ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
無人島試験も終わりを迎えます!ここまでこれたのは皆さんの応援のおかげです!感謝!
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時は試験開始5日目の夜。俺がDクラスのベースキャンプ地から離れた14時間後の話である。俺は、今朝神室さんに指示した後計画の準備を進めていた。
と言っても難しい話ではなく、これから来るであろう一人の生徒を待ち構えるだけである。
「さて、そろそろだと思うんだけど」
どのクラスのベースキャンプ地からも離れた、山の中央にポツンと立つ、小屋を模したスポットの近くで時間を確認する。
このスポットには学校が用意したであろう食料一式、焚火をするための木材や着火剤、大きな鍋などが置かれている。そのため初日こそともかく、試験終了まであと二日の今、ここを占有するメリットはない。
「……雨か。都合が良いな」
ポツポツと振り始めた雨が、俺の頬と髪を濡らす。あまりにも都合の良い状況に笑ってしまいそうになるが、ここでバレたら全てが無駄になる。
そう自分に言い聞かせてながら数分ほど待っていると────北東、Aクラスのベースキャンプ地がある方角から、ぴちゃぴちゃと地面を踏み鳴らす音が聞こえてきた。
「はぁ……はぁ。……クソッ! あいつら、人を腰巾着とかバカにしやがって……!」
乱れた呼吸を整えるように深呼吸を行った生徒────戸塚君は、雨でずぶ濡れになった頬をジャージで擦り、小屋の中へと入って行った。
周りに誰もいないか確認しない辺り、彼の程度の低さがうかがえる。最も、確認されたところでバレるつもりもないんだが。
そう思いながら、乗っていた木の幹から音を立てないようにスッと地面に降り、小屋の扉の反対方向に回り込む。
『よしっ! これで文句は言えねぇだろ!』
一枚の薄い壁越しに、興奮した様子の戸塚君の声が聞こえて来る。どうやらスポットの占領も終えたようだ。
「……見られてないよな」
外に出て思い出したように呟いた戸塚君は、ゆっくりとした足取りで俺が隠れている小屋の裏側へと回り込んでくる。
────そして姿が見えると思った瞬間、俺は姿勢を低くした状態で飛び出し、彼の頭と顎の下を某ステルスゲームの主人公の様に抑え込んだ。
「んぐっ!? ……カッ……!」
気道ではなく、首側面の頸動脈を絞めるように左腕の位置を調節する。
先ほどまで走ってきた影響もあってか、戸塚君の抵抗が長く続くことは無かった。
「駄目じゃないか。こんな夜中に1人で飛び出しちゃ……よし」
意識が無いことを確認した俺は、彼のジャージのポケットに入っているキーカードを取り出した。
そのタイミングで、戸塚君が来た方向から三回光が差してくる。俺も同じように『合図』を送り返すと、深い森の中から三名の男女。坂柳派の子たちが姿を現した。
「……生きてんの? そいつ」
「ん、ただ気絶してるだけだよ。本人は何が起こったかも理解できないと思うから、打ち合わせ通りよろしくね」
三人の生徒の一人、神室さんが戸惑いを隠さずに聞いてきた。あまりに静かに眠っているため、そう思うのも無理はない。
「はいはい……ったくエグいことするねホント。流石あの人が言うだけある。じゃ、任せたよ鬼頭」
「ああ」
流石Aクラス。それも有栖ちゃんが信頼する生徒なだけあって、完璧な仕事をこなしてくれた。
────時は五日目の朝、神室が斎藤に呼び出された時に戻る────
「今回神室さんにやってもらうのは、『戸塚君をここに記したスポットまで誘導すること』だ」
「誘導って……一体何をするつもり?」
そんな最もな疑問が飛んでくる。訝し気に眉をひそめる神室さんだったが、これから説明するから我慢してほしい。
「まず最初に、俺が有栖ちゃんに頼まれたことが何か分かるかな?」
「葛城派を失墜させて、坂柳がAクラスの実権を握るための手伝いでしょ?」
意外にもしっかりと聞いているらしい。彼女の事だから何も説明されていないなんて展開も想像したが、どうやら杞憂に終わったようだ。
「正解。でも厳密にはちょっと違う。俺が有栖ちゃんから頼まれたことは
「……そんなことできるわけ?」
確かに難しいと思うだろう。有栖ちゃんが無条件で実権を握れていない辺り、葛城君も間違いなく優秀な人材だ。有栖ちゃんも「参謀として使いたい」とか言ってたし。
そしてそれを本人に関連させない失態となると、その難易度は跳ね上がる。
「わざわざ本人を攻撃する必要は無いんだよ。俺も葛城君は良い子だと認識してるからね」
「なるほどね。だから戸塚を狙うんだ」
理解が早くてよろしい。そしてその点において、スポットを生き急いで占有しに行くような戸塚君は格好のエサだ。
プライドが高く、愚鈍な頭の彼が何故Aクラスに入れたのか理解不能だ。俺と交換してくれ。
「そう。結論を言うと俺は
「本気なの? バレた時のペナルティだって大きいし、何より私が上手くやれる保証だってないじゃない」
予想外の計画だったためか、神室さんは目を見開いて絶句している。そんな彼女を尻目に、俺は話を続けた。
「そうすると責任感の強い葛城君はこう思うだろう『戸塚君を止められなかった俺の責任だ』ってね。だがAクラスの生徒は違う。『戸塚君が先走ったせいでAクラスは負けた』と思うだろうね。そして阿鼻地獄となるAクラス。葛城君のトラウマになってもおかしくない」
「……えげつないわね」
「そもそも有栖ちゃんに全部任せとけば良かったのに、どうして下らない意地を張っちゃうかなー。長い物には巻かれろって言葉知らないのかな?」
俺だったら喜んで巻かれるけどね。ヒモが巻かれるという何とも不可解な状況だが、それは置いておくとしよう。
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紡が居なくなってから一日が経ち、現在は試験6日目のお昼前、食料を取ろうと森へ探索に向かったオレたちだったが、収穫なくベースキャンプへと戻ってきた。太陽が出ていないとはいっても真夏の森の中は想像以上に暑い。
「早く洗った方がいいよ、堀北さん。相当ドロドロだよ……」
「そうね……流石にこの状態は辛いわ」
何故か髪も服も泥だらけの堀北が不快そうに呟いた。可哀想だが、これも仕方のないことだ。後で人生初の土下座でもして許してもらおう。
────そう。何を隠そう、堀北が泥だらけなのはオレのせいなのだ。この特別試験の中で、オレが先ほど行ったことは。『池の鞄に入れられた下着を紡の鞄に移したこと』『キーカードの存在を伊吹にそれとなく教えたこと』『堀北に泥を掛けるように山内に頼んだこと』だ。
そして一つ目に関しては、紡は今もなお伊吹が下着を入れたと思い込んでいる。つまり、
「あなたのことは一生恨むから。覚悟しておいて」
案の定ボコボコにされた山内は、怯えたように体を震わせてオレの背後に隠れた。
「おお、おれ、俺は、や、やったぞ。約束、約束は守れよなぁっ!」
「大丈夫だ。試験が終わったら必ず教える」
残念だが教えるつもりは毛頭ない。紡を最後まで疑い続けた罰だ、甘んじて受け入れて欲しい。
「あちゃ、でもシャワー室は無理みたい……」
既に探索から帰ってきた女子たちがシャワー室前に集まって順番待ちしている。皮肉なことに軽井沢グループで全部で3人並んでいる。
篠原達だけなら問題ないだろうが、軽井沢が居るとなると話は別だ。
「川を使ったらどうだ? それなら手っ取り早いだろ」
「……そうね。それ以外に方法はなさそう」
そして二つ目の行動の意味がここで出てくる。さりげなく堀北を人目のつかない場所に誘導しながら、横目で伊吹の様子を確認する。
「私も泳ごうかな。伊吹さんも一緒に泳がない? 結構汗かいたと思うし。私たちが許可すればCクラスが川を使ってもいいよね?」
「私はパス。泳ぐのが好きじゃないから、大人しくシャワー室を待つ」
よし。ここまでは予定通りだ。次にオレは、1人で名残惜しそうにシャワー室から背を向けた堀北にこっそり付いていき、周りに聞こえないように小さく呟いた。
「泳ぎに行くならキーカードを渡してくれ。もし盗まれたら大事だ」
「ええ。助かるわ綾小路君」
二つ返事でキーカードを渡してくる堀北。ここ数か月で築き上げた信頼もあるだろうが、何より堀北の成長が著しいと、改めてオレは実感した。
それから一人になったオレは男子の鞄が積み上げられた荷物置き場に行き、自分の荷物をガサゴソと漁る。
「……よし、ちゃんと動くな」
オレはその中に入っていた『とある物』を手に取り、キチンと動作するかを確認した後、ポケットにしまう。クラスの皆には無断でレンタルしたため、バレたら大事だ。
「さて、そろそろオレも動かせてもらおうか」
10分ほどして着替えを終え戻ってきた堀北は、キャンプ場の不穏な空気を感じ取った。
それは仮設トイレの裏手から見える、薄暗い煙が原因だ。 焚火をするには早すぎるし、場所もおかしいことに気づく。
「あの煙は? 一体何があったの?」
オレは堀北と合流し、近くで騒いでいた池を捕まえて事情を聞く。
「それが大変なんだって。火事だよ火事! トイレの裏で何か燃えてんだよ!」
シャワー室の前に並んでいた女子は全員いなくなっている。火事の騒ぎを聞きつけて移動したのだろう。
「伊吹さんの姿も見えない。この火事も彼女の仕業かも。彼女はどこに?」
「火事に気づいて、今しがたあっちに歩いていったところだ」
急ぎ仮設トイレの裏手に行くと、そこには平田たちの姿があった。そして伊吹の姿も。
────生徒達の視線はもれなく火に注がれている。ここまでお膳立てしてやったんだ、ここで動かないならもう諦めるしかない。
そう思っていた間に、伊吹は堀北に話しかけ、二人で集団から離れていった。この距離にクラスメイト達の喧騒も重なって、何を話しているかの検討もつかない。しかし口の動きからある程度の内容は読み取れる。
『斎藤の無実を証明したかったら、何も言わず今すぐ私について来い』
そう言って歩き出した伊吹。堀北は……数秒の葛藤の後、彼女の後をついていくことに決めたようだ。
「これは……マニュアル?」
「うん。どうやらそうみたいだ。誰がこんなことを……」
どうやらこちらでは火を消し終えたみたいだ。クラスの女子の誰かと、平田が困惑を露わにしている。
「僕の責任だよ。マニュアルは鞄の中に保管していたんだ。テントの前に積んであったし、昼間だから誰かに盗られたりするなんて思いもしなかったんだ。でもまずはきちんと消火しないと……」
犯人探しよりも、平田は火元を確実に絶っておくことを優先し川へ向かう。 空のペットボトルに水を汲みながら、平田は暗い表情で呟いた。
「なんで……誰がこんなことするんだ……どうして、皆仲良く出来ないんだ……これじゃ、紡君に何て言えば……」
自然と手に力が籠っていたのか、ペットボトルをぐしゃりと握りつぶしてしまう。いつもの爽やかな表情はどこへ行ったのか、どこか恐ろしい雰囲気さえ漂っていた。
紡と2人でリーダーをしていた時と比べて余りにも雰囲気が悪すぎることもあってか、平田の心身には大きな負荷がかかり続けている。
「一人で背負いすぎる必要は無いと思うぞ」
慰めにもならない言葉を平田にかけると、小さくありがとうと言って立ち上がった。
「この件は……ちゃんと話し合わなきゃいけないだろうね。このままじゃ、紡君に顔向けできないし」
「そうだな。火事はDクラスの殆どが目撃してる。真相を知りたがってるはずだ」
気落ちした表情で、平田は汲み上がった水を手に火元へと戻っていった。
オレはその隙に、堀北と伊吹が移動した方向へと足を運ぶ。────数分程向かった先に見えたのは、伊吹が堀北に蹴りかかろうとする瞬間だった。
「……すまないな。堀北」
────だが、オレは一切の妥協を許すつもりはない。
相反する2つの想いを押しのけながら、オレはポケットから取り出したデジカメを2人に向けた。
状況の整理
・伊吹は池のバックに下着を入れた
・それを斎藤のバックに移したのは綾小路
・斎藤はそれを知らない
・Aクラスは地獄みたいな雰囲気
https://twitter.com/Tokumeikiboussh
Twitter始めました。ほとんど初めてなので不備があったら教えてください。
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斎藤:坂柳、堀北、神室
綾小路:佐倉
他未定
軽井沢さんどうしよう
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ヒモのヒロイン(ドロドロに依存される)
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綾小路のヒロイン(原作より健全な仲)
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