機動戦士ガンダム 水星の魔女 ターンA(エース)をねらえ! 作:ノザ鬼
03
** 出会イ **
憂鬱…。
それが、彼女の気分を押し潰していた。
その上、心の声が口から漏れている。
但し、誰にも聞こえない様に自分の口の中だけで…。
両足を、
「何で…。」
交互に、
「私が…。」
出す度に、、
「転入、初日に…。」
重く、
「呼び出し…。」
引きずるのは、
「食らうのよ…。」
見えない枷(かせ)が、
「もう…。」
付いているからだろう。
長い、
『ぴっ…。』
長い道程の末に、
『たっ…。』
止められた足。
眼の前に、
『ドッ…。』
目的の扉が、
『ドォォォォォン!』
聳(そび)える。
まあ、聳えるに関しては、彼女から見た主観が大いに入っている。
平たく言えば[これは彼女のイメージです。]ってやつだ。
覚悟を決めるように、
『スーーーッ!』
鼻から深く吸い込んだ空気を、
『はーーーーっ…。』
口から出す深呼…。
いや、彼女の場合は深い溜め息か…。
その中に、
〔いきなり家庭の事情で辺境の水星の学園へ転校って…。? 〕
愚痴が込められていたのは、
〔どうなのよ私?〕
至極当然だったのかもしれない。
そして…。
恐る恐る伸ばす、
『ぷるぷる…。』
右人指が、
『ぴたっ…。』
インターホンのスイッチに触れる。
一呼吸。
それで、勇気…。
それ程ではなく、踏ん切って、
『ポチッ…。』
右人指を押し込む。
学園らしい雑踏だけが、
『ワイワイ。』
この場を支配していく。
それ程の間、身動ぎしないで固まったままで待っていた。
脳内で、
〔留守かな?〕
都合の良い思考が、
〔帰っても良いよね…。〕
巡り始める。
自ら出した答えを、
「もう一回…。」
肯定する為に、
「だけ。」
とりあえず口から出してみる。
ゆっくりと、
「すーっ…。」
緊張を、
「ふーっ。」
深呼吸で紛らす。
そして…。
ぎこちなく、
『ギギギッ。』
視線をインターホンへ向け再度、
『ぷるっ。』
勇気を込めて押し…。
込むよりも、
『プッ…。』
コンマ・ゼロ秒早く、
『シュー。』
扉が開く。
その瞬間!
緊張が硬直に変わる。
扉の向こうから現れたのは長身の男性。
目で確認するよりも
〔この人…。〕
早く、
〔血の臭いがする…。?〕
直感が報せる。
高い位置から、
『ギロ…。』
落とす視線が、
『リ。』
認識した音を出す。
その音が彼女を更に、
『ビクッ!』
身を堅くさせた。
長身の男性は、
「付いて来い。」
静かに言い放ち、
『ツッ…。』
歩み出す。
彼女の束縛が解けたのは、男性の大きさが三分の二程になった頃…。
気が、
「はっ!?」
付き、
『ツッ…。』
踏み出した足で
『キュッ!』
向きを変え、
『タッ!』
小走りさせた。
04
** ソコハ… **
長身の男性から、
『スタ…。』
一定の距離を保ち付いて行くのは、
『スタ…。』
実に彼女らしと言えた。
男性の背中を、
〔新しい学園は…。〕
ボーッと見ながら、
〔迷宮と…。〕
そんな思いながら、
〔同じなんだな…。?〕
何度目かの角を曲がる。
不意に、
『くるり。』
向きを変えた男性が、
『プッ…。』
部屋の前で、
『シューッ。』
扉を開く。
そのまま、中へと消えて行く。
予想外は、
「あっ!」
人を驚かせ、
「待って…。」
焦らせる。
それは、
『タッ…。』
歩みを、
『タッタ!』
またも小走りにさせた。
男性に遅れる事…。
数秒…。
彼女は扉を潜り、何故か間に合ったと安堵する。
が!!!!!
一斉に、
『ギロリ!!!!!!』
向けられた視線が、
『カッ…。』
身体を、
『キーーーン!』
硬直を超え石化させた。
並び列んだ同じ服装の女学生が、最初に入った男性に注いでいた視線を、一気に彼女へと変えた。
それが、石化の原因であった。
今だ石化の彼女は、ただ固まるのみ。
そんな彼女には、
「本日より…。」
目もくれずに、
「この科のコーチを務める…。」
淡々と、
「アーシャだ。」
女学生達へ話す男性。
女学生達は、
「キャー…。」
若いイケメンコーチの、
「ーッ!」
就任に舞い上がる。
そんな事は、
「彼女は、スレッタ。」
我関せずと、
「この科の編入生だ。」
続ける。
見開いた目が、
「えっ!?」
驚いたと…。
それが、
『ジロ…。』
合図となり、
『ジロ…。』
女学生の視線が、
『ジロ…。』
興味から、
『ジロ…。』
値踏みへと変わる。
それは、彼女…。
スレッタの石化の硬度を上げた。