コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!! 作:社畜だったきなこ餅
すったもんだの末に地球脱出したカツ(ガノタインストール)の話はどこまでいくのやら。
宇宙は蒼いな大きいな、そんな感じの宇宙世紀0087年。
ホンコンシティのなんやかんやの大騒動の末、何とか宇宙に出れた俺ことカツ・コバヤシ。
その後ブライトさんと再会したり、エゥーゴの正式採用量産機であるネモを任されてカミーユやエマさんと共に戦場を駆けまわる事となり……。
「カミーユおつかれーぃ、なんとかフォン・ブラウンをティターンズから取り戻せて良かったなー」
「ああ、だけどティターンズがあまりにも簡単に引き下がったのが気になるな」
「そこを俺達が考えてもしょうがないよ、その辺りはブライトとかが考える事だから気軽に考えようぜ」
「お前は軽く考えすぎなんだよカツ」
そして、一度ティターンズに占領されたフォン・ブラウン市の奪還に成功した事で一息つき、Zガンダムから降りてきたカミーユへパックドリンクを投げ渡しながら雑談に興じていた。
現在のアーガマ保有戦力は……カミーユのZガンダム、エマさんのガンダムMk.II、ユイリィのメタス、そして俺のネモである。
どう考えてもティターンズの実働部隊とドンパチするにゃ数が足りないが、考えたら負けと言う事にしておこう。
「だけどさカミーユ、もうちょっと歩調合わせてくれよー。スラスター増設してもらった俺のネモでもウェイブライダー形態に追いつくのしんどいんだぜ?」
「しょうがないだろ一刻一秒を争うんだ、それにそんな事言いながらAMBACと増設スラスターを器用に使って追いついてきてるじゃないか」
「あんなもん毎回要求されたら闘う前にこっちが死ぬわ!」
愉快そうに笑いながらのたまうカミーユに全力で猛抗議しつつ、現在の俺の愛機であるネモ……というかネモ・ハイマニューバーとも言うべき機体を見上げる。
その機体は一般的なネモと大半は一緒だが、ランドセルが百式と同じモノに換装されておりウィングバインダーと呼ばれるモノが取り付けられている。
他にも機体各所にもスラスターが増設されている事で機動性が向上している逸品だ、なお火力は向上していないのでバズーカが手放せないのは内緒だ!
なーんで俺みたいな凡人にこんな特別なモノ渡されたんだろうなぁ……いや助かってるけど。
ともあれMSの整備をアストナージさんらにお願いした俺達は更衣室で制服に着替え、艦内にある自販機でハンバーガーを二つ買ってカミーユと共にラウンジに向かう。
「ほいカミーユ、とりあえず何か腹に入れとかないともたないぞ」
「サンキューカツ。けどお前みたいに四六時中食べれるほどこっちは大食漢じゃないんだよ」
「人を隙あらば何かむしゃむしゃしてるデヴみたいに言うんじゃないよ」
お礼とばかりにカミーユがラウンジの自販機で購入してこっちに投げてきたドリンクを受け取り、アツアツのハンバーガーを一口齧ってからドリンクを喉に流し込む。
細マッチョと言えるカミーユに比べたらそりゃ俺はぽっちゃりさんだが、これは筋肉多めのお相撲さんボディなんですー!
けどまぁキレたナイフみたいだったカミーユも、何のかんの言って穏やかな所見せる事も増えてきたから色んな意味で安心だわ。
しかしなんか艦内が騒がしいけど何かあったんかいな、というかそう言えばフォン・ブラウン市の後って言えば……。
あ、そうだサラ・ザビアロフの投降だわ。どよめきと共にラウンジの入口に立ってるもん。
胡乱な瞳をサラへ向けるカミーユ、ハンバーガーを咥えた格好のままサラを見る俺。
そんな俺達二人の視線に気づいたのか、サラは監視っぽいアーガマクルーを伴ってこちらへ近付いてくる。
「あのガンダムのパイロットって、どちらかしら?」
涼やかな笑みを浮かべながらこちらへ問いかけてくるサラ、精神的圧力が物理的に隣に立つ俺を押し出しそうなぐらい警戒心を隠そうとしないカミーユ。
そしてサラの問いかけにとりあえず隣のカミーユを指差す俺、そしてカミーユに忌々しそうに睨まれる俺。理不尽!
まぁその後色んな話の末に、どうもティターンズの内ゲバ情報という感じでティターンズ将校のジャマイカンがコロニーを月のグラナダに落とそうとしてるとか何とかという情報を聞く俺達。
いつも思うんだけど、宇宙世紀の人間って大質量を惑星や衛星に叩き込むの好きすぎない?
原作のカツはこの時点でサラの魅力に完全に参ってしまい、まぁ色々とやらかすわけなんだが……美人だとは思うけど正直俺の趣味じゃないんだよなぁ。
いやキツめの美女は大好きだから、もう十年とは言わないけど最低五年は欲しい。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
「なんぞ?」
会議室でアーガマ主要メンバーが集まっている中そんな具合にアホな事を考えつつ、サラがスパイである事を警戒し独房へ連れて行くという事になった時、サラが俺へと問いかけてくる。
こんなイベントあったっけか……全シーンを事細かに覚えてるとは言えない、どこにでもいる程度のガノタの俺には判断が出来ないのが悔やまれる。
「ティターンズの行いって、貴方から見てどう思う? この中でも貴方だけどこか違うように見えたから」
「ティターンズの行い? うーーーん……」
突然のサラの問いかけに、会議室に集まったメンバーの視線が俺達へ集中するのを感じる。
まぁぶっちゃけて言うと、俺個人はティターンズへの憤りとかスペースノイドの権利とか無頓着だしなぁ。
「行き過ぎた治安維持行為や毒ガス撒いたりはどうかと思うけど、ティターンズが出来た経緯とか考えると正直難しいってのが本音かなぁ」
「どういう事だよカツ!」
腕を組み悩みながら放った俺の言葉に、カミーユが怒りをあらわにして左手で俺の襟首を掴み上げてくる。落ち着けカミーユ!その右手の握り拳を解いて!!
「落ち着きなよカミーユ! そもそも俺は一年戦争の後紆余曲折あって地球にいたんだぜ? 4年前のコロニー落としで起きた事件や災害も知ってるんだ」
どうどう、とカミーユを宥めながら放った俺の言葉に会議室の空気が凍り付く。
ブライトだけは何とも言えない表情を浮かべてるけど、ブライトも家族が地球にいるからなぁ。
「今となっちゃ情報検閲されて殆どあの時の事件を調べられないけど、あの時は酷かったんだぜ? 北米の穀倉地帯がやられて食糧は値上がりするわ、気候変動であっちこっちが悲惨になるわ」
ガノタ時代は無邪気にかっけー!とか思えたデラーズな連中だけど、実害被るとさすがに……ねぇ?
「一年戦争時にジオンが落としたコロニー落とし、アレが一回こっきりだったらともかく……二回目が起きてしまったんだ、そりゃアースノイドもスペースノイドに決定的な不信感を抱くよ」
「だからって、ティターンズの横暴が許されるワケじゃないだろ!?」
「うん、そうだよ?アレだけの蛮行を許したらもっと危険だ……けどティターンズが設立された経緯もわからなくはないって話さ、頭のおかしいタカ派だけでアレだけの軍隊は作れないよ」
俺の言葉にシン、と静まり返る会議室。
その、うん、申し訳ない。
「ああゴメンねザビアロフさん、それで俺としては……」
「いいえ結構よ、十分すぎるぐらい聞けたわ」
会議室の空気を無惨にした事をごまかすように愛想笑いを浮かべサラへ向き直れば、微笑を漏らしつつサラは応じる。
うーん一つ一つの動作が上手いなぁ、そして惜しいなぁ。
「後十年、いや五年経ってたら迷わず口説くのになぁ」
思った以上にスタンスを明かした事がストレスになっていたのか、無意識に呟く俺。
そして、別の意味で会議室の空気が死に凍り付いた。
「……最低ね」
「カツ、あなたって子は……」
「カツ……」
絶対零度と言うべき視線で俺を見るサラ、頭痛をこらえるように頭を押さえるエマさん、どうしようもないアホを見る目で俺を見てくるレコアさん。
わっはっは、笑うしかねぇなこりゃ!
そんな事考えてたら、無言でカミーユに全力でぶん殴られた。
両親がティターンズに殺されているカミーユの前で言ってよい話じゃなかったし、こりゃ許してもらえないだろうなぁなんて思っていたけども。
どうしようもない馬鹿野郎だよお前、なんてカミーユが言いながら仲直りしてくれたのでヨシ!!
なおアーガマの主要クルーには俺が年上趣味だとバレた模様。
色々と理性的と言えば理性的だが、割とシビアな考えをしておりうっかり吐露してしまうカツであった。
やっぱりコイツ、頭カツ・コバヤシですわ。
ちなみに地球で割と頑張ってたとはいえ、補充要員でしかないカツがネモの特別機貰えた理由ですが……。
なんてことはない、ブライトさんとヘンケンさんの粋な計らいでした。
遊ばせておくには惜しいパイロット、けども死なれたら辛い……そんな親心ですね。
ちなみに余談ですがネモ・ハイマニューバ、あるにはあるらしいですが資料見つからなくて難儀したのは内緒です。