悪役が最後に笑顔で死ねる物語   作:あう

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シャンプーとシャワーの水が鼻に入ったから書いた。


締まらないなあ

 すっかり使い慣れた、蝙蝠のようなと形容するしかない自前の翼を広げて私は闇夜を駆けるように舞う。

 

 此れは案外知られていない事なのだが、只羽をバタつかせるだけでは鳥ではない私たち魔族は飛ぶことができないのである。

 なので態々そこそこ高度な技術を持ってして魔力で翼を操らなければいけない。

 これが存外難しくて、はいぱーえりーとな私でも自由自在に飛べるようになるのに2年の歳月をかけた。何せ人に*1によって魔力の操り方は違うので、他人からコツというものを教えてもらえるわけではないのだから。

 まあ普通の魔族なら四年かかるところを、私はたった2年で終えたのだがね!

 凄いな私。うん。

 

 

 

 

 で、そんな凄い私が何故こんなにも急いでいるのかというと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、絶賛ニンゲンどもに魔法やら弓やらを打たれている最中だからさ!

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 事の経緯はこうだ。

 

 今朝の私は苛々していて、何か憂さ晴らしをしたくなったのだ。

 かと言って物に当たれば母様に怒られるし、それ以外にニンゲンが持っているようなストレス発散グッズなども持ち合わせてはいなかった。

 如何したものかと頭を抱える中、聡明な私はこう考えた。

 

 “ヒト里を荒らしてくればいいじゃん!”と。

 

 我ながら名案だと思った。

 此れなら母様に怒られる筈ないし、最近のニンゲンの行動は目に余るものがあったからだ。

 そして何より。

 

 

 

 

 『ニンゲンの悲鳴って何かこう、来るものがあるんだよね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は真性の悪魔だったからだ。母様がニンゲンに行ってた拷問を思い出すと…ふへへ。

 我ながら最高の性格をしてるぜ。ぐへへ。

 

 よし。取り敢えず隣の国の村を襲いに行こう。

 そう考えて、思い立ったが即行動をモットーに生きている私はすぐさま城を出てその村に向かったのだ。侍女がなんか言ってた気がするか…気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 その結果がこうだ。

 いやー。まさかここまで追い詰められるとは…考えもしていなかった。

 

 いや、弁明させてくれ。これは決して私が弱かったわけでも、考えなしであったわけでもない。

 只ちょっと、ほんのちょっとだけニンゲンを甘く見ていただけなのだ。

 …それを考えなしというかは諸説ある。

 

 初めは良かったのだ。

 村を適当に燃やして周ったし、ニンゲンの悲鳴も沢山聞けた。思いの外村が広かったので私は喜声を上げながら荒らし周っていた。

 

 だけど一、二時間経過した頃か、奴らが現れてから徐々に雲行きが怪しくなったのだ。

 そう。奴ら——聖騎士団が現れたのだ。

 

 “我ら聖騎士団!”とかいう恥ずかしい名乗りを聞いた時は“聖騎士団?何それ。ウケる”と最近侍女から教わった言葉を使いながら如何やって煽り倒そうか悩んでいた。

 だって“騎士”って言うんだから、剣とか使うと思うじゃん。私は飛べるから攻撃当たらなくない?って。

 現に最初は剣とかを使ってきたからね。ちょこまかちょしてて少し邪魔だなーとしか感じなかった。

 

 そうやって30分くらい荒らしながら煽ってたらさ、急に彼奴ら引いたわけ。

 え、何しに来たん?って素で驚いたよ。

 完全に騎士たちが引いたと思った時。そしたらだよ。

 

 彼奴ら()()使ってきやがった!

 

 え?騎士って何??何なの???

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 「おい。あそこだぞ!もっと上手く狙え!」

 「分かってるよ!でもちょこまかと動き回ってて当てにくいの!」

 

 

 下でピーチクパーチク騎士ども……騎士ども?…騎士って何だ?が声を張り上げながら追いかけてくる。

 もう6時間ぐらい馬で追いかけてきてるんだけど…疲れないの?頭のネジ外れてるの?魔族の私ですらそろそろ疲れてきたと言うのに…。これだからニンゲンはダメだ。スプーンより重いものを持った事のない私に長時間飛行をさせるというのはかなり酷いのではないだろうか。…よし、抗議しよう。

 

 

 「貴様ら!もう諦めたら如何だ!?そろそろ疲労が出てきたんじゃないか!?あとそれを飛ばしてくるのをやめなさい!」

 

 地味に痛いから!

 

 すると一人の騎士が反応した。

 

 「貴様が荒らしに来たんだろう!あまり人間を舐めるな!」

 

 周りの騎士たちもそれに呼応するようにヤジを飛ばしてきた。

 

 「そーだそーだ!羽付き蝙蝠の野郎こそ降りて来い!」

 「悔い改めろ!」

 「うおおおおおおおおお!!!」

 

 

 ええい。五月蝿い五月蝿い!羽付き蝙蝠とは何だ!それじゃただの蝙蝠じゃないか!騎士なら騎士然とした言葉を使え。後最後のやつは何なんだ。

 

 くそッ。ニンゲンどもが引かないなら私にだって考えがある。生まれ落ちて早12年。此処で散ってたまるものか。

 私だってただ無闇矢鱈と逃げ回っ…追いかけっこをしていた訳ではないのだ。

 

 

  偵察隊、若しくは観測隊らしき騎士が望遠鏡を覗きながら声を上げる。

 

 「ッ!だ、団長!彼方の空から新たな魔族らしきものが!」

 「何!?それを貸せ!」

 

 ふふっ。恐れ慄くがいい!

 

 「あ、あれは…ッまさかッ!!」

 

 そう、彼女こそが!

 

 「女王(unknown)!?」

 

 

 

 私の母様であり、偉大なる魔族の王!リr——「ちょっとラピュセル!何をしてるの!」ッひゅべしッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 母様の熱烈なハグにより私の命はそこで散った。

 

 

 締まらないなあ。

 

 

 

 

*1
正確には人ではなく魔族ですが、伝わりにくいので人です。人なんです。




締まらないなあ。

テスト期間に僕は何を書いているんだ。
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