コバヤシさん家のカツだって一生懸命生きてるんだよ!! 作:社畜だったきなこ餅
ニュータイプのキラキラ空間というものに果たして時間の概念はあるのだろうか?
そして人はどこから来てどこへ行くのか?ゼロもD.O.M.E.も何もない世界では誰も教えてくれない。
そして俺は今。
「デラーズさん、それポン!」
「すまないねボウヤ、それをロン。国士無双さね」
「うそやん?!」
俺はニュータイプ空間でコタツを囲み麻雀を打っていた。
デラーズ、ガトー、シーマ様とか言う面子を相手に。
「アタシが張ってたのなんて見え見えだったろうに、バカだねぇ」
一撃で箱下にまで叩き込まれた俺から点棒を掻っ攫いながらカラカラと笑うシーマ様、その笑顔はとても悪い笑みである。
「そっちのおひきの方もお粗末だったけど、アンタは少しは駆け引きも覚えな」
上機嫌そうにシーマ様は俺と同じくタコ負けしたガトーへ愉快そうに視線を向けて嘯き、満足したと言わんばかりにコタツから立ち上がる。
「おのれ、逃げるか女狐!」
「ああそうだとも勝ち逃げさせてもらうさね、死んだ後にここまでスッキリ出来たのは望外だったけど。そろそろアイツらも待ってるだろうからね」
口惜しそうに叫ぶガトーをシーマ様はゆるりとあしらい、ゆっくりとその姿を消していく。
開幕から麻雀やってた俺が言うのも何だが最初からこんな和気藹々?とした空間ではなかった。
死んだと思ってたのに目覚めたらキラキラしたニュータイプ空間的な場所に放り出され、誰が誰かもわからない感情の蠢く空間だったのだ。
そんな空間の中で俺に撃墜されたっぽいティターンズの人の魂の怒りを受け止めたり、宇宙で散った人の嘆きを聞いたりビームランチャーオーバーロードさせて敵艦隊を撃破するのと引き換えに自分も戦死した人の話を聞いたりして。
体感で1年以上、下手するとそれ以上をこの空間で漂ってたら気がついたら俺は、この空間にコタツを現出させて色んな戦死者の人や未練を残した人達の話を聞いていた。
俺も自分が何を言ってるのかわからない。
「少年よ、感謝する」
「ほえ?いやー、俺も最初は恨み節言ってたしおあいこじゃないっすかね?」
そんな津々浦々しょうもない事に想いを馳せていたら、唐突にデラーズが俺に頭を下げてきた。
いやー、このオッサンも最初はあまり好きじゃなかったけども……色々話聞くと、ガトー含め嫌いになれなくなってしまってなぁ。
「私は自身の成した事、ギレン総帥を信じた事を否定するつもりは今もない。しかし……残されたジオンの民、そして地球と宇宙に住む咎無き命から目を逸らすべきでは無かった……」
慚愧をその表情に湛えて呟くその姿は狂信的な信念で災禍を撒き散らした男の、遅過ぎる哀しい懺悔だった。
「閣下……!その罪はこの私も同様です!」
デラーズもガトーも、宇宙に漂う未練の念で結構責められてたからなぁ、流石に鉄心で突き進んだ男でもしんどいよなぁ……。
しんみりとした空気がコタツを中心に漂う、とりあえず何でもありなのを良いことにお茶と煎餅を出しておこう。
「ガトーよ、これから我々が齎した災禍によって未練を残した人々の呵責を受け。そして栄光に未練を持つ者達を共に在るべき場所へ連れて逝く、ついてきてもらえるか?」
「ハッ!何処までもお供致します!」
そして何やかんやのやり取りの末にデラーズさんとガトーさんも腹が決まったらしい。
二人は決意を固めた表情で互いに頷き合うと、俺に向かってとても綺麗なジオン式の敬礼をしてくれた。
俺もコタツから立ち上がり、エゥーゴ式の敬礼で応じる。
言葉は、不要だった。
しかしそうなると困った事が起こる。
「どないしょ、麻雀のメンツが足りん」
顔は怖いけど豪快で面倒見の良かったドズルのとっつぁんや、死後も割と坊やだったガルマと何か憑き物が落ちてたギレンとか色々交流はしたけど……麻雀わかる人意外といないんだよなぁ。
ギレン?俺があの規格外の天才に勝てるわけ無いだろうがいい加減にしろ!
「それなら、私とお話なんてどうかしら?」
またあの世お悩み相談室やろうかなぁとか考えてたら、背後から声がする。
ガノタなら誰もが知っているかもしれないミステリアスな声で、そして俺がこの空間に来て初めて聞いた声に振り返ると情景が一変した。
コタツも麻雀牌もお茶も煎餅も消え果て、まるで光の奔流のような空間に俺は投げ出され視線の先にはお団子ヘアで褐色肌の少女が奔流の中を飛ぶように泳いでいた。
いや違うあの光の奔流の軌跡一つ一つが人の魂の輝きなのか。
「お久しぶり、かな?ララァ・スンさん」
「そうね優しい子」
アムロとシャアの死闘、そしてシャアの命を救うべく命を散らしたひげきのニュータイプ。
俺がガムシャラにアムロに戦ってはダメだとあの時ホワイトベースのブリッジに飛び込んで、必死に訴えた時に見た姿からララァは何も変わってはいなかった。
「あなたの事をここに来てから……いいえ、ここに来る前からも見ていたわ」
「え?そうなの?!」
そして衝撃の事実、まさか俺もララァからのウォッチ対象になっていた件。
「あ、とりあえず報告ですけど。クワトロ大尉……じゃなくてシャアさんは何のかんの言って頑張ってますよ、女の人愛するの下手くそですけど」
「大佐はそれでいいのよ、それにあの人は愛されたいのに愛する事を強要されている」
「それは、まぁ、たしかに」
そして知ってはいたけどやっぱりクワトロさんのこと全肯定だったでござる。
いやでもララァの言う事もわからんでもない、あの人カミーユや俺から頼られるとじみーに嬉しそうだし張り切るんだよな。
「見えた刻の中のあなたと、今のあなたは何処か違うのは何故かしら?」
「何でですかねぇ……」
コロコロと見える情景も会話も変わる中、不意にぶつけられた質問に自分でも不思議だと首を傾げる。
一般通過ガノタでしか無いはずなんだけどなぁ。
「ガノタ?不思議なのねあなた」
「それについては同意です」
いやマジで、俺何でこの世界に転生してきたのか今でもわからない。
「だけど、あなたもそろそろ目覚める時よ」
「え?俺も死んだんじゃないの?」
そして唐突にララァから告げられる覚醒の刻。
普通に脱出失敗して宇宙に漂う浮遊霊状態だと思ってたけど、違うのん???
「あなたが紡ぐ刻、これからを見させてもらうわ」
そして俺の意識はそのララァの言葉を最後に、真っ白な光に染まっていく……。
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「何の光ぃっ?!」
ガノタなら言わないといけない、そんな使命感と衝動に駆られながらかけられた布団を跳ね除けてベッドから飛び起き……全身に走る痛みに悶絶した。
いや待てここどこ?明らかにアーガマの医務室とは違う。
「随分と賑やかな目覚めだな、カツ・コバヤシ」
悶絶している俺に対して、ベッドの脇から声がかけられる。
明らかに鼻につく物言いと声音に俺は恐る恐る視線をそちらへ向ける。
「そろそろ目覚めると思っていたぞ?」
何と言う事でしょう。
そこには胡散臭い笑みを浮かべたイケメン、パプティマス・シロッコがおりました。
いや、なんでやねん(震え声)
ジークアクスやらスパロボYやらで、書きたくなったのでやりたい放題フルスロットルで書きました。
0083勢の台詞回しとかノリと勢いで描いてるから、その、解釈違いがあったら申し訳ない(震え声)