ようこそクズヒモ男の教室へ   作:妄想癖のメアリー

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バイト明けの投稿です。今日の24:00にもう1話投稿する予定です!お楽しみに!


優柔不断

 

 

 

「……んぁ?」

 

 昨日堀北さんと話した後すぐ寝落ちしてしまったらしい。慌ててスマホの時計を確認したが、時刻は4時に差し掛かろうとしていた。完全に寝落ちしてしまった。

 

「あー、だる」

 

 えっと、昨日堀北さんと別れたのは……大体7時前くらいか。うわ、めちゃくちゃ寝てるじゃん。飯も食ってないし、風呂も入っていない。

 心なしか、ベッドも狭く感じてしまう……? ちょっと待て。

 

「ん……騒がしいですね。朝くらい静かにしたらどうでしょう?」

 

 ただでさえ手狭に感じるシングルのベッド、俺の背に沿うように寝ていたのは、パジャマ姿の有栖ちゃん。いや、何冷静に解説してんだ。まずやるべきことがあるだろ。

 

「えーっと」

 

 一旦ベッドから出て、自身の服装を確認する。下は……履いてるな。

 

「逆に履いてなかったら、どうするつもりだったんですか?」

 

「いや、とりあえずアフターピルを」

 

「清々しい程のクズですね」

 

 いや、高校一年生で妊娠はマズいだろ。大学卒業するまで作らないって決めてんだから。

 というより、なんで有栖ちゃんが居るんだ? 百歩譲って堀北さんならわかる。前世では仲のいい女友達を家に呼んで、そのまま抱いちゃったーなんてまあまああったからな。

 

「随分と混乱しているようですね? 私、昨日ここにあったカップ麺で夕食を済ませたのですが」

 

「あっ」

 

 そうじゃん。俺ら毎日一緒に飯食ってんじゃん。ヤバい、連絡入れるの忘れてた……

 マズい、連絡をすっぽかして女の子家に連れ込んだことがバレたら殺される。考えろ……前世で潜り抜けた修羅場が、俺に力を与えてくれる! 

 

「時間になっても連絡がこないから心配して来てみたら、制服姿のままベッドに横たわる間抜けを見た私の心境を想像できますか?」

 

「あー……ごめんなさい」

 

 これに関してはどうあがいても俺が悪いので素直に謝る。よし、とりあえず堀北さんを家に連れ込んだことはバレてないみたいだ。

 

「何故連絡を忘れたんですか? 学校の授業で疲れたわけでもないですよね」

 

「昨日クラスでポイントの話されたじゃん? それで帰るのが遅れて、疲れて寝ちゃったんだよね」

 

 うん、嘘は言ってない。完璧な供述だ。

 

「そうですか。じゃあ、部屋に女性のものと思われる髪の毛が落ちていたのですが、これも色々の中に入るのでしょうか?」

 

「え゛」

 

 そんなテンプレ通りのバレ方ある? ……いや、そもそも付き合ってないんだし、すっぽかしたことだけ謝ればいんじゃね? 

 

「えーっと……はい、家に入れました。ただホントに、邪な気持ちは一切ありません」

 

「あら、そうだったんですね。因みに髪の毛の話は嘘ですよ。机に食器が置かれていたので、かまをかけさせて頂きました」

 

「嘘じゃん……」

 

 そうだ、この子俺が付き合ってきた子の中で群を抜いて頭いいんだわ。完全に忘れてた。

 そんなことを思っていると、有栖ちゃんは少し間をおいて小さく呟いた。いつもとほぼ変わらない口調だったが、付き合いの長い俺は拗ねてるんだろうなーってのは何となくわかった。

 

「……別に、付き合ってないのでどうこう言えないですけど、それでも連絡くらいは入れてください。心配したんですよ?」

 

 か、かわいいー。俺を独占したいと言う気持ちと、プライドの高さがぶつかり合っている。いつも気高い様子の彼女だが、そのギャップが良い、凄く良い。

 立ち尽くしたまま黙っている俺をどう思ったのか、有栖ちゃんはそのままベッドへ潜ってしまった。

 

「あまり大きな音を立てないでください。私はもう一度寝ます」

 

 もぞもぞと小さな山が動いている。余りの無警戒さに笑ってしまいそうになるが……まぁ、人生の大半を一緒に過ごして来たらこうもなるだろうな。そんな彼女を尻目に、俺はシャワーと朝食の用意を済ませた。昨日一緒に食べれなかった分、今日は少し豪華に行こう。

 そう思いながら支度を済ませると、俺のベッドには穏やかに寝息を立てる有栖ちゃんが居た。

 

「ごめんな」

 

 そんな彼女の頭をさわさわと撫でながら呟く。口から出た言葉は、無意識にこぼれ出たものだった。

 俺にとって坂柳有栖とは、友達で、幼馴染で、妹のようで、不安定だった俺の心の隙間を満たしてくれる存在だった。まあ、小1からの幼馴染なんて、成長していくにつれて自然消滅するものだと思っていたし、まさかここまで続くとは思っていなかった。

 

『────アンタが……アンタが私を置いていったから! ……どうして一緒に落ちてくれなかったの!?』

 

 その時思い出したのは、俺の上に跨って涙を流す女性の姿。正直思い出したくもない記憶だ。

 

「っつ……」

 

 脇腹にジンとした痛みが走る。不思議なことに体が変わったとしても、記憶が痛みを覚えているものらしい。

 きっとこの痛みは、俺が『答え』を見つけるまで一生付き纏うんだろう。しかし、俺にはその覚悟がない。『答え』を見つける覚悟が。

 

「……こんなクズのどこが良いんだい? 有栖ちゃん」

 

 そう呟きながら、有栖ちゃんの背中を横抱きにしてベッドに入る。そして、それに顔をうずめるようにして、俺は再び眠りについた。

 

「……人の気持ちも知らないで、好き勝手言わないでください」

 

 

 




余談なのですが、私が小説を書く時は、キャラクターを形作る根幹を把握して、頭の中で「このキャラならこうするだろうな」というのを書き出して執筆させていただいてます。まぁ、皆さんそうだとは思いますが。
その為、当初の想定よりも、展開が思わぬ方向に向かうことが多いです。事情により前回投稿させていただいた旧第10話と違う展開になりましたが、どうかご了承いただけると幸いです。

ぶっちゃけ原作(小説・アニメ・漫画)見てます? 見てない方多かったら、試験の説明詳しく書きます

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