僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜 作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ
最後ちょっと展開が早いかもだけどゆるして。
そして前回の後書きで中学3年生だと言ったな。アレは嘘だ(あとづけ)
「仮面ライダー…クウガ…!」
緑谷の見守る先。五代雄介が変身したクウガに驚く様子を見せた未確認生命体だったが、すぐに笑みを取り戻して独自の言語でまくしたてる。
「クウガ、クウガ…! ゴゼパゲンシズンズァギダダ、メ・ビグマ・ダザ!」
「行くぞ!」
ファイティングポーズを構えたままのクウガと未確認生命体がぶつかる。
初撃はクウガ。赤のクウガ、マイティフォームの得意技である肉弾戦をしかけ、蹴りを起点に、次々と攻撃を加えていく。ビグマもやられているばかりでなく、攻めるクウガに攻撃を当てようと肥大化した爪を超高速で振り回すが、クウガはどれも的確に躱していく。
「す、凄い…」
「ズザゼスバ!」
痺れを切らしたビグマは体をよじり、思い切り回転する。縦横無尽に空気を切り裂く長爪は、文字通り空を切るのみで、肝心のクウガは既に範囲外まで下がっている。
「たぁっ!」
回転の収まった瞬間、クウガは顔に打撃を叩き込むが、想定よりもダメージの通りが悪い。
「ルザザ、ゴセンベガ・パンラゲデ・パザゲギバ・ビバン」
「ハァッ、ヤッ、セイ! うりゃあー!」
淡々と告げるビグマだが、クウガの連撃が止むことはない。一撃一撃が並の人間なら絶死に値する威力で顔、胸、腹、足と攻め立て、最後に裂帛の勢いと共に放たれた蹴りで地面を削りながら吹き飛ばされる。
「バゼザ…!」
直ぐに体勢を立て直したビグマは、抗議らしき言葉を喚き散らしながら猛然と突き進む。
怒りに任せた大ぶりの一撃が当たるはずもなく、伸ばした腕を掴まれて思い切り投げ飛ばされる。
再び起き上がったビグマは近づいてくるクウガ相手に萎縮してしまっており、何事かを口元で反芻する。
「そこらへんの“敵”なんかより圧倒的に強いのに、それでも全く相手になってない…!」
これが、新たなる伝説とも呼ばれる、仮面ライダークウガの実力。
ごくりとつばを飲み、眼球に鞭打ちその結末を見逃さんとする。
「バゼボン・バビロヅ・ジョギ……!?」
動揺した様子のビグマは再びグロンギ語でまくし立て、再度突撃。しかし、無謀な突貫は容易に対処される。一撃にて自慢の爪を半ばから圧し折られ、出来た隙を逃さず二撃。先程の繰り返しのように転がっていく。
極めて高い再生能力を持つグロンギといえど、クウガによる打撃は堪えたのか、ふらふらと覚束ない足取りで立ち上がる。
ようやっと彼我の実力差を思い知ったのか、悔しそうにしながらも撤退を考え始めていた。
――しかし、その思考はあまりに遅すぎた。
「ハアァァァァァァ――」
クウガは逃げようとするビグマを前に両手を開き、腰を低く構える。
先程までのゆったりした静の動きから一転、これまでに貯めた力を解き放つように飛び出した。駆け出す一歩一歩は確かな力強さを秘め、赤い炎が纏わりつく。
クウガが跳んだ。
跳び勢いそのままに宙返りし、その右足に炎が収束する。灼熱の輝きを帯びた蹴撃は、ビグマの胸を強かに打ち付けた。
「ガアッ……!!」
短い呻き声と共にビグマが吹き飛ばされる。驚異的な威力を見せたキックを放ったクウガは、左の手と膝をついて着地。
終わった。そう思い、賞賛と感謝の声をかけようとして、はたと気づく。
着地したクウガの後ろ。蹴られた胸に手を当てながらも立ち上がるビグマの姿が目に入ったのだ。
「五代さんっ、まだ!」
知らせようと声を上げ、その動きがおかしいことに気がついた。
よろよろと立ち上がったビグマの胸にクウガの紋章が浮かび上がり、苦しそうに掠れた声を上げる。
「ゴボセ、ゴボセ・クウガァァ――――ッ!!」
パリパリと稲妻の様なものが体を覆い尽くすと、メ・ビグマ・ダは倒れ、瞬間、爆炎を上げて破裂した。
「倒した…?」
恐る恐ると、声を震わせた出久。爆炎が収まった後にもしばらくその場を眺めていたが、思い出したようにクウガへ向き直る。
その場には、既にクウガから元の姿に戻った五代雄介が佇んでいた。
「…やっぱり、この感触は好きになれないなぁ…。っと、緑谷君だいじょうぶ?」
「はっ、はい! あの、ありがとうございました!」
ビシッと直角に折れ曲がりながら礼の言葉をかける。それに対し、五代はうんうんと頷きを繰り返してぐっとサムズアップ。
その後、爆発音を聞きつけて誰かが来るかもしれないということで海岸を離れて腰を落ち着けることにした。
◆
「ところでさ、さっきはああ言ってたけどさ。もしかして本当はヒーローになりたいんじゃない?」
「えっ?」
ドクン、と心臓が跳ねた。
「な、何でそう思ったんですか?」
「うーん。なんて言えばいいかな…。…そう、夢を語ってるときに笑顔じゃなかったからかな」
「笑顔…?」
問われ、思わず自らの表情筋を確かめる。触れてみれど、今はガチガチに硬直してしまっているためどのような表情かは分からない。
「そ、笑顔。俺はこれでも色んな人と会ってるけどさ、今自分がいっっちばんなりたい夢を言うときって、不安とかもあるんだけど、やっぱり笑顔なんだよ」
「警察官になりたいっていうのも嘘じゃないんだろうけど、多分その前、ヒーローになりたいってのが元々の夢なんじゃない? …俺の勘違いなら悪いんだけどさ」
どう? と聞いてくる彼に、僕は何の言葉も返せなかった。
完全に図星だったからだ。そう、警察官になるという気持ちに嘘偽りはない。その為の努力も怠った覚えはないし、今の夢はと問われれば、恥じることなく言い返せるだろう。
それでも、かつて憧れたヒーローという職業への未練があまりに大きすぎる。こうして警察官になるために時間を費やしている今でも、僕の胸の中ではその心火が燻っている。
「確かに、僕は前まではヒーローを目指してました。でも、無個性にはそんな無謀な夢は叶えられないって、分かったんです。それで、僕は……」
―――…
『超カッコイイヒーローさ。僕もなれるかなあ』
『……………………!!!』
『ごめんねえ出久、ごめんね…!!』
―――…
かつて夢破れたあの日、僕が本当に言ってほしかった言葉は……
「うーん、確かに、そうかもしれないね」
「………!!」
自分で聞いておきながら、そうなるように誘導しておきながらショックを受けた。いや、何を期待してたんだ僕は。嘘でもいいから、「ヒーローになれる」と言ってほしかっただなんて―――
「いいんだよ。納得いかないときはとことん悩んでいいんだよ」
「…っ!」
バッと振り向く僕に、そのまま続ける。
「だって、そんな簡単に出たら、悩む事ないじゃない。何年かかったっていいんだよ。みんな悩んで大きくなるんだから。君の場所はなくならないんだし。君が生きてる限りずっと、そのときいるそこが、君の場所だよ。……その場所でさ、自分が本当に好きだと思える自分を目指せばいいんじゃない」
「自分が…本当に好きだと思える自分…?」
それはずっと前。みんなが等しく無個性で、ある意味平等だった幼少期のこと。その時の僕は、なんの悩みも持たないで、ヒーローになった自分の姿を夢想していた気がする。
「そそ。結局、今はやりたいことをやれるだけやっておいたほうがいいんだよ。まだまだ出来ることはあるんだからさ。目指して諦める夢はあっても、目指さなきゃ夢なんて叶わない。目指しなよ。ヒーロー」
「僕が、ヒーローを…?」
無個性だと診断されてから、誰もがヒーローになれないと言ってきた。親しい人も、僕がその言葉を出すたびに優しく諭すような言葉を送ってくる中で、目指せと言う。
きっと、それは辛いことだと思う。現状よりずっと辛くて、苦しくて、現実に打ちのめされる可能性のほうが高い。死ぬほど努力して、死ぬほど工夫して、やっとスタートラインを目指すことが許される。そんな世界の話だ。
もしなれたとしても、厳しい社会に呑まれるだろうことは明らかだ。それでも、それでも――
「僕は…! 僕はっ…! 『ヒーロー』になれますか!?」
「…さあ、どうだろう?」
刹那。時が停まった。
「えっ…ええええぇぇぇぇぇぇっ!!? そ、そこは普通なれるって言うところじゃ…!?」
「いやあ、無責任なこと言えないし」
「それは、そうですけど…」
ガックリと、気の抜けた息を吐く。今までガチガチになっていた自分が馬鹿らしい。案外、この人みたいな方がうまく生きられるんだろうか。
「それでもこう…何か、こう…!」
肩を落とした僕に、笑いながら告げた。
「まあまあ、雄英高校はヒーロー科も普通科もどっちも受けれるんでしょ? なら挑戦だよ挑戦。ヒーロー科に合格する勢いでやって、駄目だったら普通科を受ければいい。さっきも言ったけど、悩むときはとことん悩んでいい。入ってからも悩んで、悩んで悩み抜いて、その時の自分が一番いいと思った道に進むんだ」
「五代さんも…五代さんも、そうだったんですか?」
聞き返されたことに驚いたのか、きょとんとした顔で固まって、直ぐに笑顔を取り戻す。
「…ああ。色々と思うところはあるけど、今の俺がここにいるのも『やりたいからやる!!』を続けてきただけだしね」
そうやって、ぐっと親指を立ててサムズアップ。
その何気ない仕草に、とうとう踏ん切りがついた。
「はは…、やっぱり僕、ヒーローになりたいです。自分が本当に好きでいられる自分になるために、ヒーロー科を目指します! 駄目で元々、受からなくっても、全力で生き方に胸を張れるように頑張ります!」
僕は拳を天に向け、高々と宣言する。これは誓いだ。今まで目を逸らしていた現実と向き合って、打ち克つための誓い。
とてつもない茨の道。でも前よりも意気揚々と気力は勝っていた。
「ほら、やっぱり笑顔が一番でしょ!」
―――…
全力でヒーローを目指すと誓ったはいいものの、それにはやれることを人以上にやらなければいけない。筆記は当然難問だし、ヒーロー科である以上それなり以上の戦闘能力も試されるだろう。
攻撃に向く個性と向かない個性とがあるが、それでも無個性では出来ることが少ない。今は純粋な身体能力で勝っていても、プロとして活動するための体作りと共に埋もれていく程度のものだ。
だからこそ、どうすればといくつものプランを考え抜いていたその時、五代さんがある提案をしてくれた。
「じゃあ、何か鍛えてくれる人とかも必要じゃない? やっぱり一人で独学だとアレだからさ」
「でも僕にそんな人は…」
確かにその通りなんだけど、そんな伝手までは持ってない。ネットで調べたりするのも限度があるし、プロヒーローは余程の事情でもない限りは僕なんかに時間を割く暇はない。
「緑谷くんってさ、今春休み?」
「は、はい。4月7日から3年生なので」
「そっか。…もし鍛えてくれるかもしれない人がいたらどうする?」
「それは、頼みたいですけど…」
「春休み全部使ってでもいい?」
「え!? もしかして、五代さんが…!?」
「俺が? 違う違う。俺そういうの向いてないし…。で、どうなの?」
「是非、お願いします!」
完全に頼るようで申し訳ないけど、今の僕は貪欲にならなければいけない。
その返事を受け取ると、五代さんは慣れた手付きでスマホを操作すると、誰かと通話を始めた。
「あ、急にごめん小野寺くん。士くんって今いる? …うん。うん。…あ、そうなんだ。ありがとう」
「誰だったんですか…?」
「うーん…友達? 仲間? まあ、そんな所なんだけど…ちょっと忙しかったみたい。もう一人の方にかけあってみる」
ちょっと待ってて。と前置きし、再びスマホで通話を開始する。
「もしもしソウゴ君? 五代雄介です。ちょっと相談なんだけどさ。……さんの今いる場所って分かる? ああ、ウォズくんが知ってるんだ。え、本当!? うん、うん。ありがとう!」
通話を終えると、僕の方に顔を向けて、サムズアップ。
「今言ってた人なんだけど、今ここ静岡にいるんだって」
「この県に? その人って…」
疑問を抱いた僕に対して、五代さんは力強く頷いた。
「日高仁志さん。―――仮面ライダー響鬼って言えば分かるかな?」
なんてことないように告げる五代さんに、僕は今日何度目か分からない絶叫を上げた。
グロンギ語はちゃんと意味を持たせてありますので気になったら翻訳してみて下さい。
これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?
-
Hard 難しい
-
Easy 簡単
-
Intermediate 中級
-
Standard 標準
-
Excite 宝生永夢ゥ!
-
Impossible 不可能
-
↑頭文字を取って……