ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
有栖ちゃんの脳を破壊したかっただけなので、設定に無理がある場合は修正します笑
日曜日のお昼前、オレは櫛田との約束を果たすためショッピングモールへとやって来ていた。土日は基本的に自室で過ごしがちなオレにとってちょっと緊張してしまう場所だ。
いくら腹を括ったからといって、早々適応できるものでもない。
同じ寮に住んでいるんだから一緒に行けばいいと思うだろうが、櫛田にはちょっとしたこだわりがあるのか、現地で待ち合わせることに意味があるらしい。
『うーん……待ち合わせっていうロマンはあると思うけど、それ以上にモールまでの道会話途切れずに進める?』
『……難しいな。話題が無くなりそうだ』
そんなやり取りを思い出した。確かにこのドキドキ感は現地集合じゃないと味わえなさそうだ。
「おはよー!」
周囲の喧騒を裂く、満面の笑みを見せる櫛田が近づいて来た。
「お、おう……おはよう」
思わずドキッとしたオレは、ちょっと言葉に詰まりながらも軽く手を上げる。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「いや、オレも着いたばかりだから」
デートのテンプレのようなやり取りをしつつ、オレは思わず 櫛田の上から下まで全身を見てしまう。可愛い。可愛いぞ櫛田。初めて見る彼女の私服姿に感動を抑えきれない。
「えへへ、どう? 似合ってる?」
ニンマリと笑いながら、上目遣いでこちらを覗いてくる櫛田。あまりの破壊力に動揺しながらも、俺は紡に言われたことを忘れずに実行する。
「ああ、似合ってるぞ。櫛田の明るいイメージにピッタリだ」
「えっ、凄い綾小路くん! いつもの綾小路くんじゃないみたい!」
……少し引っかかる言い方だが、良いスタートを決めたと言えるだろう。逆にあっちから聞いてくれて助かった。
『今来たところだーとか、その服似合ってるぞ、とかはテンプレートだけど絶対言った方が良いよ! そして服は相手の好印象の部分と関連付けて褒めるとなおよし!』
ありがとう我が親友。お前のおかげでオレは上手く乗り切れそうだ。
「んー……」
どう会話を展開するか悩んでいたオレの頭からつま先までを、驚いたように見つめる櫛田。特に変な服装じゃないと思うんだけど……
「ど、どうした? そんなに似合わないか?」
不安が口から漏れてしまうオレだったが、櫛田は予想外にも、オレの服装に対して好印象を抱いているようだ。
「ううん! ただ意外だなーって、綾小路くんこういう服着ないと思ってた!」
勘が鋭いな、櫛田は。
そう、何を隠そうこの服は昨日紡と一緒に買いに行ったものだ。
『そんな休日のお父さんみたいな服じゃダメだよ! 金は俺が持つから、最近入り良いし……とりあえずコレとコレとコレね』
半袖ベージュのTシャツの上に、絶妙に違う色の五分丈のシャツを羽織ったもの。さらに下は黒のジーパンとスニーカーで、オマケとしてネックレスと腕時計を付けている。
『やっぱ身長高くてスタイルいいからオーバーサイズ似合うね。これにシンプルなネックレスと腕時計を……うわ、何か女殴ってそうな見た目になっちゃった』
自分で着せ替え人形にさせといて何言ってんだと思いながらも、今まで手を出しづらいと思っていたスタイルにテンションが上がったのは記憶に新しい。
「実は紡に選んでもらったんだ。前の服は地味だと散々言われたよ」
「あ! 斎藤くんか〜。やっぱ噂通りいいセンスしてるね」
合点がいったと言うように手をポンと叩いた櫛田。
「噂?」
「斎藤くんって先輩同学年問わず、洋服とか化粧品とか選ぶの手伝ってあげてるみたいだよ? その代わりご飯とか奢ってもらったり、ポイント貰ってるんだってー」
「知らなかった……」
あいつそんな事してたのか……まぁ、親友の知られざる一面を知ることができて嬉しいぞオレは。決して教えて貰えなかったことに拗ねている訳では無い、決して。
「でも綾小路くんお金払うどころか、服買って貰ってるなんて、やっぱ好かれてるね~」
「そうか? まぁ、そうだと嬉しいんだが」
「そうだよ! ほらこれ、掲示板に貼られてる値段の目安だって!」
櫛田が見せてくれたのは、以前イケメンランキングがどうたら書かれていた女子専用の掲示板だった。
利用した人の書き込みが表示されている。
『みんなから聞いたの集めたらこんな感じだったー。ご飯代とかもあるから参考程度にね。値段設定はここの中だけで、他言はダメだよ!
アドバイスデート3時間:1万ppt
アドバイスデート1日:2万ppt(夜ご飯奢り)
愚痴、相談いろいろ:3000ppt位(夜ご飯奢り)
写真アドバイス(LINEで洋服とか):500ppt
最初は公式チャットから写真がいいかも! 超イケメンで話も面白いけど、絶対告白OKしてくれないらしいからガチ恋は厳禁!』
『愚痴、相談いろいろでガチ恋しちゃった……辛い』
『レンタル彼氏みたいだよね。でも服とかコスメとかのアドバイスが本職かってくらいいいから、コスパはいいのかも……?』
『私の友達、アドバイスデートの後片思いしてた人と付き合えたんだって! 凄くない?』
『デートしたって事でしょ? ……なんか色々と本末転倒じゃない?』
『……なんですかこれ。すみません、この方はいつ頃からこの活動を?』
『えー? ……5月ちょっと過ぎ位だったかなぁ』
『分かりました。ありがとうございます』
昨日を最後に書き込みは終わっている。
「……なんだこれ」
「AクラスとかBクラスの先輩で、お金余ってるけど彼氏いないーとかって人が使うみたいだよ。2年の先輩に聞いたんだけど、急に服とか髪型とかオシャレになった人に『紡った?』とかって言うのもあるみたい。面白いよねー」
……まぁ、オレの服装見た感じ効果は保証されてるっぽいし、行っても3000pptのご飯だけだろう。Aクラスともなると毎月10万近く貰っているだろうし、自己投資としてはありかもしれない。
「よく知ってるな、オレなんて噂すら聞いたこと無かったのに」
「Dクラスって言ったら斎藤君のことすごい聞いてくる先輩がいて、それで教えて貰ったんだ! 多分1年の子は誰も知らないと思うな」
……多分聞き出したんだろうな、櫛田のコミュ力で。
「斎藤くんって誰かと付き合ってるのかな? もしかして堀北さんだったりして」
「うーん、それは無いと思うけどなぁ」
流石にあの反応で付き合ってたら演技派すぎる。
「そっか……あ! 話しすぎちゃったね。佐倉さん来てるかな?」
「けどオレで良かったのか? 誘う相手」
「綾小路くんも誘うようにお願いされたんだよね。佐倉さんと接点あったんだ?」
「佐倉から? いや……殆ど話もしたことないぞ」
佐倉と特別棟で鉢合わせした時のことを思い返す。接点と言えばあれくらいだ。
「一目惚れされてたりして?」
にやにやと笑う櫛田。残念ながらそんなドラマチックな展開は期待できないだろう。
「とりあえず座って待つか」
「そうだね。って……ねえ、隣のベンチに座ってるの佐倉さんじゃない?」
慌てて振り返ると、隣のベンチに座ったその人物は、申し訳なさそうに少し会釈した。
まさかずっと隣のベンチに座っていたのが佐倉だったとは……。
気配というか、雰囲気というか、他人オーラが凄すぎて全く気が付かなかった。
「ごめんね、影薄くて……おはよう……」
「いや、別に影が薄いとは思っていないぞ。存在は感じてたからな」
「それフォローになってないよ綾小路くん」
申し訳なさそうに頭を下げると、佐倉がゆっくりと立ち上がる。
けどオレが気づけなかったことも許してほしい。佐倉は帽子を被って、マスクまでしているのだ。親しい人間なら兎も角、これで佐倉と認識するのは困難だ。風邪でも引いたのだろうか。
「ちょっと、不審者っぽいですよね……」
「不審者っていうか、逆に目立つと思うぞ」
「そうですよね……ここじゃ特に、目立ちますよね」
そう言い申し訳なさそうにマスクだけ外す。どうやら風邪ではなく、マスク女子だったらしい。どれだけ目立つのが嫌いなんだ。
「デジカメの修理って、ショッピングモールの電気屋さんでいいんだよね?」
「確か修理の受け付けもやってたはずだ」
「すみません……こんなことに付き合わせてしまって」
佐倉は心底申し訳なさそうに頭を下げ謝る。なんだかこっちまで申し訳なくなってきた。
「じゃあ、行くか」
「うん! 善は急げって言うしね!」
「よ、よろしくお願いします……」
そんなこんなで歩き出すオレたち。櫛田がいるからかもしれんが、女子と出掛けるのは思ってたよりも何とかなりそうだ。
────そしてデジカメを届けたオレは、佐倉と連絡先を交換した後別れた。1つ気になることがあったが、佐倉と櫛田とのお出かけは無事に終えれたと言ってもいいだろう。
────時は1日前に戻る────
「明日上手くやれるかなぁ……綾小路くん」
夜、綾小路くんとの買い物を済ませた俺は、ベッドの上で不安を口にした。
チャットにて様々なアドバイスを送らせてもらったが、それを全部綾小路君が遂行できるとは微塵も思っていない。
「不安だ……ん? 珍しいな、この時間に」
チャットアプリに設定した公式アカウントの方に連絡が来る。7時以降の写真相談は受け付けていないし、デートのお誘いだったらもっと早めに送る人が多い。新規さんかな?
『アドバイスデート1日 明日お願いします。予定空いてますよね?』
「えっ、怖」
いや、空いてるけど。空いてるけどさ……そんないきなりって事ある?
────主に上級生の女性をターゲットにしたこのビジネスは、ポイントだけ無駄に余ってて使う機会のない人のために用意したものだ。現在の利用者は10人程度だが、現在口コミでその範囲を拡大している。これからが非常に楽しみだ。
学生という立場からすると高く感じるかもしれないが、恋愛経験が一切ない人とかに服、化粧、スキンケア、はたまた異性との話し方までアドバイスさせて貰う。一般のレンタル彼女が最低3時間2万円程の値段と考えると、割と破格と言っても過言じゃない。
因みにガチ恋されたらキッパリと断ることにしてる。じゃあ恋させんなってツッコミもあるだろうが、女の子は恋をすればするだけ可愛くなるからな、それに学生時代に失恋を経験していた方が後々困らないだろ? (クズの言い訳)
『……突然の連絡で申し訳ございません。報酬を倍にするため明日で検討いただけないでしょうか?』
既読した状態で返事をしなかったためか、催促する文面が飛んでくる……いや怖いんだけど。
そもそも初回で一日デートプランはヤバすぎだろ。一応チャット→夜ご飯→デートと段階を踏むための値段設定なのだが、初手2万で倍プッシュかよ……いや、多分2万っていう価格設定知ってるから人伝だろうな。それなら納得。
(
ん、写真? ……わーお、超美人やん。
今撮ったのだろうか、何故か他撮りの写真で顔を赤くしてそっぽを向く美人がそこには写っていた。
『2万pptで大丈夫です! それと、知らない人にすぐ写真を送るのは止めた方がいいですよ笑』
ほぼ無意識に返事を返してしまった。よーし、明日はいつも以上に気合い入れてくぞ☆
次の日、昼食を終えた俺はケヤキモールへと足を運んでいた。すれ違う先輩方に手を振りながら、俺は集合時間10分前に指定された場所に到着した。
「予約して頂いた神室さんですね? 電子契約書のサイン、ありがとうございます」
「……よろしく。はぁ、なんで私が……自分で直接行けばいいのに」
当時着ていく服装を伝えあっていたため、スムーズに合流することに成功した俺は、早速受け取ったポイント分の働きを遂行する。
視線を左右へと動かす神室さんの手を取り、そのきめ細やかな指を絡める。通称恋人繋ぎと呼ばれる繋ぎ方だ。
「あっ……」
「1年Aクラスって聞いたから、敬語はなしで行くけどいい?」
「……うん」
もう片方の手で神室さんの頭をポンポンと撫でると、その白い肌に朱が差した。チョッロ……普通にガチ恋候補だな、注意しないと。
「じゃあ行こっか? どっか行きたい場所ある? ないなら俺が決めてきたプランで行くけど」
懐からスマホを取りだす神室さん。恐らく今日のプランのメモでも取ってきたんだろう、実に健気で可愛いらしいことだ。
「……服見に行きたい」
「おっけー。とりあえず服のフロア行こっか」
そう言って手を繋ぎ歩き出す。さて、今日も一稼ぎ頑張るかー。
休日のケヤキモールは人が多い。そのため制服でイメージ着いてたり、普段と違う私服を着られたりすると判別がつかなくなるのだ。
「……最近外出が増えたのは、これが原因ですか」
────だから男装して伊達眼鏡をかけた有栖ちゃんに気が付けなかったのも、仕方がない事なのだろう。
学校に怒られる前に辞めれたから良かったのかも……?
神室ちゃんはチョロくあって欲しい、ただの願望です。
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ぶっちゃけ原作(小説・アニメ・漫画)見てます? 見てない方多かったら、試験の説明詳しく書きます
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