僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜 作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ
「―――ッ!」
先に動いたのは出久のギルスだった。持ち前の超越した勘と感覚器官が訴えるのは、己と同質でありながら違う方向へと進化した到達点。
何においても、目の前の相手には敵わない。そう、本能が警鐘を鳴らしていた。だが、その程度の障害は止まる理由にならない。自身の上位互換だというのなら、何もさせぬままに攻撃を当ててしまえばいい。実際には思考というよりも動物的な直感に頼るものではあるが、腕の寄生装甲から伸ばした爪――ギルスクロウを剥き出しにして殴りかかる。
「ふぅっ…! はぁッ!」
けれど、猛獣の如き一撃は逆に捉えれば素直な動きだ。驚異的な身体能力で誤魔化してはいるが、それが真の強者には通用しない。
同じギルスでありながら、茶髪の男が変身したギルス…「エクシードギルス」は左腕で引き伸ばされたギルスの右腕を受け流し、同時に背を手刀で打ち抜き出久のギルスを地へ転がす。
その無駄のない動きは、かつて彼と共に闘った一人の戦士を連想させる。起き上がった出久は本能のまま、自身が出せる最大速度で接近。アスファルトが粉砕するほどの力で駆け出し、迎撃に移ったエクシードギルスの拳を身を縮めて躱す。四足獣かと見紛うほどに姿勢を低くしたギルスは勢いを緩めることなくギルスクロウを喉元に突き立て―――視界が青く染まる。
「……!?」
違う。若干の浮遊感を知覚し、たたらを踏んで持ちこたえる。高く上げられた脚。それが出久の顎を激烈に打ち上げ、空を見上げさせられたというのが正体。
「■■■■ッッ」
殴る――防がれる。殴る――弾かれる。殴る――とうとう、体一つで受け止められた。
「ハアッ!」
万力の如き力で掴んだ拳を握りしめ、悶絶するギルスに横蹴りが突き刺さった。
道路に投げ出されたギルスは脇腹を庇いながらも復帰し、迫るエクシードギルスへ腕から触手状の器官であるギルスフィーラーを鞭のようにしならせ、叩きつける。
その身体能力から放たれた強烈無比の鞭打は、超人ですら悶絶させ、並の人間ならばそれだけで絶死に値する威力。
されど、相手もまた人類を超越した存在。高速で薙ぎ払われた鞭を片腕で防ぎ、逆にこれを巻き取るとギルスを綱引きの要領で引き寄せた。
「でぇあっっ!!」
「ガッ!??」
そして、無防備な腹に膝を叩き込む。まるで最初の焼き直しかのように再び地面に転がり込むギルス。京介との連戦もあり、既にかなりの体力を消耗している筈だが、立ち上がろうと藻掻いている。
「ここまでしぶとかったか…?」
自らの体験を思い出し、疑問を呈するも、目の前の実例を見せられれば受け入れる他ない。
とはいえ、相手もダメージは蓄積されている。派手に転んだ衝撃から抜け出せていないのがその証拠だ。
よろよろと立ち上がるギルスに目を向けて、エクシードギルスは意趣返しか否か、背から伸びたギルススティンガーでギルスの身体を縛り付けていく。
「■■■ォッッ!!」
「無駄だ…!」
次第に強くなる力にギルスも雄叫びを上げながら抵抗するが、それが千切れるどころか緩む気配すらない。
当然だ。それはかつて彼の変身したギルスの敵わなかった相手すらをも完全に拘束した代物。破れるわけがなかった。
必死で力を振り絞るが、締め付けは止まらない。
「本当に理性がないのか? なら、仕方ない」
苦しみながらも絶叫を上げ、かつての自分には見られた理性の欠片すら見受けられないことから、「危険」だと判断した。
故に、その力を強め、ミシミシと嫌な音を立て始めたギルスの息の根を止めようと露出したギルスクロウを突き立て―――
「待った! そいつを殺さないでくれ!」
そこに、静止の声がかかった。
◆◆◆
「………」
未だ完全な回復にな至らないまま、鬼としてのタフネスで追いついた京介が見た光景は、変貌した弟弟子を拘束し、これまたそれに酷似した存在が止めを刺そうとする瞬間だった。
声を投げかけると、ピタリと動きが止まる。こちらを見ると、やや訝しむような視線を感じたが、拘束はされたままだ。
やはり、今の出久の状態と違って、こちらのほうは理性を保ったまま変身している。京介はそう確信した。
「すまない。感謝する」
「…お前の知り合いか」
静かに告げられた声に、僅かに驚いたものの落ち着いた声音で返事をする。
「ああ、弟弟子だ」
「お前も、
「そうか。鬼、仮面ライダー…。だが、理性がないんじゃ危険過ぎる」
相手は納得したように頷くが、未だ警戒を続けるその理由も真っ当なものであり、そこは京介も承知していた。
だからこそ、拘束されたまま呻く出久の前に立ち喝をいれる。
「…おい出久! お前は何をしている! “鬼”となるまで心身を鍛え上げ、ヒーローになるんじゃなかったのか!! 人を笑顔にしたいと言ったのは嘘だったのか!」
ピクリと、ギルスが反応する。それは拘束を解こうと力を溜めるのではなく、何か葛藤するかのような微弱な震えだ。
「いいか! お前は響鬼さんに認められたんだ! にも関わらずそんな力で理性を失ってどうする!? 目の前のコイツを見ろ! 扱えない力という訳では無い筈だ!!」
「ゥ…ウゥッ…!」
足元がふらつく。
「呻くな!! 俺はお前に、緑谷出久に聞いているんだ! お前は力に振り回される木偶か! それともヒーローか!! 答えろ!!!」
熱い叱責。戦闘時など以外ではあまり声を荒らげない彼が、必死の形相で問うていた。
わなわなと、ギルスの瞳が揺れる。そして、高らかな声で叫んだ。
「違います…。違います! 僕は緑谷出久!! “無個性”で! 響鬼さんの弟子で! いずれヒーローになる、“やるぞ”って感じのデクだ!!」
拘束は解かれ、ギルスの姿のまま自由になる出久だが、暴れ出しはしない。荒々しい力の奔流は変わらないが、しっかりと理性を保ったままそこに立っていた。
「はぁ…はぁっ…! 京介さん…」
自身の体を再び見つめ直し、次の瞬間、角が縮小し変身が解ける。気を失った出久の体を受け止め、僅かに苦笑する。
「ふっ、限界を迎えたか。 全く、手のかかる弟弟子だ」
己の体もいいわけではないだろうに、京介は出久を抱えると、再び山へ向かって歩こうとする。…が、無理をおして山を下ってきたのだ。変身もしていない状態ではふらつくのも無理はない。
そこに、伸びた手が一つ。
「手伝おうか」
「…悪い。助かる」
変身を解いた男が、その逆側の体を支えていた。
「強いな」
「何?」
二人がかりで運ぶその足取りは緩やかで、ぽつりと呟いた言葉が耳に残る。
「お前も、この子も、強いな」
「それを言うなら、中学生一人止められなかった俺よりもあんたに向けられる言葉だろう」
ふるふると静かに首を振る。
「俺がこの力を手にした時は、そんな決意はなかった。これだけの力を手にしておいて、恐れよりも覚悟が勝っていた。そう簡単に出来るものじゃない」
「……」
「俺は普通に生きたかった。夢も、大層なものはない。現実は甘いだけじゃないし、上手く行かないことばかりだ。でも、それでもああまで愚直な奴らが、何かを為すんだと俺は知っている。…こいつも幸せだな。こんなに、思ってくれる人がいる」
しみじみと呟かれた言葉は実体験とその辛さが垣間見え。けれど確かにどこか誇りのような何かが感じられた。きっと、その愚直な奴らとは、彼の中の大切な思い出を締める人物だったのだろう。
「俺は桐矢京介。あんたの名は?」
「俺か。俺は、葦原涼。仮面ライダーギルス…と呼ばれているらしい」
この瞬間、二人のライダーの道が交わり、新しい歴史を開くきっかけになるとは、神ですら、魔王ですら分からなかった。
◆◆◆
少しばかり時は過ぎ、都内某所。
そこに、平和の象徴、オールマイトはいた。
何という訳では無い。平和の象徴として、街のパトロール中だ。勿論、貴重な時間を出来る限り節約するためにマッスルフォームとは正反対の
彼が突き当たりの角を曲がった途端、違和感を覚える。
普段ならば、人々で賑わっている筈の通りには、人っ子一人いない。それどころか、周囲からも人の気配というものが無かった。
そのことに勘付いたオールマイトは直ぐ様警戒態勢に入り、状態を探ろうとするが、そこに背後から声をかけられた。
「やあ、久しぶりだな。オールマイト」
当然、この状態の彼をオールマイトだと気づくことの出来る人間は一部の関係者を除いていない。
しかし、この声は自身がその秘密を伝えた人物のものではない。ならば、かつてその身を呈して倒した巨悪か?
それも違う。声からは邪気も感じない。それよりも、オールマイトはその声に魂を鷲掴みにされたようにも感じていた。
何故ならば、その声の持ち主は、とうの昔に死んでいる筈なのだから。
「―――いや、
「……お師、匠…?」
信じられないと震える瞳で振り返る。そこには、かつてと変わらない姿で、彼の師である先代OFA継承者。志村菜奈が優しげな笑みを携えて立っていた。
さぁて、多分皆さんにとっても意外な展開だと思いますが……。さてどうなる!
じかーい次回!
止まる事のない出久の修行
無意味な戦いが果てしなく続く戦場に、悲しみを募らせる男がいた
そしてその悲しみは勇気という名の大きな力を生み、世界の運命をも動かした
次回、頭平成アカデミア 必死の叫び 運命を変える勇気ある数秒
赤評価のシャンクス「俺が感想乞食であることをお前に教える」
平成王に俺はなる!
大嘘
これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?
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Hard 難しい
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Easy 簡単
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Intermediate 中級
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Standard 標準
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Excite 宝生永夢ゥ!
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Impossible 不可能
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↑頭文字を取って……