僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜   作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ

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細かな設定や諸々は劇中で明かしていったり、忘れたりする予定です。


緑谷出久:グローイング

 

 ことの始まりは中国の軽慶市。「発光する赤児」の報道だった!

 以来世界各地で超常は発見され、原因は判然しないまま時は流れる。

 いつしか「超常」は「日常」に…。「架空(ゆめ)」は「現実」に!!!

 世界総人口の約8割が何らかの“特異体質”である超人社会となった現在! 混乱渦巻く世の中で! かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が脚光を浴びていた!!

 

 “超常”に伴い爆発的に増加した犯罪件数。方の抜本的改正に国がもたつく間に、勇気ある人々がコミックさながらにヒーロー活動を始めた。

 “超常”への警備! 悪意からの防衛!

 たちまち市民権を得たヒーローは世論に押される形で公的職務に定められる。彼らは、活躍に応じて与えられる……

 

 国から収入を!! 人々から名声を!!

 

 時は過ぎ、超常を扱った犯罪者。通称(ヴィラン)による個性犯罪を日々彼らは抑止し、時には制圧しているのである。

 

 そして、そんな輝かしい彼らヒーローの影に紛れて、人知れず世の平和を守ってきていた戦士たちがいた。

 

 ヒーローが自らの実力で犯罪を犯す人間を相手取るのに対して、彼らの敵はこの個性社会においても常識外の代物であった。

 

 個性に頼らないにも関わらず恐るべき異能と強靭さを誇る改造人間。古代帝国の秘術により人類の知能を備え付けられた人食いの獣人。名高い魔物の子孫たちに、宇宙から飛来した機械生命体。

 

 ゲームと称して殺人を行う現代に復活した古代の戦闘民族。既存の生命を遥かに超えた超越生命体。鏡に潜む怪物の群れに、死した人間の進化体。起源の生命に魔族や宇宙人、妖怪。ひいては異次元の存在やウイルス。アンドロイドに魔人に悪魔等と、個性として片付けられない、真の意味での“超常”が蔓延っていた。

 

 関わったヒーローや国としても、この恐るべき脅威を放ってはおけないと精を出したが、その強さから並のヒーローでは対処出来ず、上位のヒーローで対応出来ても、その特異性から充分な対応が出来ているとは決して言えなかった。

 加えて、彼らの殆どは法の裁きは意味を為さないものであり、平気で命を奪い、平気で命を落とす。

 並の犯罪者ではなく、一つの強力な思想を持った巨悪。それが複数立て続けに登場したとあれば、頭を抱える他ないだろう。

 それこそ、これらの組織の台頭を同時期に許していれば、今頃日本どころか世界が支配されていたであろう。

 

 しかし、そうはならなかった。

 

 国が確認できただけでも約40もの組織。いずれも国を上げて撃滅するべき脅威の魔の手を、払い除けた戦士たちがいた。

 

 

 その名も『仮面ライダー』。

 

 

 都市伝説として語られ、時には大々的に人目についてきた彼らは、みなヒーローではないにも関わらず死力を尽くして悪を滅してきた。

 

 彼らはヒーローとは違い、命懸けで戦ったところで給料も名声も得られはしない。それでも、全てを賭して人々の笑顔を守るために戦う彼らの精神性は正しくヒーローであると言えるだろう。

 

 しかしながら、国としては許可なく危険行為を行う彼らを裁かなければいけないのだが、幾度となくこの国を救ってきた存在に対して恩を仇で返すのも憚られる。

 よって、超常を超え個性の範疇を逸脱した事件への活動に対しての特別権限を与えたのだった。

 

 

 

 

―――…

 

 

 

「よーし…今日も頑張るぞ」

 

 大量のゴミが投棄され、すっかり景観を損なってしまった公園の海岸にて、一人の少年が強く息巻いていた。

 

「よいっ…しょっ!」

 

 少年の姿はみすぼらしく、ボロボロになった草臥れたジャージを身に着けている様は、見ようによっては何処かから逃げてきたようにも感じてしまう。

 しかし、その目には確かな力強さを秘めており、ゴミだらけの海岸へと降り立つと、放棄されているゴミを纏めては荷台に入れていく。

 

 そう、ごみ掃除である。そんなボランティアじみたことではあるが、何分その量が異常だった。

 ここ、海浜公園にはどこかの工場で溢れたゴミなんかが流れ着いて、近隣の人々がそれにかこつけてゴミを捨てていったことにより肥大化した文字通りゴミの楽園であり、業者ですら手の付け所がないといった有様であった。

 そう、ほんの一年前までは…。

 

 この少年の名は緑谷出久。今年の7月で15歳になる新中学三年生。かなりのヒーローオタクであり、熱烈なヒーローファン。中でもオールマイトグッズが部屋いっぱいに広がっている。

 本棚に入っている何冊もの分析ノートには色々なヒーローの個性や戦法などの情報の他に、過去に起こった事件の顛末などを纏めてある。

 

 それほどまで込める熱が高く、ヒーローオタクと誰しもが認める様な彼は、2年前から今現在にかけて少しずつこの公園に放棄されたゴミを清掃していったのだ。

 

 その日々は決して簡単なものではなかった。何か有用な個性があればまだマシだろうが、生憎と4歳の頃に無惨にも告げられた『無個性』の烙印。すなわち一切の個性に頼らずその身一つでコツコツと清掃を続けていたのだった。

 更に、ゴミを纏めるだけでなくそれを台車に乗せ、律儀に回収出来るところまで運搬している。

 その姿は最初こそ好奇の視線を向けられたり、笑いものにされカメラを向けられることもあったが、続けていくうちに彼らもその本気度に感心して毎日挨拶を交わす程度には親睦を深めていた。

 

 この行動には、当然景観を良くしたいという意思もあった。更に、こういった奉仕活動を進んで行うヒーローが少なくなっていたということも理由の一つだ。

 これらは全て嘘ではない。奉仕活動にやり甲斐を見出しているのも事実だし、触れ合っていくうちに本気で近隣の人たちの役に立とうという意思もあった。

 しかし、その原点。清掃活動を行うに至った理由は、自らの肉体を鍛えるためだ。筋トレの活動と並行して慈善活動が可能であり、当分尽きることのないゴミ山を完璧に清掃するという目標もモチベーションを維持させるのには理想的だったのだ。

 

 おかげで二年前は少年らしい可もなく不可もない肉づきだった少年の肉体は、細身ながらも分厚く、強靭で瞬発力のあるベストな状態へと至っていた。

 ベンチプレスは120kgまで上げられるようになり、個性禁止の授業や身体測定などでは、身体構造の違う異形型を抑えてトップを飾っている。

 

 それほどまでに鍛え上げた理由とは、『国立雄英高等学校』に進学するためだ。それも今年は偏差値79、倍率300倍という桁外れの難関だ。

 最も、記念受験などという気分では断じてない。少年、緑谷出久は本気で獲りに行くつもりだ。個性がないというのは劣等の証として見られているが、その常識を塗り替えたいと意気込んでいる。

 もし試験が直接戦闘能力のみを重視しているのなら、それは補助系個性のヒーローの芽を潰すことと同義。当然それ込でも無個性という足枷があるが、試験を合格するだけならばやりようはある。そうでなければ、雄英高校出身のヒーローは全員が全員超武闘派になってしまうからだ。

 

 そして、雄英高校を目指す緑谷少年の将来の夢は当然プロヒーロー――――――

 

 

 

 ――――――ではなかった。

 

 

「“S.A.P.L”の“GENERATIONS”の合格基準ならこの調子でやっていけば…うーん、どうなんだろう。いやでもたった二年でここまでいけたし…いや自惚れるなよ僕。前までは筋肉なんて皆無だったから伸びしろがあっただけで本当に辛いのはここからだ…。オーバーワークは今の時期じゃ体を壊すし…ブツブツブツブツブツブツ」

 

 ブツブツと自分の世界に入った少年が溢した言葉。

 “S.A.P.L”正式名称を『警視庁・対特殊超常生命体対策課』。かつては対未確認生命体対策班(通称S.A.U.L)という名で発足され、時を得て規模を広げ名前を変えていった部門だ。

 

 その中でも『GENERATIONS』とは、G-3ことGENERATION-3。正式名称『第3世代型強化外骨格および強化外筋システム』を身に纏った警官隊のことだ。

 

 超常黎明期、警察は統率と規格を重要視し、“個性”を“武”に用いないこととし、それらを埋める形でヒーローが台頭してきた。

 

 しかし、23年前のとある事件が原因で警察組織としても一定の規格で幅広く対応できる力の所持が不可欠となった。

 詳細は省くが、人智を超えた“(ヴィラン)”とすらも呼べない完全な人類の敵だ。

 異形型個性の例もあり、ヒーローがただの敵だと思い捕縛を優先したせいで死傷者が増えていったことも要因の一つだろう。よって、遺伝子解析などの結果が出回るのが早い警察という組織での対応を目指し、なおかつ個性という個人差の強い能力でなく、安定した性能で市民を守ることを優先とした結果がG-3だ。

 

 ヒーローに支給するという案もあったが、その装着方法からパトロールなどを行うヒーローでは早急な対応が難しいとし、加えて一部の個性を阻害してしまう可能性もあったためにそれは叶わなかった。

 

 そして当時は試作機であったG-3は、翌年に起こった連続不審死事件において八面六臂の活躍を見せたことで正式に量産化されることとなった。

 一説によると、G-3の外見は当時4号と呼ばれていた仮面ライダークウガをモチーフにしたものだという噂があるが、組織からは明言されていない為に真偽の程はない。

 

 “無個性”でも活躍が出来る“GENERATIONS”は緑谷出久にとっては天啓であった。GENERATIONSのリーダーは、22年前の事件で仮面ライダーやオールマイトと共に大事件を解決した一人。後にその活躍が認められて“仮面ライダー”になった人物だということもやる気に拍車をかけている。

 

 しかし、本来放棄したはずの武力を扱えるからこそ、そのハードルはプロヒーローと比べても遜色ない。故にこそ、雄英高校という一流高校を卒業したという実績とそこで得られる経験が必要だった。

 

 かつてヒーローに夢見ていた自分でも、無個性ではヒーローとして相応しくないことは分かっていた。万が一なれたとして、その自分が解決できる事件や、救える人々は限りなく少ないだろうことも痛いほど理解していた。

 

 そんな時に、仮面ライダーの存在を知った。当時はまだ正式に活動が認められている存在では無かったことと、出久が生まれてからの仮面ライダーの戦う場所が普通ではなかったために子供の目に触れる機会はなかった。

 しかし、テレビで見た仮面ライダーオーズがきっかけで、その世界に興味を持つことが出来た。もとからオタク気質のあった緑谷はずるずると過去の記録も探り、見事仮面ライダーオタクにもなったのだ。

 

 そして今。海浜公園に残っていた最後のゴミ山が崩れ、チリ一つない海岸が新生した。

 かつてはゴミだらけで清潔の清の字もなかった海岸は、美しい水平線を取り戻し、沈みゆこうとする夕日の光を感謝でもするかのように反射していた。

 

「これでおしまいかぁ……」

 

 当初は先が見えないと思っていたこの活動も終わったのだと、何とも言えない感慨深さが顔を出す。

 しかし、ぶんぶんとかぶりを振って未だ道半ばということを再認識させる。

 

「よーし、折角最後のなんだしいつもよりペースを上げていこうかな…」

 

 借りてきたリヤカーの前に立ち、意気揚々と駆け出そうとして…

 

「これ、君一人でやったの?」

「へぁっ!!??」

 

 急に横合いから声をかけられたことに驚いたのか、素っ頓狂な声を上げながら飛びあがり、リヤカーにスネをぶつけては踞った。

 急に跳ね上がった緑谷に驚きながらも、声をかけた張本人は謝罪しながら手を貸した。茶色のアウターを羽織った、四十代半ば程の男性だ。

 

「ご、ごめんごめん。そんなに驚くなんて思ってなくて」

「は、はい。こっちこそ過剰に反応しちゃって……。えっと、貴方は?」

「俺? 俺は五代雄介。そうだな、ハイこれ」

 

 おもむろに胸ポケットから取り出したのは小さな紙。緑谷には馴染みが薄いそれだったが、名刺だということは知っている。

 

「“2022の技を持つ男”……?」

「うん。ジャグリングとかコーヒーのブレンドとか、折り紙にあやとり。ほら、こんな風に刺繍もできるし」

 

 アウターの下に来ていた白のシャツには何処か昆虫の顔にも見える紋様が手縫いで着けられていた。

 

「っ! これ! クウガですよね!」

「ん、知ってる?」

「それは勿論! 23年前に現れた未確認生命体の被害が続出してたころに現れた仮面ライダー! 特にあの大事件の時にはすごい姿になって、オールマイトも一度は退けた0号を倒した日には日本中が彼を讃えたという伝説中の伝説ですよ!」

「そ、そう…。詳しいんだ」

「あっ…、すいません。僕、好きなことになると周りが見えなくなっちゃうことがあって…」

 

 パァッとした輝かしい笑顔から一転。恥ずかしそうにその縮れ毛をいじるが、五代雄介と名乗った男性はその姿を茶化すでもなくこう言い放つ。

 

「いや、全然良いよ。熱中できることがあるならそれに越したことはないし、それを語ってる時の君は本当に嬉しそうだったから。結局のところ、笑顔でいることが一番なんだよ」

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

 これまでにもオタクということを野次られたり茶化されたりしてきた身からすると、なんだかむず痒くなってくるが、そういえばと当初の疑問を投げかけた。

 

「えっとその、五代さんはここに住んでた方なんですか?」

「いや、前に…4年くらい前かな。そんくらいに見たことがあるだけ。その時もかなりすごかったから気になってさ」

 

 成程。確かに当初のゴミ山は否応にも目に止まってしまい、それなりに衝撃を与える。きっとこの男性もそうなのだろう。

 

「まあ、はい。2年前からコツコツと。雄英に入れるくらいの力をつけるためのいい筋トレにもなりましたし」

 

 ムンッと腕に力を込めればぎっしりと中身の詰まった筋肉が隆起し力こぶを作る。

 

「雄英高校ってあの? ってことは将来はヒーローを目指すってこと?」

「前までならそう言ってましたね……。……でも、僕は“無個性”なので、ヒーローなんて。もっと現実を見て、その、警察官になろうと思ってるんです」

 

 “警察官”とのワードを聞き、五代は破顔しその夢を応援する。

 

「いいじゃん。刑事さんって俺好きだよ。でも、警察になりたいんなら普通の高校とか、専門の高校でもいいんじゃない?」

「僕が目指してるのは“GENERATIONS”なので…。やっぱり選考基準なんかも他より頭一つ抜けて高いですし、ヒーロー以外にも就職に有利な雄英高校がいいってことと、日本最高峰の雄英で学べることが近道になると思いまして…」

 

 そう言うと、五代は腕を組んで「うーん」と悩むような仕草を見せる。

 

「……やっぱり、五代さんも“無個性”が入るのは無理だって思いますか」

 

 その声音は幾分か沈んだものであった。顔は俯き、目は不安から合わせられない。素行も優秀で、日々の努力を怠らないことで周囲とも有効な関係を築けている彼であるが、雄英を目指すといえばやんわりと諭されたり、他でも活躍できる等と他の高校を勧められる等と、反応は芳しいものではない。

 だからこそ、目の前の彼もそうなのかと恐る恐る顔を伺って…。

 

「……その“ジェネレーションズ”って、何?」

「え」

 

 ズッコケた。

 

「え、その。僕、無個性なんですよ。無謀とか思わないんですか?」

「いや別に…。俺も無個性だけど生きてけるし。頑張れば行ける行ける!」

「そ、そんな簡単に……」

 

 前向きに考えようとはしていたが、それでも茨の道だと自覚していただけに悩んでいたそれをここまで軽く流されるとは思っていなかったことに僅かな落胆を見せるが、直ぐに質問に答えるために向き直る。

 

「“GENERATIONS”っていうのは、三年前から一般の募集も受け付けてる部隊で―――――」

 

 

 

 その後も話を続け、あっという間に時間は過ぎ去った。

 彼、五代雄介は真摯に話を受け止めながらも軽い調子で応答したりと、とにかく話していて苦にならない人物であった。

 そんな楽しい時間もすぐに過ぎ去り、気がつけば日は沈みかけてカラスの群れが一直線に山へと向かっていた。

 

「あっ、も、もうこんな時間…」

「そっか。緑谷くんも帰り道は気をつけてね」

「はい! あの、話を聞いてくれてありがとうございました!」

 

 別れを告げ、早速リヤカーを牽こうと手にかけたところで、少し前のように声が投げかけられる。

 

「ゴボン・ボゾグゼ・ゲギドビンレ」

 

 何やら暗号のような言葉とともにニタニタと笑みを浮かべる革ジャンを着ている目の血走った男がこちらに向かって歩いてくる。

 

「な、なんだろう…?」

「あれは…、もしかして…!」

 

 五代さんに目を向けると、何やら信じられないという顔で硬直している。

 そして僕らが眺めている目の前で、その男性は姿を悍ましい異形に変えていく。

 

「ヴィ、(ヴィラン)…!?」

「違う、こいつは未確認…!」

「えっ…」

 

 熊のようにも見える異形は、その獰猛な口元に醜悪な笑みを携え、こちらに向き直って爪を掲げる。

 瞬間、凄まじい勢いで飛び込み熊手による攻撃が開始される。

 

「うわぁっ!?」

 

 それを五代さんに突き飛ばされる形で避けれたのはいいけど、おかけで二人の間にはその未確認が佇んでおり、距離の近い五代さんよりも、僕の方に注目している様だった。

 

「逃げ「五代さん!逃げてください!」

 

 五代が何かを言うより早く、大きな声で叫んでいた。

 

「何を…!」

「何でか知らないけどあいつは僕の方を狙ってます! それに、僕は携帯を持ってません! 僕が引き付けるので直ぐに通報をお願いします! この時間帯なら直ぐにヒーローが来てくれる!」

「でも君は…!」

「大丈夫です! これでも鍛えてますから!…っ、早く行ってください! こっちだぁーっ!」

 

 矢継ぎ早に告げると、有限実行とばかりに駆け出し、怪人はそれに追随するような姿勢を見せて、一気に飛び込んだ。その速度は、最初の一撃とは比べ物にならないほど速く、速度を見極めたと思っていた緑谷は急な加速に死を思い起こす。

 溢れ出たのは、涙。

 

「ギベ!」

 

(さっきと全然違…! 死ぬ…!)

 

「危ない!」

 

 これも先程と同じように、五代雄介が身を投げだしたことによりかすり傷程度で済んだ。

 

「五代さん!? 逃げてって言ったのに…!」

「それはこっちのセリフ。あいつは普通の敵とは全然違う相手なんだから」

 

 どうして…と倒れる緑谷より早く起き上がり、怪人相手に向き直る。

 

「ゲゲルン・ジャラボグ・スバサボソグ」

 

 今の介入で、どうやら五代も目をつけられたらしい。明確な怒りと殺意を露わにした怪物は体を奮い立たせると、爪を肥大化させ、毛皮がゾワゾワと逆だっていく。

 

「五代さん! 逃げてください! 僕はまだ大丈夫ですから!」

「………」

「五代さん!」

 

「こんなやつの為に、緑谷くんが傷つく必要なんてない! 俺は、みんなに笑顔でいてほしいんだ! ……だから、見ていてくれ!」

 

 完全に捉えられた。もはや無個性に逃げることは不可能な距離だ。

 

 獰猛に吐息を荒げる未確認を相手に、臆することなく仁王立ちする。足を肩幅に開き、両腕を腰元に合わせる。

 すると、どこからか謎のベルトの様なものが出現し、それを見た未確認が一層狼狽える。

 

「俺のっ…!」

 

 左斜め上に構えていた右腕を右に平行移動し、同様に右腕を腰だめに構える。その右腕の上に左腕を乗せ、グッと押し込む。

 

「変身!」

 

 体を開いた五代の体が、『アークル』に収められた霊石『アマダム』の力を受けて変質する。

 皮膚は黒く変わり、足、腕、胸と装甲を纏っていき、最後に頭部が変わった。赤い大きな複眼と、金色の双角が天を衝く。

 

「ハァッ!」

「バンザド!? バゼボヂサビロ・ガギス・クウガ!?」

 

邪悪なる者あらば 希望の霊石を身に付け 炎の如く邪悪を倒す戦士あり

 

 

「仮面ライダー…クウガ…!」

 

 

 そこには、一人の戦士が立っていた。




今は雄英入学の一年前なので、原作時空からすれば23年前のことになる。

◆22年前の事件

 地殻変動によって地表に出現した長野県中央アルプスの九郎ヶ岳遺跡で発掘された石棺を開けたことで目覚めた謎の存在は、仲間を蘇らせ、たちまち日本中に広がった。
 かつて現れたというショッカー怪人などの出現から時が経ち、現在活動中のヒーローは彼ら未確認生命体を通常の敵として扱っていた。
 しかし、人智を超えた怪物相手に現代社会の一犯罪者としてのスケールが合うはずもなく、被害は増えていった。
 やがて、それが個性を持った現行人類ではないと発表されるや、人々は不安の渦に囚われた。
 警察も積極的に捜査を進め、一人の刑事、一条薫が彼らの犯行のルールを突き止めてからは、ヒーロー達も精力的に活動を再開した。
 下級のグロンギならば武闘派のプロヒーローでも十分に対処可能であり、上位の個体もトップクラスのヒーロー達の連携や警察の開発した神経断裂弾で対処できるようになっていた。
 その裏には4号と呼ばれる未確認の活躍もあり、人類は未確認に対する希望を手に入れたと思われた頃…。

 『白き闇』ン・ダグバ・ゼバが動き出した。
 その存在は日本各地を駆け抜け、それまでの9ヶ月、警察、ヒーロー、4号によひ撃破の確認されてきたグロンギの数を遥かに超えるグロンギを僅か3週間で始末し、交戦したヒーロー達を虐殺。
 さらには僅か一日で老若男女、善悪立場地位を問わず3万人の人間を殺害してみせた。
 これには日本中が震撼し、敵ですらまともに活動しなくなるほどの影響を与えた。
 神出鬼没のダグバを追うために全国的なレーダー索敵が行われ、その間にも様々な場所での大量殺戮が繰り返される。
 そしてとうとう、警視庁がその居場所を探ることに成功。信頼できる実力者を派遣することによりNo.2ヒーローエンデヴァーが交戦。しかし奮戦虚しく敗北し、殺されかかった所にオールマイトが救出。
 その様子は全国中継されており、人々は祈るような心境でテレビを眺めていた。

 殴り合いではオールマイトとほぼ互角のように見えたが、ン・ダグバ・ゼバはオールマイトの体内を超自然発火能力により焼却。耐性の無かったオールマイトは重症を負ってしまい退却を余儀なくされる。
 しかし、逃げようとするオールマイトとエンデヴァーにとどめを刺すかのように手を向けて……。
 そこに、「凄まじき戦士」が現れる……。

これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?

  • Hard 難しい
  • Easy 簡単
  • Intermediate 中級
  • Standard 標準
  • Excite 宝生永夢ゥ!
  • Impossible 不可能
  • ↑頭文字を取って……
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