ようこそクズヒモ男の教室へ   作:妄想癖のメアリー

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──第1学年 各クラスポイント──
 Aクラス  1004(1019)Pt
 Bクラス   663(853)Pt
 Cクラス   492(542)Pt
 Dクラス    95(450)Pt

原作での優待者試験の結果
Aクラス -200
Bクラス 変動なし 
Cクラス +150 
Dクラス +50

高評価、感想、ここすきをいただけると作者のモチベーションになります!
多分これからは返事ちゃんとします!



夜明け(坂柳データベース記載)

 

 

 

 2日目の朝。オレと堀北は()()()()()を達成するために昨日と同じカフェに足を運んでいた。

 

「……はぁ。ままならないものね」

 

 開口一番、堀北は頭を抱えながらため息を吐いている。ここで責めるような口調をしない辺り、もう昔の刺々しさはどこへやらといった様子だ。

 

「悪いな。高円寺の暴走を止められれば良かったんだが」

 

「仕方ないわ。ある程度関わりのある斎藤君ですらノータッチだもの、私達にはどうしようもないわ」

 

 ここまで意気消沈している理由を説明するには、昨日の夜までさかのぼる必要がある。

 

「せめて高円寺君の回答が当たっていると良いのだけれど」

 

 そう。高円寺は昨日の夜、試験初日に優待者を告げるメールを学校に送ったのだ。これで彼の所属する猿グループの試験は終了。自ずと結果は3か4のどちらかになる。

 

「そっちのグループはどんな感じだ? 1回目のディスカッションでは大分かき回されたが」

 

「あれで満足したのか、龍園君が追及してくることは無かったわ。取り留めのない会話を続けて終わりよ」

 

「そうか……坂柳の様子はどうだった?」

 

 何かしらのアクションを起こして来ると思ったが、流石にまだ動く様子は無さそうだ。

 

「……特に何も。いつも通り斎藤君と談笑していたわ」

 

 ……ちょっと機嫌悪くなったな。そういう意味で聞いたわけじゃないんだが。

 能力値が最も高いのは坂柳だ。ある程度行動の予測がつく分脅威度は龍園の方が勝るが、今の堀北が真っ向勝負で勝てる相手じゃない。昨日の龍園に続き、かなり厄介な相手になりそうだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()分出遅れては居ないはずだ。焦らずやって行こう」

 

「そうね」

 

 現状把握できている優待者は3人だが、試験の公平性を考えるとこれで全員なのは間違いない。紡や堀北が積み上げた信頼は、Dクラスをいい方向に導いてる。

 ……()()()()()()()()()()()()()も、居ないとは言い切れないが。

 

「軽井沢さんに関してはどうなの? 進展はあったかしら」

 

「あまり芳しくないな。紡が一度接触したらしいが、結果を聞いたら泣いているスタンプが返ってきたよ」

 

 オレが介入するとなるとろくでもない方法しか取れなくなるから、そこは紡に何とか頑張ってもらいたいものだ。

 ……さて、そろそろ頃合いだと思うが。

 

「ようお二人さん。ヒモ野郎はハブられてんのか? 可哀そうに」

 

 そんなことを思っていると、完璧なタイミングで一人の男が近づいてきた。

 龍園だ。今日は伊吹と一緒じゃないのか、1人不敵な笑みを浮かべている。

 

「はぁ……。一体何の用かしら龍園君。私に構っても得るものは何もないと思うのだけど」

 

「それを決めるのはオレだ。それで、優待者を見つけ出す算段はついたか?」

 

 またも許可なく傍の椅子を掴み座り込んだ。

 

「どんな考えを私がしているにせよ、あなたに聞かせるつもりはないわ」

 

「それは残念だな。ご高説願いたかったもんだ。しかしその様子じゃ優待者の絞り込みは進んでいないように見えるけどな」

 

「随分と面白い言い方ね。まるで優待者を把握できている様子だけど」

 

 あくまでこちらは後手に回っていると思わせる。良い作戦だろう。

 

「そうさ。生憎と俺は、この試験の根幹に手を突っ込んでるんだよ。場合によっちゃ、圧勝でCクラスが勝ちあがることもありうる」

 

「まさか……!」

 

 あり得ないと続けようとした堀北の口が止まる。龍園の言っている事は真実なのかもしれない。

 学校は基本的に何らかの法則性、ルールをもとに試験を作っている。それは中間、期末テスト、そして無人島での試験も同じだった。そしてこの試験に必要なのはシンキング能力。それがただ話し合いの為だけに必要とされているかと言えば疑問が残る。

 

「どうやって優待者を把握しきったのかしら? まあ、大方全員の携帯を強制的に提出させたとか言われても驚かないけど」

 

「俺の事をよく分かってるじゃねえか? 嬉しいぜ鈴音」

 

「……理にはかなってる。だけど、その体制もいつまで続くかしら? あなたのやり方がまかり通るのは勝ち続けている間だけよ。前回の試験に続き、そう簡単に行くとは思わないことね」

 

 口ではそう言っているが、優待者を把握できている時点では互角。そして優待者にこちらの望む動きを強制できるという点ではあちらが有利だ。

 唯一の救いとして、紡と堀北が足並みを揃えられていないと思わせることに成功した位だろうか? 

 

「ほう? お前らがどんな手を使うか楽しみにしてるぜ。俺は今から詰めの段階に入らせてもらう。またな鈴音」

 

 そう言って立ち去る龍園。……定期的に報告にでも来るつもりなのだろうか。

 

「どこまで本当か分かったものじゃないわね。仮に優待者を把握できたとしても、そこから法則性を見つけるのは至難の業よ」

 

 そう語る堀北だったが、オレはシッと指を立てた。訝し気にこちらを見つめる堀北に目配せをし、オレは黙ったまま龍園の残した椅子の裏をのぞき込んだ。

 そして確信を持つと、静かに堀北を誘導し、椅子の下を覗き込ませる。 そこには一台の携帯電話が録音状態にされ放置されていた。これでオレ達の会話を聞いて、あわよくば優待者を見つけるつもりだったのだろう。抜け目のない男だ。

 ────しかしこれは好都合でもある。利用しない手立てはない。

 

「そうだな。それに比べてオレたちは自クラスの優待者すら把握しきれていない。……なあ、いい加減紡と仲直りしてくれないか?」

 

「……! 別に喧嘩なんてしてないわよ。私も怒ってなんかいない」

 

 直ぐにしゃべり出したオレに一瞬堀北は困惑した。しかし意図は伝わったようでぶっきらぼうな返事が返ってきた。

 

「龍園の言葉に惑わされるな。この試験、まず紡の協力がないと同じ土俵にすら立てないぞ。オレも気まずいし、紡も謝っただろう?」

 

「……本当に反省してるのかしらね? グループの話し合いの時もずっと坂柳さんと話してるし」

 

 ……ちょっと本心混じってるな。仕方ないだろう。龍園の前では不仲を演じなくてはならないんだから。

 

「まぁ、これ以上オレからは何も言わない。今まで通り2人の雑用を黙々とこなすつもりだ」

 

「そうね。せめて自分のグループの優待者を見つけてくれればありがたいのだけど」

 

「やるだけやってみる。あまり期待はするなよ」

 

 完全に無能として扱うより、多少期待されていると言った方が信ぴょう性が増すか。無能な金魚の糞からそこそこやる奴位の変化にはなるだろうが、そこで固めてくれると逆にやりやすいかもな。良い采配だ。

 その言葉を最後に解散したオレは、自室へと戻り試験のため睡眠をとることにした。

 

 

 

 

 

「いやー、やっぱり難しいねこの試験。意外とAクラスの子も参加してくれてるけど、いまいち取っ掛かりが無いと言うか……」

 

 3度目の話し合いを終え、オレは試験用に用意された部屋の前で待機していた。話しかけてきたのは同じグループの一之瀬だ。

 

「そうだな。と言っても仕方がないとこだと思うぞ。『優待者を会話で見つけろ』なんて言うのは簡単だが、数時間で出来るわけがない」

 

 オレは今回の話し合いを、()()()()()()を目的として絞って行った。

 結果としてはぼちぼちと言った所だろうか。明らかに今までの彼女と様子が違うことは分かったが、それが上手い方向に傾くとは思えない。

 

「まあねー。そう言えば、綾小路君は誰待ちなの?」

 

「ああ、堀北だ。試験が終わったら来いと呼び出されててな。そっちは?」

 

「私は葛城君……かな。あ! 終わったみたい」

 

 そう言って竜グループの部屋へと向かう一之瀬。何人か知らない顔の生徒が出てきた後に紡と堀北、葛城や坂柳といった面子が出て来るのが見えた。平田と櫛田、龍園と神崎の姿はまだ見えない。

 

「あれ、清隆君じゃん。どしたの?」

 

「堀北に呼び出されてな」

 

 そう言うと、紡の人好きのする笑みに影が差した。今日の朝の様に裏でも行動が制限されるのは中々キツイな。かと言って何事もなかったかのように過ごすのは、黒幕の存在を証明することになりかねない。何ともままならないものだ。

 

「……なるほどね。おっけー。俺は先帰るから、じゃあね鈴音ちゃん、清隆君」

 

「……ええ」

 

「ああ。またな」

 

 そう言って立ち去る紡。何とも気まずそうな後ろ姿に、隣で一之瀬が苦笑いをしている。

 

「あ、待ってください紡君」

 

 その背中を追うように、坂柳が声をかけて歩き出す。

 

「ちょ、危ないって」

「大丈夫です。それより、この後ディナーでもどうでしょう」

「マジ? 試験中なのに大丈夫?」

「大丈夫です。そもそも────」

 

 まだちらほら生徒が居る中で堂々と紡の腕に抱き着く坂柳。その姿が遠く見えなくなるまで、辺りには生ぬるい空気が立ち込めていた。

 

「……戻るわ。用が済んだら中に入ってきて」

 

 ……やっぱ訂正。堀北がバチクソキレている。

 自分は龍園のせいで不仲の演技をしなきゃいけなくなったのに、あっちはそれをいいことにイチャついてるとなるとなったら腹も立つか。

 

「あはは……仲いいんだね。あの2人」

 

「……試験に影響がないなら問題ないだろう。それよりどうした一之瀬。こんなところで何をしている」

 

 一之瀬の言葉に返したのは葛城。坂柳と並んでAクラスを取りまとめている生徒だ。

 

「少しだけ葛城くんに話があってね。時間いい?」

 

「この試験はインターバルが長い。十分に時間を持て余しているから問題ない」 

 

 さすがにBクラスのリーダーである一之瀬を無視するようなことはなく、対話に応じるようだ。

 何となく話の輪に加わりつつオレは一之瀬の傍に立つ。葛城からしてみれば見物人の一人程度にしか見られていないようで特に何かを突っ込まれることはなかった。

 

「今回の試験、葛城君……Aクラスはどういう方針を取りたいと思ってるの?」

 

 何とも単刀直入にいうもんだ。これが作戦であれ無意識であれ、一之瀬は最も効果的な聞き方をしたと言える。

 

「……それは話せないな。()()()()()()で良いのなら話せるが」

 

「それでも構わないよ。ただ、私はAクラスの子たちの試験の向き合い方が少し気になっただけだから」

 

「兎グループとなると……竹本と森重、町田だな。……お前の言いたいことはよく分かったが、その上で言っておこう。『俺にそれを聞いても無駄だ』とな」

 

 瞬時にグループのメンバーを思い出せる辺り、葛城の能力値の高さが伺えるな。坂柳が使える状態で手元に置きたいと言うのも納得だ。

 

「そう……分かった。時間を取らせてごめんね。でも話せてよかったよ」

 

「それは良かった。では失礼する」

 

 一之瀬はその場から動かず葛城を見送る。

 

「トラブルがあったって話は聞いたけど、大変そうだね葛城君も。あまり眠れて無さそうだったよ」

 

 実際は部下が起こしたものだが、見るからに責任感が強そうな葛城はそれで済ませたりしないだろう。むしろ自ら責任を負おうとするタイプの人間だ。

 

「それにしても、神崎君たち出てこないね。堀北さんも戻って行っちゃったし」

 

「来いと言われたからな。オレはこれから向かうつもりだが、一之瀬はどうする?」

 

「行こうかな。どんな話をしているか気になるし」

 

 そう言うと、一之瀬は扉を開けて中へと入って行った。

 室内では三者が、やや距離を置きつつ座っていた。まるで三すくみの状態だ。 

 緊迫してはないものの弛緩した空気でもない。その異質な空間に部外者が立ち入ったことで、それぞれの視線がこちらに向けられる。

 

「よう。わざわざ偵察に来たのか? 遠慮せず座れよ」

 

「随分と面白い組み合わせだね。時間外で何を話し合ってたのか興味あるな」

 

 その言葉を待っていたかのように、龍園は機嫌良さそうに両手を広げて語った。

 

「ちょうどいい所だったぞ一之瀬。俺はお前に面白い提案がある」

 

「提案? 一応話だけは聞かせてもらうけど何かな」

 

「くだらない話よ。耳を貸すだけ時間の無駄ね」

 

 堀北は既にその提案に覚えがあるのか、切り捨てるように否定した。

 

「Aクラスを潰すための提案だ。悪い話とは思わないんだがな。鈴音と神崎は反対らしい」

 

「どういう話?」

 

「鈴音には少し前に話したが、俺は既にCクラスの優待者を全て把握している」

 

 そう切り出す。地道に優待者を探していくしかないと思われていた中で、その提案は実に龍園らしいものだった。

 

「────3クラスで情報を共有する、全優待者の情報をな。そして学校側のルールを看破する」

 

 

 

 ────時は一之瀬と葛城が話し出した少し後に戻る────

 

 

 

「ちょ、有栖ちゃんマズいって。鈴音ちゃんキレてたから絶対!」

 

 どうも。鈴音ちゃんに嫌われたという演技がガチになりそうでビビってる斎藤紡です。

 

「今更気にすること無いですよ紡君。演技なのは分かっていますから」

 

 ヒェッ、怖この子。サラッと言う事じゃないって。……この話題を続けたら面倒なことになるのは目に見えてるので、何となーく流しておこう。

 

「ご飯食べるって言ったけどどこで食べる? 正直この時期に他クラスの生徒と一緒にいるのはマズい気がするんだけど」

 

()()()()()()()()()。そうですね……じゃあ7時に今からチャットで送ったお店に来てください。ここのパスタが絶品だとクラスの方から聞いたので」

 

 ちゃんとJKしてるなー有栖ちゃん。ちょっと感動……十中八九裏があるだろうけど。

 まあいいや。どんな思惑があるにせよ、俺が有栖ちゃんのお誘いを意味なく断るなんてあり得ないからね。

 

 

 

 

 

 ────高度育成高等学校データベース 7/1時点────

 

 ──坂柳 有栖(さかやなぎ ありす)──

 

 クラス:1年A組

 学籍番号:S01T004737

 部活動:無所属

 誕生日:3月12日

 

 ──評価──

 

 学力:A

 知性:A

 判断力:A

 身体能力:E-

 協調性:B+

 

 ──面接官からのコメント──

 

 中学では同級生だったDクラスの斎藤と並んで全国トップの成績を収めており、入試においても飛び抜けた成績を遺憾なく発揮している。

 先天性心疾患のため身体は非常に弱く運動の一切を禁じられている。また歩行の問題から常時杖を携帯することを許可しているため、くれぐれも無理させないよう各自注意をするように。

 

 ──担任メモ──

 学校のプロファイルでは計り知れない高水準な思考能力を持っていると推察される。落ち着きがありクラスメイトからの信頼も厚い。一時はクラスメイトである葛城を慕う生徒と、坂柳を慕う生徒が衝突することがあったが、現時点では沈静化。経過観察を続ける所存。しかし、Aクラスを率いていく人材であるのは間違いないだろう。

 

 





ちょっと状況の整理

優待者試験の説明が始まる。龍園が堀北に初めて接触
1回目:軽井沢真鍋たちとのいざこざ始まる。軽井沢を町田が助ける。
2回目:特に描写無し。高円寺が猿グループの試験を終わらせる

2日目 龍園が堀北に接触。
3回目:特になし。その後一之瀬が葛城に接触。←今ここ!
4回目:軽井沢が真鍋達に呼び止められ、幸村と綾小路が助ける。
夜中平田と綾小路が軽井沢と話をする。2人の偽恋人関係が終わる。

マジでややこしすぎてキツくなってきた……基本的に描写していないところは原作と大して変わってません。もしここはどうなってるの?とか気になるところがあったら指摘してくれると説明、修正します!

軽井沢さんどうしよう

  • ヒモのヒロイン(ドロドロに依存される)
  • 綾小路のヒロイン(原作より健全な仲)
  • 作者に任せる
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