僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜 作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ
現れた4体の上級インベスが、呆然と立ちすくむ彼らへと襲いかかる。
「ぐわぁっ!?」
「こいつら、一体一体が強い!?」
本能のままに襲いかかるインベスへと攻撃を仕掛けるが、いずれも大きな効果は得られない。初級インベスであったとしても常人を遥かに上回る肉体性能をしていたのだ。それが発展した姿であるならば、初級インベスなど比較にならない性能を誇っている。
銃弾程度は外皮に阻まれ足を止めることすら出来ない。時にはアーマードライダーの攻撃すら容易く耐えるそれに、ヒーロー達は有効打を叩き出せない。
インベスの驚異的な肉体性能と、それぞれに対応した動物の特性にヒーロー達は翻弄されていく。
加えて、更に厄介なことが一つ。
「絶対に攻撃は受けるなよ!」
「は!? この中でか!?」
「そいつらに直接傷つけられるとそこから何かが入り込んでインベスになるぞ! 被害者も知ってる!」
「はぁ!? ふざけろ!!」
そう。インベスに傷をつけられるとそこからヘルヘイムの種子が入り込み肉体の養分を吸い取って発芽する。そしてその状態が続いてしまうと媒介者すらもインベスと化してしまう。
こちらの攻撃力は意に介さず、そのくせ一撃でも貰うとアウト。倍々ゲームでインベスが増えていくという恐ろしい事態になってしまう。
更にヒーロー達に混乱を齎すのは、インベスは
故に、全ての攻撃が殺意を持っており、また人間の心理など通用しない。正しく怪物だ。
「このっ…!」
『Guruaaaaaa……!』
襲いかかるライオンインベス相手に応戦するも、相手も相応に強い。今は何とか攻撃をしのいでいるが、パワーとスピードもあるライオンインベスは強敵だった。
振り回される爪を何とか受け止め、音撃棒で腹に強烈な一撃を加えるも、大した効果もなくすぐに向かってくる。
「まずいぞ…! ドロタボウを相手するどころじゃない…!」
ライオンインベスははっきり言って今の出久より強い。最早他のヒーロー達の援護すらままならない。
「鬼棒術『烈火弾』!」
距離を取り、音撃棒を交差させる。高まった妖気を鬼石に宿し、緑の焔弾を叩き込む。出久の有する攻撃手段の中でも強力な技。これの直撃を受けたライオンインベスは流石に応えたのか外皮から火花を散らして数メートル転がっていく。
『Gaaaaaaaaa……!』
しかし、それでも致命打には届かない。怒り狂う爪の連撃は、いかに鬼の肉体であっても完全に防げる威力ではない。
「うぐぁっ……!?」
今と逆。出久は弾き飛ばされ地を転がる。倒れた出久に対して、一気呵成とライオンインベスは飛びかかる。ネコ科動物特有の跳躍力で、迫る次撃に、最早成すすべはない。
『GRuaaaa!!』
「ぐぅッ…!」
間一髪。音撃棒を割り込ませ爪の一撃を防ぐ。追撃は逃れたが、鍔迫り合いに持ち込まれた。いくら鬼が強靭な肉体を誇っていようと、それは相手も同じこと。加えて、出久は未熟な上に姿勢も悪い。
このままでは、変身解除にまで陥ってしまうことだろう。
(どうすればいい…!? 助けを…無理だ。インベスの相手で精一杯だ。自力で切り抜けるしか…!)
窮地に陥った出久は何とかこの危機から脱しようと頭を働かせるが、生憎とそのような方法は出てこない。
何せ、ライオンインベスだけでこの有様だ。プロヒーローも上級インベス相手によく立ち回っているが、その実逃げ回っているに等しい。
第一、ここを抜け出しまぐれでライオンインベスを倒したところで、後がない。
力を使い果たした自分は役立たずとなり、他のインベスは暴れまわる。そして、ドロタボウが健在な以上この事件が本当に終息することはない。
ならばその下手人は一体何をしているのかと、そう睨みつけるが、ドロタボウはゆらゆらと揺れ動くのみだ。否、目の前で変化が起きた。
先程と同じように、ドロタボウの背後にクラックが出現する。やはりあのドロタボウがクラックを開いているのかと思いきや、それにしては様子がおかしい。
追加の増援も何もなく、ドロタボウは振り向いてようやく存在に気づいたらしい。緩慢な所作で通り抜けるドロタボウを確認した後、クラックは閉じた。
(ドロタボウの意志じゃない…のか?)
少なくとも、出久にはドロタボウが自力で発生させているようには見えなかった。
そのことに気を割きながらも、今は去ったドロタボウより目の前のインベスたちに注力する。
この状態では、出来て一体を道連れ。このまま倒れるよりはいいはずだ。そう考え、バックルの音撃鼓に手を伸ばし―――
「ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!」
「メロンアームズ! 天下・御免!」
「どりゃああっ!」
「ハアッ!」
葡萄を模した銃から撃ち出されるエネルギー弾は多数のインベスにダメージを与え、ライオンインベスとて例外ではない。
突然の銃撃に怯んだ隙を逃さず腹を蹴り飛ばし離脱する。
「あっ、貴方達は…」
何とか窮地を脱し、それを成したのは何者かと顔を向ける。
方や緑のスーツに中華風のブドウ型の鎧を身に纏い銃撃を食らわせるライダー。方や白い騎士のような姿でメロンを模した盾と剣の立ち回りで4体もの上級インベスを相手取るライダー。
「仮面ライダー龍玄と、斬月…」
彼らは双方とも、沢芽市に現れたアーマードライダーだ。龍砲による銃撃と剣盾一体の完成された剣技。分かってはいたが、なまじ力がついただけにその強さが分かる。
「すごい…」
龍玄は射撃を行いながらプロヒーローを下がらせているけれど、その間斬月は4対1だ。だというのに、対応できている。それどころか、一方的にインベスにダメージが蓄積されていっている。
盾と剣のバランスがいいのは勿論なんだろうけど、何よりすごいのは技術だ。きっと多分、この世では彼以上にあの武装を活用出来る人物なんていないだろうと思わせるほどの大立ち回り。
その動きに見惚れていると、戻ってきた龍玄が僕に近寄ってきたインベスを撃ち抜いていく。
「あ、ありがとうございました! 僕は今回猛士との連携役として来た人の付き添いで……」
「っ…じゃあ、君が出久くんだね。京介さんから話は聞いてるよ」
「京介さんから…? そうだ、京介さんは…」
「さっきまで一緒にいたけど、何かを見つけたらしくて別行動中だよ。でも、インベスが出てるなら僕たちが来て正解だったみたいだ」
そう言って、こちらを睨みつけるインベスに相対する龍玄。流石歴戦のアーマードライダーというべきか、これ程の上級インベス相手でも自信を崩さない。
銃を構えて射撃しながらその群れに突入する姿を見ながら、再び自分を奮い立たせる。
こうなったら、もう後の事を心配する必要はない。立ち上がり、音撃鼓を左腕で持つ。
「一体くらいは仕留める!」
「ハアッ」
「でぇいっ!」
上級インベス相手に抜群のコンビネーションを見せ、優勢に立つ二人のライダーに安心感を覚え、衝撃から立ち直ったライオンインベスに向き直る。
『Gaaaaaa…!』
何発もの攻撃を食らったライオンインベスは、けれど戦意を衰えることなくこちらに構える。その余裕綽々といった佇まいは、さっきの龍玄には見せなかった。
侮られているんだろう。軽んじられているんだろう。当然だ。僕は彼らほど強くはないし、経験も足りない。
でも、それでも僕は響鬼さんと京介さんの弟子として、“鬼”として、やり通さなければならない。
「ふぅ――――――……」
音撃棒を手の内で回す。精神を集中させ、この世界と肉体に満ちる妖力へ意識を傾ける。熟練の鬼なら目まぐるしい戦闘中でも瞬時に引き出せるが、実戦経験の少ない僕はルーティーンとして行わざるを得ない。
その姿が、隙を誘ったのだろう。サバンナの獲物を狙う狩人のように、ライオンインベスはその爪を振り上げ――――――
「だあっ!!」
逆に飛び込むように前へ転がり込む。目測の外れたライオンインベスは、着地後すぐにこちらへと攻撃を仕掛けるがもう遅い。
『!!?』
既に、そのタイミングで音撃鼓は打ち込まれていた。
腹に着けられた鼓は巨大化し、ライオンインベスの体の自由を奪う。防御行動すら封じられた相手は弱点を曝け出すかのように停止し、ただその身に降りかかる不幸を待つのみだ。
「―――ハアッ」
準備が整った。斜めに構えられた音撃棒に緑炎纏い、一足にライオンインベスへ走り寄る。
「一気火勢の型ァ!!」
一気火勢
渾身の力を込めて、音撃棒を同時に叩き込む。これまでの何より重たい衝撃。
この技は、試験で放った火炎連打のように連続して打ち込む音撃ではない。……だがその分、この一撃にすべてが籠もっている。その勢い、まさに一気呵成の如くだ。
一気火勢
『ガ、アァァァァ―――ッッ!!?』
よろめくライオンインベス。通り過ぎざまに放たれた音撃が、体の芯を突き抜ける。やがて、己の背後にいる下手人へ目を向けたライオンインベスは、断末魔の悲鳴を残す暇もなく爆散した。
「はぁ…はあ…っ」
しかし、出久も疲労困憊だ。変身体はまだ維持できているが、もし戦うことになれば初級インベスにすら下手をとりかねない。
間違いなく、出久が一人で戦った敵としては最強の相手だった。はっきり言って雄英試験の0Pロボが所狭しと並んでいたほうがまだ勝ち目がある。……いや、それはそれで怖い。
響鬼さんであれば、京介さんであればあんな無様は晒さなかったんだろうな、と少し自嘲し、けれど今の実力を正しく知る機会でもあった。そう考えれば、大事に至らなかっただけマシなものだ。
「そうだ、お二人はっ」
意識を戻し、より多くの上級インベスと戦っていた二人に目を向ける。
斬月が無双セイバーでインベスの装甲をものともせず切り裂き、攻撃は盾で完全に防がれる。加えて龍玄の射撃でどこにも安息地はない。
業を煮やしたカミキリムシインベスが触覚を鞭のように長くしならせるが、龍玄に撃ち阻まれ、斬月に切断される。
「光実!」
「はい! 兄さん!」
「メロンスカッシュ!」
「ブドウスカッシュ!」
「「はあああぁぁ――――――ッ!!」」
緑のエネルギーを纏った無双セイバーがインベス達を纏めて両断し、東洋龍を象ったエネルギー弾が呑み込んだ。
「すごい…」
あれだけの上級インベスが、まるで相手になってない。やっぱり自分はいらなかったのではないかと思い始めたその時、二人が変身を解除しておもむろに僕の元へとやってくる。
「…さて、緑谷出久だな。今回の件とインベスの足止め、感謝する。俺の名は呉島貴虎。
「僕は呉島光実。今は兄さんの補佐とかをしてる。僕からも、ありがとう。最近現れたクラックのせいで対処できないところも増えてきてて…それでヒーローがインベスにやられてしまうこともあったんだ」
「え、あっ、いや。僕の方こそありがとうございました。あのままだったらやられていたので……」
何度も頭を下げる。それに、呉島という名字には覚えがあった。沢芽市に来る前、ドロタボウに関しての話を持ちかけていた人の名前だからだ。……まさか、その人が斬月だったとは思わなかったけど。
そう思っていると、貴虎さんは不思議そうな顔でこっちを眺めている。割と厳しめの顔つきだから、結構圧がある。
「あの…何か?」
「…いやすまない。やはり他の仮面ライダーはかなり造形が違うなと思ってな。変身は解かないのか?」
「あっ……、すみません。あの、普通の服のまま変身しちゃったので、服が燃えてしまって……、暫くはこれでお願いします」
咄嗟のことだったので忘れていたが、このまま変身を解くと裸を晒してしまう。何とか許可をとって頭だけ解除すると、またもや驚いたような顔になる。
「…なるほど、アーマードライダーの様にスーツを纏っている訳ではないのか」
貴虎さんの言葉に、言われてみればと思い返す。確かに猛士の鬼のように肉体を変化させるライダーもいれば、特殊な装備である場合もある。こうまでバラバラなのに『仮面ライダー』で統一されているのは何故だろうかと思っていると、ふと変な妖気を感じて目を向ける。
「何だろう…」
そこは、ドロタボウが立ち去った場所で、ひとつだけポツンと、あの毒々しい果実が落ちていた。
「…っヘルヘイムの果実…!」
光実さんが言い放ち、貴虎さんが回収する。毒々しい果実を手にした貴虎さんはまじまじとそれを眺め、ベルトを確認すると「変種か…」と呟いた。
「何でヘルヘイムの森の果実が? インベス達に紛れ込んだのか…?」
「そのことなんですけど、あれが僕たちの追っている魔化魍から沢山生えてきて、それを食べたインベスがあの姿になっていったんです。何か情報を知りませんか?」
僕がそう言うと、貴虎さんたちは真剣に考え込むように眉間にしわを寄せ呟いた。
「事態は思ったより深刻なのかもしれないな…。よし、ついて来い。その件で会議をする必要がある」
「 はいっ、分かりました」
そう言って前を行く貴虎さんの跡を追う。森の果実とか、ドロタボウの異変、そしてライオンインベスとの勝利後なため、気を抜いていたのだろう。
「デクの野郎……!」
遠くからの影から、こちらを見る視線には、終ぞ気が付かなかった。
燃えた出久の服には『伝説のヒモ』とプリントされてました
これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?
-
Hard 難しい
-
Easy 簡単
-
Intermediate 中級
-
Standard 標準
-
Excite 宝生永夢ゥ!
-
Impossible 不可能
-
↑頭文字を取って……