機動戦士ガンダム 水星の魔女  ターンA(エース)をねらえ!   作:ノザ鬼

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その12

18

 

** 理由 **

 

 無意識に、

「イフレさん!」

 声を上げ、

『グイッ!』

 操縦桿を倒していた。

 

 それに答えたモビルスーツは、

『ギュイーン!』

 弧を描き向きを変えた。

 

 

 その軌道に、

「よせ!」

 気付き、

「逃げろ!」

 マイクに、

「スレッタ!」

 がなるコーチ。

 

 

 その声を、

〔イフレさんを…。〕

 耳は聞いたが、

〔助けないと!〕

 心は聞かなかった。

 

 更に、モビルスーツを、

『ギュォォォォォ!』

 加速させる。

 

 

 先程感じた嫌な感覚は、遠く小さなものだった…。

 

 だが、今は…。

 

 はっきりと、この空域を満たす程に大きくなっていた。

 

 それが、凝縮して【悪意】へ変わりスレッタに向けられ【殺意】となった。

 

 

 全身で感じ取った瞬間!

 

 手が…。

 

 足が…。

 

 操縦桿とペダルを操作していた。

 

 それは…。

 

 目醒めつつある何かが、自分を動かしていた…。

 

 

 モビルスーツは、

『ギュ…。』

 操作に命ぜられるままに、

『ォォォォォ!』

 機体の捻り軌道を変えた。

 

 刹那!

 

 またも、天空よりの光の筋が降り注ぐ。

 

 だが、今回は明け渡された何も無い空間を貫いただけに終った。

 

 

 モニター越しに、目撃者となったナーデーア。

 

 その見開いた、

「い…。」

 目の、

「今のは…。」

 驚きと共に、

「撃たれる前に…。」

 感じた事が、

「避けた…。」

 口から出る。

 

 

 信じられない自分の目が、

「また…。」

 またもや現実を、

「撃たれる前に避けた…。」

 目の当たりにする。

 

 そして、

「まさか…。」

 自分の中でモヤモヤしていたものが、

「知っていた?」

 形を成し始めていた。

 

 無意識に口から出た質問に答える者は居ない…。

 

 だが、答えを知っている人物には心当たりがあった…。

 

 ゆっくりと、

「これが…。」

 首を巡らせ、

「特別扱いの理由(わけ)…。」

 コーチの顔を見詰めた。

 

 

 

19

 

** 嘲笑 **

 

 苛立ちが、

「こっ!」

 口から声と、

「のぉぉぉぉぉ!」

 共に吐き出される。

 

 イフレの元へ急ぐスレッタを、

『ビッ…。』

 嘲笑(あざわ)うかの様な射撃攻撃が、

『シューーーーーン!』

 立て続けに行われていた。

 

 スレッタの行動を完全に読まれている…。

 

 苛立ってはいたが、

「最初から…。」

 頭の中は、

「そのつもりで、イフレさんを…。」

 冷静そのものであった。

 

 

 頭の中に、

『カクッ!』

 響く声に、

『グイッ!』

 従い操縦する。

 

 

 またもや、

『ビッ…。』

 光の柱が、

『シューーーーーン!』

 降り注ぐ。

 

 

 全身に、

「狙いが…。」

 ひりつく感覚が、

「正確になってる…。」

 走った。

 

 吐く息が、

「このままじゃ…。」

 口の前のバイザーを、

「駄目だ…。」

 少し曇らせ、

「何とかしないと…。」

 消えていくを、

「だ…。」

 繰り返す。

 

 

 敵は、上手くデブリにでも隠れながら、攻撃していた。

 

 それも、スレッタに悟られないように、少しずつ位置を変えながら…。

 

 

 また、

『キュ…。』

 殺気が、

『ピィーン!』

 走る。

 

 無意識に、

『グイッ!』

 従い、

『ブイッ!』

 操縦桿を撚る。

 

 

 眼の前を、

『ビッ…。』

 光の柱が、

『シューーーーーン!』

 また降り注ぐ。

 

 集中させた

「見…。」

 意識が

「付け…。」

 敵を、

「たぁ!」

 発見させた。

 

 

 倒す操縦桿が、

『グイッッ!』

 モニターの、

「いっ…。」

 星達を、

「けぇぇぇぇぇ!」

 流れ星に変える。

 

 尾を引くノズルの光が、

『シュ…。』

 モビルスーツを、

『ババババ!』

 捕食者へと、

『ッーーー!』

 変貌させた。

 

 

 ついに、

『ピッ…。』

 捉えた姿に、

『ピッピッ…。』

 コンピューターが、

【UNKNOWN】

 を表示する。

 

 

 メインカメラを通し、

「そ…。」

 ビームライフルの、

「こ…。」

 レティクルが、

「ぉぉぉぉぉ!」

 スレッタの狙いとなる。

 

 右人差し指に、

『カチ…。』

 掛かる重みは、

『ッ!』

 少しだけ…。

 

 その重みが、命の重みだと…。

 

 まだ、スレッタは知らない…。

 

 

 誰もが、

『ビッ…。』

 勝ちを確信するビームライフルの一撃は、

『シューーーーーン!』

 狙い通りにモビルスーツへと吸い込まれる。

 

 

 確かに、

〔笑った…。〕

 感じた。

 

 そう、スレッタは感じた。

 

 それも、嘲笑(あざわ)らっただ…。

 

 

 アニメの描写なら…。

 

 ヘルメットのバイザーの口元だけが、

『ニヤリ…。』

 透けて見える。

 

 であろう…。

 

 

 見開く目が、

「あっ…。」

 自分の失敗を、

「しまった!」

 思い出させる。

 

 自分が撃ったのは、殺傷能力が無い模擬戦用のビームライフルだと…。

 

【ノーダメージ。】

 

 そして…。

 

 コンマの以下の反応の時間を遅らせる。

 

 

 それは十分な時間であった。

 

 敵が放つビームライフルの一撃が、スレッタのモビルスーツを襲う。

 

 

 遅れた反応を、

『グオ…。』

 操縦桿を、

『ォォォォォ…。』

 倒す速度で、

『ッ!』

 カバーする。

 

 

 その瞬間!

 

 スレッタの体感時間が引き伸ばされる。

 

 

 ゆっくりと…。

 

 スローモーションで…。

 

 こんなにも、もどかしい時間は経験がないと思える程に…。

 

 

 操縦桿にモビルスーツが反応しない。

 

 故障か?

 

 そう感じられた…。

 

 

 スレッタの感覚では何分も遅れ、体を捻(ひね)るモビルスーツ。

 

 

 実際は、普段と変わらぬ反応であった。

 

 

 間一髪で、ボディへの直撃を交わす…。

 

 が!

 

 右手のビームライフルが、身代わりとなった。

 

 

 咄嗟に、

『ポイ…。』

 手を離し、

『ッ。』

 ビームライフルを投げ出す。

 

 

 それは、眼の前で起きた…。

 

 イフレの時と同じくビームライフルが膨らみ、

『グォォォォォ!』

 残りのエネルギーを爆発に変換していた。

 

 

 同時に…。

 

 モビルスーツに、

「間に…。」

 シールドを、

「合えぇ!」

 構えさせる。

 

 

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