ブラッドラック冒険譚   作:八雲こいし

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3話 ギルドと仲間

「じゃあ、これで私は失礼します。何かあればこちらから連絡します。仲間を集めていざ魔王退治…では!!」

 

 ルーウィンはそう言って姿を一瞬で消すと、同時に止まっていた時間が動き始め、本来起きていた歓声が今になって沸き起こりカインの鼓膜を通してダイレクトに脳を揺さぶって行く。思わず耳を塞ぎながらその場を後にすると細い路地に逃げ込んで民衆から避難する。

 

「はぁ…はぁ…たかだか聖剣抜いただけであの騒ぎ様は何だ…そんなに勇者が誕生した事が嬉しいのか?」

 

 あの天使ルーウィンから魔王の存在を知らされるまで彼は世界の情勢や人類がどれだけ追い詰められていたのか分からなかった。何事もないように暮らしていたがそれは、いつかやってくる魔王達の襲来に対する現実逃避とも呼べる行為だったのかも知れない。しかしカインが聖剣を引き抜いた事で勇者という存在が居る事が分かり、そして今から魔王を討伐してくれるとなれば街中、いや人類にとっての希望の光の存在ともいえる。なのであの騒ぎなのだ。

 しかし世間と断絶に近しいカインの村ではそんな事など全く知らずに平和に暮らしていたので魔王の脅威がどれほど人類に絶望を与えていたのかなんて言うのは知る由も無かった。

 

「あの天使、使命押し付けてそのまま消えやがって……」

 

 カインは天使との会話の内容をゆっくり思い出して行き、まず自分が何をすべきなのかを考える。自身の目的の為に魔王陣営との戦闘は必須と考え、最後に天使が言った仲間を集める事を取り敢えず目標としてはとある場所を目指して歩き出した。

 

 

 カインの今拠点としている街では、毎日のようにバザーが開かれており、それによって街は活気付いているのだが、もう一つ活気付く要因がある。それはギルドだ。仕事を冒険者に斡旋したり、一般人からの依頼を冒険者に紹介したりと、何かと欠かせない組織なのだ。カインも路銀を稼ぐ為に時折りお世話になっている。

 

「なんか路銀稼ぎ以外で来るの初めてだな…変に緊張するな」

 

 建物の扉をゆっくりと両手で押して開けるとそのまま中へと入って行く。中では依頼を受注する者、パーティを組む為に人員を斡旋して貰おうとしている者、依頼の報酬を受け取る者などさまざま存在していた。そんな中でカインはパーティーメンバーの募集をする為に人員の斡旋をしてくれる窓口に並び始めた。自分の番になるまで待っていたが、いきなりカインの肩を掴んで声を掛けてくる人物が現れた。肩を掴んで来た人物の姿を視認する為に振り返ると、1人の男性が立っていた。長い金髪の髪に、耳はエルフ独自の横に長い耳をしており、背中には弓矢を背負っていたいわゆる狩人職だった。

 

「なぁ、あんた。その窓口並んでるって事は今メンバー募集しようとしてたんだろ?もし良かった俺の所のメンバーに参加してくれないか?ちょっとメンバーの役職のバランスが悪くて剣士が欲しかったんだ。あんたのこの腰に付けてるのは剣だろ?」

 

 っと言いながらカインに発言をさせる余地を与える事なく、カインの背後に回って背中を押しては無理やり動かして誘導する。建物内の隅っこで3人が立っており、カインはその3人の前まで連れてこられた。エルフの男性は案内をし終えると3人の元に移動してからそれぞれの紹介を始めた

 

「俺の名前はヴェルナー。見ての通り狩人で得意な弓矢で前衛の後方支援をしてるんだ。あとは周囲に敵が居ないかの探知魔法も多少は扱えるよ」

 

 そしてとヴェルナーが言いながら、重装備の甲冑に背中に盾と斧を携えた人物を始める

 

「彼はハモンド。持ち前の盾と鎧で相手の攻撃から味方を守りながら持ってる斧で攻撃する。いわゆる重戦士だね」

 

「よろしく。敵の攻撃が飛んで来たら全力で守るから安心してくれ」

 

 次の人物を紹介しようとしたが、2人の内の1人の大きな帽子を被った背が多少低い男性が纏っているローブの袖で隠れていた手を出してはヴェルナーに向けて突き出すと、静止するように促しては自分の事は自分紹介すると暗に伝えると自ら紹介を始める

 

「どうも、黒魔道士のポットルだ。攻撃魔法と相手の妨害魔法を主に使用するよ。大技として対象の動きを一瞬止める時間停止魔法を使えるよ。一瞬って聞いて使えなくない?って思ったかもだけど、戦闘においてはその一瞬が勝敗を分つのさ」

 

 ポットルに続けて最後の全体的に白い服装が目立ち、両手でしっかりと杖を持っていた女性がオドオドしながらも紹介を始める

 

「ええっと…白魔道士のラピリです。回復魔法と味方にダメージの軽減やブレス攻撃の軽減などの防衛魔法が得意です」

 

「っとまぁ、こんな感じで。狩人の俺含めて後方職が3人、前衛職が1人とバランスが悪くてね。それで前衛を務める剣士の君を連れてきたんだけどどうかな?もしパーティーで参加してくれるとありがたいんだけど」

 

 紹介された者達の役職や役割を考えれば剣を扱う自分は確かに足りない前衛の穴埋めと同時にパーティーのバランスを取るのに重要だと感じる。

 ちょうど仲間は欲しいとは思ってはいたが、いきなりメンバー募集して一緒に勇者の仲間として魔王討伐を手伝う人募集なんてしても参加する者は誰も居ない。だったらこちらから他のパーティーに参加して、パーティー内で信頼関係を気づければ、その後に自分が与えられた使命を明かせば手伝ってくれるかもと思考を巡らせては、自身も自己紹介をする事にした

 

「俺の名前はカインだ。もしかしたらさっき噂で耳にしたかも知れないかもだが、この街で毎年行われてた聖剣を引き抜く催しで、聖剣を引き抜いちゃった男だ。パーティーで行動するのは初めてで色々至らないかも知れないが、よろしくお願いします」




主人公とパーティーメンバーとどうやって絡ませればいいのか死ぬほど悩んだ…

次回 初めての大型怪物討伐
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