目が覚めたら見知らぬ天井が見えた。ここは、一体?というか生きて帰って来れたのか。あれからどうなったのだろう。キュリエは、クロヒコさんは、スコルバンカーはどうなってしまったのだろう。
「ぐっ、ここは?」
「おや? あ、イム殿が目を覚まされたぞ! おい! シャナトリス殿にイム殿が目覚められたと伝えろ!」
「はっ」
騎士団の制服を着た人が部屋を出ていくのを見ていると、私の近くにいた人がこちらを向いた。
「お加減は大丈夫ですか? イム殿」
質問に答えるため起き上がろうと――
「は、ぐっ!?」
体中に痛みが走った。
「イム殿!? 大丈夫ですか!?」
「……すいません。まだちょっと起き上がれなさそうです」
「無理はしないでください、大怪我を負ってらっしゃるのですから」
「……キュリエとクロヒコさんはどうなりましたか?」
「それは」
騎士団の制服を着た人が答えようとしたときドタドタと誰かが走ってくるような音が聞こえて来た。そしてその音は私のいる部屋の前まで来ると止まった。
「「イム! 具合は大丈夫か!?」」
「イムさん大丈夫ですか!?」
おそらく大慌てで来たであろう息をはあはあと言わせている三人が私の前にいた。
「イム、本当に、本当に大丈夫なんだな?」
「今は体を動かせないだけですから大丈夫ですよ、……おそらく」
「全然大丈夫ではないし、安心できんな。2日も起きなかったのに、大丈夫とはとても思えんぞ」
「同感じゃ」
キュリエとシャナさんは顔をしかめている。
骨は折れていないみたいなのでおそらくしばらくしたら治るとは思う。
「治療術式もかけてもらっていますからもう少しで治ると思いますよ」
この世界には治療術式という怪我を直すことができる術式がある。骨折や病気には効かないが大変役に立つ術式である。本当に骨折していなくてよかった。
「まあ、確かに経過を見ていくしかないかの」
「そうだな」
「……こんなことになってすいません」
この三人にはとても心配をかけてしまっただろう。大変申し訳ない気持ちで一杯だ
「謝るな、イム。少なくともお前が来なければ私は死んでいただろう」
「俺もですよ、イムさんがいなければ撃退することは難しかったと思います」
キュリエとクロヒコさんが優しげな表情で私を見た。
「ありがとうございます。二人とも。撃退できたんですね。でもどうやったのです?」
「……クロヒコの禁呪は複数あるのだが、その中の第八禁呪というものがある。それは左腕を強固な腕にするものなのだが、スコルバンカーがその状態の腕の皮を剥いだ」
「えっ」
「……その後、クロヒコが皮を剥がれた状態の腕で殴ってな」
「は? え? 正気ですか?」
「……言われてるぞ、クロヒコ」
「……あれしかスコルバンカーに効く攻撃を思いつかなかったんです」
確かに、クロヒコの腕は包帯が巻かれているなと思っていたが、だからだったのか。
「そしたら時間切れだと言って消えてしまった」
「時間切れ……」
「また、どこかで現れるかもしれん。そのときはまた戦わなければならないな」
「……正直億劫過ぎるぞ、イム、クロヒコ、キュリエで漸く戦える相手なんぞ、どうすればいいのか」
「「「……」」」
「まあ、後々考えるしかないかの」
「そうだな、だが一つできることがあるとすれば」
「すれば?」
「イムとクロヒコを戦わせたいな。やはり強者と戦わせると戦わせるほど動きはよくなるからな」
「後は俺の使える禁呪を増やすことですかね」
「……私の場合はそれに加えて聖魔剣の能力を鍛えるべきかもしれませんね、あまり使って来なかったですから何回も使って能力を鍛えればもっと対抗できるようになるかもしれません」
「……今さらじゃがお主ら伸び代やばくないかの?」
「シャナ、本当に今さらだ。この二人は伸び代しかないぞ」
「キュリエ、あなたも入ってますからね?」
「いや、成長性はクロヒコの方が」
「いや禁呪込みなので純粋な成長ではないんですが」
「……力を持っておったのがお主らでよかったわい」
シャナさんは呆れた、でも嬉しそうな顔でそう言った。
「そう言えばクロヒコさん」
シャナさんがギアス王子に連絡をしに行くと言って医療室を離れたので、私は聞きたかったことを聞くために口を開いた。
「はい?」
「スコルバンカーは何か言ってませんでしたか。何か……そう変なことを」
「……言ってました。この世界を形成していた神々とか、異界の暴虐なる神々たちから侵略されたとか、あちらの世界から逃げて来たとか名前が変質したよく分からないことを」
「……ありがとうございます」
「イム? そんな考え込んでどうかしたのか?」
「いえ、大したことではないです。ちょっと混乱しているだけで」
このことは話さない方がいいだろう。だってスコルバンカーの正体が
私は質問に対し黙ることしかできない。なぜなら、説明するためにはあることを説明しないとできないのだから。
「申し訳ありませんでした。ギアス王子、ルノウスレッドでの滞在日数を延ばしてしまって」
「問題ありませんよ。父上とこの国の大臣には許可をもらっていました。むしろ、建造物を思う存分楽しめたので私としてはむしろ感謝したいぐらいですよ」
「そう言って頂けると幸いです」
帰りの馬車の中で私が謝るとギアス王子は朗らかに笑った。
いや、本当にそう言ってもらえることに感謝しかない。色々調整とか大変だっただろうし。
「イムは考え過ぎじゃ、確かに日数は延びはしたが、イムの力がなければ不味かったわい。むしろスコルバンカーとやらの力を知れた分良かったと考えるべきじゃ。何せローズに負けなかった相手が負ける程の相手がいるということが分かったのだからな」
「スコルバンカーとやらは何をしたいのでしょうね」
「全く情報がないのでなんとも言えません」
「一先ず国に帰ってから考えるしかないの」
シャナさんは顎に手をやってそう言った。
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実はこんなことがあった(補完)的な話
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