山田太郎が行く教室へ   作:ジャイリ

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時系列とかそんなもの分からないっす。ごめんなさい。
みんなで優しく太郎君と妙子ちゃんを見守ってください。


恥ずかしくたっていいじゃないか

 無事?自己紹介も終えてSHRは滞りなく終わり、妙子は一限目の授業を受けていた。

 

 周囲を見渡してみると、私語や居眠りが多く目立つ。中にはまじめに授業を受けているものもいるが、大半は授業態度が悪い者たちの方が多かった。

 

「なるほど、自由にするのが正解って感じなんだね。高校生ってまだまだ分からないこといっぱいでワクワクするな」

 

 みんなの授業態度を見て、自由こそ正義だと気づいた僕は、教室内をスキップすることにした。教室内は静寂に包まれる。みんな僕に注目してる。やっぱりスキップは偉大だなぁ。手を振りながら教室をスキップしていると、みんな僕から目をそらした。あれれ?恥ずかしいのかな。

 一通り満足すると席に戻る。やっぱりスキップは偉大だな。その後の一限目は何故か静寂に包まれていた。

 

 その後、僕は授業中にやってみたかったことをやってみることにした。ちょっとした紙切れで文通をするあれだ。お相手は堀北さんにしよう。

 

―授業とっても楽しいね―

 

 そう書いた紙きれを後ろに投げた。堀北さんは何事かとびっくりしている。その姿を見て堀北さんにウィンクをした。お返事ください。その思いを込めたので伝わるはずだ。

 

 しばらくたってもお返事は来なかった。

 

―堀北さんて下の名前はなんて言うの―

 

 またしても手紙を堀北さんに投げてウインクする。お返事は帰ってこなかった。わかった、堀北さんはシャイだからお返事するのが恥ずかしいんだね。だったら一方的に話しかけよう。なんか思ってたのと違うけど、そんなのは些細な問題である。

 

―昨日のTV面白かったよね―

―堀北さんはハンバーグ好きかな、僕は大好きなんだ―

―読書は好き?僕はライトノベルなら読むんだ―

―ゲームとかってやったりするのかな?―

―堀北さんてどんなことが好きなの?―

 

 何回も紙を提出したとき、背中から鋭い痛みをかんじた。

 

「いたーーーーい」

 

 叫んで立ち上がるとみんながぎょっとしてこちらを見ている。後ろを眺めると堀北さんはすごい形相でこちらをコンパスを持ちながら睨んでいた。なるほど、堀北さんが好きなことはコンパスで人を刺すことか。堀北さんの一面を知ることができて、仲良くなれたことに喜びを感じた。

 

 そんなこんなで、僕は授業中はとにかくやりたいことをして過ごすこととなった。高校生活って滅茶苦茶楽しいんだね。

 

 

 

 ある時校内放送が流れた。どうやら、部活動説明会を放課後体育館で行うという旨だった。こんなイベント参加しないわけにはいかない。さっそく堀北さんに声をかけよう。

 

「堀北さん、部活動説明会に一緒に行こう」

 

「いやよ」

 

 一瞬で断られた。あれれ?授業中にあれだけ仲を深めたはずだったのにな。

 

「じゃ、堀北さんの隣の席の男子、一緒に行こう」

 

「え、おれか?別にいいけど」

 

「やったーーーーー!ところでお名前は?私は山田妙子だよ」

 

「お前は山田太郎だろ……そういえば言ってなかったな、綾小路清隆だ」

 

「よろしくね、綾小路君。今日から僕たちは知り合いだね」

 

「よかったわね、綾小路君。部活動説明会に誘ってもらえて。ぼっちじゃなくなるわね」

 

「お前も来るか堀北?」

 

「いやよ、せっかくお知り合いになったんだから、二人で行ってきなさい」

 

「その理論だと堀北さんも知り合いだよ、やっぱり一緒に行こうよ」

 

 堀北さんは知り合い第一号だからね。やっぱり一緒に行きたい。

 

「いや、わたしは」

 

「よろしくって言ったら、好きになさいって言ってくれたもんね、めちゃくちゃ嬉しかったなぁ」

 

「……あの時の言葉を後悔するわ」

 

 ため息をつきながら堀北さんは頭を抱える。

 

「三人で言ったらきっと楽しいよ」

 

「……しょうがないわね、いくわよ」

 

「やったね、今日から僕たち三人はスキップ同盟だね」

 

「いやよ……」

「それはちょっとな……」

 

 思ったより反応が鈍い。きっと二人はまだスキップの魅力に気付いていないのだろう。スキップを愛するものとして、スキップを布教するのが僕の役目だ。

 

 堀北さんの左手を、綾小路君の右手をつかんだ。

 

「……何故手をつないだのかしら」

 

「これから三人で一緒にスキップをして体育館に向かおう」

 

「あなた、なにをいって」

 

「レッツゴー」

 

「ちょ、え、な、なんで体が勝手に!?」

 

「な、なんだこれは!?」

 

 二人は困惑しているが気にしない。スキップを楽しむのに誰しもが通る問題だ。きっとこれからスキップの虜になる事であろう

 

「るるるんるんるん♪るるるんるんるん♪るるるんるるるんるるるん♪」

 

「え、なにこれ、や、やめ、やめなさい、は、はずかしい///」

 

「ど、どうなっている???」

 

 

 

 そこには異様な光景が広がっていた。三人で仲良くスキップをして移動している。あたりの生徒はとんでもないものを見る目でその三人組を見つめていた。山田妙子はその視線を、スキップがうらやましいんだろうなと勘違いしていたため、更に嬉しくなりスキップの練度をあげる。

 

 高度育成高等学校の面々はこの三人組を、触れてはいけない存在だと認識した。高度育成高等学校のアンタッチャブルとして語り継がれるのは、また別のお話である。

 

―――――――――――――――

 

「とうちゃくーー」

 

 三人仲良くスキップをして体育館に無事にやってくることができた。やっぱりスキップは偉大だぜ。体育館はとても騒然としており、ほとんど物がこちらに注目をしていた。なんだろう?スキップがうらやましかったのだろうか。今度誘ってみるのもありかもしれない。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、何だったの一体」

 

「不思議な感覚だったな」

 

 堀北さんは息を切らしていた。初めてのスキップに少しばかり興奮したのかもしれない。綾小路君は息一つ乱していない。もしかして隠れスキップ愛好家なのかもしれない。今度聞いてみよう。

 

「それにしても楽しいスキップだったね。ここまで共にスキップをした仲だ。知り合いのままなんてもったいない。僕たちはもう友達だね。堀北さんは知り合い第一号だから、きっともう親友だ」

 

「……嫌なんだけどあなたと友達、ましてや親友なんて頭がおかしいのかしら」

 

 あれれ?なんでだろう?あっ、こんなスキップじゃまだまだ足りないから友達になりたいならもっとスキップをよこしなさいってことだな。堀北さんは欲しがりだなぁ。

 

「そっかぁ、堀北さんはもっとスキップがしたかったんだね。ごめんね気付いてあげられなくて。この体育館を何回かまわろっか」

 

 そういって堀北さんの手を握ろうと近づく。

 

「だ、だいじょうぶ、と、ともだちよ、いえ私たちは親友だから近寄らないで」

 

 やった、親友ゲットだぜ。しかし、距離を置かれるのはちょっとショック。まぁ恥ずかしがり屋の堀北さんなら仕方ないよね。

 

「やったーーーー!それじゃ下の名前で呼び合おっか。堀北さん下のお名前は」

 

「べつに、苗字でいいでしょ」

 

「私は妙子、これからは妙子って呼んでね。やった、親友嬉しいな」

 

「いや、あなたは太郎……鈴音よ」

 

「鈴音、いい響き、よろしくね。ほら、妙子って呼んで」

 

「……はぁ、妙子、これでいいかしら」

 

 くぅ、幸先いいね。親友ゲット。これからの学校生活が更にいいものになるだろう。

 

「あっ、もちろん綾小路君も友達だよ。知り合い第二号だから、親友枠はまだ上げられないけど、友達としてよろしくね」

 

「そうか、友達か。よろしくな山田」

 

「……あなたなんでちょっと嬉しそうなのよ。気でも狂った?」

 

「そういうお前は親友だろ」

 

「……遺憾だわ、どうしてこうなったのかしら」

 

 うんうん、この二人は相変わらず仲がいい。そして、そんな僕もこの二人の親友と友達だ。嬉しくなるね。

 

 

 

 

 そうこうしているうちに部活動説明会はいつのまにか始まった。

 

 いろいろな部活の紹介を聞いてみるが、いまいちピンとこない。やっぱりスキップしか勝たん。

 

「続いては生徒会からの報告となります」

 

 壇上の司会?らしき人物がそう言ったとき、鈴音の様子が少しおかしくなったことに気付いた。ちょっと心配になった。後でスキップに誘おう。そう決意を胸に秘めていると、壇上に眼鏡をかけたイケメンさんがやってきた。イケメンさんはその場でずっとたたずむまま、何も話さない。その様子に周りもざわざわとしだした。

 

「がんばってくださーい」

「かんぺ用意しわすれたんですかー」

 

 色々なヤジが飛び交う。ちょっとした嘲笑でざわざわもヒートアップ。あぁ、なるほど、そういうことか。これはいけない。僕はちょっとした決意をするのだった。

 

 

―――――――――――――――

 

side 綾小路

 

 生徒会長と思わしき人物が壇上に上がってから、周りの喧騒はヒートアップを続けていた。しかし、喧噪は次第に白けに移行し、そのあとは何事かとその異常性を感じているところだった。

 

 会長の威圧感、これは、場を支配するもの特有の空気だ。張り詰めた空気で静寂にきっと包まれ……

 

 

 ることはなかった。静寂に包まれそうになる瞬間にまたざわざわとあたりが騒がしくなる。

 なんだ?と思いあたりを見渡す。すると壇上にいつの間にか山田がいた。バッと横を向く。そこにはいつのまにか山田の姿はなかった。あいついつの間に。堀北も気付かなかったのか、少し狼狽した様子で壇上を眺めていた。

 

「みんなーーーーーーーー、人は誰だって得意不得意があるものなんだ、恥ずかしくて話せなくなることだってある。それはよくわかってるよね。だから、嘲笑した感じで見つめちゃダメ。応援してあげよう。ほら、みんな、せーの、がんばれーーーーーーーーー」

 

 シーンとなる。

 

「あれれ、おうえんしてあげよ、がんばれーーーーーって。せーーの、がんばれーーーーー」

 

 が、がんばれーーー。何人かつられるように声が上がる。

 

「いいぞいいぞ、せーーーーーの、がんばれーーーーーーー」

 

 がんばれーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。会場は一つになっている。

 

「僕はかわいい?」

 

 かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。

 

「やったーうれしいありがとう。よっしみんなでもっとこのイケメンさんを応援してあげよう、がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ」

 

 がんばれ、がんばれ、がんばれ、がんばれ。あたりはちょっとおかしいくらい一つになっている。

 

「うれしい。ここまで暖かく応援されるのなら、きっと頑張って話せるはず。恥ずかしがらないで、みんなあなたを応援してるよ」

 

 そういって山田は生徒会長に向かってウィンクをした。

 

 そうだ、みんな応援してるぞ! 会長、私たちちゃんと話聞くから恥ずかしがらずにはなしてー。

 

 生暖かいムードで会長を見つめる皆。

 

「大丈夫皆味方になってくれたよ。恥ずかしがらずにちゃんと話してみて、きっとあなたの話を聞いてくれるはずだから」

 

「あ、あぁ。あ、ありがとう」

 

 ウィンクをして山田は満足したのかマイクを会長に渡していた。会長少しうろたえている。

 

 まさか、これは仕込みだったのか。だとしたら何のパフォーマンスなんだ生徒会長。

 

 あ、ちがった。山田が三人の教師に取り押さえられて連行されだした。何が起こったかわからなかったためどうやら教師陣の対処が遅れたようだった。

 生徒会長は山田の奇行に巻き込まれたのだろう。なんだか少し哀れに思えた。

 

 もしかして、山田ってちょっとすごい奴なのかもしれない。俺はそう思って少しため息を吐いた。

 

 side out 綾小路

 

 

―――――――――――――――

 

 良かれと思ったのに教師陣に思いっきり連行されている僕。解せぬ。

 

 茶柱先生のため息とありがたい説教を受けたのち解放された僕は、体育館に戻ることにした。もしかしたらまだ鈴音と綾小路君がいるかもしれないからね。

 

 体育館に戻ると、部活動説明会は終わったのか、生徒の数はまばらになっていた。きょろきょろとあたりを見渡してみると、綾小路君を発見したので、そちらに向かってみることにする。するとそこには綾小路君のほかに三人の男子がいた。

 

「綾小路君、まだいたんだね、さがしたよ」

 

「あぁ、山田か。だいじょうぶだったか?」

 

「なにが?」

 

 綾小路君が心配そうにこちらを見てきたが、何も思い当たらなかったため、小首をかしげる。

 

「じゃ、じゃあな綾小路、俺たちいくな」

「ま、またな綾小路」

「じゃ、じゃな」

 

 僕の姿を見かけると三人の男子はそそくさとその場を立ち去った。なんで?

 

「どうしたんだろあの三人組」

 

「……お前は気にするな山田」

 

「そう?」

 

 少し慈愛の満ちた目でこちらを見てくる綾小路君。なんなんだろう?

 

「そういえば鈴音は?一緒に帰ろう三人で」

 

「堀北は頭痛がするって言って先に帰った」

 

 それは心配。鈴音だいじょうぶかなぁ。

 

「そっかぁ。それは心配だね。それじゃ、2人で帰ろうかスキップで」

 

「歩きたい気分だから歩こう」

 

 食い気味でそういわれたので仕方なく歩いて帰ることにした。スキップじゃなくて散歩しながらの帰宅も悪くないよね。

 

 

 

 

 寮に帰宅し、綾小路君と別れた後、鈴音のことが心配だった僕はお部屋までお見舞いに行くことにした。部屋番号を知らなかったため、受付の人に、親友の体調が心配の旨を伝えると、すんなり教えてくれた。

 部屋の前までたどり着きチャイムを鳴らす。しばらく待っても応答はなかった。心配になり、チャイムを連打する。100回あたりを迎えたところで玄関の扉が開く。よかったと思ったのも束の間思いっきりグーで殴られた。ナイスパンチ。

 すぐさま部屋に入れられて、正座をさせられて二時間くらいお説教を食らった。解せぬ。ただ、心配していた旨は伝わったのか連絡先を交換してくれた。やったね。ただ、あなたのせいで体調を崩したのだけどと悲壮感漂う感じで呟いていたのは謎だった。なんで?

 

 

――――――――――――――――

 

 あれよあれよという間に4月も終わりを迎えようとしていた。これまでの期間にいろいろな出来事がたくさんあったけど、とりあえず割愛するとしよう。いつかその内、四月中旬の話を語る時があるかもしれない。ここでは滅茶苦茶楽しい学園生活を送っていたとでも語って置く。

 

 そんな中、茶柱先生は突然こんなことを言い出した。

 

「今日はちょっと真面目に話を聞いてもらう」

 

 いつもとは違った雰囲気に、いつもはざわついている教室も少しだけ静かになった。

 

「お前たちには今日、小テストうけてもらう」

 

 ええええ、と不満が漏れる声が続出する。テストってあんまりみんなに人気がないみたいだね。テスト君かわいそう。

 

「まぁそう邪険にするな。このテストは成績には反映されない。お前たちの実力を測るためのものだと思ってくれればいい」

 

 ここで一つ気になったことがあったので手をあげてみた。

 

「なんだ山田?質問か?」

 

「はい。そのテストって、スキップしながら受けることはできますか?」

 

「…お前は何を言っている」

 

「いや、スキップをしながら受けたいなって」

 

「そういう事じゃない……スキップをしながらテストを受けられるわけがないだろう」

 

「そ、そんな、それじゃ僕は実力を発揮できませんよ」

 

 これは参った、スキップ抜きの僕はごみくずなのだ。

 

「馬鹿なこと言ってないで小テストを始めるぞ」

 

「スキップさせてください!」

 

「座って受けろ」

 

「スキップ」

 

「す、わ、って、う、け、ろ」

 

「はーい……」

 

 僕の小テストはきっと終わった。

 

 

―――――――――――――――

 

 五月。いつものようにラジオ体操などのルーティンを終え、ばっちりメイクを済ませたころ、珍しく鈴音から電話がかかってきた。いつも僕から連絡を開始するからとっても嬉しい。

 

「もしもし、愛しの妙子だよー。どうしたの?」

 

「あなた、今月のポイントは振り込まれていたかしら」

 

「ポイント?何の話?」

 

「は?ポイントはポイントよ。今月振り込まれる予定の」

 

「鈴音は何を言ってるの?ポイントが振り込まれるって何?」

 

「……あなた、本気で言っているの?」

 

「鈴音が何を言っているのかが全く分からない。そもそもポイントって何?」

 

「噓でしょ……100.000ポイント四月に受け取ってるわよね?」

 

「ほえ?あぁ、確かにあった気がする。でもあれって入学祝的なポイントなんじゃないの?」

 

「違うわよ……あなたもしかしてSシステムについて何にも知らないんじゃないでしょうね」

 

「Sシステムって何?」

 

 盛大なため息が電話から聞こえた気がした。

 

「あなたに聞いた私が馬鹿だったわ。山菜定食や無料商品しか手に入れようとしてなかったから、てっきりSシステムについてなにかしら気付いたことでもあるのかと思ってたけど。ただ単に節約していただけみたいね」

 

「ううん、ポイントは初日に全部使ったから無料商品しか使えなかっただけだよ」

 

「は?初日に全部?あなたそんなに何に使ったのよ」

 

「ファブリーズ」

 

「え?なに、何を言ってるの」

 

「ファブリーズ」

 

「……馬鹿じゃないの」

 

「ありがとう」

 

「ほめてないわよ!!」

 

 鈴音がすごい機嫌が悪くなってる。どうしたんだろう。

 

「頭痛がしてきたわ……」

 

「え、大丈夫!?学校に着いたらまた頭痛薬渡すね」

 

「……ありがとう。もう切るわ」

 

 心配だ。鈴音は頭痛もちなのかな。体が弱いであろう鈴音を、親友である僕は守ってあげないと。決意を胸に朝食を食べた後学校に向かうのだった

 

……………………

…………

……

 

 学校に着くと話題はポイントの話でもちきりだった。どうやら毎月ポイントが支給される予定だったらしい。鈴音が電話で言っていた内容と同じだった。ただ、Sシステムについて僕だけ内緒にされてるなんてひどいや。みんなして僕を仲間外れにして何が楽しかったんだ。……あれ?そういえば茶柱先生にいろいろクラスメイトに後から聞いておけって言われてたの忘れてた。てへぺろ、妙子のミスでした。

 

 茶柱先生が教室にやってきた。手には何かポスターのようなものをもって。

 

「これよりSHRを始める。が、その前に何か聞いておきたいことがあるんじゃないのか?」

 

 挑発するように茶柱先生が言った瞬間、一つの質問が投げかけられた。

 

「今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど。毎月一日にポイント支給されるんじゃなかったんですか?今朝ジュース変えなくて焦ったっすよ」

 

「本堂、前にも説明しただろ。ポイントは毎月一日に振り込まれる。今月も間違いなく振り込まれたことは確認されている」

 

 あの人は本堂っていうんだね。すぐ忘れそうだけど。学校側はちゃんと振り込んだんだなら安心だ。ミスじゃないならみんなハッピー。

 

「え、でも振り込まれてなかったよな?」

 

 生徒はがやがやと周りと騒ぎ出す。

 

「お前たちは本当に愚かだな」

 

「イエス、愚かの極みです。愚かって響きが何とも言えないので大好きです」

 

 一瞬の静寂。あれれ?何かおかしなこと言ったかな?

 

「愚か?っすか?」

 

「座れ、本堂。二度は言わない」

 

 およ、なんか無視された気が。気のせい気のせい。

 

「間違いなくポイントは振り込まれた。これは間違いない。このクラスだけ忘れられたなんて幻想も可能性もない。分かったか?」

 

「はは、わかったよティーチャー。このなぞなぞの真相がね」

 

「なぞなぞだったの?これ?」

 

 一瞬の静寂。

 

「要は、今月私たちに振り込まれたポイントは0ポイントだった。そういう事だろう?」

 

「は?何を言ってんだよ。毎月100.000ポイント振り込まれるって言ってただろ?」

 

「私はそう聞いた覚えはないのだがね。そうだろティーチャー」

 

「態度には問題ありだが、その通りだ高円寺。全くこれだけのヒントをやっておきながら気づいたのが数人とはな」

 

 およよ?さっきから無視されてませんかもしかして。そんなわけないか。それはそうと何をそんなに偉そうに語っているのだろう。最初にポイントはちゃんと振り込まれたって言われた時点で0ポイントが振り込まれたってのは誰だってわかることだと思うのに。は、もしかして、0ポイントが振り込まれたって言って机に足を乗せるのが今の高校生のブームなのかもしれない。とりあえず高円寺?の真似をして足を机に乗せてみようとする。

 どんがらがっしゃーん。

 とりあえず転んだ。

 何やってるのよ、ってあきれた鈴音の声が聞こえた。痛い。

 

「あの、先生。質問よろしいでしょうか。腑に落ちない点があります。どうしてポイントがゼロだったんでしょうか」

 

「……平田、それは本当に言っているのか」

 

 茶柱先生は僕の方をじっと見る。それにつられてみんなが僕に注目する。え、急に人気者、照れる。

 

「まぁいい。遅刻欠席、合計99回。授業中の私語や携帯を使用した回数158回。一月でよくもまぁここまでやらかしたものだな。この学校は、クラスの成績がそのままポイントに反映される。この一ヶ月間のお前らDクラスに対する実力を調査した結果、評価は0だ」

 

「ですが、先生。僕らはそんな説明は……」

 

「受けた覚えはないか?」

 

「はい、もし説明を受けていれば誰も私語や欠席なんてしなかったはずです」

 

「それは不思議な話だな平田。お前たちは小、中学校で授業中の私語や遅刻はしてはいけないことだと習わなかったのか?そんなわけがないだろう。その程度のことを説明しないとお前らは分からないのか。お前たちが当たり前のことを当たり前にこなしていれば、こんな結果にはならなかった。全てお前らの自己責任だ。大体、高校に上がったばかりのお前たちが、なんの制約もなく一ヶ月に100.000もの大金を使わせてもらえると思ってたのか?優秀な人材を育成することが目的のこの学校で?あり得ないだろう。常識を少しは身につけたらどうだ。なぜ疑問を疑問のまま放置しておく?」

 

 そこで、挙手をする。きれいに手を挙げた。

 

「……」

 

 すごい嫌そうに茶柱先生はこちらを見ている。なのでスマイルを返しておいた。

 

「なんだ山田」

 

「スキップはプラス査定に入りますか」

 

「入るわけあるか馬鹿者が」

 

 な、なじぇだ!?

 

「えぇ、スキップですよスキップ」

 

「お前のそのスキップに対する信頼は一体何なんだ。授業中に233回もスキップなぞしよってこの問題児が」

 

「ええ、まさかのマイナス査定なんですか!?」

 

「……確かに、お前がスキップをしたことによってなぜかこのクラスの授業態度はすこぶるよくなったのは認めたくないが事実としてある。事実なんだよなぁ……。もうお願いだから、話が進まないからしばらく黙っててもらえないでしょうかお願いします」

 

 茶柱先生の丁寧なお辞儀でした。

 

「はーい、そこまで言うならもう黙ってまーす」

 

「ありがとう……」

 

 その後平田君?がポイントの増減についての詳細を聞いて教えてもらえなかったり、今後このクラスはどれだけ問題行動を起こしてもポイントが減ることはないという情報をもらったり、いろいろな話が行われた。

 

 あと、どうやらクラスによって優劣があるらしく、AからDの順番に優秀な生徒が集められているようだった。僕たちは落ちこぼれクラスらしい。やったね、落ちこぼれ万歳。姉は優秀だったから姉だったらAクラスだったろうな。

 ちなみに

 

Aクラス940CP

Bクラス680CP

Cクラス490CP

Dクラス0CP

 

 という結果になっている。CPポイントを争って、CPポイントの変動によってクラスが変動する仕組みのようだ。あまりにも難解なので理解できずに眠ってしまいそうなのは内緒だよ。

 

「さて、もう一つ、お前たちにお知らせがある」

 

 そういうと茶柱先生は手に持っていたポスターのような紙を黒板に張り付けた。

 それは小テストの結果だった。

 

「これが本番でなくてよかったな。本番だったら下位の8人はすぐに退学になっていたところだ」

 

 クラスが騒然となる

 

「この学校では赤点を取ったら即退学だ。今回で言うと32点未満の生徒は全員退学ということになる」

 

「き、聞いてねぇよ!退学なんて冗談じゃねえよ!」

 

「私に喚かれても困る。これは学校のルールだ」

 

「ティーチャーの言うように、このクラスには愚か者が多いようだねぇ」

 

 爪を研ぎながら、机に足を乗せたまま高円寺?が微笑む。なんかかっこいい。今日は失敗したけど、いつか僕も足を机に乗せて見せる。

 

「なんだと!お前もどうせ赤点組みだろ!」

 

「フッ。どこに目が付いているのかね?上の方をよく見たまえ」

 

 高円寺?の点数は90点だった。えらいなー。

 

「そんな、須藤と同じくらい馬鹿だと思ってたのに……」

 

 すどうってだれだろう?

 

「それともう1つ加えておこう。この学校は高い進学率と就職率を誇っているが、その恩恵を受けることが出来るのはAクラスのみだ。お前らみたいな低レベルの人間が、自由に好きな大学、好きな就職先に行けるなんて上手い話が世の中で通るわけがないだろう」

 

 クラスは騒然となった。そりゃそうか。みんな願いが叶うと思ってこの学校に来てるんだもんねそりゃそうだ。

 

「あと、きっとお前とはさよならだな山田」

 

 うん、僕もそう思う。

 

 クラスのみんながこちらを向く。

 

「お前の小テストの結果は0点だ。何をやったところでお前は退学になるだろうな」

 

「「「えええええええええええええ0点なのぉおおお」」」

 

 さらば学園生活。スキップなしじゃ中間試験はきっと乗り越えられないだろう。楽しかったけど僕の学園生活はあとわずかなものとなる。一滴の涙が、僕の頬を伝った。

 

 

 

 

続く?




スキップがない太郎はごみくずの頭をしている。どうする太郎、どうやって中間を乗り越える。親友の鈴音との学園生活はもうあとわずかなのかもしれない。
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