至らぬ点や不備、また感想やアドバイスなどいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
テレレレテッテッテー♪
本日何匹目かのメタルスライムを倒したことにより、また一つレベルが上がった。
無機質な音楽が頭の中に鳴り響き、その功績を祝福してくれる。
自分がこれまで倒してきた敵の数はもう覚えていない。
いつからだったか、敵はもう単なる経験値とでしか認識出来なくなっている。
「レベルアップおめでとう勇者、どうする?まだ続けるかい?」
戦士が賛辞の言葉を送りつつ、聞いてくる。
「あー、そうだな…。もうちょっと続けてから戻るとするよ。先に帰っておいてくれ。」
勇者は少し考えたのち、そう答える。
「本当に勇者様はコツコツとしたことが好きなのですね。」
「先に酒場に行っとくわ。アンタの好きなゴーレムバゲットも用意しておくから、早く切り上げて帰ってきなさいよ。」
僧侶と魔法使いがそう言ったのち、武闘家に荷物を持たせて街へと向かう姿を見送って再度レベル上げへと向かう。
「次のレベルまでは…今でやっと半分ぐらいか。」
太陽も落ちてすっかり暗くなった頃、気の狂ったようにモンスターを狩り続けていた勇者はようやく手を止めて今の経験値状況を確認する。
「早く強くならないと…」
もっと、もっともっともっと…モット強ク…
―――ズキンッ
一度の酷い頭痛が勇者を襲う。
徐々に手足が痺れてきて、手に持っていた『はぐれメタルの剣』を落としてしまう。
込み上げてくる吐き気を抑えようと近くの水場まで向かおうとするが、麻痺した足を思い通りに動かすことは叶わず、その場に倒れこむ。
這って進んでようやく水場にたどり着く。手足の感覚はもうほぼ無いに等しい。
水を飲もうと水面に顔を近づけて、自身の体に起こっている異変に気が付く。
スライムが映っていた。それも自分がこれまでに見たことのないとても綺麗な《銀色》に輝くスライムだった。それが本来であれば自分の顔が映るだろう位置にあった。
雲が月にかかり、辺り一面が暗くなる。
「おーい、勇者―。居ないのかー?」
遠くから戦士の勇者を呼ぶ声が聞こえる。
「おかしいですわ…いつものこの場所にいらっしゃるので今日もこの辺りだと思っていたのですが…」
「せっかく私が勇者の為にゴーレムバゲットを作って待っていたというのに!見つけたらただじゃおかないんだから!」
いつもの時間に帰ってこない勇者を心配したのか、パーティーの皆が自分を探しに来たのだろう。
咄嗟にこちらに近づいてくる3人から隠れるように近くの茂みに隠れる。
(あれ…なんで俺は皆から隠れたんだ…?)
勇者の自問に答えてくれる人は居ない。
段々と足場が近づいてきたところで戦士が何かを見つける。
「あれ、これって…勇者が使ってるはぐれメタルの剣じゃねえか?なんでこんなところに…?」
(マズい…)
「あら、こちらに何かを引きずった…いえ、這いずった跡のようなものがありますわ…?」
「跡は…どうやら水場の方に繋がってるようね。」
(マズい、マズいマズいマズい…)
こっちに来ようとする3人をどうにか遠ざけようと頭をフル回転させる。
(この状況、どうやって対処する…考えろ、考えろ!)
しかし、いざという時に限って上手く頭は回らない。さっきの酷い頭痛の弊害だろうか。
(ひとまず、ここから離れなくては…)
頭では分かっていても、身体が動かない。
今ここで彼らと離れてしまうと、もう二度と会えないのでは無いかとすら思えてくる。
(どうする…、どうする…!!)
どっちつかずでいる間にも、ゲームオーバーの時間は刻一刻と迫って来ている。
(オレは…)
散々悩みぬいた末に出した答えは、この場から離れるというものだった。
(この姿のまま彼らの前に出て、「実は何かの手違いでモンスターになってしまった。」と言ったところで、信じてくれるはずは無い。仕方のない事ではあるが…、原因の究明が先だ。)
しかし、自分がすべきことが決まったからと言って、この場をどうするかの案を思いついたわけでは無く、このままでは水場に続く這いずった跡と辿り、こちらに近づいてくる三人に見つかってしまうのは時間の問題だった。
(待てよ…、メタルスライムとなり同じスピードが出せるようになったのであれば、この状況からは抜け出すことが出来るのではないか?)
考えている時間すら惜しいとすぐさま行動に移すが、それが裏目に出てしまう。
ガサガサッ
思うように足を動かせず、大きな音を立ててしまった。
(自分がメタルスライムの様に素早く動く?自惚れているにも程がある。それは生まれたばかりの赤子に走れと言っているにも等しい。なんでその可能性を除外した!)
どうやら思考能力すらスライムに似通い始めるなんてことは、在り得ない話では無かった。
かくなる上は、先程立ててしまった大きな音が風の音やら水の流れる音にかき消されて、三人の耳に届いていないことを懸命に祈る勇者だったが、そう都合の良い話があるハズが無かった。
「…誰か、そこに居られるのですか?」
僧侶には聞こえていたようだ。
「僧侶、誰か居たのか?」「どうかしたの?何か見つかった?」
僧侶の異変を感じたのか、戦士と魔法使いが僧侶の方に近づいてくる。
ズキンッ
追い打ちの様な二度目の頭痛を経験する。
手足の感覚が完全に失われ、身体が完全にスライムになったことが感覚で分かる。
「何かが動くような音が彼方の方から…」
僧侶は戦士と魔法使いに俺の居る茂みの方を指差す。
「誰か居るのかー?」「勇者―、勇者なのー?」
そして遂に、隠れていた茂みが搔き分けられ、その姿を露にすることとなる。
3人が唖然とした顔をして、俺を見ている。
雲が晴れ、月明かりが降り注ぐ。
照らし出された銀色の体は眩い光を放つか如く、その場に圧倒的な存在を知らしめている。
隠れるということにおいてはもっとも向いていないという事を勇者は再確認させられた。
「これは…」
「なんと綺麗なメタルスライムでしょうか…」
「今まで遭遇したものの中でも、ここまで綺麗な銀色に輝いているものは居なかったわよね…」
3人は唖然とした顔から驚いた顔へ、そして少しの間何かを考えると各々の武器を取り出した。
高々と掲げられた彼らの武器がメタルスライムと化した自分目掛けて振り下ろされるー-。
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メタルスライムとは、スライムが発生する過程での突然変異で生まれると一般的に考えられている。それは、おそらく間違いないのだろう。誰も、メタルスライムの出現の瞬間を目撃した人が居ない為、推測の域を出ないのだが、普通はそういう風に考えることだろう。…しかし、それとはもう一つ。膨大に経験値を貯めこんだ人間が、それもモンスターを経験値とでしか認識出来なくなってしまった非道な人間が、メタルスライムに成ってしまうという都市伝説も密かに囁かれているらしい。
ということで、好きなDQモンスターはあやしいかげとメタルハンター(それぐらいしか知識のない)どうも惡徳で御座います。
今回はDQ都市伝説の一つ目で【メタルスライムの秘密】というSSを書きました。
ドラゴンクエスト自体はウォーク、ビルダーズぐらいしかプレイ履歴が無い為、知識はモンスターの名前程度なので、温かい目で見守っていただけたらなと。
そして稚拙な文章、無いに等しい知識ではありますが、楽しんでいただけましたら幸いです。
ところでゴーレムバゲットって有ったら美味しそうではありません?
それではまた何処かで。