僕のヒーローアカデミア〜頭平成ジェネレーションズForever〜   作:パラドクスのガシャットは俺が飲み込んだ

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一話にまとめるつもりが……。
次の話書いたら時間を飛ばして試験やるつもり。
修行で実力全バラししたら面白くないでしょ(さっさと入りたい言い訳)


『2001/0304』死に損ない『2006/0910』

「う……ん…?」

「起きたか」

 

 呻き、目を覚ますと、そこはいつも修行を行っている山の中。いつもと同じ空間だが、普段と違う要素が二つ。

 それは血痕の残る服を着た京介と、石の上に座り込む見慣れぬ人物。

 

「僕は…って、そうか、あの姿になって………。す、すみません!」

 

 頭が冴えると同時、これまで行ってきたことを思い出し顔を青くする出久。

 

「いや、謝罪はいい。それより、覚えているのか?」

「はい…。暴れていた記憶も、あります。あの時は、訳も分からず滅茶苦茶で…」

 

 そうか。と一言言うと、そのまま黙り込んでしまい沈鬱な空気が広がりかけるが、その前に葦原が話を繋げる。

 

「俺からもいいか」

「は、はい。あなたは…」

「葦原涼だ。お前がさっきまでなっていたものと同じ力を持つ者だ。誰が言い始めたかは知らんが、ギルスと呼ばれている。俺は鬼とやらに俺は詳しくないが、きっかけはあるはずだ。最近、死にかけるようなことは有ったか?」

 

 ギルス。それが自身を蝕み、けれど決して悪性の力ではない何か。

 そして死にかけたことは…ある。4月に起こった、今やヘドロ事件。あの時、ヘドロに捕らわれた僕は気道を塞がれて気を失っていた。

 そして、今更になって腑に落ちた。あの時、オールマイトが見たと言ったのは、ついさっきのようにギルスに変身していた僕のことだったんだ。

 思い返せば、鬼の力を扱うにはかなりの集中力が必要で、気絶していた僕が変身できる訳もないし、もしなっていたら服が燃え尽きていたはずなのだから。あの時はすっかり勘違いをしていたけど、今となってみれば思い違いも甚だしい。

 

「きっかけは…あります。多分、その時に一回成ってる…と思います。あの、この力…ギルスって何なんですか?」

「さあな。それを知ってる奴は、とうにこの世にいないさ。仲間内の推測じゃあ、アギトの不完全体らしいがな」

「アギトの…!?」

 

 仮面ライダーアギト。よく知っている。僕が目指していたGENERATIONSに配備されているG-3は、当時仮面ライダーアギトと共にアンノウンと戦っていたのだから。

 そして、偶に目撃された、二人とともに戦っていた緑の影。きっとそれはギルスだったんだ。

 

「そう、だったんですか…」

「怖いか?」

「それは…はい。またああなってしまうと思うと…!」

 

 ぎゅっと、両拳を握りしめる。あれほど強力な力。人なんて簡単に殺せる力が制御できず、本能のままに暴れまわる。かつて人々を守った力で、危うく兄弟子すら殺しかけた。

 突然得た、暴走する力。恐怖心を抱かない方がおかしい。でも、ただ怯えるだけじゃだめだ。勝手になってしまうのなら、制御する努力を今すぐに始めなきゃいけない。幸いにも、それを制御してのける人が目の前にいる。

 

「あの、葦原さんはどうやってギルスの力を制御したんですか?」

「いや、確かにその力は消耗も大きいが……。意識を失って暴走したことはないな」

 

「えっ」

 

 一瞬で、その期待は裏切られた。そもそも最初から扱えていた人間に、暴走時の対処など聞けるはずもない。

 

「何で僕は暴走した…? 何か葦原さんと違うのが原因か…? 年齢、筋肉量。いや、鬼の力を認識できるということ…? 駄目だ、比較できるものがないからどの可能性もあり得てしまう…」

「声に出てるぞ」

「あっハイスイマセン…」

 

 …こういうところは、良くも悪くも変わってない。前々から知ってる京介さんはともかく、葦原さんの僕を見る目が奇異なものに変わっていく…!

 

「そういえば、聞いてなかったな」

「何をですか?」

「お前がギルスに変わる前。急に苦しみ始めたが、何があった。俺はそこがきっかけだと思っているが」

 

 京介から齎された言葉にはっとする。そうだ、僕は今回“鬼”になるために集中して…途中で何があったかギルスになった。その時のことを

 

 

「確か、鬼の力を探ってたら、近くに…ええと、強い光みたいなのがあって、それに目を…? 心を奪われてたら…いつの間にか成ってました」

 

 僕の要領を得ない説明でもお二人は真剣に聞き入れてくれ、互いの持つ経験から原因を炙り出していく。

 そうして出された結論は、本来ならば来るべき時に覚醒する力に、内側の力を探ることの出来る僕が先に触れてしまった事による影響で、ギルスの力に適応していない体が暴走してしまった。……という推測だ。

 

「一度自覚し、自分で意識を取り戻せたのなら、今後余程のことでもない限り自制出来る筈だ。……あとは、その力に振り回されるな。振るうべき相手を見定めろ。ヒーローを目指すのなら尚更な。俺から言えることは、それだけだ」

 

 それは、当たり前のことで、それでいて当たり前にはいかないこと。きっと、葦原さん自身そんな経験があるのだろう。

 

「はい。重々承知しています」

 

 誰でも言える言葉が、この人の口からは何より重く伸し掛かる。でも、折れない、曲がらない。この道を進むときにそんな決意は過ぎている。

 完全に暴走が無くなったという確信はないけど、それでも、きっと。

 

「そう言えば、体は大丈夫か? あのやられっぷりに加えて、再生したとはいえ腕も一度吹き飛んでる。どこかしら異常はあるんじゃないのか?」

「あ、そういえばっ…!? 痛っ!? アイタタタタタタタタ!!? か、体がっ…! ギシギシ、ギシギシ言ってる……!!!」

 

 やっぱり相当の負荷がかかっていて、これまでに感じたこともないほどの痛みに襲われる。いや、本当に痛い。腕が飛んだ時も痛かったけど、それも含めて自覚した今、一気にそれらが来てる様な感じだ。クソぅ、暴走してる時の無茶のせいだ。

 

 京介さんは気遣うような視線を向けるけど、その口元は笑っている。そして葦原さんはというと…。

 

「そういえば、鬼はその力で強靭な肉体を保ったり、軽い傷程度なら治癒できると言ったよな」

「ん? ああ。鬼は鍛錬によってそもそものスペックも変わる。当然、優秀な人ならそれだけ強く、鬼としての力を扱える。響鬼さんは変身せずとも軽い傷程度なら完治させていたな」

 

 僕も、実際目にした訳では無いがそう伝え聞いている。確か、江戸時代には念力みたいなことが出来る鬼も居たらしいし…。

 それを聞いた葦原さんは、少し考え込むような素振りを見せ、僕に視線を向ける。

 

「経験者として言っておく。その力…ギルスは何度も変身を繰り返すとその不完全さからか、肉体が急速に老化していく」

「えっ、じゃあ、葦原さんは…?」

「俺はある人達の協力で克服することができたが、参考にはならないと思う。だが、鬼なら…効果の程は知らないがマシにはなるはずだ。鍛えておいて損はない筈だ」

「わ、わかりました…。精進します…!」

 

 最後に、握手をして山を下っていく。本来なら僕を運んでそのまま去るつもりだったけど、京介さんの引き留めでわざわざ待っていてくれたらしい。

 

 これは見送る際の言葉だ。

 

「勘だが…お前はこれから夢を目指すに当たっていくつもの困難、ひいては理不尽にも遭遇するかもな。それが仮面ライダーというやつらしい。でも、その時は自分を哀れんだりはしないほうがいい。そうすれば、自分の中の大切な何かが折れてしまう。自分で選んだ道だ。相応の責任はかかるさ。それで、失うものもきっとある」

「っ…!」

「だが、自分を不幸なヤツなんて言うな。自分は自分として生きていけ。…それだけだ」

 

 自分らしく。五代さんも言っていたそれを、この人はまた別の覚悟で為そうとしている。僕には推し量れない何かが、この人の強さそのものなんだろう。ヒーローとは違う、一人の人間として強くあろうとするその志には、僕は心を奪われていたのだった。

 

 そしていつの間にか、僕は修行場まで戻っていた。どうやら今の言葉に集中しすぎていたらしい。

 

「そうだ、出久。これを渡しておく」

「これって、名刺ですか? 一体誰の…」

 

 それは、葦原さんのものだった。ただの名刺と違うのは、彼の務めているであろう店の電話番号が書かれていることだろうか。

 

「バイク屋? なんで僕に…?」

「仮面ライダーを目指すのなら、バイクがあって損はないらしい。なにせ、“ライダー”だからな。いつか機会があれば訪れてみればいい」

「はい! そのためにも…」

「修行だな。今日明日では体力の消耗も激しいだろう、明後日に今日の予定をずらすぞ。響鬼さんも同伴でな。…励めよ?」

「当然!」

 

 新たな道。新たな覚悟。各々の歴史の『乗り人(ライダー)』が紡いだそれは、きっとこれからも色褪せることなく誰かの心に残っているのだろう。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「……お師、匠…?」

「久しぶりだな。最後に会ったのはもう四十年以上前になるのか…。それにしても……随分と見違えたな。立派に育ってくれて、嬉しいよ」

 

 親しげに手を振り近寄ってくる姿は、仕草は、僅かな癖まで、正しくかつて共にあった師匠そのままで…。

 

「あのきかん坊が有言実行するなんて、昔の空彦に言っても信じ…」

「止まれ!」

 

 ありえないと揺れる心と、目の前の出来事を信じたい気持ちがせめぎ合う。混濁した思考のまま咄嗟に口に出した静止の声。

 その勢いにピクリと反応した志村菜奈は動きを止めじっとオールマイトの顔へ視線を向けていた。

 

「お前は…! 何者だ…!」

「何者って、見りゃ分かるだろ?」

 

 手を広げ、何もおかしなところはないとばかりに体を見せる。どこからどう見ても、志村菜奈以外のなにものでもない。

 

「そんなはずはない!! お師匠はあの時間違いなく死んだ! ()ならばいざ知らず、お師匠がその姿のまま生きている訳がないだろう! お前は、何者だと聞いているんだ! 」

 

 マッスルフォームに変化。全盛期と比べれば衰えたその体でも、異様なほどの怒気を発して睨みつける。

 烈火の如く猛り問う気迫に押されたのか、弧を描いた口は引き結ばれ、差し出した手は力なく垂れる。

 

「そう、か…。そうだよな。お前はそんなやつじゃない。あわよくば騙されてくれないかと、そう期待した私が甘かったな」

「その口ぶり、やはり…っ?」

 

 オールマイトの怒気に晒され、目論見も失敗している。そのはずなのに、目の前の存在は悲しげな苦笑を零していた。

 なんだ、どうにも目の前の相手の行動原理が分からない。知己の姿を真似、失敗しても逃げも襲いもしない。

 

「一体、何が目的なんだ…?」

「そう警戒するな。危害を加えるつもりはないよ。いくら今の体でも私に勝ち目はないし、お前も無駄遣いは避けたいだろうしな」

 

 何度目かの衝撃。体の衰え、制限時間。どちらもが露呈している。

 だが、それが余計に混乱を与える。その事実を知っているのは自ら話した者を除くと()()関係しかあり得ない。

 しかし、信頼して話した人物だけに彼らから齎された線は低い。それに、ヤツと私の因縁を知っていたとして、お師匠の事まで知っている人は少ない。

 では逆に、目の前の存在がヤツ関係だとしたら―――。

 なくはないが、これもまた低い。ヤツならもっと悪趣味で、露見させるタイミングも計っているはずだ。5年前のあの時に出さず、何でもない今になって……。

 

「慎重なのはいいんだが…、そこまで疑られると流石に悲しくなるな…」

「あっ、す、すいません…。…って違う! んんっ、まあ、敵意がないというのなら、一体どういう要件で私に接触を…?」

 

 緩みかけた空気を立て直し、妥協して問うと、志村菜奈の瞳が鋭く細められた。

 

「ああ、本題に移るとしようか。……オールフォーワン、憎きヤツが生きているというのは、知っているか?」

「なっ!? いや、だが…。クソッ、やはりか…!!」

 

 ゾワリと体中の毛穴が開き、言いようのない不安感が襲い来る。だが、驚愕と同時に納得がいったようにギリギリと歯を食いしばる。

 

「やはりってことは、薄々勘づいてはいたんだな」

「ええ…あの時、確かにヤツを捉えた拳は全力だった……。しかし、あの感触…ヤツのしぶとさを考えれば不安を覚えるには充分だ」

「そう、未だヤツは健在だ。それも最悪なことに、財団Xを始めとした各団体と手を組み力を増して、な」

 

 ――財団X。表の社会どころか、ヒーロー社会ですら名を知られていない組織。けれどこの名を知っている一握りの人間からすれば「最悪」の二文字が脳を過ぎる。

 

 個性犯罪者ではなく、超科学や未知のエネルギーなどで怪人を生み出す強大な組織。

 “ガイアメモリ”、“オーメダル”、“アストロスイッチ”等など、未だ個性とは一線を画す物体を研究しており、その成果が世に放たれれば甚大な被害が出る。その都度駆けつけた仮面ライダーやヒーロー達に阻まれているが、その全容は未だ不明だ。

 特に、仮面ライダーでしか対処出来ないものも多くあり、関わったヒーローは歯痒い思いをしている。

 

「財団X…」

「ああ、それに政府官邸を襲撃した“ダウンフォール”が用いていた“ファントムリキッド”を介した“ネビュラガス”や、数年前仮面ライダークローズにより撃破された“ブラッド星人”キルバスの細胞が回収されていることも確認した。どれも一都市程度は容易に壊滅できる脅威だ」

 

 そう言って、ポケットからメモ用紙を渡される。開けば、これまでの情報や活動地域からの推測などが纏められていた。……お師匠の筆跡そのままで。

 

「これは…?」

「信頼出来る者にだけ見せろ。誰かに渡す場合は手書きで書き写してくれ。相手が相手、用心するに越したことはない」

 

 未だ世に現れぬ、それでいて恐ろしい脅威の情報。それは何とも頼りがいのあることだが、解せない。

 オールマイトという1個人ではなく、公安や、それこそヒーロー上層部に駆込めばいいだろうに。

 

「何故かって不思議そうな顔をしているな? そりゃ当然。私がお前を信頼してるからだよ。…相変わらず実直過ぎるのは玉に瑕だけどな」

 

 そう言って、にっと口を歪めて笑う姿は、昔夢を語ってくれた笑顔と重なる。分かっていても、想起せずにはいられなかった。

 

「一体、あなたは……!?」

「しまった…。時間をかけ過ぎたか…!」

 

 何かの気配を感じて言葉を中断するオールマイトと、その存在を予期していたかの様な志村。

 振り向くと、そこには今まで一人すら居なかった道から歩いてくる複数の市民達。

 それは何ら不思議な事ではないのだが、その全ての視線がこちらを凝視していることに疑問を覚える。奇異の目を向けられても気にした様子もなく歩いてきた人々は少しの距離を開けて立ち止まった。

 

「?」

 

 ―――そして、一人が変貌。

 

「ワームだと!?」

「ジュルルルルォ…」

 

 変貌したそれにオールマイトがマッスルフォームへと以降したと同時、周囲の人間まで全く同じ姿に変わる。それは鼻を啜るような、液体をかき混ぜるような鳴き声を上げ、右腕の巨大な爪を構えながら迫ってきていた。

 両手を頬に添えた骸骨のような顔を包むフードの様な頭部、昆虫を思わせる節だった手足、その体色は緑。

 

 その通称は“ワーム”。15年程前から確認され、仮面ライダーによって斃された地球外生命体。その最大の特徴は二つ。まず一つは、完璧な擬態。人間の姿、声、記憶、ひいては持ち物までを完璧に“擬態”するという恐ろしい生物だ。

 それらの事件に関連して、日本人が全滅しかねない大事件が起こったが、ここでは割愛しよう。

 

「悪い、俊典。こいつは私の厄介事だ。手は出さなくていいぞ」

「それは出来ない相談ですね。余計なお節介がヒーローの本質なものでね!」

「……言うようになったじゃないか。誰に習った?」

「本物の貴女にですよ!」

「だろうな!」

 

 ならばと、二人並び立つ。靡くマントをはためかせ、拳を握り背を任せ。

 今ここに、新たな歴史の一部が生まれようとしていた。





結局何者なんだこのお師匠(偽)は…

これからのヒーロー達(出久やライダーも含む)の難易度は?

  • Hard 難しい
  • Easy 簡単
  • Intermediate 中級
  • Standard 標準
  • Excite 宝生永夢ゥ!
  • Impossible 不可能
  • ↑頭文字を取って……
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