呼び……。
呼ばれたフォウはカミーユを見つけると花開いたかのような無防備な笑みを浮かべ、カミーユへふわりと抱き着いた。うーん絵になる光景である。
そしてフォウはカミーユに抱き着いたまま、こちらへ顔を向け……ボコボコにされた俺に怪訝な表情を浮かべながら、俺の意識を撫でるような感覚を伝えつつ問いかけてきた。
カミーユ、そんな嫌そうな顔されるとさすがの俺も傷付くぞ? まぁ冗談はさておき。
撫でられた意識に対して拒絶するでもなく受け入れるでもなく、受け流すかのようにしている俺の意識にフォウが首を傾げているのを尻目に俺は残った月餅を口へと放り込むと。
「じゃあ俺はお邪魔虫だし退散するよ、あまり遅くなると誤魔化しきれないから程々にねカミーユ」
「わかってる! ただ、その……ありがとなカツ」
「いいってことよ!」
カツ・コバヤシはクールに去るぜ。と言わんばかりのムーブを決めつつ、大事な事を言い忘れてたので振り返る。
「あ、そうだカミーユと……フォウさんでいいかな?」
「なんだよカツ」
「どうしたの?」
このまま退散する流れで急に立ち止まり振り返った俺の様子に何か感じたのか、身構えるカミーユとフォウ。
うーん、さすがニュータイプ。勘の良さは抜群だねぇ。
「ニュータイプだのなんだの、記憶がどうのこうの言う前に二人は人間で男と女なんだしさ。時にはケダモノのように感情に任せてもいいと思うよ」
「なっ!? か、カツお前ぇぇぇぇぇ!!」
「やっべ!? じゃあねお二人さん!!」
俺のセクハラすれすれどころか全力アウトな発言に呆気にとられたカミーユが、憤怒を顔に浮かべて追いかけてこようとするのを見て全速力で走りだす。
フォウは置かれてる環境と状況の問題から、俺がどれだけ言ってもどうしようもないとはわかっているが。それでも何とかしてやりたいと思ったんだ、ガノタだし。
まぁフォウの事考える前に、俺はまず追いかけてくるカミーユから全力で逃げないといけないわけだけどな!!
そして何とかカミーユを撒いてアウドムラに俺が戻った瞬間、鳴り始める警報。
話を聞くにサイコガンダムが接近しているらしく、人手が必要と言う事で俺も駆り出される事となった。
出撃するのはなんとかルオ商会から戻ってきた最終兵器天パことアムロと俺の二人である。地獄かな?
アムロは撃墜されたロベルトが乗っていたリックディアスを修理したヤツなのは、まぁ良いにしても。
俺に宛がわれたMSはなんとアウドムラの格納庫に残ってたジムIIだ。ガンタンクIIじゃなかっただけマシと思おう……うん。
まぁなんであれ、せめて何とか足を引っ張らないようにしないとなぁ、なんて考えつつ。
アムロの指揮を忠実に守り出過ぎず引っ込み過ぎずを徹底する事数分間、ヒヨッコパイロットな俺は何とか生き残ってました。
何機かティターンズのMSも撃墜したが、俺だって死にたくないししょうがないという事で一つ。文句と責め苦は死んだ後きっちり受けるから今は許してくれ。
「フォウ! ダメだ!君はそんなマシンに乗っていちゃいけない!!」
「落ち着けカミーユ!突出しすぎ……ってあっぶねぇ?!」
そして戻ってきたカミーユがガンダムMk.IIを駆り、パイロットが誰か理解したサイコガンダムにオープンチャンネルで必死に呼びかけている。
しかしカミーユの呼びかけは巨大な黒いガンダムには届かないばかりか、一機のMSに向けるにはあまりにも過剰な火力をカミーユ一人へと集中させる。
ちなみに俺はカミーユを狙う他のティターンズMSをアムロと共に必死こいて相手しております。
いや、もっと言うと俺はとあるティターンズパイロットに猛攻を加えられていてカミーユどころじゃないのが本音でござる。
「このバカ弟子がぁ! カラバに参加するなんて俺の面子丸潰しする真似しやがって……殺さない程度にボコボコにするから覚悟しやがれぇ!!」
「ひえぇぇぇぇぇぇ?!」
肩に『不死身の第四小隊』のパーソナルマークを入れているハイザックから、オープンチャンネルで届けられる罵声と共にぶちこまれるビームを必死こいて躱す俺。
はい、どこから聞いたか不明ですが俺がカラバに参加したと聞いてブチギレ状態のモンシアのおっちゃん、ホンコンシティの戦場にINしております。
「か、カミーユ! とりあえずアレだ!愛とか希望とかそう言うの呼びかけ続ければワンチャン……ギャーー!?左腕もげたぁぁーーー!!」
「わかった! だけどカツ、そっちは大丈夫か?!」
「割と大丈夫じゃない!アムロがアウドムラ優先で手一杯だから、出来るだけ早く助けてカミーユーーー!」
結論から言うと、何とかサイコガンダムとティターンズの猛攻を命からがら俺達は凌ぐことに成功しました。
俺のジムII? 左腕どころか頭と右腕ももげたよ!!
これは何とかゆるふわに趣味と実益満たしつつハッピーエンドにしたいなぁ、なんてふわふわ気分でいた俺が。
地獄のグリプス戦役に肩どころか頭の天辺まで引きずり込まれた話である。
ちなみにモンシアさんは、ジムIIの頭部ぶっ壊せばさすがに戦意喪失して投降するだろなんて思ってたら。
馬鹿弟子がサブカメラとセンサで中々に良い動きで応戦し抵抗してきたので、右腕もビームでもいだ模様。
撃墜して死んだらそれまでだけど、生きてたらボコボコにした上で出来るだけ便宜を図ってやろうなんて思ってたらしいですよ。酷い弟子だねこのカツってヤツは。
感想で言われ気付き、慌てて修正したでござる。
そう言えばこの時点でアポリーもクワトロも居らなんだわ!
本来はカツもいないけど、そこは色々理由をつけて地球に残ったという事で一つ。