コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!!   作:社畜だったきなこ餅

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今回は趣向を変え、ガノタ入りカツについての調査報告みたいな感じです。


コバヤシさん家のカツの、同僚等からの扱いについて

 

 

【人物報告/カツ・コバヤシ】

 

 UC0072年生まれ、当時はハウィン姓であったがサイド7で両親と共に過ごしていた際にUC0079年のジオン軍からの侵攻によって両親を喪い戦災孤児となる。

 その後ホワイトベースにレツ・コ・ファンやキッカ・キタモトらと共に保護され、一年戦争後はフラウ・ボゥと結婚したハヤト・コバヤシに3人揃って引き取られコバヤシ姓となった。

 

 ホワイトベースを下船した避難民や元ホワイトベースクルー等に聞き取りをした内容から、当人物は一年戦争時点で非常に高いニュータイプの素養を持ち合わせていたと見られている。

 両親を喪って間もない中、アムロ・レイに代表されるクルー達と交流を重ねるのみならず、雑用の手伝いや避難民らのケアに当たっていたとの証言が得られた。

 特徴的な事例としては、幾度か非常に精度の高い未来予知じみた洞察力を見せた傾向があり、実際にジオン軍がガンダムに設置した爆発物の発見に多大な成果を挙げたとされている。

 

 その他にも一年戦争終盤、アムロ・レイがジオン軍のNT専用MAと交戦中に戦闘中のホワイトベースのブリッジに駆け込み、必死にアムロに戦う事を止めるよう呼びかけたとされる証言もあるが、この事についてはアムロ・レイ自身が否定しており……。

 ブライト・ノア等もまた同様に否定している事から、信頼性は高くないとみられる。

 

 一年戦争後、地球連邦軍のニュータイプ研究を主としている研究所が引き取る案も出ていたが、その前にハヤト・コバヤシが養子縁組を成立させた事でその案は凍結となった。

 その後エゥーゴに参加するまでの経緯は別紙報告書、参加後の現在に至るまでの戦果や行動については添付した調査ログを参照されたし。

 

 

 

 

 

【エマ・シーン中尉への聞き取り調査ログ】

 

 

「え? あの子……カツについて?」

 

 

──はい、宇宙に彼が上がった後よくバディを組んでいたと聞きまして。

 

 

「確かに最初の方はよく組んでいたけど……また何かやったの?」

 

 

──ああ違います、地球から上がってこの短期間で戦果を挙げている彼について報告書をまとめろと上からせっつかれておりまして……。

 

 

「なるほど、貴方達も大変ね……けど、何から話したらいいものかしら」

 

 

──なんでも構いませんよ。例えば第一印象とかでも。

 

 

「そうね……第一印象、か。第一印象はなんでも器用にこなす子、かしらね」

 

 

──器用、ですか?

 

 

「ええ、地上でジムIIでティターンズに善戦したとは聞いていたけど、宇宙に上がってネモを任された時あの子は一週間で完熟訓練を終えたわ」

 

 

──早いですね。

 

 

「そうね、操作系統は似ているとはいえそれでも正規軍人でももっと時間がかかってもおかしくないわ。それをあの子は、アストナージにMS整備の師事を受けながらこなしたのよ」

 

 

──末恐ろしい子供ですね、彼は。

 

 

「そうかもしれない、けどあの子はまぁ……うん。何て言えばいいのかしらね? 良い意味で『バカ』なのよ」

 

 

──『バカ』、ですか。

 

 

「ええ、誰かが悩んでいたらひょっこり現れて悩みを聞いたり、MS整備で人手が足りないと聞けば制服汚してメカニックと一緒になってMS弄って……」

 

「そんな風に忙しくしてるかと思ったら、カミーユと一緒に年相応に笑ってるから」

 

 

──それはまた……しかし、その。まるでお姉さんのようですねエマ・シーン中尉。

 

 

「姉……ええ、そうかもしれないわね。考えなしだけど根は真っすぐで放っとけない危なっかしい弟のようなものよ、あの子は」

 

 

──なるほど、ありがとうございました。

 

 

 

 

【レコア・ロンド少尉への聞き取り調査ログ】

 

 

「何、カツについての聞き取り調査? 忙しいから後にして頂戴」

 

 

──本当に申し訳ありません、お時間はなるべく取らせませんので……。

 

 

「しょうがないわね、少しだけよ」

 

 

──ありがとうございます、早速ですが彼の第一印象についてお聞かせ願えますか?

 

 

「第一印象? そうね、あの時はパッとしない子としか思わなかったわ」

 

 

──なるほど、しかし『あの時』とわざわざ言うという事は今は違うのですか?

 

 

「……そうね、今はまぁ。器用だけど出来の悪い弟分ぐらいの扱いかしら」

 

 

──そう、ですか。

 

 

「あら、意外とでも言いたそうね?」

 

 

──い、いえ決してそう言うつもりでは。

 

 

「いいのよ、あの時はクワトロ大尉がそっけなかった事もあって私自身四六時中苛立ちが強かったから」

 

 

──なるほど、その……。

 

 

「私から言い出した事を一々気にする必要ないわよ。そうね、折角だから一つ面白い話してあげるわ」

 

 

──ありがとうございます、お聞かせ願えますか?

 

 

「ええ。私がカツへの見方が変わったのは、何度目かもしれないクワトロ大尉との通信が物別れに終わっていら立ってた時なんだけども」

 

「あの子、アーガマのクルーが誰一人近付こうとしない中ハンバーガーを齧りながら私にジュース差し出して……その時何を言ったと思う?」

 

 

──ええと……元気出して下さいとか、そう言う慰めの言葉をかけたのですか?

 

 

「いいえ、その時にカツったらね……『何あったか知らないですけど甘いモノ飲めば何とかなりますよ』って、とぼけた顔で言ってきたのよ」

 

 

──そ、それはその、度胸があるというかなんというか……。

 

 

「いえ、あの子アホなのよ。けど私もあの時はあのとぼけた表情が気に入らなくてね、今思うと理不尽な罵詈雑言をぶつけたわ」

 

 

──ま、まぁその……デリカシーに欠けますし、その怒りもごもっともかと。

 

 

「おべっかは要らないわ。でもカツったらね、私の罵詈雑言も真剣に聞いて自分の発言を謝った上で、更にとんでもない事言ったのよ」

 

 

──え?更に何か言ったんですか?

 

 

「ええ、今でも思い出せるわよ。『とりあえず不満や文句あるなら言葉にしないと男には伝わらないですよ。愚痴くらいなら幾らでも聞きますけど』なんてね」

 

 

──うわぁ……。

 

 

「で、その後は御望み通り愚痴をこれでもかって聞かせてやったらね。カツったら『凄いですねクワトロ大尉って、女の人口説くのは得意でも愛するのは苦手そうだ』とか言うものだから」

 

「もうバカバカしくなって、お腹痛くなるぐらい笑ったものよ」

 

 

──そ、それ、は、その……凄い、ですね。

 

 

「貴方も笑い押し殺しきれてないじゃない。まぁ、そんな感じの子よカツは」

 

「貴方達が心配するような危険思想も持ってないし、よっぽどの事がない限りエゥーゴを裏切ったりはしないわ」

 

 

──ありがとうございます、貴重なお時間失礼しました。

 

 

 

 

【ブライト・ノア大佐への聞き取り調査ログ(未提出)】

 

 

「カツについての聞き取り調査、か」

 

 

──はい、御多忙な所大変恐縮ではございますが……。

 

 

「構わないさ、今は少し余裕もある。コーヒーでいいか?」

 

 

──ああいえお気になさらないで下さい大佐。

 

 

「そんなに固くならないでくれ、それにコーヒーは私の趣味でもある」

 

 

──ありがとうございます……これは良い豆ですし、味が引き立ってますね。

 

 

「そう言ってもらえるとこちらも淹れた甲斐がある、カミーユはまだ理解ってくれるがカツは何でも美味いとしか言わなくてな」

 

 

──彼は食べる事が好きそうなのですが、意外ですね。

 

 

「……あの子は一年戦争の時、ホワイトベースで色々見てきたからな。普通に食べられるという事がこの上ない喜びなのかもしれん」

 

 

──……それは。

 

 

「少し昔話をしようか、まだ私がホワイトベースの艦長をせざるを得なくなった頃の話だ」

 

「既にそっちも把握している通り、あの時ホワイトベースは避難民を多く載せており艦内の備蓄にも限りがあった」

 

 

──存じております、ルナ2に駆け込んだ時にある程度の補給は出来たとはいえ十分ではなかったとも。

 

 

「ああ、当時コック長をしていたタムラも良くやってくれていたがそれでも十分な食事が行き届いているとは言えなかった」

 

「そんな中でな、まだ食べ盛りだというのにカツは……弟分妹分であるレツとキッカに自分の分の食事を分け与えていたんだ」

 

 

──今の健啖家からは想像が……ああそうか、だからこそ今健啖家なのですね彼は。

 

 

「そう言う事だ、強がっては居たがあの子はいつも腹を空かせていたし……だからこそ自身は率先してホワイトベースの雑用を手伝っていたのかもしれん」

 

「手伝いの駄賃と言う名目なら、私達も菓子やパンを渡し易いというところまであの時のカツは考えていたよ」

 

 

──大佐にとって、子供みたいな存在なのですね。だからこそあのネモも……。

 

 

「私だけじゃない、あの時ホワイトベースに乗っていた人間にとってカツは大事な子供だった」

 

「だからこそ、あの子がパイロットとして参加をするならばせめて少しでも良い機体を渡してやりたい、そう思っただけさ」

 

 

──今のエゥーゴにとって彼はもう外せない戦力です、カミーユ・ビダンに追従できるパイロットは現在地球に居るクワトロ大尉を除けば彼ぐらいしか見当たりませんから。

 

 

「……あこぎな商売だな、軍人というものは」

 

 

──ここだけの話ですが、アナハイムが現在開発しているガンダムMk.IIの後継機。これをクワトロ大尉ではなく彼に与えるという話も出ています。

 

 

「どういう事だ?」

 

 

──クワトロ大尉にはブレックス准将の護衛と副官を務めてもらう、そう言うプランが進んでいるという事です。

 

 

「上は一体何を考えている……現場では指揮官が全く足りていないんだぞ!」

 

「……すまない、この話をしてくれた君に言う言葉ではなかったな」

 

 

──いえ気にしないで下さい、大佐への聞き取り調査は大佐がご多忙だったので出来なかったと上に報告しますから。

 

 

「それは助かる話だが、いいのか?」

 

 

──かつての戦争の英雄部隊であるホワイトベース隊、彼等に対して強い恩を感じている人間は意外と多いって事ですよ大佐。

 

 

「……そうか」

 

 

──貴重なお時間ありがとうございました。

 

 

「君も頑張れよ、また来てくれたらコーヒーぐらいなら出すさ」

 

 

 

 

【カミーユ・ビダンへの聞き取り調査ログ】

 

 

「カツについての聞き取り調査? エゥーゴは随分暇なんですね」

 

 

──お忙しい所申し訳ありません、ほんの少しでいいんで……。

 

 

「まぁいいですよ、で。今度はアイツ何をしたんですか?」

 

 

──そう言う調査ではありません。

 

 

「じゃあどういう調査なんですか? 身辺調査なんてアイツがエゥーゴに入る時点で既に終えてるでしょう」

 

 

──上の思惑は自分も把握してませんが、最近の戦果もあって特別視し始めている人間もいるという事です。

 

 

「前にアムロ・レイの再来だなんて言って、俺を持ち上げておいて勝手ですね」

 

 

──仰る通りだと思います、出来れば彼の第一印象とかでもいいので教えてもらえますか?

 

 

「第一印象……不思議なヤツ、といった感じでしょうか」

 

 

──不思議なヤツ、ですか?

 

 

「言葉通りの意味ですよ、踏み込んでこないかと思ったら鬱陶しくないぎりぎりのところに立ってて、そのくせズケズケと好き放題言っては絡んでくる」

 

「だけどその割に不快ではない、だから不思議なヤツなんです」

 

 

──凄いですね。

 

 

「何か含みを感じる言い方ですね? 以上ですよ第一印象は、それに今は背中預けてるんだからそんな事関係ないでしょう」

 

 

──それはその通りですね、しかしZガンダムを駆る貴方に追従できるなんて彼は凄いですね。

 

 

「当人は必死こいてやってるだけだなんて言ってますけど、高機動型のネモでZガンダムについてこれるパイロットはカツくらいでしょう」

 

 

──クワトロ大尉なら問題なく出来るのでは?

 

 

「どうでしょうね、必要なら一緒に戦いますけどあの人の事は信じきれないからカツと共に戦う方が安心できるくらいですよ」

 

 

──く、クワトロ大尉もエゥーゴでは必要な方ですから。

 

 

「そうなんですか? そう言えばエゥーゴは妙にクワトロ大尉を特別扱いしますけど……」

 

 

──た、大尉の話はこのくらいにしておきましょう! 他に彼……カツ・コバヤシについて何かありませんか?

 

 

「以上ですよ、第一べらべら話す事でもないでしょう。友人の事なんて」

 

 

──……ありがとうございました。




ちなみにアムロとブライトは、エルメス戦の時のカツの発言については嘘を吐いてカツを庇ってます。
アムロがNT的閃きで何かを察してブライトと口裏合わせしたそうですよ。

ちなみにクワトロに回す予定って話になってるガンダムMk.IIIは、『アナハイム・ラボラトリー・ログ』にあったというエピソードを参考にしました。
なおコレ自体は当人に届く事はなかった模様。
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