ようこそクズヒモ男の教室へ   作:妄想癖のメアリー

25 / 74
マジで時間なかったんでキリの良い所で切ります!

ここ一か月文化祭の準備で忙しくなるので、1日2日更新が途絶えるかもしれませんが、気長に待っててください!


計画

 

 

 

「ではこれより────本年度最初の特別試験を行いたいと思う」

 

 どうも。二か月貯めたお小遣いを全部有栖ちゃんの旅行のために溶かしたヒモです。因みに全く後悔していない。

 自己紹介は置いておいて、予想通り特別試験が開催されようとしている。

 

「え? 特別試験って? どういうこと?」

 

 そんな言葉を発したのは我がDクラスの誇る三バカの一角、池君である。

 しかしその疑問を持ったのは彼だけではなかったようで、ほぼすべてのクラスがざわめきだっている。

 

「期間は今から1週間。8月7日の正午に終了となる。君達はこれからの1週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考にして作られた実践的、かつ現実的なものであることを最初に言っておく」

 

 真嶋先生は生徒達が落ち着くのを待つ気は無いようで、試験内容をさらさらと告げている。恐らくこの状況にも慣れているのだろう。

 

「無人島で生活って……船じゃなくて、この島で寝泊まりするってことですか?」 

 

「そうだ。試験中の乗船は正当な理由無く認められていない。スタート時点で、クラス毎にテントを2つ。懐中電灯を2つ。マッチを1箱支給する。それから日焼け止めは制限なく、歯ブラシに関しては各自1つずつ配布することとする。特例として女子の場合に限り生理用品は無制限で許可している。以上だ」

 

 以上ということは、それ以外の物は一切配布されないと言うことだ。そんな物資ともいえない貧相な配給で一週間無人島で過ごせと言われたら、そりゃ苦情の一つや二つ出て来るだろう。

 

「はああ!? もしかしてガチの無人島サバイバルとか、そんな感じ!? そんな滅茶苦茶な話聞いたことないっすよ! アニメや漫画じゃないんすから! テント2つじゃ全員寝れないし! そもそも飯とかどうするんですか! あり得ないっす!」

 

 一体に響き渡るほどの大きな声で、池君が騒ぎ立てる。まあ、最初にこの説明だけされたらそうなるのも無理はない。

 

「一週間だって、有栖ちゃん寂しくて死んじゃったりしないかな」

 

「ウサギじゃないんだぞ。それより話に集中させてくれ、紡はオレが退学してもいいのか?」

 

「退学する気なんてさらさらないくせに」

 

 そんな阿鼻叫喚の中でも、俺と綾小路君はいたって冷静だ。なぜなら特別試験の存在を予見していたからだ。

 普通に考えて、あの茶柱先生が()()()()()()()()()()()()()()()()とは思えないしな。そして狙ったかのように無人島でのバカンスに、水泳の授業で言われた『泳げるようになれば必ず役に立つ』という文言。関連性を疑わない方がおかしい。

 

「しかし先生。今は夏休みのはずです。そして我々は旅行という名目で連れて来られました。企業研修ではこのような騙し討ちのような真似はしないと思いますが」

 

 不服を覚えたらしいどこかのクラスの生徒が、そんな風にたてついた。

 

「なるほど。その点に関しては間違った認識ではない。不平不満が出るのも納得だ。だが安心していい。特別試験と言ってもそれほど深く考える必要はない。今からの1週間、君達は海で泳ぐのもバーベキューをするのもいいだろう。時にはキャンプファイヤーでもして友人同士語り合うのも悪くない。この特別試験のテーマは『自由だ』」

 

 ……へえ、『自由』ね。中々粋な事してくれるもんだな。ここの先生方は。

 試験と銘打っておきつつも、その実態は自由という一見矛盾した先生の発言に、生徒達は疑問のみが積み重なっていく。

 

「この無人島における特別試験では大前提として、まず各クラスに試験専用のポイントを300支給することが決まっている。そして────」

 

 

 

 ────先生が語った内容をまとめると以下の通りだ。

 

 ・各クラスに試験専用のポイントが300支給される

 ・このポイントを使い、水や食料、テントを含む様々な物資を購入することができる。そしてその時使用するポイントは、配布されるマニュアルに記されている

 ・『試験終了後に残ったポイントは、そのすべてがクラスポイントとして夏休み明けに反映される』

 

 二つ目までだったら、ただ娯楽のためにポイントを使用して終わっただろう。しかしこの学校の試験はそこまで甘くない。

 

 

 

「1週間我慢したら……来月から俺達の小遣いも大幅に増えるってことだよな!?」 

 

 そう、これは学力ではなく『我慢』を競う戦い。身近にある欲求を拒絶しながら耐え忍べば、上位クラスに近づけるかも知れないということだ。池君の発言も夢じゃないだろう。

 

「面白い試験だね。綾小路君」

 

「ああ。筆記試験のような学力を基に算出されるものとは違い、これはオレ達にもチャンスはある」

 

 テストだと、いくら頑張ってもAクラスには勝てないからね。

 

「マニュアルは1冊ずつクラスに配布する。紛失などの際には再発行も可能だが、ポイントを消費するので大切に保管するように。また、今回の旅行を欠席した者はAクラスの生徒だ。特別試験のルールでは、体調不良などでリタイアした者がいるクラスにはマイナス30ポイントのペナルティを与える決まりになっている。そのためAクラスは270ポイントからのスタートとする」

 

 わーお。ドンマイ有栖ちゃん。

 

 

 

 ────その言葉を最後に解散宣言がなされ、俺達はDクラス担任である茶柱先生の下へと集合した。

 

「来月から3万、来月から3万、来月から3万……やるぞお!」

 

 池達男子がガッツポーズを作る。女子も嬉しそうに何を買おうかと相談し始めた。 

 気持ちはよく分かるよ。俺もレンタル彼氏してなかったら素寒貧だったし。いやー顔が良くて助かったぜ。

 

「茶柱先生。僕達は今からこの島で1週間生活するとのことですが、ポイントを使わない限り全て僕達で何とかしなければならないということでしょうか」

 

「そうだ。学校は一切関与しない。食料も水も、お前達で用意してもらう。足りないテントにしてもそうだ、解決方法を考えるのも試験。私の知ったことじゃない」

 

 平田君の質問に、茶柱先生は淡々と答える。女の子は可哀想だな。反対側で池君が鼻息荒くして節約しようって意気込んでるし、これはひと悶着ありそうだな。

 

「残念だが池、おまえの目論み通りにいくとは限らんぞ。配布されたマニュアルを開け……最後のページにマイナス査定の項目が載っている、まずそこを読んでみろ。それはこの特別試験を象徴する非常に重要な情報になる。生かすも殺すもお前達次第だ」

 

 

 

 そこには『以下に該当するものは、定められたペナルティを科す』という文言と共に箇条書きで以下の様に記されていた。

 

 ・著しく体調を崩したり、大怪我をし続行が難しいと判断された者はマイナス30ポイント。及びその者はリタイアとなる

 ・環境を汚染する行為を発見した場合。マイナス20ポイント

 ・毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合。一人につきマイナス5ポイント

 ・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収

 

 

 

「お前が無茶をするのは勝手だが、もし10人の生徒が体調不良に陥ったなら、それで我慢と努力は全て泡と消える。一度リタイアと判断されれば試験中に復帰することも出来ない。強行するときはそれを覚悟しておくんだな池」

 

 まあ、妥当なルール設定だろう。あくまでこれは学校の試験なのだ。生徒同士で殴り合いとかされたら堪らんだろうし。だが、それを踏まえてもこれは『使える』かもしれない。

 

「綾小路君。現時点でこの試験、どう思う?」

 

「7日もあるんだ。一日1人のペースで闇討ちでもすれば、そのクラスのポイントを0にすることも可能だろうな」

 

「ちゃんと読んでた? 暴力行為が見つかった場合は即失格なんだけど」

 

「バレなきゃいいだろ」

 

 そういう問題じゃねえ! ったく、実際できそうなのが余計怖いわ。

 

「それは()()()()ね。とりあえず今は穏便にやろう」

 

「……そうだな」

 

 何か言いたげな様子の綾小路君。お前が言い出したんだろ、「え? ガチで考えてんの?」みたいな顔すんな。俺的にはもっと惹かれるものがあったけど、これもそんなに上手くいく話ではないだろうな。

 そんなやり取りをしてる間にも、懸念していた池君と女子達の言い争いが始まっている。

 

「トイレくらいその段ボールで我慢しようぜ。揉めるようなことじゃないだろ篠原」

 

「ふざけないで。男子には関係ないでしょ。段ボールのトイレなんて絶対無理」

 

「決めるのはお前達だ。私が話すことはなにもない。だが海や川はもちろん、森の中で適当に用を足すことは認められていない。それは忘れないようにな」

 

 それだけ忠告すると、先生は淡々と次に話を進めようとする。

 

「だ、段ボールとか絶対無理だし! それに男子も近くにいるんでしょ? きもいし!」

 

 納得がいかない篠原さんは男子、特に池君に向かって言い放った。

 

「まあまあ、ここは一旦落ち着いて最後まで聞こうぜ? こんなクソ暑い中立って話さなくても良いと思わない?」

 

 いい加減話を終わらせたかったので、二人の間に入って仲裁を行う。

 

「でも……いいの斎藤君!? 愛しの堀北さんにこんな事させても」

 

「……どうして私の名前が出て来るのかしら?」

 

 それを言われちゃ弱いなあ。

 

「ちゃんと話はするからさ。お願い、篠原さん」

 

 ムッと膨れる篠原さんの両手を取り、顔を近づけてお願いする。ちょっと前綾小路君に男版櫛田とか言われて腹が立ったことあったけど、あながち間違ってないかもしれないな。

 

「わ、分かった! 分かったから離して!」

 

「良かった。ありがとう篠原さん!」

 

 ただの友達でこれやったらキモいけど、嬉しいことに篠原さんって俺のことめっちゃカッコいいって言ってくれてるんだよね。元は洋介君の方だったと思うんだけど、多分軽井沢さんと付き合ったからフリーの俺派になったんだろうな。

 

「やば! 手繋いじゃった……! 手汗とか大丈夫だったかな……」

 

「……何故手をつなぐ必要があったのかしら?」

「紡のアレはもう病気みたいなもんだ、一々気にしてたら胃が持たないぞ」

 

 まあ残念だけど、俺と付き合いたかったら必要なのは金だよ金。顔は悪くないんだから、頑張ってお金稼いでね。

 

「……話は終わったか? ではこれより、追加ルールを説明する」

 

「つ、追加ルール? まだ何かあるのかよぉ……」

 

「まもなくお前達にはこの島を自由に移動する許可が与えられられるが、島の各所にはスポットとされる箇所が幾つか設けられている────」

 

 

 

 ────話がクソ長いので要約させてもらう。茶柱先生が語ったのは以下の通りだ。

 

 ・島の各所にはスポットが存在し、それを占有したクラスのみが使用することができる

 ・スポットをどう活用するかはクラスの自由だが、占有権は8時間しか効力を持たず、それを過ぎた場合は再度占有する必要がある

 ・スポットを一度占有するごとに1ポイントのボーナスを得ることが出来る

 ・スポットを占有するには専用のキーカードが必要である

 ・1度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用できる

 ・他が占有しているスポットを許可無く使用した場合50ポイントのペナルティを受ける

 ・キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される

 ・正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない

 

 一見これだけだとリーダーが走り回ってスポットを占有すればいいと思うだろうが、厄介なのはその次に語られたルールだ。

 

 ・7日目の最終日、他クラスのリーダーを言い当てる権利が与えられ、的中させられたら+50ポイントを得ることができ、その際的中されたクラスは-50ポイントのペナルティが与えられる。尚この際的中させられたクラスのボーナスポイントは0になる。外した場合は自分のクラスにー50ポイントのペナルティが与えられる

 

 

 

「例外なくリーダーは必ず一人決めて貰う。だが参加するしないは自由だ。欲を出さなければリーダーだと知られることもなく済むだろう。リーダーが決まったら私に報告しろ。その際にリーダーの名前を刻印したキーカードを支給する。制限時間は今日の点呼まで。それまでに決まらない場合はこちらで勝手に決めることになる。以上だ」

 

 この追加ルールを聞いて確信した。この試験、鍵になるのは他クラスのリーダー情報だ。もし有栖ちゃんがこの試験に出れたなら強敵だっただろう。

 

「リーダーを誰にするかは時間もあるし後で考えよう。まずはベースキャンプをどこにするかだね。このまま浜辺に陣取るのか、森の中に入って行くのか……スポットのことはその後で考えるべきじゃないかな?」

 

 ナイス洋介。絶妙なタイミングだ。篠原さん達が騒ぎ出す前に移動しちゃおう。

 

「あ! 俺滅茶苦茶良さげな場所心当たりあるから付いて来てよ。このテントは俺が持つからさ」

 

 15㎏近くあるテントを二つ軽々と持ち上げると、皆からおーという感嘆の声が上がる。こういう時丈夫な体で産んでくれた両親に感謝したくなるな。

 

「よし、行こうか!」

 

 そうして振り返るタイミングで、俺は綾小路君に目配りをした。深く茂った森の中へ入りクラスメイトの注意がこちらに向かった瞬間、サッとその姿が消える。

 よし……予定通りだな。頼んだよ、綾小路君。

 

 

 

 ────俺達の目標はDクラスの圧勝以外に、もう一つあるんだからね。

 

 

 





試験内容まとめ

・各クラスに試験専用のポイントが300支給される
・このポイントを使い、水や食料、テントを含む様々な物資を購入することができる。そしてその時使用するポイントは、配布されるマニュアルに記されている
・『試験終了後に残ったポイントは、そのすべてがクラスポイントとして夏休み明けに反映される』

・著しく体調を崩したり、大怪我をし続行が難しいと判断された者はマイナス30ポイント。及びその者はリタイアとなる
・環境を汚染する行為を発見した場合。マイナス20ポイント
・毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合。一人につきマイナス5ポイント
・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収

・島の各所にはスポットが存在し、それを占有したクラスのみが使用することができる
・スポットをどう活用するかはクラスの自由だが、占有権は8時間しか効力を持たず、それを過ぎた場合は再度占有する必要がある
・スポットを一度占有するごとに1ポイントのボーナスを得ることが出来る
・スポットを占有するには専用のキーカードが必要である
・1度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用できる
・他が占有しているスポットを許可無く使用した場合50ポイントのペナルティを受ける
・キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される
・正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない

・7日目の最終日、他クラスのリーダーを言い当てる権利が与えられ、的中させられたら+50ポイントを得ることができ、その際的中されたクラスは-50ポイントのペナルティが与えられる。尚この際的中刺せられたクラスのボーナスポイントは0になる。外した場合は自分のクラスにー50ポイントのペナルティが与えられる


どっちが読みやすい?

  • 会話文一行ずつ開ける(今採用してる方)
  • 会話文は改行しない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。