ブラッドラック冒険譚   作:八雲こいし

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2話 勇者の使命

「は?」

 

 青年の反応は至極当然だった。そもそも彼は運が良ければ最強の剣を手に入れられると言う情報を聞いて、この催しに参加しただけに過ぎなかった。抜けなかったら抜けなかったで彼にとってはどうでも良かったはずだった。

しかし唐突に現れた翼の生えた人間。いや、天使と呼ぶべきであろう存在から貴方は勇者になりました〜なんて言われても困るのだ。だから青年の次の言葉は決まっている

 

「俺は勇者なんかに興味は無いし、なる気もさらさら無い」

 

「えぇー!?君が今引き抜いた聖剣は勇者としての素質がある者にしか引き抜けないようになっているから、それを引き抜いた君には何がなんでも勇者になって貰わないと困るんだよね」

 

「そっちの都合なんて知らねぇよ。さっきも言った通り勇者にはなる気はない。これ引き抜いてそんな使命押し付けられるくらいなら元に戻すぞ」

 

 そう言うと青年は元の収まっていた台座に聖剣を収めては、その場から離れようとする。

天使はその場から離れようとする青年に慌てて近づいては、背後から青年の腰に腕を回して強く抱きしめて止めに掛かる。

しかし青年の身体はその細い見た目に反して逞しく鍛えられており、たかたが1人がしがみついた所では何の意味も無く天使を引きずる形で歩くのを辞めない。

 

「ま、待って…いや、本当に待ってくださいお願いします。貴方に勇者になって貰わないと今人類を滅ぼそうと動いている魔王を倒す使命を果たして欲しいんです!!」

 

「…魔王?」

 

 魔王と言う単語を聞いて青年は歩くのを辞め、背後から抱きついて引き止めようとしていた天使の顔を見る。こちらの話を聞いてくれると思った天使は焦った顔から喜びの顔に表情が変わると一回咳払いをした後に喋り始める。

 

「そう、魔王です。あなたにはさっき抜いた聖剣を持って魔王討伐の旅に勇者として行って欲しいんですよ」

 

「だったら尚更俺の出番じゃない。俺の目的はそんな利他的な目的じゃ無いからな…」

 

 天使にそう告げると再び歩き出しては一刻もこの場から離れようとするが、すぐさまこの考えと行動を一転させる発言が天使の口から発せられる。

 

「貴方の妹さん…何者かに連れ去られたんですよね。その妹さんを連れ戻すのが貴方の目的…違いますか?」

 

「なぜ妹の事を?俺は兄妹に関する発言をしていないし、なんなら一言も妹なんてワードは出してない。お前…何を知っているんだ!!」

 

 天使の口から妹についての発言を聞くと青年は形相を変えては天使に近づき、胸ぐらを片手で掴んでは乱暴に腕を動かして知っている事を吐かせようとする。天使は青年の行動に対して驚くような素振りは一切見せず、口が裂けたような不気味な笑みを浮かべては

 

「ようやく興味が向いてくれましたね。貴方の村を焼き、両親を殺し、妹を攫ったそのマスクの人物……彼は魔王と深い繋がりを持っています。っと言っても私もそれぐらいしか分からないので出せる情報はこの程度です。しかし、勇者として魔王の討伐に動いて頂ければ、自然とそのマスクの人物へ繋がる手がかりを得ることが出来ると思っています。さて…この情報を聞いても勇者をしませんか?マスクの男の情報を得られなくて行き詰まってた貴方に取っては目指す目標としては良いと思いますけど?」

 

 天使から提示された情報は青年にとってはかなりありがたい情報だった。行き詰まっていた青年にとってはようやく掴んだ手がかり、何としてもその手がかりからマスクの男にたどり着けるとなれば何だってやってやる覚悟だ。

 

「分かった…お前の情報を信じて勇者になってやるよ。ただし!!マスクの男から妹を取り戻したら勇者は辞める。その後はそっちで後任を探せ…これで良いか?」

 

「えぇ…構いません。現状一刻も早く勇者が現れるのを待っていた状態だったので、貴方がある程度魔王陣営の戦力さえ削っていただければ暫くまた勇者の資格を持つ存在を待つ時間を稼げるので」

 

 お互い了承した。その後に言葉は要らない。青年は台座に戻した聖剣を再度引き抜いて空に向けて掲げると、自身の覚悟をより強める為に力強く柄を握り締める。

 

「あ、そう言えば名前を名乗って居ませんでしたね。私の事は天使…でも良いんですけどそうですね…ルーウィン。そう呼んでください」

 

「そうか…じゃあ俺も名乗って置くか。俺の名前はカインだ」




勇者の名前地味に考えるの苦労して一周回ってシンプルな名前にしまし

次回 ギルドと仲間
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