ようこそクズヒモ男の教室へ   作:妄想癖のメアリー

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なんか寝ちゃたのでこの時間です

50ほどの評価と、たくさんの感想貰って感動しちゃいました。返せてないですが、しっかりと読ませて頂いてます!ありがとうございます!


成長(綾小路データベース記載)

 

 

 

 少し前、俺は『友人が助けを求めてきたら、ぜひ手を差し伸べてあげて欲しい』との旨の発言をした記憶がある。

 たしかにあの言葉に嘘偽りは無い。人間助け合って生きていく生き物だし、それが親しい友達なら尚更だ。

 

 ただ1つ勘違いして欲しくないのは、助けを求める側にもキチンとした礼儀や手順を踏んで欲しいという事だ。そんなアニメや漫画みたいな急展開、心臓に悪いのでやめて欲しい。

 目の前で事情を説明している綾小路君だったが、そういう問題じゃないんだよ。

 

「────という訳で、一之瀬を助けてやってはくれないか?」

 

「いや、別にいいけど……急じゃない?」

 

 昼休み。いつもの通り教室で昼食を済ませようとした俺だったが、綾小路君から別の場所で食べようと誘われたため屋上へと足を運んだ。

 そこで待っていたのは……何と櫛田さんと並んで学年の人気者、一之瀬さんだった。正直死ぬほどビビったぞ、マジで。

 

「ごめんね……綾小路君に話したのも今日の朝なんだ」

 

 綾小路君の隣に座った一之瀬さんが申し訳なさそうに手を合わせてくる。俺たちは、左から俺、綾小路君、一之瀬さんという並びで横並びになって食事をしていた。

 

「全然大丈夫。でもちょっと驚いたよ。まさかあの綾小路君が女の子、それも人気者の一之瀬さんを引っ掛けてくるなんて」

 

 予想外すぎるコンビのため、俺の悪い所が出てきてしまう。これは弄りたくなっちゃうだろ、流石に。

 ニヤニヤと語る俺に対して、呆れたようにこちらを見つめる綾小路君と、対照的にあたふたと手を振る一之瀬さん。

 

「言い方」

 

「も、もうからかわないでよ! 別にそんなんじゃないよね? 綾小路君」

 

「……ああ、そうだな」

 

 少し間を置いて同意する綾小路君。ちょっと残念そうにしてるのが余計面白い。

 

「で、一之瀬さんが告白されるんだっけ? 相手が誰か聞くつもりは無いけど、普通に断るんじゃダメなの?」

 

 一之瀬さん位可愛かったら、中学時代いくらでも告白されたろうに。

 そう思って聞き返したが、彼女の答えは予想の斜め上を行くものだった。

 

「私告白された事ないんだよね……だから断るにしてもどうすれば傷つかないかなって」

 

 え、嘘だよね? 高校デビューで超可愛くなった感じなの? ……居るもんだなぁこんなに化ける女の子。

 

 

「マジか……チャンスだよ、綾小路君」

 

「────オレと付き合ってください。一之瀬さん」

 

「うぇ!? え、えっと……ごめんなさい!」

 

 俺のノリに即座に対応した綾小路君だったが、それはそれは見事な振られ様を見せてくれる。この辺のノリの良さは長い付き合い様々だな。

 

「っははは! ……いでっ」

 

「笑いすぎだ……ったく。人生最初の告白がこんな形になるとは思わなかったぞ」

 

 あまりにも即答されたため笑いを抑えられない。

 綾小路君はそんな俺にチョップをかまし、呆れたように呟いた。

 

「ま、またからかったの!? もう、斎藤君とちゃんと話したの初めてだけど、こういう人だとは思わなかったな!」

 

 ぷんぷんと可愛らしく怒る一之瀬さん。見た目だけじゃなくて性格も良いからなぁ……マジで何で告白されなかったんだ? 優しくされて勘違いする奴とか無限に居そうだけど。

 そんなことを思う俺だったが、一之瀬さんが100点の回答をしてくれたため、ニヤリと笑いながら告げた。

 

「でもちゃんと断れたじゃん」

 

「えっ……あ! 確かに!」

 

「オレの犠牲の上でな」

 

 ハッとした様子の一之瀬さんとは対象に、綾小路君は未だに不貞腐れたままだ。いやごめんって。ポイント入ったら後で飯奢るから。

 その言葉に機嫌を取り戻した綾小路君だが、一之瀬さんはまだお気に召さないようだ。

 

「んー……ホントにこういう形で断っちゃってもいいのかなぁ」

 

「因みにどうやって断るつもりだったの?」

 

 俺がそう質問すると、一之瀬さんはもじもじと膝に手を起きながら、伏し目がちにこちらを見つめて来る。

 すげぇ可愛いな。有栖ちゃん居なかったら全力で落としに行ってるわ。

 

「えっと……その、2人のどっちかに彼氏役をやってもらって、断ろうかなって……」

 

 ────俺が、一之瀬さんの彼氏になる……?

 聞きつけた有栖ちゃんが泣きながら俺の玉をもぐシーンが浮かび上がってしまった。ひぇぇおっかない。

 と言うか、余りにも悪手すぎて笑ってしまう。隣を見ると、綾小路君も呆れたようにため息をついている。

 

「……はぁ。紡のところに連れてきてよかったな」

 

「いや、マジで超ナイスだよ綾小路君」

 

「……ダメだった?」

 

 俺と綾小路君の呆れたような視線を受け、恥ずかしそうにこちらを見つめる一之瀬さん。そんな可愛い仕草してもダメなものはダメだ。

 

「駄目駄目。なんなら1番ダメだよ」

 

「恋愛経験ないオレだってそう思うぞ」

 

「……そう、なんだ」

 

 露骨に落ち込む一之瀬さん。良かった、相談しに来てくれて。危うく取り返しのつかない事になる所だった。

 俺は指をピンと立て説明を行う。

 

「良いかい?  告白なんて一大イベント。ちゃんと相手に付き合ってる人が居ないか下調べするに決まってるじゃん。そして覚悟を決めて、どう告白するか考えて、前日の夜は眠れず……そして迎えた当日、呼び出した人の隣に彼氏がいたらどう思う?」

 

「あっ……」

 

「……想像もしたくないな」

 

 ……嫌なこと思い出した。NTRとかBSSはマジ勘弁よ、ホント。

 

「ね、そういう事よ。ちゃんと諦めさせてあげな」

 

 そう語ると、一之瀬さんは膝の上に置いた拳を強く握り、下唇を噛んでフルフルと震えだした……マジか、純粋すぎやしないかい? 

 

「ちょちょ、別に初めてなんだからそんな思い詰める必要ないって」

 

「で、でも……私最低なこと……」

 

「いや、大丈夫だって。なんならまだ振ってすらいないんだから」

 

「そうだぞ、紡の言う通りだ。間違いを犯す前に正せたんだから良い方だと思うぞ」

 

 2人で落ち込んでいる一之瀬さんを励ます。何と言うか、ここまで純粋だと逆にやりづらいな。何せ普段話してる女の子は有栖ちゃんと堀北さんだし。

 

「……そっか。ありがとう、2人とも」

 

 そんな必死の説得が功を奏したのか、強い意志を瞳に浮かべる一之瀬さん……いや、そこまで気を張らない方がいいと思うんだけどな。これから沢山告白されるだろうし。

 それから俺たち3人は連絡先を交換し、授業5分前のチャイムが鳴るまで語り明かした。

 

「あっ! もうこんな時間。ごめん、わたしもう行くね!」

 

 焦ったように弁当箱をしまい、早足で教室へ向かう一之瀬さん。残った俺たち2人もぼちぼち屋上を後にする。

 

「……なんというか、入学して初めて普通の女子と話した気がするぞ」

 

「あれが普通になったら今後の人生苦労するぞ?」

 

 堀北さん、櫛田さん(裏)と癖の強い女の子ばっかりなので気持ちは分かるけど。あんなに良い女を普通に置いちゃうと理想爆上がりになって詰むよ。綾小路君。

 

 

 

『無事円満に振れたよ! ありがとう斎藤君!』

 

「……何か言い方悪いな」

 

 夜、一之瀬さんから届いた感謝のメッセージを読んでいると、スマホに1本の電話が届いた。画面には俺が設定した『きよぽん』の文字が。ちなみに綾小路君である。

 

「もしもし? 珍しいね、きよぽ……いや、綾小路君から電話だなんて」

 

「……今何を言いかけたか気になる所だが、相談に乗って欲しい」

 

「あはは、今日はやけに相談受けるね。駆け込み寺じゃないんだよ?」

 

 そんな冗談を混じえながら、綾小路君の話を聞く。その内容は以下の通りだ。

 目撃者探しの一環で、佐倉さんのデジカメが故障してしまい、そのお詫びとして櫛田さん、佐倉さん、綾小路君の3人でモールに行くという話だ。

 

「良いじゃん良いじゃん。可愛い子2人も侍らせてショッピングだなんて、綾小路君も隅に置けないねぇ」

 

「それが問題なんだ。オレは一対多はおろか、女子とデートしたことすら無いんだぞ」

 

「大方、佐倉さんから事件について何か聞こうって魂胆なんでしょ? そんなに気負わなくていいって」

 

「そうかもしれんが……」

 

 ウンウンと唸る綾小路君。彼の気持ちもよーく分かる。

 いくら櫛田さんが一緒とはいえ、今までほとんど話したことない女の子と3人で出掛けるんだ。緊張しない方がおかしい。

 

「なぁ、紡も一緒に行かないか? そうすれば男女2:2でバランス良くなると思うんだが」

 

「相手が佐倉さんじゃなかったら行けたんだけどねー。綾小路君はなんで俺じゃなくて君が呼ばれたか。考えれば分かるっしょ?」

 

「……まぁ、何となくは」

 

 仮に櫛田さん、俺、佐倉さんで行ったとしよう。クラスどころか、学年でも交友関係の広い2人の間に挟まれた佐倉さんは気が気じゃないはずだ。須藤君の話もあるからね。

 

「だから頑張って行ってきなよ。気立てのいい櫛田さんもいるんだし、緊張しすぎなければ楽しい思い出になると思うよ?」

 

「……そっか。分かった、あまり期待はするなよ」

 

 そーそー、その意気で行かなきゃね。ガチガチに緊張した状態で行っても気まずいだけなんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 ────高度育成高等学校データベース 7/1時点────

 

 氏名:綾小路 清隆(あやのこうじ きよたか)

 クラス:1年D組

 学籍番号:S01T004651

 部活動:無所属

 誕生日:10月20日

 

 ──評価──

 学力:C+

 知性:C

 判断力:C+

 身体能力:C

 協調性:C-

 

 ──面接官からのコメント──

 

 積極性に欠け将来への展望なども持ち合わせておらず、現段階では期待の薄い生徒だと言わざるを得ない。 協調性や個性と呼べるものも感じられない。 受け答えそのものは高校生として許容範囲内ではあるものの、現段階での学力と身体能力は平均をやや下回る。特別な資格もないこと、別途資料による事情等からDクラスへの配属が適正であると判断。 友人関係の構築、 教師との関係に注意しつつ生徒個人の成長を望む。

 

 ──担任メモ──

 堀北鈴音、斎藤紡との交友によって成長の兆しを見せています。特に協調性の成長は著しく、このまま経過を見守る次第です。

 

 

 




彼の原作での協調性はDなので、2段階ほど上がった計算になります

ぶっちゃけ原作(小説・アニメ・漫画)見てます? 見てない方多かったら、試験の説明詳しく書きます

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