コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!! 作:社畜だったきなこ餅
当初はここのシーンでやろうとしたネタがあったのですが、グラサン大尉との関係性の変化に伴い書き直した結果遅くなりました。
Zガンダムのエンディングでファと一緒にハロが走ってたけど、あのハロがどこから出てきたのか物議を醸す宇宙世紀0087年。
エゥーゴのスポンサーであるウォンさんの指示により、ティターンズとアクシズの接触を妨害するために行動を開始したワケだが。
我々アーガマ隊はのっけから大ピンチでござる、の巻。
「エマさん!カミーユ達は!?」
「クワトロ大尉と一緒にいる! けど新型の猛攻で苦戦してるわ!」
エマさんの駆るガンダムMk2と背中合わせになり、アーガマへ迫るティターンズのMSを迎撃し続ける俺達であるも。
戦況は大ピンチ継続中である、クワトロ大尉見事なまでにドゴス・ギアへのメガバズーカランチャーの狙撃外したからな……。
「エマさん! ここは何とか持ち堪えるからアーガマの方に! レコアさん達が危ない!」
「でも……いえ、わかったわ! カツも無理しないで!」
レコアさんとアポリーさん以外にも何人かパイロットは居るし、彼らもネモでアーガマの直衛を頑張っていたが旗色は芳しくなく。
俺の視線の先にあるレーダーから、また一機友軍機の信号が消えたのが見え……エマさんにもアーガマの直衛へ戻ってもらう。
とりあえず注意を引き付けて生き延びるだけなら、何とかなる。
そんな風に俺も十数秒前まで思っていました。
「っ! 師匠達か!」
額に走る電撃にも似た閃きを感じ、咄嗟にスラスターを噴かせ回避した瞬間俺の居た場所を複数のビームが通り過ぎていく。
そんな俺の動きに隙を見出した一般通過マラサイがビームサーベルを抜いて襲い掛かってくるが、ビームが飛んできた方向にマラサイを挟んで追撃を凌ぎ、その上で左腕に持っていたネモ・ハイマニューバのシールドを投げつけ。
即座に引き抜いたビームサーベルで、自らが投げたシールドの裏からマラサイのコクピットを刺し貫く。
『エゥーゴめぇ……!』
この手でビームで焼き殺したティターンズ兵の思念が俺の頭に届くが、今は頭の隅へどける。
俺がくたばった時にまとめて責め苦負うから、今はツケといてくれぃ!
だがそんな感傷に浸る間もなく、3機のマラサイが見事な連携軌道を描きながら俺へと迫ってくる。
エマさんはアーガマの直衛に動けず、機動性に優れたメタスを駆るレコアさんも同様。
ドゴス・ギアの攻略へ突撃したカミーユとクワトロ大尉はティターンズの新型機……多分ハンブラビの部隊に張り付かれ動きが取れず。
ある程度動けるのは俺一人。うん、やべぇなコレ!!
あんまやりたくないけど、これは師匠直伝のアレやるしかねぇ……!
「アストナージさん、今から謝っとくわ。ゴメン!」
師匠達が放つビームを回避しながらコンソールを叩き、スラスターのリミッターを片っ端からカットしていく。
これを解除したら機体への負担が爆増するのは言うまでもないが、パイロットである俺の負担も爆増するのは当たり前なのだが……。
しかし俺には、0G機動における加速を何とかする不死身の第四小隊の秘伝が伝授されているのだ!
コツの内容? 体をしっかり鍛えて血流が逆流したりしてブラックアウトやら何やら起こすのを筋肉式ポンプで何とかしながら、アホみたいな機動力で機体をぶん回すという脳筋方式だよ!
師匠ことモンシア曰く、コレのおかげで俺達は一年戦争もデラーズ紛争も生き延びてきたんだ。だそうである。
ちなみに……一年戦争開始前からの航空機乗りは知ってて当然の技術だったけど、そう言う兵士が殆ど戦死して半ばロステクみたいになってるとは通信で補足してくれたアデルさんの談。
「ぅ、ぐぅ……っ!」
只でさえ暴れん坊なネモ・ハイマニューバの加速がさらに暴れん坊になり、時折視界もボヤけるが何とか俺一人で一年戦争からのベテラン3人の連携を躱しきれている。
だがライフルの照準も暴れん坊照準となり、ロックオンが間に合わないから感覚に任せて必死に射撃を続けるも、碌に当たりゃしねぇ!!
「くっそ、師匠達も本気、だな……!」
宇宙空間で愛機をバレルロールさせながら後ろ越しにマウントしていたバズーカを放棄、そのままの勢いでこっちに突っ込んでくるマラサイめがけて蹴り出してビームライフルを連射。
しかし、プレッシャーの圧から恐らく師匠と思われるマラサイはバズーカが蹴り出された時点で大きく離れており、バズーカにビームが刺さった事で発生した爆発も特に有効打にはなりえなかった。
くっそ!初見のティターンズ兵なら大体コレ引っ掛かるのに!
なおコレやるとアストナージさんから武器本体を、ミサイル感覚で使い捨てるなと怒られるのは言うまでもない。
「ぐぁっ!?」
そしてそんな隙を歴戦の部隊が見過ごすわけがなく、後衛に陣取っていた恐らくアデルさんのマラサイが持つ長物なライフルから放たれたビームが俺のネモの右脚を吹き飛ばし。
更に回避機動を取ろうとしたネモのバックパックにあるウィングバインダーの片方が、適度な距離を取りながら牽制を続けていた恐らくベイトさんのビーム連射で破壊され。
トドメとばかりに突っ込んできた師匠のマラサイに俺のネモが拘束され、もう片方の手に握ったビームサーベルからビーム刃が伸び始める。
「ビュンビュンビュンビュン飛び回りやがってぇ……! やっととっ捕まえたぞ馬鹿弟子ぃぃ!!」
お肌の触れ合い回線によって繋がった師匠との通信、そしてスピーカーから飛び出る憤怒の罵声。
やっべ、俺死んだわ。機体を動かそうとしても最悪なタイミングでリミッター解除のツケがネモを襲い、MS単機の拘束も振り払えそうにない。
「てめぇには山ほど説教があるから覚悟しとけ!! ベイト!アデル!戻るぞ!」
「おいおい……いいのかモンシア? 愛弟子確保できて嬉しいのはわかるが、俺達へ下された命令はアーガマの撃沈だろ?」
「はん! 気に食わねえジオン野郎と手を組もうとか考える上官なんざ知るかよ」
「そんな事言ってるから出世が遠のくんですよ、まったく」
俺に対して怒りに満ちた罵声と、わかりにくいが伝わってくる安堵の圧を感じながら万策尽きたわーなどとコクピット内で両手を上げる俺。
そんな師匠の言葉にベイトさんが愉快そうに告げるが、知った事ではないと吐き捨てる師匠に対して苦笑いを浮かべながらも強く反対しようとしないアデルさん。
こっちは死に物狂いだったけど、やっぱベテランつええわ……もう平常運転だぞこの人ら、バケモノか。
しかし俺ティターンズに捕獲されたら、何のかんの言って死ぬかもしれんなぁ。
……ん? なんぞレーダーに反応が?
「おい待てモンシア、なんか大群が来てる」
「このシグナルは……アクシズです!」
俺を機体ごと拘束したままドゴス・ギアへ3人が戻ろうとした時、ベイトさんが訝し気な声を上げアデルさんが緊迫した声を上げる。
そんな事やってたら、ネオジオン製可変MSことガザCがわらわらわらわらと接近し、あれやこれやの末に俺は師匠達から拘束を解かれ……。
まともに動けない状態故に、ガザC複数機に曳航される形でアーガマに生還する事に成功するのであった。
ちなみに同じタイミングでガザCとキュベレイを伴って、Zガンダムもアーガマに戻ってきたでござる。
しかし師匠、滅茶苦茶ストレス溜まってそうだったし俺とベイトさんとアデルさんが止めないと、あそこでガザC軍団相手に戦闘始めかねなかったなぁ。
まぁ、うん、そりゃそうだわなぁ……。
・
・
・
そんなこんなのなんやかんやあって
それはそれとして、アーガマのブリッジで見たハマーン様美しかったなぁ……
・
・
・
で、まぁ色々ありまして。
グワダンにアーガマクルーと一緒に乗り込み、ミネバ・ラオ・ザビに謁見する事となったのですが。
カミーユの不信感プレッシャーは言うまでもないけど、さっきからクワトロ大尉のプレッシャーが半端ない。
ついでにスポンサーのウォンさんは胃が痛そうにしてるでござる。
「サングラスの方、前に」
ハマーンから二度呼びかけられ、クワトロ大尉が前に出る。
やっべーよ、怒りのオーラが可視化して見えるよこえーぞグラサン。
そんなクワトロ大尉の剣呑な様子に気付いてないのか、広間の奥にある立派な玉座に座った少女ことミネバは無邪気な笑みを浮かべ。
子供の頃遊んでくれた想い出をクワトロ大尉へと語り掛ける。
「変わりないようだ、また会えて嬉しい。遊んでくれたの覚えているよ」
「二歳の時のことを、覚えていらっしゃいますか?」
なんかちらちらとハマーンの方から探る思念が来るけど、ちょっと無理を通してミネバの感覚を探るが……うん、割と純粋に喜んでるなアレ。
まぁ人間、幼児期の頃を変に覚えてたりするし金髪でグラサンと言うパンチの効いた特徴があれば記憶にも残るわな。
とか思ってたら、なんか特にやべー様子になってきた。
ガノタ的には名場面に立ち敢えて嬉しいが、当事者になると洒落にならんな色んな意味でコレ!
そう思うや否や、俺の足は全速力で前に進み始めていた。
控えているネオジオン兵が一斉に銃を構えるが、視界の隅に映るハマーンが興味深そうに俺を見ながら無言で手でネオジオン兵達を制している。
「おいカツ!」
「多分大丈夫だから心配するなカミーユ!」
ここで止めないとエライ事になる、止めてもエライ事になるかもしれんが!
「落ち着いて下さいクワトロ大尉!」
「えぇい政治に首を突っ込んで来るなカツ!」
「そりゃ止めますよ!その子怯えてるじゃないですか! 二歳児だって意外と遊んでくれた人の事覚えてるもんですって!」
突然始まったクワトロ大尉と俺の寸劇じみたやり取りにきょとんとする玉座の上のミネバ、そしてネオジオン兵。
ハマーンだけめっちゃ愉快そうに眼を細めてるのがクソこええ!
「子供だって頼りになる人、愛情をくれた人の事は覚えてるんですよクワトロ大尉!」
「ぐぅっ……ええい、放せ!」
「ぎゃふん!?」
必死こいてクワトロ大尉を羽交い絞めしながら呼びかける俺、そんな俺の言葉に苛立ちを隠そうとせずクワトロ大尉は乱暴に振り払う。
ついでに質の良い絨毯に俺は顔面から叩き付けられた。
「あいたたた……ちょ、ちょっとクワトロ大尉おちつい……ぎにゃーっす!?」
慌てて顔を上げる俺の視線の先で、怒り冷めやらぬと言わんばかりに大股でハマーンへ近付くクワトロ大尉を慌てて追おうとする俺であるも。
さすがにネオジオンの首領であるミネバの前で騒ぎ過ぎたせいか、屈強なネオジオン兵達に抑えつけられ再度床へ叩き付けられる俺。
何とか顔を上げた俺の視線の先には、ハマーンの胸倉を掴み上げるクワトロ大尉が居た。
ついでに視界の隅に映るミネバが、見た事ない珍獣を見る目で俺を見てるでござる。
「アクシズの旗印として育てるのはいい、あの子の血の宿命と言えばそうだろう……」
しかしその仕草とは裏腹に、その声はどこかやるせなさを含んだ怒りに満ちていて。
「しかし、何故ミネバを偏見の塊に育てた! ザビ家を背負わせるにしても、もっとやり方はあっただろう!?」
悲痛とも言えるクワトロ大尉の叫び、しかしその言葉をハマーンは鼻で笑うとクワトロ大尉を振り払い。
そしてほどなくして集まってきたネオジオン兵らによって、俺と同じように拘束される。
割と大尉ってクールぶってるけど、大事な所で熱血になるよね!
と、言うわけで敢え無く我々アーガマクルーはグワダンの一室に監禁される羽目になるのであった。
いやはやどうしたもんかね、ついでに何故他のクルーと一緒に一室に放り込まれたのに俺だけ簀巻きにされたのだろうか?
おーいカミーユ解いてくれー!ウォンさんはなんで俺をどうしようもないアホを見る目で見てるの?!
『没ネタ』
やるせない怒りを抱えたままミネバに近付こうとするクワトロ大尉。
しかし次の瞬間、背後にいつの間にかカツが忍び寄っていた、そして。
「三年殺し!!」
赤いケツに突き刺さる指、割れるグラサン。
ゆっくりと膝から崩れ落ちるシャア・アナルズブ。じゃなくてクワトロ・バジーナ。
こんなどうしようもないネタが、当初のプランでした。