(追記)(注意)この話以降かなりのネタバレがあります。原作を後で読もうと思っている方は注意してください。
「……え? ……あのシャナトリス・トゥーエルフ様。冗談……ですよね?」
「冗談でも何でもない、見つけたのじゃ。さあ、神罰隊に入ってもらうぞ、ついでにシャナと呼ぶがよい」
何故か条件増えているがそれどころではない。いくら何でも早くないですか? この情報の伝達遅い世界で半年で人が見つかるとはとても思えない。
「いや、友人が保護しておっての。ラッキーだったわい」
ええ……。そんな偶然あります?
「いや実は友人のいるルノウスレッドに行ったらその直後に四凶災がルノウスレッドに襲撃してきての。そのときキュリエ・ヴィルステインと共闘して見つけたのじゃ」
「……すいません。今、四凶災と言いました?」
四凶災、それは最悪とされている四兄弟の呼称である。名の通り災害のような被害を出している存在だ。有名なエピソードとしてはギュンタリオス帝国との戦いがある。あるときギュンタリオス帝国の軍隊が小国に侵略し始めた。帝国はわずか半年で大陸の半分を征服してしまった。そして帝国はある意味最大の空き地である終末郷に目を着け、そこを征服しようとした。そこで帝国は出会ってしまった。最悪の四兄弟に。帝国軍は四人の男に次々と襲われ結果撤退に至ったとされている。馬鹿げた話に思えるがこれはおとぎ話でも何でもない、事実なのだ。
しかも帝国からお金や地位など与えると打診されても全く答えなかったとされている。これだけ聞くとまるで正義の味方だが彼らは無差別に人を殺している。国が連携してでもなんとかしないといけない問題だ。問題だったはずなのだが――
「もしかして倒せたのですか? 四凶災を」
「うむ、なんとかな」
ヤバい。ルノウスレッドの戦力が高すぎる。よく倒せたものだと感心する。
「あのシャナトリス――」
「シャナと呼ぶがよい」
「あの」
「シャナ」
「……シャナ様」
「せめて、さん」
「シャナさん」
「なんじゃ」
「……」
いいのだろうか、これは。
「それにしても本当によく倒せましたね」
「うむ、運が本当によかったのじゃ」
「何があったんです?」
シャナさんは私の言葉にうむ、と言い頷いた。
「第六院の出身者が協力してくれたり、何よりも伝説の禁呪使いがいたのじゃ」
禁呪って確か最強の呪文か。あれはおとぎ話の産物だと思っていたのだが、実在していたのか?
「……あの、それは話していいものなのですか?」
「普通は駄目じゃよ? じゃがお主には神罰隊に入ってもらうつもりだし問題ないじゃろ」
「えっと」
「ちなみにじゃが、考えさせてもらうと言ったが入るとは言ってないなどという言い訳は通用しないからの?」
「……私、本当にシャナさんから勧誘されるほど強くないですよ」
「なんでお主そこまで自分を卑下するかの」
「事実です」
実際第六院の連中には本当にヤバい相手がかなりゴロゴロしていた。それと比べた場合私は本当に弱い。
「私の周りには私より強い人がいましたからどうしても私が強いとは思えないのですよ」
「対象が悪いのう。だってお主の周りにいた奴らって第六院の連中じゃろ」
……やっぱりばれているか。
「もしかしてキュリエから聞きました?」
「うむ、お主の存在は話されなかったがキュリエ・ヴィルステインが第六院出身ということは聞いたので知っているお主も第六院におったのだろうと思ったのよ」
「なるほど」
それならばれますよね。
「でも私が第六院ならむしろ神罰隊にいれるのはまずいのではないですか」
「うむ、本来ならの、ただお主は傭兵からの評判もよいしかなり話せるからの、それに問題行動も聞かぬと来た。ならばスカウトするじゃろ」
「……そうなんですか?」
「うむ、かなりよい。悪い評判は聞かぬ。それに実力もあると聞く」
「……」
「まあ、安心せい。試験はあるからそこで実力がないと判断されれば入れん。というか直接入れる訳ではないからの、養成学校で学んでから入団じゃ」
「まあ、それなら」
「あと、キュリエ・ヴィルステインに会わせてから編入させるからそこは安心するがよい」
「ありがとうございます」
まあ、それなら安心……かな? 実力がなければ落とされるだろうし、養成学校があるなら心の準備もできる。キュリエとも会いたいし、ここら辺が落とし所だろう。
「後、言い忘れていたのじゃが」
「なんですか?」
第六院のノイズ・ディースという者が捕まったみたいじゃ」
「はい?」
「中々ヤバいことを企てていたみたいでの。第六院と禁呪使いがなんとかおとなしくさせたようじゃ。ちなみに捕まえた後に友人がノイズ・ディースの身柄を預かると言い出したのじゃ、だからしばらくは殺されんとは思うぞ」
何をしているんだ。ノイズ!?
「ええっと、ちょっと待ってくださいね。情報が頭が入って来ないです」
確かにノイズは結構危険な思考を持っていた。世の中を劇と捉えていて実在の人物をまるで小説の登場人物のように扱う。そして小説のように劇的な行動を見て楽しむ。まるで読者のように、もしくは作者のように。しかもそれを実現させることも可能な能力や道具を持っているから、始末に悪い。
頭はいいし、魔法を自由に扱い、機転も利き、決断力もあり、変身能力まである。どうやったら倒せるか分からない相手である。当然私が戦っても倒せる相手ではない。いくつか条件が整えば別にだけど。
「試験の日は追って伝えるからの」
そう言うと彼女は帰って行った。
数日後、シャナさんの使者を名乗る人が私の泊まっている宿屋に来た。どうやら一週間後城の訓練場で試験が行われるようだ。試験の日に城に行くための馬車を手配しているので一週間後今泊まっている宿屋の前にいるようにとのことだ。
まあ、それはいい。問題は試験の相手だ。
「ローズ・クレイウォル、……ローズ……クレイウォル!?」
……待って欲しい。ローズ・クレイウォルって神罰隊隊長のローズ・クレイウォルのことですよね。
「……なんでそんな人と戦わせるんですか、シャナさん」
私は思わず呟いた。
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