僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜   作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ

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とうとう志村の正体判明…?


虫の行進

「俊典、お前は擬態されるなよ。お前クラスの擬態だと私も勝てん」

「実のところ、あまり詳しくなくてね! 対処法はっ」

 

 No.1ヒーロー、最高戦力として、並のヒーローには伝えられない情報なども耳に届くのだが、ことワームに関してはその概要を伝え聞いているだけに留まる。

 それはワームとそれに対応したマスクドライダー固有能力故の事件解決の速度というのも理由の一つに挙げられるが、最も大きな理由としては、オールマイトを疎ましく思った当時のZECTらによって渡される情報が意図的に制限されていたからだろう。

 

「成体ならいざ知らず、幼体なら擬態する間もなくぶっ倒せばいい! 短期決戦だな!」

「それなら得意分野さ!」

 

 言うが早いか、同時に駆け出した二人は正面のワームを殴りつけた。轟ッ!と突風が吹き荒れ、直撃した二体が吹き飛ばされ力を失い斃れる。崩れ落ちた体は緑の炎と化して空気に溶けるように消え去った。

 

「今のは…」

「あれがワームの死だ。気にしなくていい。それより目の前の奴に集中しろ!」

 

 仲間がやられたというのに怯えるでも怒るでもなく、ただ愚鈍な動きで距離を詰めるそれは、正しく知性のない虫けら(ワーム)の様でもあった。

 

 ぎちぎちと歪な爪を振りかぶるワームを迎撃し、殴りつけ、蹴り飛ばし、時には拳を振り抜いた拳圧でもって近寄らせない。

 

「数が多すぎるな…。普通ここまで群れるとなると統率者がいるはずなんだが…」

「フム…。それは統制が取れていることと何か関係が?」

 

 オールマイトから寄せられた疑問に、いやと首を横に振る。

 

「いや、あいつらはこう見えて知能も人並みにある。それらしい理由の一つとして上げただけさ」

「心当たりは?」

「お前か私狙いだな」

「Why? なんだって?」

 

 再び一蹴。撃ち込まれた拳が外皮を突き破り一匹、また一匹と姿を減らしていく。…のだが、ぞろぞろと建物内部から増援が現れ、その数は50にも達しようとしていた。

 そんなにもいるのなら、どれか一体くらいは別の行動を起こそうものなのだが、ただ愚直に二人を付け狙う。仲間をやられた仇、というわけではないだろう。

 

「言っただろ? あれでもワームは賢いんだ。それなりの知識を持っとけばお前という隠れ蓑の重要性が分かるんだよ。お前ほど強く社会的立場もある人間なら怪しまれずに行動できるからな」

「っ…ならあなたが狙いだという方は!?」

「簡単さ。私は奴らに命を狙われてるんだよ。…全く、14年前の死に損ない相手にどれだけ注ぎ込むんだ、っと!」

「14年前…?」

 

 14年前の死に損ない。14年前で、ワームに関連した何か。それは、それは…。

 

「『人類ネイティブ化計画』…。当時のZECT幹部三島正人とネイティブである根岸ら主導の計画で、人類をネイティブ化するネックレスをワーム感知能力を有するネックレスとして一般に配布させた世紀の事件だ。お前も知ってるだろ。何せ日本全土、いや、世界そのものを巻き込んだんだからな」

「ええ、私は身につけていませんでしたが、街往く人々がこぞって買い漁っていた…。その生き残りというのは、まさか…」

 

 答えを察したオールマイトは愕然とした顔を向け、志村は頷いた。

 

「そうさ。私もあの事件当時ZECTについていたネイティブの生き残りだ。故あって彼女()に擬態しているが、40年前の死人、それもAFO絡みだと厄介でね!」

「そういう、コトかっ!」

 

 吹き飛ばし、撲滅し。通常の敵と違い、相手は殺さなければ止まらない。これまでの怪人との戦いでそれを承知しているオールマイトだが、如何せん加減が難しい。

 何も気にせずブッパなしたらそれは他の住民を巻き込みかねない。しかし、いつもと同じ力加減なら相手は斃れない。故に、ほどほどの一撃でもって少数を確実に処理している。

 近寄るワームをかち上げ、空白が出来る。これまでにやられたことからか攻めあぐねているらしい。

 

「聞きたいことは山程あるが…。これだけは聞かせてほしい。あなたは、何のために今ここにいる」

 

 その合間に、オールマイトは擬態志村に問うた。情報を渡すためだとか、そういった直接的な理由を求めている訳ではないだろう。それに気づいている擬態志村は細い声で、けれどはっきり通る口調で返した。

 

彼女()の責任を果たすため。(彼女)の心残りが、最悪の形で育っていた。それを終えるまで、私は死ぬわけにはいかない。…幻滅したか?」

「…いいえ。貴女に悪意がなくてよかった。記憶や人格まで一緒なんだろう…。でも、お師匠の魂は()()にある。なら、私は貴女に幻滅しようがないさ」

 

 トントン、と自らの胸を親指で小突く。

 

「そうか、ワンフォーオール…」

「貴女がお師匠の擬態を悪用していたのならいざ知らず、こうして私を助けてくれている。心残りというのが何かは分からないし…今聞くことじゃあないんだろう。だが、私は信じるさ。お人好しなどとよく言われるが、それが私の性分なものでね!」

 

 HAHAHAとアメリカンな笑みを絶やさない姿に、擬態志村は安心したように口角を上げる。

 

 そして、抜群のコンビネーションを見せた二人は次々とワームを倒していく。石畳を破壊し、暴風が吹き荒れ、しかし、主だった被害といえばそれくらいで、いかに力のコントロールが出来ているかが伺える。

 

 そして、残りが僅か4体にまで減らされたその時、戦況に変化が訪れる。

 緑色の外殻が溶け落ち、まるで脱皮のような工程を経て、ワームは新たな姿を手に入れる。

 

「成虫体か…!」

「Ahhhhhhhh…」

 

 4体中3体がそれぞれ色の違う蜘蛛に酷似した姿(アラクネアワーム)となり、1体はダニの様な姿(アキャリナワーム)に変わる。

 成虫体となった4体は先程の蹂躙撃に警戒しているのか、直ぐには仕掛けない。だが、己等が持つアドバンテージを思い出す。その動きを察した擬態志村は警鐘を鳴らす。

 

「俊典ぃ! クロックアップに対応したことは!?」

「ありません! 超高速で移動する能力だとは聞いてます!」

「そいつはちょっと違うな! クロックアップは文字通り時間の流れが違うんだ!」

 

 ワームが、ゆっくりと腰だめに構える。

 

「時間の流れ…?」

「ドラゴンボール知ってるだろ!? それの精神と時の部屋だ! その中だとどれだけゆっくり寝ようが戦おうが、外じゃほぼ時間が経ってないだろ。それと似たようなことがクロックアップだ。当然、速いのは奴らだ」

「倒すためには?」

「奴らが絶対に避けられない状況下で攻撃するか、奴らが気づかない様攻撃を置くかだが…。前者はここら一帯を吹き飛ばしかねんし、閉鎖空間じゃなきゃ察知されて避けられる。置き攻撃は余程の技巧派じゃなきゃ天文学的な話だ。お前はカタツムリ並の速度の攻撃にわざわざ当たりにいかんだろう」

 

 それは確かに。と納得し、けれど疑問が芽生える。

 

「なら、当時の仮面ライダーはどうやって対抗を…?」

「そりゃもっと単純な話だ。こちらもクロックアップすることだ。…そして、その方法が―――――」

 

 ブゥゥゥゥゥン

 

「Gaaaaaaaa!?」

「ッッ!?」

 

 ―――――ここにある」

 

 伸ばした右手首に、甲虫型のロボットが収まる。飛来したそれはワームの体に追突し、激しい火花を散らしながら仰け反らせる。

 

「それは…!?」

「マスクドライダーシステム。我々(彼ら)ネイティブが技術提供し、人間とともに創り上げたワームへ対抗するための手段。……そして、滅びたはずのワームが再び現れたと知り創り上げた新たなゼクターだ」

 

 そう言って、右手首のブレスレット――ライダーブレス――に収まったケンタウルスオオカブト型のカブティックゼクターを90度、角が指先を向くように撚る。

 

「変身」

 

「HENSHIN」

「CHANGE BEETLE」

 

「カブト…?」

 

 その姿はネットに画像が残されている仮面ライダーカブトによく似ていたが、緑眼で銅色の体色であり、何より右肩から突き出るカブトムシの角のような装甲と頭部の形状が違っていた。

 その角は雄々しく、ケンタウルスオオカブトの特徴的な角を模したものであった。

 

「違うな。こいつは、ケタロスだ!」

 

 改めて腰だめに構えたワーム達の目の前で擬態志村、改めケタロスは腰部にあるZECTバックルに撫でるように触れる。

 

 

「CLOCK UP」

 

 

 ―――瞬間、彼らの世界が切り替わる。

 

 彼らの体に巡る“タキオン粒子”によって銃弾ですら止まって見える理外の時間流に身を置き、3体のアラクネアワームと戦闘を開始する。

 

 そして残されたオールマイトはというと、アキャリナワームのクロックアップに翻弄されていた。

 

「くぉっ、のぁっ!? 痛っ! ええい! まるで見えないぞ!?」

 

 ただの超スピード、超加速であったのなら、オールマイトが捉えられないほどではなかったのかもしれないが、クロックアップは原理からして対応できない存在が太刀打ち出来るものではない。

 常に全力で気張っているからか、いつの間にか攻撃されても重大なダメージは受けないが、それでも瞬間的に襲い来る重い衝撃は並の増強系個性などよりも強く、時間の問題だろう。

 

(痛ったいなぁもう!)

 

 表情にこそ出していないが、偶然にもオールマイトの弱点、これまでの古傷を攻撃されて焦っていた。

 

「DETROIT……SMASH!!!」

 

 先の忠告から、範囲攻撃の為にと風圧を起こすが、それすら知覚しているワームはくぐり抜け、またも連撃を食らわせる。

 

「ガッファッ!?」

 

 そして、運の悪いことにそれは古傷を執拗に狙い始めた。攻撃の効果を見て弱点を見抜いたのだ。

 

「ヌゥ…。不味いぞこりゃ…」

 

 元々の活動時間の低下に加えてこのダメージ。朝にも何件かの事件を解決したからか、体力の消耗もあって厳しい。

 何より初めて見たクロックアップ。自身の攻撃は完全に躱され、広範囲の攻撃ですらそれ以上の速度で逃げられる。

 これがエンデヴァーなどのように、周囲を炎で囲んでからも攻撃が可能なヒーローならば戦いにはなるのだろうが…。それをオールマイトに望むのは酷というものだ。

 

「GAaaaaaa!?」

 

 悲鳴が聞こえ、視界には二体の蜘蛛型ワームが宙を舞って爆散する。ケタロスが仕留めたらしい。

 この間僅か数秒。少なくとも、オールマイトにとってはそう感じられた程の少ない時間で、自身が苦戦する存在が打倒されたことに、不甲斐ない気持ちと同時に、師の全てを借りている存在の頼もしさにどこか誇らしさを覚える。

 

「ならば私も、更に向こうへ(プルスウルトラ)だ!!」

 

 そう渾身の意気込みで叫んだ。

 先の話から、遮蔽物で覆われていたり、視界が遮られていれば、ワームも惑わされるらしい。ならば、使う手段はただ一つだ。

 

「お借りします6()()()!」

 

 瞬間、オールマイトを中心に濃い煙が溢れ出る。数m先を見渡すことも困難な煙幕はもくもくと立ち昇り、しかしてそれ以上の効果を発揮しない。

 

 その間も、ワームの猛攻は続く。ただの高速移動とは違い、その勢いで煙が晴れることもない。

 

()()()()()、だろう!」

 

 この際、足元にだけはより濃い煙幕を張っていたのだが…当然、オールマイト自身の動きに注力していたワームは気が付かない。

 己の速さが煙が晴れる速度を上回っているせいで、その奥に隠されたものに気づけなかった。―――それが、敗因だ。

 

「フンッッッ!!」

「!!」

 

 強烈な四股踏み。タイミングがズレていようが関係ない。どの道相手から突っ込んでくる。

 その衝撃でワームの体は持ち上がり、宙に身を投げることとなったアキャリナワームには、移動手段がない。

 並の相手ならば、隙とも呼べぬ時間の滞空。加速した時間の中でのそれは、一瞬にも満たない筈だった。

 

「そりゃァッッ!!」

 

 続いて放たれたハイキックは、そのままワームを空中に打ち上げた。四股踏みのインパクトと同時に蹴り上げたことで、タイムラグなく吹き飛ばすことに成功する。

 飛べる昆虫がモチーフならいざ知らず。アキャリナとはダニのこと。足場なき空中では機動力は皆無に等しい。

 

 吹き荒れる暴風と、晴天に浮かぶアキャリナワーム。最早その運命は確定されたものであった。

 

「空中なら遠慮はいらないなッ!」

 

 

―――…

 

 

 オールマイトが叫ぶ一瞬前、アラクネアワーム・ニグリティアとケタロスの埒外の高速立体戦闘が行われていた。

 商店街の壁、窓枠、鉄骨など全てを用い、三次元的な動きで商店街中を何周も動き回っていた。

 蜘蛛型というのは伊達ではなく、這い回り、飛びかかり、更には糸を駆使した絡め手や不規則な軌道の襲撃はクロックアップ状態でなくとも並のヒーローには難しい案件だろう。

 

 しかし、ケタロスは違う。

 無機質な動きに突発的な攻撃。それらすべてを先読みし、パンチをいなし、がら空きの腹にキックを二発。糸を吐き掛けられれば躱して手繰り寄せて派手に蹴り飛ばした。

 クロックアップに適応しているだけではこうはいかない。変身者である擬態志村の戦闘能力がここで活かされているのだ。

 

 取っ組み合いも体術も、全てで勝るケタロスの攻撃に晒されアラクネアワームは防戦一方だ。

 

 顎をかち上げ、仰け反らせたら後は独壇場。目まぐるしく立場の入れ替わる殴り合いを制し、同時に時間が訪れた。

 

「CLOCK OVER」

 

 彼らの加速していた時間は通常通りに運行し、同時、今まで駆け巡ってきた場に衝撃と音がようやく追いついた。

 

「Haaaaaaa!!」

 

 転がりながらも立ち上がり、アラクネアワームは直接的に糸を吐きかけた。元々質量さえ同等なら鉄にも匹敵するとされている蜘蛛の糸は、人並みのサイズ、それもワームのものとなれば更に強靭さを増す。

 それが左腕に絡みつき、また強力な力で引っ張られてゆく。これに抵抗するだけでもかなりの力が必要だ。そしてじりじり、じりじりとケタロスはアラクネアワームとの距離を縮めていく。

 

 ニヤリと勝ちを確信したようなワームに、ケタロスは呟いた。

 

「ライダービート」

 

 そして、ケタロスゼクターを180度回転させる。

 

「RIDER BEAT」

 

 バチバチと音を立ててゼクター内のタキオン粒子がチャージアップ、腕の部位へ流れ込み、その腕力を大幅に増していく。

 

「オオォオオオォォォォォオオッ!!」

「はああああぁぁっ…!」

 

 落下してくるアキャリナワームを待ち構え……全身全霊渾身の一撃を放つ。

 ケタロスは糸を逆に手繰り寄せ、終いには巡ったタキオン粒子のブーストにより、まるで一本釣りをするかのようにアラクネアワームが空を舞う。

 

 

「ライダーパンチ!」

「DETROIT SMASH!!」

 

 

 突き出された腕と腕。落ちる勢いも威力に変えて、マトモに腹へと突き刺さり……空中で衝突した二体は爆炎を上げて倒されたのだった。

 

 

―――…

 

 

「来年…?」

「そう、奴らが動き出すのは早くとも来年からだ。どこまでやるつもりかまでは分からないが、ろくなことにならなそうだ。……さて、伝えることは伝えた。こんな立場じゃなければ飯でも行きたいところなんだけど、止めとくよ。…そんな顔をするな、時が来ればまた私は現れるさ」

 

 積もる話は山程あるし、何より個人的に話がしたかったオールマイト…八木俊典は名残惜しそうにするが、目聡く見つけた擬態志村に言われ、表情筋を隠す。

 

 そしていよいよ、別れの時間だ。

 “浮遊”で高度を上げ、空へと飛び上がる刹那、「あっ!」と言ったかと思うと、こちらに振り返る。

 

「俊典、教師生活がんばれよ!」

 

 そう告げて、擬態志村は飛び去っていった。

 みるみる遠ざかる背中に、残されたのは無人の商店街に唖然と立ち尽くすオールマイト。

 

「……はい、お師匠」

 

 見えなくなってから、終ぞ本人には言えなかった呼び名を呟いて、彼はいつも通りの日常に戻った。

 

 これが吉と出るか凶と出るかは未だ誰にも分からない。

 だが、青空のよく似合うかつてのヒーローの思いは、絶やさず継がれていくのだろう――。

 

 





ワーム
カブト本編で訪れたものとは別。何故、今になって現れたのか。それは未だに分かっていない。

擬態志村
40年近く前に訪れたネイティブの中の一人。元々人類側だったが、擬態先が擬態先のためより顕著に。
あの時ダークカブトゼクターを回収しており、それを元にカブティックゼクターを創り出した。

6代目の個性
前々から先代の面影は見えていたみたいだし、いいかなって。
毎年のように現れる世界破滅レベルの怪人たちとの戦いのおかげでいつもより死地に赴くので覚醒。
尚、目覚めたのは二年前なのでオールフォーワンとの決戦の後。あんまり使いすぎるとただでさえ短い活動時間が更に短くなる。
実は練度自体は原作出久の方が上。必要に迫られてないから。

これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?

  • Hard 難しい
  • Easy 簡単
  • Intermediate 中級
  • Standard 標準
  • Excite 宝生永夢ゥ!
  • Impossible 不可能
  • ↑頭文字を取って……
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