山田太郎が行く教室へ   作:ジャイリ

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今日も元気に太郎ちゃんだよ♪

今回は少し短め。


がんばる、がんばるから

 Aクラスを目指す決意をした僕たちは、中間試験を乗り切るべく、再び綾小路君に協力を頼んでいた。

 

「また勉強会を開こうと思うの。協力をしてくれるかしら綾小路君」

 

「それは別に構わないが、わかっているのか堀北。昨日と同じようなことになれば何も意味はないぞ」

 

「わかっているわ。私なりに、ちゃんと考えて導き出した答えよ」

 

「僕たちはスキップ同盟だしね。僕たちが協力をすればどんな問題もへっちゃらさ」

 

「テストは大丈夫そうなのか山田」

 

 スキップ同盟は君たちが守り抜いてくれ……

 

「綾小路君との日々はきっと忘れないよ……」

 

「だから、あなたはすぐにあきらめすぎよ!!スキップ同盟なら大丈夫なんでしょ?」

 

「……まさか堀北からスキップ同盟という単語が出てくるとは。気でも狂ったのか」

 

「……自覚はあるわ」

 

「そ、そうか……話は分かった。それに関しての条件だが、今回も櫛田に協力を頼もうと思う。その方が俺たちだけでやるよりも成功率は上がるはずだ。お前は櫛田が苦手だろうが、それで構わないか?」

 

「それで構わないわ。とりあえず私から須藤君たちと話がしたいの。綾小路君、頼めるかしら」

 

「わかった」

 

 そういうと、綾小路君はそれぞれに連絡をするのだった。

 

……………………

…………

……

 

「んだよ堀北。勉強会なら参加しねぇぞ」

 

 呼び出された3人組の中で須藤?君は不機嫌な感じでそう言った。またもや険悪な雰囲気になりそうなので、櫛田?という人物は不安そうな顔をしていた。

 

「須藤君、ごめんなさい」

 

 鈴音は丁寧に謝罪をした。それに対して3人組は驚いたように鈴音を見ている。その姿に綾小路君も驚いたのか目を見開いていた。

 

「昨日の私は愚かだったわ。あなたを否定してしまったことを謝罪します。あなたはバスケットボールを誰よりも真剣に取り組んでいる。私の視野が狭かったばかりに簡単に否定し、侮辱してしまった。あなたは尊敬するに値する人よ。でもだからこそ、学力という分野でそのあなたの努力をつぶされてほしくないの。バスケットボールに向ける情熱を、勉強に向けることができれば、あなたならきっと乗り越えられると信じている。だから、勉強会に参加してくれないかしら。私が全力でサポートする」

 

「堀北、お前……」

 

 須藤?君の心は揺れ動いているようだ。ここは僕も全力でサポートをするしかない。だって、僕たちは、スキップ同盟なのだから。

 

「勉強会に参加してくれたら、今度みんなでスキップをさせてあげるよ♪」

 

「ぜってぇ参加しねぇ」

 

 あれれ?なじぇ?

 

 突然後ろから鈴音に殴りつけられる。痛い。

 

「話がややこしくなるから黙ってなさい」

 

「はーい……」

 

 しゅんとして僕は大人しくすることにした。

 

 その後、綾小路君がいい点を取った人は櫛田?さんとデートできるように話をつけたら、男子たちはすんなり勉強会に参加するのだった。絶対スキップの方が楽しいのに。解せぬ

 

……………………

…………

……

 

 僕たちは図書室に移動して、勉強をしていた。この前の勉強会と違って、ちょっとした言い合いはあるものの、順調に勉強会は行われている。心なしか鈴音も頑張っていて、そんな鈴音を見て僕はほっこりとしていた。

 僕は今、鈴音の作ったテストをやっているところだ。問題を全部解き終わったところで鈴音に報告をすることにした。

 

「鈴音、できたよ」

 

「そう見せてみて……あなた、解答欄が全部スキップじゃない。まじめにやりなさい」

 

「いやぁ、まじめにやってはいるんだけど、やっぱりスキップがないとこんなものでして」

 

「中間テストも本当にスキップって答えるつもり?本当に退学になるのよ」

 

「いや、何とかスキップができれば、」

 

「ふざけないで!!」

 

 突然鈴音は叫んだ。図書室にいる周りの人も何事かとこちらを見ていた。勉強会に参加している面々も驚いた様子でこちらを見ている。

 

「ちゃんとまじめにやれば退学にはならない。あなたの覚悟ってそんなものだったの?私と一緒にAクラスを目指すって言ったのは嘘なの?嬉しかったのに、そんな生半可な気持ちなら迷惑よ。私たちとスキップしていたいんでしょ?スキップ同盟はそんなに簡単に無くしてしまえるものなの?あなたのスキップへの思いはその程度ではないでしょ。それは私が知っている。それに、私はもっと一緒にあなたと学園生活を送りたい。……それはあなたも一緒だと思っていたのだけれど、私の独りよがりだったみたいね」

 

 鈴音の思いのたけをぶつけられ、頭をガツンとハンマーで殴られたようだった。鈴音が悲しそうにうつむいている。こんな顔をさせるなんて、親友失格ではないか。なさけない。

 

「……ごめんね鈴音。僕頑張るから、頑張ってみるから」

 

「……言い過ぎたわ。とりあえず、テストをもう一度やってみて」

 

 鈴音にテストをもらい、それをやってみる。

 

「うん、頑張ってみよう。全力で。きっとできるさ」

 

 テストに向き合う。これと向き合うことの意味を僕は嫌というほど知っている。どういう結果になるのかも。でも、あんな顔をさせてしまった。どういう結果になるのかはわかりきっているが、鈴音の為にその結果すら乗り越えるしかない。そう決意をしてテスト問題に取り掛かる。

 

 テストの問題がぼやけだす。息も苦しくなってきた。答案用紙に答えを書こうとする。手は震え、歯がカチカチと音を鳴らしだす。

 書け、書くんだ。スキップ以外の答えを。

 そう思っても手は思うように動いてくれない。目の焦点も合わなくなってきた。本格的にやばい。でも、鈴音に悲しい思いをさせるのはもっと嫌だ。気合で書け、書くんだ。震える手で答えを書こうとするも、筆は一向に動いてはくれなかった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

「ちょ、太郎、あなただいじょう、」

 

 心配でこちらに向かう鈴音を見たのを最後に、僕の意識は真っ暗になった。

 

――――――――――――――

 

 この感覚を僕は知っている。久しぶりの感覚だ。どうやら僕は気絶をしたらしい。意識が少しずつはっきりとして覚醒していくこの感覚。

 

 目を開けると、知らない天井だった。どこかに運び込まれたらしい。ふと手に感触があることに気付く。そちらに目を向けると、鈴音が手を握って座っていた。

 

「……気が付いたのね、よかった」

 

 鈴音の目が腫れていて赤くなっている。どうやら泣いていたみたいだ。泣かせたのはきっと僕だ。

 

「ありがとう、心配かけたみたいだね」

 

「突然気絶するものだから驚いたわ。保健室まで綾小路君と一緒に運んできたの」

 

「そっか、迷惑をかけちゃったね。ありがとう鈴音。それと綾小路君は?」

 

「勉強会に戻ってもらったわ。ちゃんと行われているかはわからないけど」

 

「勉強会にも迷惑をかけちゃったね。僕のことはいいから、鈴音も行ってあげなよ」

 

 鈴音はゆっくりと首を振る。

 

「心配だもの、付き添うわ」

 

「そっか、ありがとね」

 

 本当に迷惑をかけちゃったなぁ。でも、今は不謹慎にも、付き添ってくれる鈴音に嬉しさを感じてしまっていた。今度スキップの贈り物をしよう。

 

「……あなた、テストでスキップ以外を書こうとすると、もしかして今日みたいに倒れてしまうの?」

 

「実はそうなんだ。いつのころからか忘れたけど、僕はスキップ以外の答えを書けない。書こうとしたら必ず今日みたいになってしまうんだ。スキップしながらだと平気なんだけどね」

 

「意味が分からないわ。そんなことありえるの?けど、今日あなたは倒れてしまった。……わたしのせいね、私が無理をさせてしまった」

 

「知らなかったんだから仕方ないよ。それに、退学する訳にもいかないし、頑張んないといけないって無理したのは僕の意思だ。鈴音のせいじゃない」

 

「そう……それでもごめんなさい。知らなかったとはいえ、あなたに酷いことも言ったわ」

 

「それこそ気にしないで。むしろうれしかった。僕だってずっと鈴音といたいから」

 

「そ、そう」

 

 少し頬を染めて下を向く鈴音。どうやら僕のせいで疲れてしまっているようだ。頬が赤くなっているのは体調を崩しかけているに違いない。迷惑かけちゃったね本当。今度イヴを大量に買って渡す決意をした。

 扉のノックする音が聞こえ、そちらに目を向けると、綾小路君が入室してきた。

 

「どうやら気付いたみたいだな山田。大丈夫か」

 

「ありがとう綾小路君。運んでくれたみたいだね。迷惑かけちゃってごめんね」

 

「気にするな、俺もスキップ同盟の一員だからな」

 

 綾小路君、好き。

 

「それよりも堀北、悪い知らせがある」

 

「なにかしら?」

 

「どうやらテスト範囲が変更されているようだ。うちのクラスだけそれが伝えられていなかったらしい」

 

「なんですって」

 

「お前たちが保健室にいる間に、勉強会をしている俺たちがCクラスと揉めてな……揉めた内容は割愛するが、その時にテスト範囲が変更されていると知ったんだ」

 

「そんなことって……」

 

「詳しいことはわからない。知りたければ職員室に確認に行ってみたらどうだ?」

 

「えぇ、わかったわ。悪いのだけど、太郎を頼むわね」

 

「当然だ、俺もスキップ同盟なのだからな」

 

「……あなた以外と気に入ってるのそれ?」

 

「……意外と癖になっている」

 

「そう、それじゃ行ってくるわ」

 

 鈴音は保健室から出て行った。

 

「綾小路君、勉強会はどうなったの?」

 

「テスト範囲の変更やらが発覚したからな。とりあえず今日は解散になった」

 

「そっかぁ、大変なことになったんだね。僕もテストをどうにもできないし、前途多難だね」

 

 問題だらけだ。自分のことも満足に解決できない状況にもどかしくなる。スキップさえできれば。

 

「山田、お前の事だけならもしかしたら解決できるかもしれない」

 

「え?それはほんと綾小路君」

 

「あぁ。うまくいくかはわからないが、スキップしながらテストを受ける権利を、学校から買えばいい」

 

「そ、そんな裏技が!!綾小路君天才だよ」

 

 なんてことでしょう。そんな解決方法があったなんて。すごいすごすぎる。これなら僕はテストで退学になることはない。綾小路君本当にありがとう。スキップ同盟としてここまで誇らしいものはない。綾小路君こそがスキップの星かもしれない。やっぱり綾小路君は隠れスキップ愛好家だったのかもしれない。

 

「綾小路君は隠れスキップ愛好家だったんでしょ、そうなんでしょ」

 

「なんだそれは?」

 

「もう隠さなくってもいいよ、わかってるんだから。とにかくほんとにありがとね嬉しい」

 

「そ、そうか。よくわからないけど嬉しいならよかったよ」

 

 もしかしたら僕よりも上のスキップ力を持っている可能性がある。今後も共にスキップを高めあおう綾小路君。

 

「今回の事、俺じゃなくて山田が自分で権利を買うことに気付いたことにしてくれないか?」

 

「え?それはだめだよ、綾小路君の功績はみんなに自慢したい。スキップ同盟として自慢させてよ」

 

「それは困る。俺は目立ちたくない。スキップ同盟として俺がいるために必要なことなんだ。頼む」

 

 スキップ同盟として必要だと言われたら納得せざる負えない。いつまでもスキップ同盟に綾小路君がいてほしいからね。

 

「わかった、仕方ないけど僕の功績にするよ」

 

「助かる」

 

 しばらく綾小路君と話していると鈴音が返ってきた。鈴音にスキップで試験を受けられるかもしれない旨を報告すると、鈴音も嬉しそうにしてくれた。

 

 その後3人でスキップをしながら帰宅した。

 

―――――――――――――――

 

 中間試験は無事に終わった。

 

 スキップでテストを受ける権利を買ったり、過去問を櫛田?さんが用意して対策をとったりして事なきを得た。

 

 須藤?君は赤点を取ってしまったけれど、鈴音と綾小路君の機転で何とかした。ポイントで点数を買ったのだ。そのポイントは僕が全部出した。なんてったって僕もスキップ同盟。ポイントなんかで役に立つならいくらでもポイント使うぜ。

 

 僕の学校生活はまだまだ続きそうである。

 

 

続く?

 

 

―――――――――――――――

 

 ちょっとした職員室での出来事

 

「ちゃーばしーらせんせい。いらっしゃいますかー」

 

「なんだ山田」

 

「スキップしてテストを受ける権利を売ってくーださい♪」

 

「ほう、それはお前が考えたのか」

 

「ちが……そうです、僕が考え付きました♪」

 

「どうだかな。ま、いいだろう。前例がないからどうするか……テストを受ける権利は5万ポイント。在学中受ける権利をすべて買うなら80万ポイントだ」

 

「はーい、80万ポイント払います」

 

「……なぜそんなにポイントを……まぁいい、確かに受け取った」

 

 これで、僕のテストは安泰だ。よかったよかった。

 

「ところで山田、その手に持っているのは何だ?」

 

「あ、これですか?茶柱先生に香水のプレゼントです」

 

 茶柱先生の為に用意した香水を渡す。

 

「あ、あぁ。それは嬉しいが……何故プレゼントしてくれる?」

 

「?だって茶柱先生には必要でしょ?」

 

 いつもつけてるくらいだし、沢山あっても困らないはずだしね。

 

「わ、私に必要、そ、そうか必要か……やはり私はくさいのか」

 

「え?なんて言いました?」

 

「なっ、何でもない。ありがたく受け取って置く」

 

「はーい。ではさようなら」

 

 僕は職員室を出ようと思ったが、最後に一言。せっかっくプレゼントしたからね。

 

「ちゃんと、つけてくださいね、でないと、ね?」

 

 僕が悲しいから

 

「あ、あぁ。か、必ずつけるさ必ずな」

 

 ちゃんとつけてくれることを聞いた僕は満足してスキップで帰ることにした。

 

 帰る前に見た茶柱先生がとても悲しそうだったのはなんでだったんだろう?

 

終わり




 中間試験で赤点を取ったあと、罰ゲームで須藤君はスキップをさせられることになったのは内緒の話。

 須藤君は果たしてスキップ同盟に入るのか?それは神のみぞ知る。
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