ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
戦闘描写がムズすぎる…後で書き直すかも。
高評価、感想、ここすきをいただけると作者のモチベーションになります!全てに返信することはできませんが、ニヤニヤしながら読ませていただいております!
時刻は8時過ぎ、いくら日が長い真夏と言えども、完全に陽が沈んでしまっている。さらい追い込む様に顔に当たるのは土砂降りの雨と、吹き荒れる風。明かりが無ければ数メートル先も良く見えない。
そんな中、俺を囲う様にして構える4人の生徒を相手に、堀北さんを取り返さなくてはならない。
「後悔だ? まさか、この状況でそんな大層なことが言えるとはな。石崎」
先ずは小手調べといったところだろうか。龍園君は顎で俺の事を指した。
「スカした顔しやがって!」
先日の須藤事件の恨みを晴らすように、左後方から拳を振ってくる石崎君。……喧嘩慣れしてるとは聞いたが、こんなもんか。
瞬時に石崎君へ向かって立つと、俺は大降りに振られた右腕を躱し、片方の手を顎に当て足を払った。
「がっ……! 痛っ!?」
いくらぬかるんで柔らかくなってるとはいえ、受け身も取らずに背中から落ちたらさぞ痛いだろう。苦悶の声を上げながらうずくまっている。
そんな石崎君を気に掛けることなく、龍園君は楽しそうに喉を鳴らしている。
「スポーツだけの真面目ちゃんと思っていたら、意外と動けるじゃねえか。まさか片手で石崎を軽くあしらうとはな」
……成程な。俺1人の為にここまで武闘派の生徒を集めたのは、俺の体育での評価だったり、大会で残した成績とかを調べたからか。となると……
「お前。どこまで想定していた」
抽象的な質問だったが、龍園君にはその意図が伝わったようだ。先ほどの上機嫌な態度から一転、舌打ちをした後語り出した。
「5日目の朝からは全て想定外だ。お前の鞄に下着を移し替えた野郎のせいでな」
「……はぁ。やっぱり伊吹さんじゃなかったのか」
頭をポリポリと掻きながら納得したように呟くと、龍園くんは驚いたように目を見開いた。粗方俺か堀北さんのどちらか、または両方が共謀して行ったと思っていたのだろう。
「ほう? じゃあお前と鈴音以外に、単独で動いている奴がいるという事か。お前に恨みのあるやつが偶然やったのか、それとも……」
考えるように顎に手を置く龍園君。俺の鞄に軽井沢さんの下着を移し替えるという、言うだけなら簡単そうなことだが、伊吹さんを最初からスパイだと判断し、その動きを想定していないとできない芸当だ。
その上、現場を押さえてその場で突き出せばいいものを、それをしないという不自然さ。
────そんな事するやつを俺は1人しか知らない。
「……さぁ。見当もつかねぇよ」
その言葉を最後に、持ってきた鞄を地面へ落として拳を握る。龍園くんもこれ以上言うことは無いのか、指をボキボキと鳴らした。
先程のやり取りで実力はバレている。他3人も油断することは無いだろう。さて……どうしようか。
「ククク。まず真っ先に人質の救出だよなぁ!」
俺が初めに向かったのは龍園くん、正確にはその隣で意識を失っている堀北さんの元。
しかしそう簡単には向かわせてくれないのか、体格の良い黒人の生徒が間に入ってくる。
「邪魔すんな」
先程の石崎君の油断しまくった打撃とは違い、ボクシングの構えから捻りを加えた右ストレートが放たれる。
食らったら間違いなく意識を持ってかれるため、懐に入り込むように右下に移動した俺は、1秒にも満たない時間で鳩尾、喉、顎に打撃を入れた。
的確に急所を狙うなんてかなり難しいのだが、久しぶりにしては上出来だな。
「なっ! アルベルトが一瞬で……」
「気をつけろ伊吹! あいつ、相当喧嘩慣れしてやがる!」
急所への同時攻撃、更には脳震盪も相まって、アルベルトと呼ばれた生徒はしばらくは立てないだろう。先程まで楽しそうな笑みを浮かべていた龍園くんも、その攻防を見て表情を引き締めている。
「俺の経歴を調べたことはもう分かってる。ネットで検索すればすぐ出て来るからな……だが、お前らは1つ勘違いしている」
「あ?」
その言葉の意味が理解できなかったのか、訝しげにこちらを睨んでくる龍園君。
「たった4人で俺を倒せると思い込んでる辺り、俺の実力を見誤ってるってことだよ。────数多のスポーツをやってきたが……結局俺は、ムカつく奴をぶん殴るのが1番得意だ」
唯一の運動として前世からやってたやってたしな……決してDV的なものではないと一応補足しておく。
そんな事を思いながら、俺はもう一度龍園君に向かって駆けだした。
「テメェら! ボサっとしてんじゃねぇ!」
「は、はい!」
前方には龍園くん、そして後ろからは伊吹さんと石崎君、潰すなら1人の方に決まってる。
左足での中段蹴りを躱し、その足を取って後ろの2人へ投げ飛ばす。
「チッ。何で馬鹿力だ」
伊吹さん達にぶつかる前に受身を取った龍園くん。流石喧嘩慣れしているだけあって、身体能力も高いようだ。
警戒を怠らずに、地面に横たわっている堀北さんに手を当てる……不味いな。熱がまた出てきてる。
「ここで引くなら俺は追わないが……まぁそんな事するなら最初からやらないか」
「よく分かってるじゃねえか。おいテメェら、1人で行くんじゃねえ」
一対一では敵わないと悟ったのだろう。先ほどの囲う様な配置ではなく、堀北さんを置いて逃げないと判断したのか、互いにカバーしやすい配置につくようだ。
先ほどのアルベルト君との攻防で警戒しているのか、ジッとこちらの動きをうかがっている。
「どうした。3対1だぞ?」
「舐めやがって……!」
そんな安い挑発に乗ってくれた石崎君と龍園君が左右から距離を詰めて来る。二人同時なら勝てると思ったのだろうが……舐めているのはそっちの方だろう。
先ほどと同じようにパンチを放ってくる石崎君だが、恐らくこれは陽動。
「っらぁ!」
注意を左に向かせた状態で、死角から龍園君が上体を低くしてタックルを仕掛けてくる。泥臭い戦法だが、一対多数での最適解だな。
「なっ!?」
このまま俺を地面に倒してリンチする予定だったのだろうが、生憎そんなやわな鍛え方はしていないんでね。
勢いの止まった龍園君に数発膝蹴りを入れ、顔面を蹴り飛ばす。
「龍園さ────「よそ見してんじゃねえよ」……っ!?」
まさかあの防御状態を一瞬で崩すとは思わなかったのだろう、狼狽えている石崎君の胸倉をつかみ、鼻頭に頭突きを入れ片手で投げ飛ばす。
「ぎっ、ああぁぁああ!?」
一応折れないように調整したんだが……流石に喧嘩慣れしている石崎君でも堪えただろう。
「斎藤……!」
鼻血と雨で顔面をぐちゃぐちゃにしながら、どこからか持ってきた太い木の枝を振るってくる龍園君。
視界や意識も朦朧としているだろうに、全く恐ろしいタフネスさだ。
「そのタフネスさを他の所に向ければいいものを」
そんなフラフラの状態の攻撃なんて食らうわけもなく、すれ違いざまにボディーブローをいれ、近くに生えている大きな木に叩きつけた。
「がっ────!」
ガンッ、と大きな音が鳴り葉が揺れる。そんな勢いで叩きつけられた龍園君は、肺の中の空気をすべて吐き出し、そのまま座った状態で俯いている。
「……はぁ」
頭をガシガシと掻きながら、こちらを睨んだまま動かない伊吹さんに視線を向ける。
そのまま一歩足を踏み出すと、伊吹さんは腰が抜けてしまったのか、その場で倒れ込んでしまった。
「ひっ!」
……そんな怖いか? ちょっとショックだわ。
地面に置いた鞄を手に取ると、完全に戦意を喪失させてしまった伊吹さんを尻目に、堀北さんの下へと向かい、ゆっくりと抱き起こす。
「ん……っ」
抱えられている違和感で目が覚めてしまったのか、微かに声を漏らす堀北さん。
顔や髪についた泥を鞄から取り出したタオルで優しく拭うと、堀北さんはゆっくりと目を開いた。
「さい、とうくん……?」
前後の記憶が抜け落ちているのだろう、虚ろな目でボーっと呟く堀北さん。
「っ……頭、痛い……」
「また熱が出てきてる。無理しないで寝てて」
「あなたは……斎藤君は大丈夫、だったの?」
こんな状況でも、呼び出された俺の心配をする堀北さん。余りにも痛々しい様子だったため、無意識に抱きしめてしまった。
「うっ……苦しいわ斎藤君。でも、あったかい……」
それを皮切りに、堀北さんはしゃくり上げるような声を上げ始めた。
「うっ……ひく、こわかった……怖かったぁ……!」
「もう、大丈夫だよ。悪い奴らは俺が全員やっつけたから」
少しの間背中をさすっていると、彼女の泣き声が段々と小さくなってきた。もう一度顔を覗いてみると、堀北さんは先ほどと違って安心したように寝息を立てていた。
「……ごめん。もうちょっとだけ待ってて」
雨の当たらない木の下に堀北さんを寄りかからせると、鞄から取り出した上着をそっとかける。
「クソみてぇな学校だな、ホント」
────そんな俺の呟きは、強まった雨の音によってかき消された。
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「出て来いよクソ野郎」
雨の音がこだまする森の中で、紡の声が響き渡る……分かってはいたが、こればかりは仕方がないな。
オレに向けられたであろう言葉に答えるため、茂みからゆっくりと飛び出す。
「さっさと済ませるぞ」
姿を現したオレに驚くことなく、紡は龍園の下へと向かい、気絶している龍園の髪の毛を掴んで左右に振った。
「起きろ龍園。取引はまだ終わってねぇぞ」
「……あ? テメェは……」
覚醒したばかりだが、冷静に辺りを見渡した龍園。オレがいることに気が付いたようだ。
ポケットからデジカメを取り出すと、全てを察したのか、途切れ途切れになりつつも笑う龍園。
「はっ……なるほどな。そりゃ1人でのこのこと来るような馬鹿じゃねえよな?」
「そういう事だ。俺の要件はたった1つ。6日前に結んだ契約、『毎月150CP相当のプライベートポイントの支払いを無くし、Cクラスのリーダーが誰か教える』ことだ」
紡の指示で行ったということにしたいのだろう。楽し気に笑い続ける龍園に、紡は不機嫌そうに続けて言い放つ。
「『他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収』お前も分かっているだろうが、計画的に大人数で一人の生徒をハメようとした事実が知れ渡れば、罰則がこれだけになるとは思わない方が良い」
「ク、ククク……もしその取引を飲んだらどうなるんだ?」
「どうもしない。ここでの出来事は全てなかったことにする」
紡は俺のやりたかったことを全て理解しているのか、完璧に龍園に伝えてくれている。オレは初めて、その察しの良さを恨むことになっているが。
「いいぜ。その取引を飲む。Cクラスのリーダーは俺だ。キーカードもここにある」
今までやってきたことが無駄になるため、少しは躊躇するかと思った龍園だったが、意外にも二つ返事で承諾する龍園。
それを確認した紡は、隣にキーカードを放り投げ、軽蔑の眼差しを龍園へと向けた。
「せいぜい自クラスの生徒に責められるこ「勘違いすんじゃねえぞ斎藤」……あ?」
紡の言葉を遮って、ボロボロの体で立ち上がる龍園。
「今回は俺の負けだ。完敗だよ。まさかここまで頭が回る奴だとは思わなかったさ」
「……」
押し黙る紡を尻目に、龍園は続けて高々と語る
「だが次はどうだ? 寝てるときは? 小便してるときは? 女とイチャ付いてるときは? テメェの弱点は既に把握した」
「……意味わかんねえよ。勿体ぶってんじゃねえ」
苛立ちを隠そうともしない紡。次の言葉でオレは龍園の語る紡の弱点という物を理解した……してしまったと言う方が正しいだろうか。
「お前が今後、学生生活を穏便に過ごせると思ったら大間違いだぜ? そうだな……お前と親しい女だと────Aクラスの坂柳を狙うってのもありだな? アレはきっといい悲鳴を聞かせてくれ……っ!?」
「紡っ!?」
龍園の胸倉をつかみ、右の拳を振るう紡。────その瞬間、オレは己の感じ取った寒気を信じ、全力で横へと逸らす。
間一髪、龍園の耳を掠って背後の木に拳が当たる。バキバキと木の幹を抉り取ったその打撃は、到底普通の人間が出せるものだとは思えなかった。右の拳から血を流して、紡はなぜ止めたと言わんばかりにこちらを睨みつけている。
「直撃していたら骨折で済んだか分からないぞ。安い挑発に乗るな」
「……ッチ」
舌打ちをして、そのまま龍園に背を向けた紡は、堀北をゆっくりと抱き上げ抱え込んだ。
「帰るぞ」
「……ああ」
今度こそ体力が尽きたのか、木を背もたれにして座り込む龍園。比較的小さい怪我で済んだ伊吹とアルベルトがこちらを見つめているが、証拠もあるためかこれ以上戦うつもりはないようだ。
脅威は無いと判断したオレは、無言で歩きだした紡の後を追う。何故か利き腕の右ではなく、左腕で堀北を抱えている。
「済まなかった」
「言う相手が違うんじゃねえの?
「……そうだな」
────初めて『清隆』と呼んで貰ったが、何故か心に残ったのは虚しさだけだった
「────はっ、最低だな……少しは変われたと、信じたかったんだが」
雨が降っていてよかった。おかげで、目の前を歩く紡に聞かれずに済んだんだからな。
「……お前はマシな方だよ」
大切な人を守れなかった、何も変われなかった燃えカスが紡君です。
少し補足です。
綾小路君の目的は、実は初日から決まっていました。
それは、『Cクラスに毎月払う負債を無くすこと』です。その為に暴力を振るわせ、その証拠と引き換えにって感じですね。
軽井沢さんどうしよう
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ヒモのヒロイン(ドロドロに依存される)
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綾小路のヒロイン(原作より健全な仲)
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作者に任せる