機動戦士ガンダム 水星の魔女  ターンA(エース)をねらえ!   作:ノザ鬼

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その14

22

 

** 秘密ノ **

 

 光の尾を引くビームは、命を刈り取る一撃である。

 

 当たれば、助かる確率は少ない…。

 

 そう、スレッタは初めての実戦…。

 

 命のやり取りをしているのである。

 

 

 極限のプレッシャーは、十代の少女の精神と体力を奪っていく…。

 

 

 デブリの陰に身を潜めるスレッタのモビルスーツ。

 

 コックピットでは…。

 

 ヘルメットのバイザーを、

「はっ…。」

 曇らせる息は、

「はっ…。」

 間隔が、

「はっ…。」

 短くなっていた。

 

 疲労が、

「ふ…。」

 目に見え、

「ーーっ。」

 蓄積されている。

 

 今の状態から、

「このままじゃ…。」

 推測される答えは、

「やられる…。」

 簡単であった。

 

 額に流れる汗を、

『ツーッ。』

 ヘルメットの上から、

『キュッ…。』

 また無意識に右手が拭う。

 

 

 スイッチを、

「何か…。」

 切り替えながら、

「ないか…。」

 表示を読み取っていく。

 

 それは…。

 

 悪あがきではなく、信頼であった。

 

 スレッタのコーチに対する信頼…。

 

 とは、少し違う…。

 

 他の女学生も一人一人に目を配らせ、的確な指導を行う姿は信頼できた…。

 

 まあ、言葉の選び方と態度は置いておいてだが…。

 

 そんな、コーチがわざわざ寄越(よこ)したものが、これだけのはずはない…。

 

 そんな読みが働いた…。

 

 

 何度目かの、

『カチッ…。』

 スイッチ操作。

 

 お約束の、

「ん?」

 画面を戻す操作。

 

 前の画面の、

「こ…。」

 表示を、

「これは!」

 再確認する。

 

 

 アニメ的表現なら…。

 

 スレッタがモニター画面を見るのではなく…。

 

 モニター画面からスレッタを見るアングルである。

 

 薄っすらと透けるモニター画面に映る画像と文字の奥に、こちらを見るスレッタ。

 

 その顔に浮かぶ表情…。

 

 左の口角が少し上がり、

『ニヤリ…。』

 効果音を出す。

 

 目は、

〔流石、コーチだ。〕

 語る。

 

 そんな、何かを期待させるシーンである。

 

 

 鼻から、

『すーっ。』

 吸い込んだ息を、

「はっ!!!」

 気合と共に吐き出す。

 

 そして…。

 

 ヘルメット越しに、

『バシッ!』

 両手で頬を張った。

 

 そして…。

 

 操縦桿を、

『グッ。』

 握り直し、

「いくぞ!」

 自らを鼓舞する。

 

 

 押し込まれた操縦桿が、

『グイッ!』

 モビルスーツに、

『グ…。』

 パイロットの、

『ォォォォォ…。』

 意思を伝え、

『ン!』

 光の尾を引かせる。

 

 

 

 

23

 

** 決着 **

 

 敵が、

『ビシューーーン!』

 撃つ。

 

 

 その前に、

『グイッ!』

 スレッタが、

『ギュィィィィィ!』

 回避する。

 

 

 スレッタが、

『ビシューーーン!』

 撃つ。

 

 

 敵が、

『ギャォォォォォン!』

 回避する。

 

 

 その攻防は、正に千日手!

 

 互いに譲らず戦い続ける。

 

 

 その一挙手一投足を、

「きゃぁ!」

 モニターで見ている、

「えっ!」

 女学生達が、

「あぁぁぁぁぁっ!」

 悲鳴にも似た声で、

「危ない!」

 飾る。

 

 

 それは、突然やって来た…。

 

 この楽しい時間の終わりである…。

 

 

 スレッタが、

『ビュ…。』

 デブリの陰から、

『ゥゥゥゥン!』

 出る。

 

 

 その瞬間!!!!

 

 モニターに映ったビームライフルの銃口。

 

 軌道が読まれていた…。

 

 知らず知らずに、体力と精神が削られ、いつしか単純な動きになっていた…。

 

 

 敵の、

『ニヤリ。』

 モビルスーツが、

〔勝った!〕

 と…。

 

 

 

 その瞬間…。

 

 俯き加減のバイザーの反射でスレッタの表情は読み取れない。

 

 だが…。

 

 辛うじて透ける口元に浮かぶのは…。

 

 少し口角が、

「そうだよね…。」

 上がり、

「その位置に…。」

 確かに、

「来るよね…。」

 笑っていた。

 

 

 

 それは、些細な違和感となって感じられた。

 

 何かは、解らないがが確かに感じられる。

 

 モニターに映るスレッタのモビルスーツを確実に勝利の瞬間に捉(とら)えていた。

 

 モビルスーツのコンピューターが、

『ピッピ…。』

 先に違和感の正体に気が付いた。

 

 モニターに画像解析された二枚の静止画。

 

 無い!

 

 スレッタのモビルスーツが装備していたはずのシールドが、今は無い。

 

 

 敵の迷いが生んだ数瞬の時間…。

 

 それは、スレッタには十分過ぎる刻(とき)であった。

 

 力を、

「もう!」

 入れた指が、

「遅い!」

 トリガーを引く。

 

 スレッタの機体が、

『ビッシューーーン!』

 駆け抜けた軌道上のデブリの陰から、

『ビッシューーーン!』

 放たれるビームの光が、

『ビッシューーーン!』

 交点を結ぶ。

 

 そこは…。

 

 敵のモビルスーツ!

 

 

 時間にして、瞬き二回程…。

 

 

 ビームの交点が、

『チュ…。』

 宇宙に、

『ド…。』

 爆炎と、

『ォォォォォ…。』

 爆音を、

『ン!』

 ばら撒いた。

 

 

 

 

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