ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
明日は第2弾かな?
高評価、感想、ここすきをいただけると作者のモチベーションになります!
多分これからは返事ちゃんとします!
事実は小説より奇なりという言葉を知っているだろうか?
現実に起こる出来事は、空想で書かれた小説で起こる出来事よりもかえって不思議であると言う意味である。イギリスの詩人、バイロンの「ドン・ジュアン」に由来した有名なことわざであり、聞いたことがあると言う人も多いだろう。
俺の人生なんかまさにその通りだ。前世では中卒で日銭を稼ぎ、熱に浮かされて医者になった。それから間もなく27歳で死んだと思ったら、次の瞬間時を逆行して知らない家庭の子供になってるんだ。アン〇リバボーのオファーが来ても不思議じゃない。
しかし裏を返せば、この学校で唯一
────今回の物語は、周りに振り回されながらも、高校生の夏休みを満喫する元大人の物語だ。
────占いの信ぴょう性や如何に? (坂柳有栖) ────
「もう我慢の限界です」
豪華客船の旅から帰ってきて一週間。残り2週間ほどの夏休みを満喫していた中、俺の部屋に入り浸っていた有栖ちゃんが唐突に声を上げた。
二人用のソファに腰掛け居る彼女は、読んでいた本を膝に置きこちらをジト目で睨みつけている。
「……何が?」
「分からないんですか? 今の、この状況に」
何がご不満かは分からないが、少なくとも人の部屋で言う言葉じゃないだろう。
電気代無料の恩恵をふんだん使い、適切な温度に設定された部屋。殺風景だと文句を言われたため揃えたソファにローテーブル。夜にはプロジェクターで映画を見ることが出来るし、体の弱い有栖ちゃんの為にクッソ高い空気清浄機まで完備されている(なお全て有栖ちゃんのお金)のだ。
「こういう事?」
時刻は11時30分。昼ごはんの支度をしていた俺は、エプロンを付けたまま有栖ちゃんの隣へ腰掛けた。
そしてそのまま彼女の頭を自身の膝の上に乗せ、サラサラとした髪を指先で優しく撫でながら問いかける。
「違います……そのままで居てください」
辞めようとしたら怒られてしまった。……ともかく、俺は今目の前の不機嫌なお嬢様の機嫌を取らなければならない。
……とりあえず撫でて誤魔化しておこう。
「私、一週間外出てないんですけど」
誤魔化せなかったか……
「────最近ケヤキモールによく当たる占い師が来ているみたいです。一緒に行きましょう」
妙にハッキリ言い放った有栖ちゃんだが、膝枕をされながらでは格好もつかないだろう。
「お昼ご飯食べたらね?」
「……はい」
ちゃんと三食食べないとダメだよ?
そして、ケヤキモールで長蛇の列を並び終えた俺たちは、占い師さんの下へと案内される。
「学業、仕事、恋愛、好きなのを選びな」
「学g「恋愛でお願いします」……」
「ではまず、そちらのお嬢さんから。名前は?」
「坂柳有栖です」
占い師さんは有栖ちゃんの手を取り、手相占いを始めた。
「ふむ……お主の恋路は中々厄介な事になるだろう。しかし、諦めずに行動し続ければ願いは必ず叶うぞ。それから────」
恋愛プランとは言ったが、それからも学業や金運等の様々な事を占ってもらえるようだ。ちなみに例に挙げた学業や金運は最高だったらしい。けっこう信ぴょう性あるかもしれないね。
「次はお主。名前と手相を」
「斎藤紡です」
そう言って手を出すと、占い師さんは先ほどと同様に手相を確認してくる。
「ふむふむ。……ほう? お主、ちとこちらの水晶玉を使わせてはくれんか? もちろん値段は据え置きで」
「はぁ……良いですけど」
そう言って、占い師さんはハンドボール程の大きさの水晶玉に手をかざす。…値段4000ポイント位違うけど良いのかな?
「く、くっくっく……お主は中々数奇な人生を送っているようだな。斎藤といったかの?」
その様相にその笑い方だと本当に魔女にしか見えないんだけど。
「あ、はい」
「お主ほど面白い人間を占ったのは久しぶりじゃ。感謝するぞ……そうだな、結果としては上々と言える。ただ女難の相がちと強すぎる。節度ある行動を心がけるように」
「……はい」
感謝された後に叱られたんだけど……しかも当たってるのがなお質悪い。
「人間関係に恵まれておるな。隣の小娘とも、一生に一度会えるかの縁じゃ。くれぐれも裏切ることの無いように」
「小娘…まあいいでしょう。そうみたいですよ紡君。節度ある行動をよろしくお願いします」
小娘と言われて不機嫌になり、その後の言葉でコロッと元通り。ホントこの子は昔から機嫌が変わりやすい。
それから有栖ちゃんと同じような流れで結果を教えてもらい、占いは終了した。
「ありがとうございました」
「うむ……そうじゃ、一つ言い忘れていたぞ小僧」
それから部屋を出ようとすると占い師さんが俺を呼び止めた。垂れ幕の奥では有栖ちゃんが不思議そうにこちらを見ている。
「────前世の罪を清算する必要は無いぞ。お主の人生は贖罪の為にあるわけではない。幸福を自ら捨てるのは、愚か者のすることじゃ」
先ほどまでの飄々とした様子はどこへやら、ハッキリと意志の籠った双眼で見つめて来る占い師さん。
「……ははっ、占いって凄いんすね」
「儂は別格だぞ? この道40年以上のベテランだからのう」
もう一度感謝を告げ、俺は有栖ちゃんの下へと戻る。
「何て言われたんですか?」
「ん? 何でもないよ。それより今日の晩御飯どうする? ついでに買ってこうよ」
「ふーん……まぁいいでしょう。そうですね、私は肉じゃがが食べたいです」
「いいね。じゃお肉とジャガイモと……あとはにんじんはあるから玉ねぎかな」
「……玉ねぎ嫌いです「だめ、栄養あるんだからちゃんと食べて」……分かりました」
有栖ちゃんにとっては何気ないやり取りなのだろう。でも、俺はこの時間が世界で一番幸せを感じられるんだ。
「幸せ者だよホント」
「…何か言いましたか?」
「ううん。なんでも」
────刺激的な一日を────
「んー……更にピアスしてきてほしい? 余計風評が悪化する気がするけど……」
これから2人で遊ぶ人からそんなチャットが送られてきた。お礼を伝えるために約束をしたはいいが、俺がピアスを持っていない可能性を考慮してほしいものだ。
「いやあるけどさ」
ピアスOKって知ってから穴開けたけど、有栖ちゃんや鈴音ちゃんに不評だったため外では付けていない。
因みに清隆君にも無理言って開けてもらった。ルンルンで池君達に見せびらかしてたけど、『女殴ってそう』と言われた次の日には元通り。無表情が悪いんよ無表情が。
それから集合場所のケヤキモールへと到着する。……最近ここでしか遊んでないな俺。
「あ、斎藤」
そんなことを思っていると、聞き覚えのある落ち着いた声が後ろから聞こえてきた。
「おはよう神室さん。無人島試験から会ってないから2週間振り位かな?」
「そうね。……あんた達が勝手に終わらせるから出る幕無くなっただけだけど」
「あはは……ま、そこは許して」
今日遊ぶ相手は神室さん。無人島試験で俺が一番お世話になった子だ。
「それにしても良かったの? この前みたいにお金取らなくて」
「いや、俺がお礼言いたいのに金取るわけないじゃん。そもそもアドバイスデート自体有栖ちゃんに止めさせられたし」
「……そう。ならいいけど」
どんだけがめついと思われてるんだ俺。ちょっとショックだぞ。
「あ、そう言えばどう? 俺のピアス。有栖ちゃんには不評なんだけど」
「……似合ってる。イメージ通りって感じ」
どういう事やねん。……それにしても……
「神室さん、そういうタイプの服も着るんだね」
「……悪い?」
「ううん。凄い似合ってて可愛いよ」
白のニットベストに、膝下まである水色のフレアスカートを着た神室さんはまるで女子アナのような服装だ。右手に持ったポーチも中々ポイントが高い。一途な清楚系の女の子って感じだね。
……ただ隣にいるのが黒髪マッシュピアスの男となると……
「……何? DVされてる女みたいってこと?」
「なら何でピアス付けさせたの……」
因みに俺は白色で7分丈のオーバーシャツに、下は黒のスキニージーンズ。首の上も下も女殴ってそうな見た目なのだ。
一応言っておくが、これは神室さんからのお願いである。前日位に写真付きで『こんな感じで来て』と言われた時は、デート慣れしていないのが浮き出てきて面白かった。
「ねぇ、もしかして神室さんてこういうフェチなの?」
「! べ、別にそんなんじゃないし。良いなって思ったのがこれだっただけ」
それを人はフェチと呼ぶんだよ。
アドバイスデートも結構楽しんでたし、もしかしたら日常に刺激が欲しい事の裏返しなのかもしれない。
「ちょ、いきなり何!?」
「え、こういうのが好きなんでしょ?」
「……最低」
「この状況じゃ褒め言葉にしかならないよ。ほら、今日は一日楽しも?」
何時ぞやの様に、神室さんの手を取って恋人つなぎをする。
ま、髪型もいつもと違ってマッシュにしてるし、まさかオレとはバレないだろう。突然知らないイケメンがケヤキモールに出現したと話題になるかもしれないけど。
──プリクラって初めて来ると訳分かんないよね──
『はい! 小顔ポーズでキュートにアヒル口! きゅっと顔を挟んでみて!』
「……恥ずかしいんだけど」
「良いからいいから。ほら、カメラ見て」
「うっ、まぶしっ」
「あはは! 目瞑っちゃダメだよ? ほら、もう一回」
「うーん。やっぱ元が良いから加工弱めでもいいかもね」
「……なんでこんな手慣れてるの?」
「んー? 何回か行けば慣れるもんだよ。スタンプに文字書いてと……お、このラメ良いね」
「……私には無理ね」
──デートでやるクレーンゲームって悪質だよね──
「ねぇ、これ取ってよ」
「どれどれ……へぇ、リラッ〇マ好きなんだ」
「別にいいでしょ。お金渡すから」
「すぐ取ってあげるよ。お金もこの前の試験で余裕あるからね」
「ありがと」
「……ねぇ、もういいよ。もう20回位やったでしょ?」
「いいや、ここで諦めるなんてあり得ないっしょ……いよっし! 取れた! ……はい、ごめんね何回も」
「……ありがと」
「あはは、クールな神室さんがぬいぐるみ抱いてるの可愛いね。大事にしてあげて」
「そんなに? まぁ……良いけど*1」
──悪い遊び──
「刺激と言ったら……やっぱギャンブルっしょ!」
「……やけにテンション高いのね。でもここでギャンブルなんて出来ないでしょ」
「甘いよ神室さん。ここのゲーセンにはみ〇なでダービーという神ゲーがあるんだ」
「……なにそれ。まぁ、別にやるだけならいいけど」
「……! んっー! もう一回……もう一回やるわよ!」
「台叩いちゃダメだって……ちょちょ! 俺のコイン全賭けしないでよ!」
「勝てばいいんでしょ勝てば!」
「そう言って勝ったヤツ見た事ねぇよ!? あ゛あ゛っ! 俺の貯めた1000枚が0に……」
「買うから! 私もう1000枚買って来る!」
「……もうメダルゲームやらない」
午後7時。俺と神室さんは夕陽をバックに寮への帰路を歩んでいた。
地面に映る黒い影ですら、心なしかどんよりとした様に見える。
「因みになんだけど、み〇なでダービーは台の設定良くないと大量賭けは基本外れるよ」
「はぁ!? 何で教えてくれなかったわけ!」
トボトボと歩きながら小さく呟くと、神室さんは俺の襟首を掴んで左右に揺らしてきた。
「……その方がギャンブルっぽいでしょ?」
「本音は?」
「俺の1000枚のコイン溶かされてムカついた」
そう語ると、神室さんはジトーっとした嫌な目線をこちらに向けてきた。……何だよ。なんか文句あるのか?
「子供じゃん。そんなに高くないくせに」
「うわ。一番言っちゃいけない事いったこの人。俺来月までほぼ収入0だったんだよ? メダルゲームやりたいからポイント頂戴って言っても、有栖ちゃんくれないし」
『そんなことしないで私と遊びましょう』的な意味合いを込めたジト目が飛んでくるのだ。結局有栖ちゃんはメダルゲームハマんなかったからなー。
「当たり前でしょ……」
今度こそ呆れた様子を隠そうともしない神室さん。それから俺たちの間に沈黙が流れる。
「……ねぇ」
「ん?」
夕陽もほとんど沈み、あたりが暗くなってきた時、唐突に神室さんが口を開いた。
神室さんが自分から話始めるのは中々ないため、少し珍しく感じてしまう。
「……今日は楽しかった」
「こちらこそ。ありがとね神室さん」
俺も楽しかったのは間違いない。いつもの面子で遊ぶのとは違う新鮮な気持ちになれた。
「また誘っても良い? その、他にも色々やりたいことあったし」
「もちろん。最後はずっとあればっかやってたからね。他にもおすすめのゲームとか教えてあげるよ」
「うん。ありがと」
何処か憑き物が取れたような、穏やかな表情を浮かべる神室さん。
普段は大人しいのに、遊ぶとなったら刺激を欲するあたり、この子も中々
「それじゃ、また今度」
「バイバイ、神室さん。またデートしよ?」
「……うっさい」
それが少しでも軽くなったのであれば、今回のデートも良い結果だったのだろう。
────それから、俺と神室さんは定期的に遊びに行く仲となったのだった。ちゃんちゃん。
「……紡君。ちょっと来てください」
「んー?」
「何ですかこの格好。これ紡君ですよね」
『【朗報】ケヤキモールに謎のイケメン現る!』
「あっ……」
「……」
「盗撮は良くないと思うn「また悪い噂広まるじゃないですか!」……すみません」
斎藤コソコソ噂話
紡君がメダルゲームを好きになったのは前世の小学生くらい。夜まで時間を潰せて近くでご飯を食べられるゲーセンで遊んでいたため。
次は堀北、綾小路、軽井沢辺りかな。余裕あったら他の人たちも書く予定。
モチベ=投稿頻度なので、もし続きが見たいって思って頂けたなら高評価や感想してくれると超嬉しいです!
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