人殺しの恋愛   作:桜猫空

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転校

転校ーー

 

突然告げられたあたしの生活を変える重要なこと

あまりに唐突で理解するのに時間がかかった

 

「転校……」

 

うわ言のようにもう一度、繰り返す

 

ーーまた、か

 

また同じ事を繰り返すのだ

転校を繰り返して、また孤立する

 

「あ、そこ寮生だから。さっさと出て行ってよね」

 

なるほどね

ただあたしを追い出したいだけか……

どうせ何も変わりはしないのにね

 

あたしは慣れたように残りの荷物を片付けに薄暗い部屋へ戻る

荷物はたった鞄二つだけ

また何もなくなった部屋で目をつむる

 

 

ーーうっわ、キモ……っ!

ーーあいつがいるから周りの奴まで怪我するんだよな……

ーーあんな化け物、死んじゃえばいいのに!

 

違う!あたしは何もしてない!

あたしはただ……!

 

 

あたしがいるから、いけないの?

あたしの存在が罪なの?

あたしは生まれるべきではなかった……?

 

何度自分に問うても答えは出ない

教えてくれる人は誰もいない

 

誰か、教えてください

 

 

 

ーー転校当日

足取りは重くなる一方だ

 

緑の茂る校庭を真っ直ぐに突っ切って職員室を目指す

中高一貫校のこの学園は当然広い

だが、生徒玄関のすぐ前だと聞いていたので迷いはしなかった

 

「失礼します……」

 

そっと職員室に入り、周囲を見回す

担任はどこにいるのかと探していると入り口付近の人当たりの良さそうな先生が

あたしはクラスDだと教えてくれた

お礼を言って職員室を出たあたしは自分のクラスへと向かう

 

「あ……場所、聞き忘れた」

 

気がつけば職員室からもかなり遠のいていた

つまりは迷子

その上、授業中なのか誰もすれ違わない

 

ーーどうしよう

 

「ねぇ、君!何してるの?」

 

明るい声が後ろから聞こえてきた

振り向いてもあたしの視線の高さには誰もいない

つまりはあたしより小さい子があたしを見上げていた

 

「あ、えっと……高等部の1年クラスDの教室ってどこかな?」

 

何故この子があたしに話しかけてきたのかは分からない

あたしは髪色明らかに人と違……

 

いや、あたしだけじゃ…ない?

 

この子も、違う

ぱっと見は普通だけど、目の色は深い蒼

でも、なんで……?

 

「ここ、中等部だよ?」

 

キョトンと見上げて言った答えに頬が引き攣る

中等部……?

全く違う場所じゃない!

 

慌てて取り乱すまいと平静を装う

もう一度向き直り改めて場所を聞くと、全くの別の場所

むしろ正反対と言ってもいい

 

「じゃあ僕が案内してあげよっか?」

 

正直、自分1人で辿り着ける自信がない

あたしはその申し出を有難く受けることにした

 

彼は嬉々として引き受けてくれた

どこか無邪気で可愛らしく見えるのは自分と同じだからだろうか

 

もしかすると、あたしのことを受け入れてくれるかもしれない……?

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