僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜 作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ
あの雄英、それもヒーロー科に合格した。それは僕がかつて諦めていた夢そのものだった。でも、諦めず、己にできる最大限のことをやって叶えることが出来たんだ。
僕は真っ先にこれまで育ててくれた母さんと、鍛えてくれたヒビキさんに報告した。
生んでくれたこと、ここまで育て、鍛えてくれたこと。あの日、泣かせてしまったこと。
それらの感謝と謝罪を行って……母さんには“鬼”になった僕の姿を見せることにした。色々と理由はあるけど、母さんに心配をさせないために。
「……それが、出久の選んだ道なの?」
「うん。ヒビキさん…仮面ライダー響鬼の弟子になって、この力を身に着けたんだ。あのときは困らせちゃったけど、個性がなくても人を助けるヒーローになれるって。ごめん、今まで秘密にしてて」
「…ううん。確かに心配だけど、もうここまで来ちゃったらお母さんは口出せないわよ。…それに、超カッコいいお師匠様がいるんですから」
「かっ、母さんそれは…!」
ヒビキさんのいる前で…! 案の定というか、ヒビキさんは照れるなとか言いながら背中を叩いてくるけど、チクショウ…!
「…すごい努力したんだよね。無個性だって言われても」
「うん…」
「そっか……、超カッコいいよ!」
「……うん!」
兎に角、母さんとの蟠りはいくらか解けた気がする。完全に、とはいかなくても、今は僕の夢を応援してくれる。それで十分だ。あとは、母さんの息子はこんなにも立派に育っているんだぞと、これからの活躍を見てもらうだけだ。
それよりも厄介だったのは予想していた通りにかっちゃんだった。かっちゃんの方には知らされていなかったらしいけど、僕も受かったという話で学校が湧いている最中、詰め寄られたときに先生がぽろっと漏らしちゃったんだ。
当然クラス内では「雄英のワンツートップがウチの学校から!?」とか「緑谷もすげーよ!」「すっげえ鍛えてたもんなぁ!」やら色んな言葉…というより言葉が投げかけられた。しかも、かっちゃんは元々が優秀だから予想外の結果を出した僕への反応が大きくて、余計に火に油を注いでしまっていた。
あの後もやっぱり絡まれたけど、そこはガツンと道端の石ころじゃないと宣言してやったさ。……ううん、勢いに任せて恥ずかしいことも言ってしまった気がしなくもない。まあ、多分、多分大丈夫だろう。かっちゃんだし、何を言ったって似たような反応だと思うし……。大丈夫だよな…?
さて、雄英合格でのゴタゴタなんかはあったものの、それからの日々は変わらず、僕は僕で予習や復習、修行に大忙しだった。
3学期は時間が立つのが早く感じるけど、今の習慣をしてたら本当にあっという間だった。ホントに。
そんなわけで、僕達は中学校を卒業した。雄英に入学するまでの約二週間の休み。ばっちり備えることにしていたけど…。
「出久、今回のはお前も着いてこい。丁度休みのようだし、経験も積める」
「は、はい京介さん。何が出たんですか?」
今までも似たようなことはあった。実際に現場に出て、サポートをしながら魔化魍との戦い方や猛士としての活動を学ぶのだ。一般的なことに当てはめると職場体験やインターンということになるのだろう。
今回も基本的に補助なのは変わりないけど、“鬼”の力を安定して使えるようになって初めての任務だ。自然と心構えも相応のものになる。……前に、不完全なまま挑んだときは足を引っ張ってしまったから、今回はそうならないようにがんばろう。
何がと聞いたのは、魔化魍の種類によっては対処が全くことなるため、そこは真っ先に確認するべきことだった。けれど、京介さんは眉をしかめながら「厄介なことになった」と続けた。
「厄介なことって…?」
「ああ。現れた魔化魍は特徴を聞く限りならドロタボウだ」
ドロタボウ。妖怪として作品とかにも度々登場するそこそこメジャーな存在だ。
「あれ、でもドロタボウって…夏の魔化魍ですよね?」
「ああ、その通りだ。猛士の方でも何度か問いただしたようだが、それを覆す報告は出ていない。……大昔、同じ夏の魔化魍であるバケネコが自然発生したという事例もあるらしいが、今回は出現場所も相当におかしなことになってる」
「おかしな…?」
「本来田んぼに隠れ潜み、動きも緩慢なためにそう遠くへ移動しない筈のドロタボウだが、今回は田んぼなど影も見ない都市部に出現し、挙げ句、見失ったようだ」
そのことに、驚きを覚える。今言ったように、ドロタボウは動きの遅い魔化魍だ。しかも、その特性上増殖しやすく、身を隠す田んぼもなければその分発見が早まる。未だに見つかっていないとなると、増殖はされておらず、ただ仕留め損なったとは考え辛い。
「そいつは、何処に出たんですか…?」
お前も知っているはずだ。と京介さん。
「ある一企業により掌握され、大幅な経済発展を遂げた地方都市。そして、8年前新たな仮面ライダーが現れた街――――
――――沢芽市だ」
◆
何事もなく沢芽市に到着することは出来た。そこで京介さんはまずここでの協力者に話を聞きに行くことになり、対して僕はそれらしい影を見ていないか足で聞くことになった―――のだけど。
「何でかっちゃんがいるんだよぉ…」
「あ゛!? こっちの台詞だわクソデクが!!」
そう、何故かここ沢芽市にかっちゃんがいたのである。元々は色んな人に聞き込みをしていて、得られた成果は行方不明者の増加や、見慣れない植物が生えてきて困ってる…とか。それも十分気になる情報だったけど、より詳しく聞くために、人の集まる場所ならば噂も聞きやすいと考え、この街で有名な『シャルモン洋菓子店』へ足を向けたのだが……。その表にかっちゃんがいたのだ。
「ま、それなら肌の保湿もばっちりってことかしら!?」
「ええ、おかげ様でピチピチですよ」
「羨ましいことだわ〜。乾燥は美容の天敵ですもの」
「私は個性柄そういう悩みはあまり……あら、出久くんじゃない。奇遇ねえ。ちょっと勝己、アンタ出久くんにちょっかい出してるんじゃないでしょうね」
「出してねぇわ!!」
店内から、何やら黒バンダナのキャラが濃いオカマと共にかっちゃんのお母さんが現れたのだった。
話を聞くと、おばさんがシャルモンの割引券を当てて、折角だからと今の時期に訪れたとのこと。かっちゃんは辛党だから来る気は無かったそうだけど、無理矢理連れてこられたのだとか。
「出久くんは一人で来てるの?」
「あ、いえ。お世話になった人の手伝いというか…」
流石に魔化魍のことや鬼のことは伏せられる。そして、たまたまこの街に来ただけのかっちゃんたちには聞くこともできないだろう。
「あら偉いわね。それに比べてうちの勝己と来たら…」
「うっせえババア!! 無理矢理連れて来られた俺と比較すんなや!!」
かっちゃんのキレ節は他所の街でも健在みたいだ。ほら、その怒声に通行人の人が避けてるじゃないか。
「ちょっとそこの坊や。それは母君にかける言葉ではなくてよ」
「ヒトの家庭事情に口出すんじゃねぇよ誰だテメェは!?」
「そもそもね。坊やがウチの店の前でそんな目つきをしているだけで客足は遠のくのよ。ワテクシの店に訪れる多くは繊細な女性ばかり。そのような狂犬さながらの行動をしていては営業妨害なのよ。お分かり?」
「チッ……」
流石のかっちゃんもこれには逆らえないのか、やけに素直に引き下がる。おばさんはその人に謝って、まだ観光すると地図を見ながら行ってしまった。
かっちゃんを残して。……いや何で?
二人きりになってしまい、痺れを切らしたのかかっちゃんが有無を言わせぬといった様相で僕に問いかける。
「テメェ、いつから隠してやがった」
「へ、何のこ「惚けんじゃねぇっ!! テメェの個性の事だよっ!!」…個性?」
胸ぐらを掴まれて凄まれるけど、個性と言われても本当に分からない。何のことやらと混乱していると、かっちゃんの剣幕は更に増していく。
「俺ァ知ってんだよ…! テメェがあの緑の姿に変わって、あの0P敵ぶっ飛ばしたことをよぉ…!」
「何でそれを知って…、それに、受験会場は別じゃ…?」
「コソコソしてるテメェを尾けてみりゃ、姿を変えるじゃねぇか。試験ん時はテメェんとこから出てきた奴が言ってたんだよ。緑色のもじゃもじゃ頭が0P粉砕したってなぁ……!」
…! 普段の変身の練習を見られてたのか! しまった。注意不足だった…!
「その顔は図星みてぇだな…! 言い逃れは出来ねぇぞ…!!」
「待っ、待ってかっちゃん…! 本当に個性じゃなくて…!」
「個性じゃないわけねぇだろ!! あの0Pぶっ飛ばすなんてよぉっ!!」
「ぐっ…。だから、話を聞けって…!」
その手を逆に掴みあげて、捻ることで手を外す。
「ッてェ…、てめぇ…!」
「はあ…っ、今のは君が悪いんだからな。どうしたんだよ。こんなとこで、君らしくない」
「あくまでシラ切る気か」
「だからそういうんじゃないって言ってるだろ!」
「じゃあ何だよ!!? 個性じゃねぇテメェの自力だけであんなモン破壊できるわけねぇだろ!!」
「ッ、それを説明しようとしてるんだろうが…!」
互いに一色触発。爆豪の言葉に出久が食ってかかる。今まではこれほど言い争ったことはない。爆豪がこれほど食ってかかり、かつむしゃくしゃしているのは、一年前から変わっていった弱っちい幼馴染の変化に■■を抱いているからだ。それは、爆豪の深層心理ですら否定される程度のものだが、彼が自覚していなくとも、プライドがそれを許さない。
最早、彼らは殴り合う一瞬前。どちらともなく構えようとして……横合いから手が伸びる。
「
「んあ?」
「え?」
いつの間にか、二人の頭に手が添えられている。
「恥を知りなさい!」
「ガッ…!?」
「…っァ…!?」
互いの頭を盛大にぶつけられ、二人は気絶させられるのであった。
◆
人知れず、誰もいない路地裏に光が指す。日が指した、というにはあまりに局所的で、不自然な光だ。
何より、その場に居た者は異様な光景に目を疑うことだろう。
何せ、何もない空間。そこにジッパーのようなものが現れ、異なる場所と繋げているからだ。明らかに異様。けれど、この個性社会。非常に稀なものの似たような個性の持ち主はいる。だが、その前提を持っていて尚、これは異常なのだ。
クラックの先にあるのは、日本に、いや、世界中どこを探しても見当たらないであろう不思議な森の広がる空間だからだ。現行の地球の植生と一線を画すその空間には、遠くに灰色のずんぐりむっくりとした化け物が徘徊し、これまた異様なほど惹きつけられる奇妙な実が分布している。正に、人間の想像する異界と言っていいだろう。
そしてチャプチャプ、ビチャビチャと、水音を溜らせながらナニカがクラックの目の前の湖沼から現れる。それは泥人形の様な体に米の苗のようなものが生えたかのような姿をしていた。
そのヒトガタは、本来ならばドロタボウと呼ばれる類の魔化魍であったが、どうやら様子が可笑しい。
否、そもそもからしてあのような異界に魔化魍が住み着いていること自体が可笑しいのだが、このドロタボウ、土塊の体の隙間から異界の先で見かけた植物を所々生やしており、背中のコブに至っては毒々しい紫の果実のような姿へと変質してしまっている。
「ァ…アァ…」
声にならない慟哭か、その怪物はズチャリ、とクラックを越えこちらの世界に侵入する。
コンクリートの道が濡れ緩慢な動きながらもそれは人のいる場所を目指し続ける。
己の腹を満たすために。
人間を食らうために。
「おいおい何だコイツ?」
しかし、その路地の反対側。自転車に乗った男性がそれに声をかける。人の気配に、変質したドロタボウは体を傾け、そちらに狙い済ます。
「おーい、異形型の個性の人ですかー?」
どうやら男性は異形型個性の人間だと思いこんでいるらしく、近寄ってくるドロタボウに脅威を覚えていない。このままでは、哀れな犠牲者となってしまうであろうことは間違いない。しかし―――
『――――』
「やっぱりか。っていうか、確かに背中のヤツとかアレっぽいな!」
ライオンの顔がプリントされた黄色いシャツに、モフモフのファーのついたジャケット。ジーンズを履きこなした男性は、左手中指に顔のようなものが装飾された指輪をはめる。
そして、今指輪をはめた左手を高く掲げ、深く構えた。
「変〜〜身っ!」
そのまま、左中指の指輪をベルトのスロットに挿し込んだ。
『SET! OPEN!』
『L.I.O.N…ライオーン!』
「さあ、
――――獅子が轟いた。
俺と読者はコマンドレイズバックルのような関係性だ。
まず俺を使い、作品という名の剣を得る。そしてその剣をちゃんと扱う…つまり感想を書いたり評価をつけたりすることで作者のやる気がチャージされ、その結果を受けた作者が新たな
これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?
-
Hard 難しい
-
Easy 簡単
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Intermediate 中級
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Standard 標準
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Excite 宝生永夢ゥ!
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Impossible 不可能
-
↑頭文字を取って……