生徒会変態共!   作:真田蟲

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久々に投稿します。
待っていてくれた方がいましたらすみません。
基本もう更新する気0なら削除しますので、残している限りはまだ気持ちはあると思ってください。

今回轟さん初登場です。


三十六人目

 

 

【気遣いの王者】

 

 

自分の担当する仕事が下校時刻までに終わらなかったシノ。

仕方なくその日は、自宅に書類を持ち帰り作業をしていた。

 

「……む?」

 

しかし、あと少しで終えようというところでデータが足りない事に気づいた。

他のメンバーも各自担当している仕事があり、最後の最後で津田が担当するデータが必要になってしまった。

仕事については完璧主義なシノはとりあえずで適当な数値を入れることをよしとしない。

 

「この件は津田に確認をとらんといかんな。

 しかし、この時間に電話は迷惑かもしれんな」

 

壁にかけている時計を見れば、既に深夜の11時を迎えようとしていた。

健康な男子生徒であり、特に運動部にも所属しているわけではない津田。

さすがにまだ就寝はしていないだろうが、時間が時間である。

入浴中か、もしくは就寝までいかなくとも寝る準備を既にしているかもしれない。

 

「そう、今まさに絶頂の時間かもしれない!」

 

男子高校生なら寝る前に毎日絶対にヌいている筈。

少なくとも、誰あろうあの津田が外泊でもないのに自室でヌかない筈がない!

ある意味彼のことを信頼しているシノは、彼のお楽しみを邪魔してはいけないと考えた。

 

「―――と思っていたら結局昨晩は連絡できなかった」

 

翌日、自分の担当する仕事が完遂していない言い訳としてそんなことを話すシノ。

てへぺろー、と茶目っ気たっぷりにウィンクしながら舌を出す。

可愛い仕草のはずなのに、何故か人をイラッとさせる仕草だった。

 

「そんな気遣い別にいいのに……

 次からは時間とか気にしないで電話してくれてもいいんですよ?」

 

「そうか? でももし自家発電中だったら悪いだろ」

 

「それならそれでテレフォンセ○クスできるからいいじゃないですか」

 

「おお! 成程!!」

 

 

 

 

 

 

 

【愛好会】

 

特にイベント事がないときは、放課後校内を見回りしている生徒会役員共。

シノを先頭に、津田、スズ、アリアと一列に並んでいる。

その様はまるで某国民的RPGのパーティーのようだった。

津田は先頭の勇者の綺麗な黒髪を眺めつつ、この髪でナニを何したらさらさらで気持ち良さそうとか不健全なことを考えていた。

 

「あ」

 

「へ?」

 

「むぎゅ」

 

「あん」

 

唐突に何かを発見し立ち止まるシノ。

不思議に思い津田もすぐに立ち止まるが、後ろを歩いていたスズが彼の腰にぶつかってしまう。

そんなスズの後頭部が、急に止まれなかったアリアの下腹部にめり込んだ。

シノの視線を辿ると、どうやらロボット研究会の標識を見ていたようである。

 

「こんなのあったんだ」

 

とんと聞いたことの無い名称に、ついつい本音が漏れてしまう。

それに呆れた声を出すのは、思いのほか筋肉質な男の尻肉にぶつかってしまったスズだ。

 

「あんた知らなかったの? そんくらい把握しておきなさいよね」

 

「いや、私も知らなかった」

 

「私も」

 

「……えー」

 

何のことはない。スズ以外全員マイナーなこの研究会のことを知らなかったのだ。

おそらくは、彼女も自分の友人が所属してさえいなければ知らなかったかもしれない。

 

 

 

 

 

【友人A】

 

 

なんとなく見回りがてら、件のロボット研究会を訪れてみた生徒会の面々。

そこには他の部員が不在なのか、一人で何かしらの作業にいそしむ女生徒がいた。

 

「あれ、スズちゃんじゃない」

 

扉を開けた一行に気が付いた女性とが、スズの姿を見ると作業の手を止めて話しかけてきた。

 

「友達の轟ネネさんです」

 

「はじめまして。ここの部員の轟です」

 

友人らしく、彼女の隣に移動したスズが紹介してきた。

轟は薄い茶色に染めたセミロングの髪をしており、銀のフレーム眼鏡をかけている。

目鼻立ちがしっかりとしていて、眼鏡のせいもあるのだろうが知的な印象を受けた。

 

「皆さんのお噂はかねがね」

 

「噂?」

 

「会長が副会長にビシビシ鞭打ってるって」

 

「ニュアンスがおかしい!?」

 

自分の変な噂が流れていると聞いて驚くシノ。

あらあらと笑顔でアリアがそれを訂正する。

 

「違うわよ轟さん。津田君を鞭打っているのはスズちゃんよ」

 

「おーほぅ?」

 

「違ぇよ!!」

 

得意のキレ芸で反論するスズだったが、別に間違いってわけでもないんだよなぁと思う作者でしたまる。

 

 

 

 

 

 

【私の備品】

 

せっかくなのでロボット研究会を見学してみることにした一同。

思い思いに棚に飾られている作品を眺める。

 

「へー」

 

津田とシノが見ていたのは犬を模したロボットだった。

一昔前にアイ○が流行したが、さすがに今時の高校生は知らないだろうか。

轟に断わりを入れてから電源を入れてみると、どこかぎこちないものの動きだした。

やはりロボットというべきか、動きに滑らかさはない。

しかし工業科でもない高校生が作ったものであれば、十分すぎる代物だろう。

確かにそれは犬の動きをトレースしたかのように見えた。

 

「お手とかするかな?……おぉ!」

 

シノがロボットの前に手に平を差し出すと、器用に前足を乗せて来た。

 

「……お、おぉ?」

 

「いやぁ、犬ですねぇ」

 

そしてそのまま掌にもう片方の足まで乗せると、へこへこと腰を振り出した。

そんなやりとりをしている二人の背後では、アリアがあるものに興味を示した。

彼女にとっても親しみのある形状をしたそれを手に取り、轟に質問する。

 

「これもロボットの部品?」

 

アリアの手の中にある卵形の物体は、スイッチを入れると小刻みに震えだした。

 

「それは私物です」

 

「!?」

 

いい笑顔で答える轟に、友人のそういう一面を見たのは初めてだったのかスズが驚愕していた。

 

 

 

 

 

【私とこけし】

 

室内にあるものが興味深いのか、思い思いに堪能している面々。

何度か顔を出したことがあるスズは、特に珍しいものもないのか轟と会話していた。

 

「こうしてゆっくり見たことなかったけど、本当に色々なものを作ってるのね」

 

「えぇ、機械をいじってるだけで楽しくて」

 

「ふぅん。昔から機械いじりが好きだったの?」

 

女の子の趣味としては、機械いじりよりも裁縫や料理の方が多い気がする。

どちらかといえば彼女の趣味はマイナーな部類に入るだろう。

現に今まで興味もなかったのか、シノもアリアもこの研究会があることすら知らなかったようであるし。

よっぽどの興味が無い限り、女の子ではロボット研究会になどは入部しそうにない。

 

「今は好きだけど、別に昔からってわけじゃないかな。

 どちらかというと、興味を持ち始めたのはつい最近なの。きっかけは―――」

 

そういって彼女は、自分の鞄をあさると1つの物体を取り出した。

姿を現したのは、先ほどのピンクロ○ターよりもさらにえげつないもの。

20センチ程の長さの松茸になにやら小さな突起が複数生えたような形状をしていた。

うっとしとした表情で轟はそれのスイッチを入れる。

彼女の穢れを知らなそうな綺麗な白い指に握られたそれは、ウィンウィンと音を立てながら奇怪な動きをし始めた。

 

「もっと強い刺激が欲しくて」

 

「ごめん途中だけど聞くの放棄するからそれはやくしまって」

 

なんでこの少女と友人になったのか、本気でわからなくなったスズであった。

 

 

 

 

 

 

【受け入れ万全】

 

その数日後、スズは友人に招待されて友人宅で映画のDVD鑑賞会をしていた。

特に考えもせず、予定もなかったので二つ返事で了承してしまったのを今では後悔している。

何故ならば、それはスプラッターシーン満載のホラー映画だったからだ。

画面では化物に女優が見るも無惨に殺されるシーンが流れていた。

断末魔の雄たけびを聞くたびに、不穏なBGMが流れるたびにびくついてしまう。

しかし、両隣に座る自分の友人達が平気そうな顔をしているのに、自分ひとり怖がって見せるのは彼女のプライドが許さなかった。

幸い、三人で真ん中に挟まれるように座っているため、ホラーの苦手なスズでもなんとか映画自体には耐えられている。

しかし、映画の内容自体には耐えられても、身体は正直である。

緊張をほぐすためにジュースを飲んだせいで彼女は今、尿意と戦っていた。

トイレに行きたい。

でも、一人で行くのは怖い。

今いいところなのに、自分のせいでDVDを一時停止させるのも忍びない。

誰か一人ついてくるとなれば、きっと待っているといって停止してしまうだろう。

かといって、このままでは友人の前でお漏らしをしてしまう。

しかも友人宅でというとてつもない黒歴史を作ってしまう。

それだけは避けねばならない。

ここは不本意だけれど仕方ない。

 

「あの、トイレに行きたいんだけど……」

 

こっそりとスズは隣に座る轟に話しかける。

この友人ならば気転を利かせてくれるに違いない。

変な言動の多い彼女だが、人は良いのでこういう困ったときにはさりげなく助けてくれることが多かったし、映画が怖いからといって馬鹿にするような性格でもない。

だからこそ、スズは轟と友人でいられるのだが。

 

「いいよ」

 

轟はそれだけでスズの言いたいことが解ったのか、嫌な顔1つせずに頷いてくれた。

あぁ、彼女がついて来てくれれば怖くない。

これで漏らさずにすむ、とほっと胸をなでおろしたスズであったが……

 

「はい、受け止めてあげる」

 

そう言うと轟は、スズの股間の前に顔を近づけると「あ~ん」と口をあけた。

 

「違う、超違う」

 

「トイレ行くの怖いんでしょう? 大丈夫、私スズちゃんのなら全部飲んだげる」

 

慈愛の表情でこちらを見上げる友人。

違う、そうじゃない。そうじゃないの!

それからスズが彼女に理解してもらうまでしばらくかかり、セーフだったのか、アウトに近いセーフだったのか、はたまたアウトだったのか。

ここでの描写は控えましょう。

 

 

 


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