1回目からこんなので大丈夫か()
合宿中、トレーナーに走り寄る二つの影。
ハルウララとライスシャワーだ。
「トレーナー!」
「お兄様!」
「ん?」
「「見て見て!!」」
「……え?」
トレーナーの手からホイッスルが溢れ落ちる。
無理もない。
二人とも際どすぎる水着を着ていたのだから……。
「これね!すっごく可愛いでしょ!?」
「ウララちゃんとお揃いにしたんだよ?」
「へぇー……あぁ、うん……」
トレーナーは顔が引き攣っている。
周りの視線が痛い。
『おいあれ……』
『なにあの子達?なんであんな格好してるわけ?』
『あのトレーナー、あんな趣味あったの……?』
「えっと……二人とも、どこでその水着を……?」
「この前トレーナーが読んでた本に出てたの!!」
「お兄様に喜んでもらおうと思って……どうしたのお兄様?」
「…………」
もう、言葉が出なかった。
そして同時に確信する。
俺の人生終わったわ。
「トレーナーくん?」
「後で話がある。
宿に帰ったら私の部屋にくるように」
ルナが物凄い力で肩を掴む。痛い。
理事長代理の視線はもはや殺気さえ感じる。怖い。
「ウララさん、ライスさん、流石にその格好は危険です。学園指定の水着に変えて下さい」
ブルボンが二人にタオルを被せて更衣室に行った。めっちゃこっち睨んでる。
「え?どうして?」
「いいから来なさい!ライスさんも!!」
「わたしだけじゃダメなのかな?」
「ライスさんのことも心配してるの!!早く来なさい!!」
「あ〜れ〜」
「ウララちゃん行かないで〜!!」
二人はキングとブルボンにずるずると引っ張られて行った。
「……」
静寂が辺りを支配する。
他のウマ娘たちが明らかに俺から距離を取ってる。
あのバクシンオーでさえ露骨に嫌悪感を表情に出してる。やめて。
「……」
あはは、うみきれーだなー。
どれぐらいふかいんだろうなー。あはは。
「……」
地球爆発しねぇかな。
*****
怒られた。めっちゃ怒られた。
これからの人生で二度と体験出来ないぐらいは怒られた。
理事長代理の他にルナやエアグルーヴまで説教に加わったせいで、それはもう地獄だった。
「……うぅ……グスッ……」
俺は泣きながら一人廊下を歩く。
周りからの冷たい視線が辛い。
『あいつマジかよ』
『変態じゃん』
『本当さいってー……』
噂は既に広まってた。
あのゴルシすらもおふざけ無しモードになる始末である。
死にたい。いっそ殺してくれ。
この宿って何階建てだっけ?
飛び降りたら死ねるかな?
生まれ変わったらプランクトンがいいなー。
何も考えないで済むし。
「ふふ……ふふふふふ……」
一周回ってなんか楽しくなってきた。
どうした?みんなも笑えよ?
日々のストレスを変態にぶつけるチャンスだぞ?ほらほら遠慮せずにさ!!
「……」
……虚しい。
惨めなあまりどうにかなりそうだ。
いや、なってたわ。
「……部屋戻ろ」
フラフラとした足取りで部屋に向かう。
もう、疲れたよ……フランダース……。
あれ?パト○ッシュだっけ?まあどっちでもいいか。
ドアノブに手をかけようとしたその時……。
「トレーナー!!」
「お兄様!!」
後ろからウララとライスが呼び止めてきた。
二人ともいつもの学園指定ジャージに着替えている。
「やぁ……ウララ……ライス……」
「ごめんねトレーナー!!
わたしのせいで……」
「その……ライスのせいで……誤解されちゃったみたいで……ごめんなさい……」
二人は申し訳なさそうにしている。
別に君たちのせいじゃないんだけどね……。
元はと言えば俺のせいだし……。
「だからみんなもお願い!!
トレーナーをいじめないで!!」
「ライスからもお願いします……!」
「え……?ちょっ……二人とも……?」
「トレーナーの部屋に勝手に入っちゃったわたしたちが悪いの!!」
「お兄様が喜んでくれると思って……その……えっと……」
こんな変態のために頭を下げてくれるなんて……。
なんていい子なんだこの二人……。
お父さん嬉しくて泣きそう……。
「それに……わたしトレーナーがいないとやだもん!!」
「ライスも……お兄様がトレーナーじゃなきゃイヤ!!」
「……」
あぁ、もうだめだ。
健気すぎてあんな本放置した自分が情けなくなってくる。
過去の自分をぶん殴ってやりたい。
「まぁ……二人がそう言うならいいんじゃねぇのか?」
「ゴルシ……」
『……それもそうか』
『人のトレーナーの趣味嗜好を否定する権利はないわね……』
『うん、私もそれで構わないよ!』
他のウマ娘たちの声が聞こえる。
どうやら誤解は解けたようだ。
「ありがとう、ウララ……ライス……」
もう無理。泣く。嬉しさで泣く。
「ト……トレーナー!?
なんで泣いてるの!?」
「お兄様!?どうしたの!?」
「大丈夫!?どこか痛いの!?」
「何か酷いこと言っちゃった!?」
二人は膝から崩れ落ちて泣く俺の頭を撫でる。
やめて。嬉しいけどやめて。
もう俺のライフは0よ。
小ちゃい子に撫でられながら宥められる俺ってやっぱり変態……?
ネタが思いつき次第続き書きます。