最初にそれに気が付いたのは見張りの兵士だった。周辺を見回っていると、鬱蒼とした森の中にそれを見た。
黒羊丘には、趙側すら気づけないほど小さな集落が点在している。そこでは老若男女が寄り添って厳しいながらも幸せに暮らしていた。
桓騎はその村人を手当たり次第に集め、拷問に掛けた後全員を処刑。そして殺した村人たちで、虹のような形の像を作った。虹の頂上部分には、小さな子供が多く使われており、誰もが恐怖に顔を歪ませて死んでいた。
それは「骸の巨像」と桓騎達に名付けられていた。
総大将を任されていた紀彗は、護衛として付いて来てくれた縁壱と共に「骸の巨像」を見ていた。その余りの残酷さに慄く紀彗達、ふとそこで紀彗は縁壱の方から漂ってくる気配に気が付いた。
「蚩尤・・・様・・・?」
「・・・・・・」
縁壱はぼうっと虐殺された人々を見ていた。深く暗い沼のような気配が、縁壱から漏れている。
紀彗の部下が、紀彗へ近づき話しかける。
「ご、ご城主・・・恐れながらこれの下に桓騎からの伝文が・・・」
「・・・読め」
「け、敬愛なる三大天縁壱殿、名将紀彗殿、敵ながら獅子奮迅の活躍お見事。二人を称えてこの骸の巨像を送る。目に焼き付けろ、こ・・・これ以上の惨劇を離眼の住人を使って起こしてやる故、楽しみにしていろ・・・と」
離眼城に居を置く全員が衝撃を受け、混乱しているその最中、桓騎軍は離眼へ向かって軍を動かしだした。居ても立っても居られなくなった紀彗が総大将である縁壱に声を掛ける。
「蚩尤様!このままでは・・・」
「・・・・・・私は、今回の戦には関わらない・・・紀彗殿、貴方が決めなくてはならない」
縁壱は巨像から目を逸らさずに紀彗へ返答した。紀彗は深く悩んだが、離眼を見捨てることはできないと判断して中央の丘を捨て、全軍で離眼へと急いだ。
「紀彗様ぁ!」
離眼城の子供たちが紀彗へ抱き着く、大人たちも帰ってきた城主の姿に顔を綻ばせていた。紀彗が軍を動かすと、桓騎軍はバラバラに散らばった。その内の幾つかの部隊を討った後、趙軍は離眼へと辿り着いた。
紀彗は国の要衝、黒羊丘よりも自国の民を選択したのだった。
日が暮れる頃、紀彗が万が一に備え、城で籠城するための準備をしていると、縁壱が近づいてくる。
「これは蚩尤様、何かありましたか?」
「・・・少し、出てくる」
縁壱の変わらない顔色に、紀彗は何か不吉なものを予感する。慌てて縁壱を宥める。
「蚩尤様、いけません!相手は昨日蚩尤様の戦う様子を見ています。罠があるやも・・・」
「あの者達に訊きたいことがある」
「なりません、これは、総指揮としての判断です。どうかお控え下さい」
「・・・李牧へ謝罪を、約束を破ると」
「蚩尤様っ!・・・っ!?」
顎に一撃をいれられた紀彗が倒れるのを確認して、縁壱は一人黒羊丘へと向かう。
黒羊の丘では、桓騎軍が大騒ぎしていた。どこからか連れてきた女を抱いて、酒を浴びるように飲む。少ない被害で黒羊を手に入れた桓騎の智謀に部下たちは喜ぶ。
丘の端で小さくなっていた飛信隊は、桓騎軍の振る舞いに苦々しい思いを持ちながらも、その被害の少なさに驚きを隠せないでいた。信は桓騎の強さに気に食わないながらも納得していた。
ただ、羌瘣だけは一人、青い顔をして体を抱きしめて座っている。あの巨像を見たときから、羌瘣はこうなっていた。
「おい、羌瘣?大丈夫か・・・?」
「信、絶対にあんな手は使うべきじゃなかったんだ・・・」
「そりゃ当たり前だ、だがよ・・・例え蚩尤が来たって、桓騎は準備してるって言ってたろ?」
「わかってない・・・解ってないんだ、お師匠様の怖さを、私も、誰も・・・」
震え、体を抱きしめる羌瘣。そのただ事ではない様子に、飛信隊の面々も心配そうに羌瘣を見ていた。突然、弾かれたように羌瘣が顔を上げる。
「信!急いで飛信隊を撤退させる!早く、急げ!」
遠くにいた飛信隊も、羌瘣の大声に何事かと酒を飲む手を止めた。
「は・・・?もしかして本当に一人で来たのか?」
信じられないとばかりに信が慄く。
「急げ!間に合わなくなるぞ!」
血走った眼で羌瘣が叫ぶ。
夜の闇が死神を連れてきた。
「ぎゃははっ、おい次は俺に抱かせろ!」
黒羊の村で捕まえていた女を使って遊んでいた桓騎軍の兵士は、酒でふらつく足を無理やり進めて息も絶え絶えな女の方へ向かっていた。とんと目の前に人が現れぶつかった。
「あん?おいごらぁ!どこ見て歩いてんだてめぇ!殺・・・す、ぞ・・・?」
赫い瞳が兵士を見ていた。辺りの気温がずんと下がったような気がした。
指が寒さにかじかみ、目が乾く。
するりと視界が右斜め上にずれていく。首を落とされたのだ気が付けたのは、地面に転がった頭が衝撃ではねたときだった。首だけになった男は、わけもわからずに死んだ。
隣で一部始終を見ていた男も、何が起きたのかはわからずじまいだった。間抜けな言葉が口から零れる。
「は?・・・おい?頭どうした?」
最初に冷静な判断を下せたのは、その部隊の隊長であった。首を斬り落とされた部下を見て、特徴的な侵入者の顔と服装を見て、大声で叫ぶ。
「て、敵襲っ!蚩尤!蚩尤がでた!」
縁壱は真っすぐ桓騎のいる本陣に向かってゆったりと歩き出す。
道中の兵士は皆近づく前に首を落とされた。誰も、どんな武器も、縁壱の歩みを一秒たりとも遅らせることができない。血と臓物の道を作りながら、一歩一歩進んでいく。
そのまま、縁壱は本陣へと辿り着いた。
「よお、蚩尤さま。こんな夜分にご苦労様なこった」
前方、右方、左方、周囲三方が切り立つ崖になっている。崖の壁面は滑らかに加工されており、崖が人口であることは縁壱にも解った。
縁壱の正面の崖上に桓騎は居た。椅子に座り、酒を飲みながら縁壱を見下ろしている。
「罠か」
「まあな、来るのは馬鹿だけだと思っていたが・・・馬鹿が」
崖は不自然なほど濡れている。不自然に波打つ壁面がただの水で濡れているわけではないと教えてくれていた。
「・・・訊きたいことがある」
「いいぜ?」
「お前たちは、何故あんなことが出来る?」
桓騎はふっと笑った。周囲の部下たちも、下卑た笑い声をあげていた。縁壱を嘲笑する部下の声が聞こえる。
「まじかよ!?こいつ、本当にお頭が言ったとおりの事言いやがった!ぎゃははは」
「どんだけ強くても頭はお頭以下なんだろ?じゃなきゃ一人でこんなところに来ねえし」
縁壱は静かに目を伏せて答えを待っていた。ニヤついた桓騎が質問に答える。
「別に?特に理由はねえよ。やれるからやった。面白かったろ?」
大声で笑う桓騎軍、その中で桓騎だけは縁壱から広がっている闇を凝視していた。
「何が楽しい?」
ぴたり、と音が止んだ。誰もがこれから死ぬはずの男を見ていた。闇が広がっていく。
「何が面白い?」
ぴしりと桓騎が持っていた瓶に罅が入った。縁壱の周囲の空気が歪み、捻じ曲がっていた。
「命を、何だと思っているんだ?」
縁壱が桓騎を見た。赫い双眸が見ている。ぞわりと背が震え、桓騎は部下へ命令する。
「やれ」
部下たちが崖上から樽を縁壱に向かって転がす。何百という樽が転がり込んでくる。
一つを縁壱が切り裂くと中から粘性のある液体が飛び出してきた。縁壱が液体を避ける。樽は脆いのか他の樽とぶつかっただけで粉々に壊れ、液体が周囲に広がる。
「膠か」
「正解。これだけ作るのは大変だったぜ。まあ
「・・・・・・」
桓騎は一人の子供を崖の前に立たせた。黒羊の生き残りだろうか、目を潰され手足を縛られている。木樽と共に桓騎が子供を蹴り落とす。
「助けないと死ぬぞ?」
「言うに及ばず」
縁壱が子供の下へと走り、抱きかかえる。体中に膠の付いた少年が、周囲の樽が、縁壱の動きを制限していく。微かに動きの鈍った縁壱に大量の膠付きの縄が飛ばされる。縁壱の手や首に巻き付いた縄を桓騎の配下達が引っ張り、拘束した。何千という桓騎軍が縁壱を引きちぎらんと全力で引っ張っている。
「つまんねえな、蚩尤、弱点まみれのお前が、本気で俺に勝てると思ってたのか?・・・甘ぇ、甘いんだよ、何もかもな」
桓騎を手を翳すと弓兵が三方から縁壱に矢を射る。縁壱が視線を桓騎の方へ向けた。
蚩尤の最期を見てやろうと目を合わせ、そこで気が付く。
(?・・・俺を見てねえ・・・何を見てる?)
縁壱は夜の闇の中、輝く三日月を見ていた。美しい三日月が、縁壱の瞳を照らす。
「兄上・・・お借り致します」
人を超えた怪力が日輪刀の柄に掛かる。日のように赫い刀身が闇のような紫色に塗り替わる。日輪刀が音を立て、その姿を変えていく。飛んでくる矢が何かに砕かれ、粉々になった。
「伍ノ型 月魄災禍」
縁壱を拘束していた縄が、膠が全て弾け飛んだ。周囲の地面が縁壱を中心に大きく抉れている。
異形の刀、人知及ばぬ力。およそ、人の業では無い。
「・・・雷土、火兎を鳴らせ」
「ああ」
桓騎軍の行動は早かった。作戦が失敗したと判断した瞬間、けたたましい笛が鳴り響く。桓騎を含めた全員が、脱兎のごとく逃げ出した。
だがそれよりも、縁壱の業の方が疾かった。
「拾肆ノ型 兇変・天満繊月」
暴風のような斬撃が、崖も人も、何もかもを呑み込んでいく。桓騎も衝撃で吹き飛ばされ、地面を転がった。丘の崩れる轟音が響いている。
「ぐっ!?雷土!馬を出せ!・・・らい」
桓騎の腹心であった雷土は、頭の上半分が消し飛んだ状態で立っていた。桓騎は舌打ちをした後、無理やりに立ち上がり馬を探す。
後ろから死神に怯える部下の悲鳴が聞こえてくる。たった一つの業で、桓騎は千以上の部下を失っていた。
「鬼は、一匹たりとも逃がさぬ」
縁壱は手当たり次第に桓騎軍を斬っていく。
桓騎の部下は、皆盗賊あがりである。そのため、こと逃走に関しては他のどの軍よりも自信を持っていた。全速力で走り、木の洞に隠れ、木の葉の中に埋もれ、軍の追撃を逃れてきた自負がある。
その逃亡術の全てが、縁壱の前では無力だった。どこに隠れていようと、隠れている場所ごと肉体が削り取られていく。
無論、逃げの一手を諦めて戦おうとする部隊もあった。桓騎軍最強のゼノウ一家である。
「フーフー・・・」
「ギエェエエ!」
「殺すっ!」
ひたひたと歩く縁壱の前に姿を現し、正面から殺そうとする。縁壱はゼノウ達を一瞥もせずに、兄が磨いた業を呟く。
「漆ノ型 厄鏡・月映え」
無数の斬撃が地を走りながらゼノウ一家を縦に切り裂いていく。大地が幾重にも抉れ、遥か先の大木がへし折れる。近くの小川の流れが変わり、水の音が鳴り響いた。
真っ二つに割れたゼノウの間を縁壱は何も言わずに進んだ。
まだ、夜は明けない。鬼が歩く。
桓騎は馬に乗り、森の中を全速力で駆けていた。ふと近づいてくる馬の音がする。横を向けば腹心の一人、黒桜が居た。
「お頭!無事かっ!?」
「・・・ああ、黒桜、状況はわかるか?」
「っゼノウと厘玉は一家ごと全滅した!私たちの所も殆どふっとんだ!・・・あんなの、あんなの人間じゃないっ!鬼だ・・・鬼神だ!」
「落ち着け、一番奥の合流地点まで逃げるぞ」
取り乱す黒桜を制して軍の立て直しを図ろうとする桓騎は、万が一の為に用意していた避難場所へ向かっていた。
「くそっ、ああ、わかってる。摩論や砂鬼も先に向かったはずだ・・・追いつかれてなければな」
「・・・急ぐぞ」
桓騎は滝へと辿り着いた。滝の裏にはそこそこの広さの洞窟があり、食料などが隠してある。名のある配下にだけ教えている、秘密の避難場所だった。
「お頭、周りで戦った様子は無い。大丈夫だ」
「ああ」
滝の間を抜けて洞窟へと入る、小さな道を松明で照らしながら進むと突き当りに広い部屋がある。果たして摩論一家と砂鬼一族はそこに居た。
首だけになった摩論が転がっている。武器を持って戦おうとしたのだろうか、皆手に剣を携え、中央に向かって倒れていた。
部屋の奥に鬼が立っている。
「て、てめぇ・・・どうやってここがわかった!」
震えながら黒桜が叫ぶ。
「一人、どこかに向かって逃げている男がいた。腕を落として見逃せば、血が教えてくれる」
摩論の方を見ながら、縁壱が淡々と告げた。黒桜を庇うように桓騎が一歩前へ出る。
「何人殺した?」
「・・・・・・四万と少々、残念ながら全ては斬れなかった」
「そうか、黒桜、やるぞ」
「お、お頭・・・無理だ・・・交渉でなんとか・・・」
戦おうとする桓騎を見て、何とか言葉で縁壱を説得できないかと人生で一番頭を働かせる黒桜。
「ふっ、無理に決まってんだろ?良いから弓矢で援護しろ」
返答は無かった、ごとり頭の落ちる音が桓騎の後ろから聞こえる。桓騎は振り向かず、縁壱をじっと見ていた。
何もかも、手から零れ落ちていく。そんな懐かしい感覚が桓騎を郷愁に浸らせた。視界の隅にずた袋を覆面代わりに被っている女の青くなった手が見える。
桓騎は全身の血が噴きあがるような怒りに身を委ねる。大きく剣を振りかぶった。
「壱ノ型 闇月・宵の宮」
反応は、できなかった。振り上げていた右腕以外が全て真横に両断された感覚がある。下を向けば崩れ落ちる下半身が見えた。衝撃が来て地面に体が落ち、血が噴き出していくのを感じる。
不思議と痛みは無い。抜けていく力を振り絞り、青い手へ向かって右腕で這いずる。
あと少しで手が届く、そこで桓騎は死んだ。
縁壱はその光景をただ、無機質な瞳で見ていた。
その後のことを縁壱はよく覚えていない。ただ、夢の中にいるような感覚で、全てが粛々と進むさまを傍観していた。
かすむ光景の中、紀彗や慶舎が自分を褒めたたえる声が聞こえる。縁壱を見て恐ろしそうにしていた兵士や住民たちも、紀彗達の表情を見て、次第に顔を綻ばせていく。龐煖が心配そうに、こちらを見詰めている。
供も何もかも断って、独り長い帰り道を馬に乗って進んだ。
意識がようやく戻ったのは、羌象に頭を抱きしめられた時だった。泣きながら自分を抱きしめる暖かい体温が、縁壱の冷めた体を溶かしていく。幽連が慌てたように縁壱の顔を掴んでいる。
「象、連・・・私は」
「何も!何も仰らないで下さいっ!縁壱様は悪いことなどしていないのです!どうかご自分を責めないで下さい!」
「縁壱、お前何日まともに食べてないんだっ!くそっ」
虚ろな瞳の縁壱に慌てて家へと戻っていく幽連。声をあげて泣いている羌象に縁壱が声を掛ける。
「象、私は・・・鬼を・・・」
「駄目です!喋らないで!こんなに痩せてぇ・・・うぇぇえん!」
里の奥から喬が駆けてくるのが見えた。少し見ないうちに随分と動きが良くなったなと、縁壱はぼんやりと思っていた。
「おとうさまっ!・・・おとうさま?だいじょーぶ?」
喬が心配そうに傍へ来た、小さな手の平が縁壱の頬へ触れた。その手を見たとき、縁壱は桓騎の最期を思い出した。
瞳から、とめどなく涙が零れ落ちていく。
「私は・・・人を、斬っていた・・・人を・・・斬ってしまった・・・」
縁壱は喬を抱きしめて、ずっと泣いていた。
遠くからその光景を見て、李牧は何も言えずに立ち尽くしていた。
「ここにいたか、李牧」
「・・・龐煖ですか、いつ里へ?」
「つい先ほどだ」
河原でぼんやりと黄昏ていた李牧をみて、龐煖は皮肉気に笑った。
川岸へ座る李牧、後ろに立つ自分。
「まるで逆だな」
「・・・ええ、そうですね・・・龐煖、私は・・・甘えていたのです」
「誰もが、そうだろう?」
「ふふ・・・そうかもしれません・・・私は怖かったのです、蚩尤殿のいない趙が・・・まったくお笑い種です。覚悟が足りていなかった」
「李牧、何をする気だ?」
何かを決心した李牧の様子に、龐煖は嫌な予感を覚えた。薄く笑った李牧が答える。
「私は何もしませんよ。ただ、これからを覚悟したのです」
「・・・そうか」
沈黙の中で、川のせせらぎだけが聴こえていた。数十秒ほどしたあと、龐煖が口を開く。
「李牧」
「?・・・何でしょうか?」
「そこをどけ、釣りができん」
思わず振り返った李牧は、龐煖が釣り具を全身一杯に準備している様を見て、思わず吹き出してしまった。
数か月後、趙の邯鄲にて李牧は悼襄王と謁見殿で話していた。周りには武官や文官が立ち並び、報告と議題の検討をしている。
ふと思いついた悼襄王が李牧へ話しかける。
「おお、そうだ李牧、鄴と邯鄲の道が完成したそうだぞ」
「それは・・・朗報ですね。あとで担当を労っておきませんと・・・それと――」
ばたんと勢いよく扉の開く音がして、慌てた様子で兵士が跪いた。
「伝令!秦が大軍を率いて侵攻中!敵軍、大将は
報告を李牧の横で聞いていたカイネが、急報に思わず声を荒げて李牧へ話しかける。
「っ!・・・また来たか!李牧様!如何いたしますか?相手は四軍全てを・・・全て?・・・なぜ全ての軍を動かせるんだ?楚や魏への守りは・・・?」
カイネは秦の軍事行動に違和感を覚えた。顔を歪ませる李牧は、目を強く瞑って呟いた。
「来ましたね・・・」
ばたばたと足音がして急使が続々と入ってくる。
「悼襄王様!燕のオルド大将軍!軍勢と共に趙へ向かっております!」
「大変です!魏と韓の連合軍が趙へ!」
「急報!斉の軍が趙へ進軍!城が既に攻められています!」
「伝令!楚の項燕大将軍!大軍を率いて趙へ進軍開始!」
次々と入ってくる報告の山に、カイネを始めとした武官や文官の顔色が青くなっていく。
誰かが呟いた。
「ま、まさか・・・合従軍・・・?」
燭台の倒れる音がする。
appapapappa様、50ノーティカルマイルの空様、誤字脱字報告ありがとうございました。
沢山の感想も有難うございます。