ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
というご指摘を受けました。全く持ってその通りです!
てことで、何度目か分からない辻褄合わせを行います。無人島試験でDクラスが獲得したポイントを10ポイント減らします!もしクラス移動を楽しみにしていただいた方が居たらすみません…
てことで、現在のクラスポイントは
Aクラス 1019CPt
Bクラス 853CPt
Cクラス 492CPt
Dクラス 490CPt
で進めさせていただきます!ご指摘ありがとうございました!
お気に入りや高評価、感想にここすき等を頂けると作者のモチベーションになります!
多分これからは返事ちゃんとします!
前回のホームルームから一週間。毎週時間割で定められているこの時間は体育祭の為に自由に使って良いとのことらしいため、現在本番に向けての話し合いを行っているところだ。
教壇を明け渡すように後ろのロッカーに寄りかかる茶柱先生だが、言葉を発しないにせよ
それもそうだろう。基本的にこのようなクラス全体の話し合いがあった場合、前に立つのは俺か洋介君の二択。
しかし皆の視線を集めているのは俺でも、はたまた洋介君でもなかった。
「司会は私が務めさせていただくわ。皆それで大丈夫かしら?」
40人が余裕で収まる広い教室に、鈴音ちゃんの声が響く。口調こそいつも通りだが、微かな挙動から緊張が透けて見える。
「固すぎだよ鈴音ちゃん。楽しい体育祭なんだからもっとリラックスリラックス」
「……そうね。じゃあ本題に入るわ」
彼女の緊張をほぐすためヤジを飛ばす。一瞬肩を震わせた鈴音ちゃんだったが、どうやら緊張は解けた様子だ。
それから鈴音ちゃんは落ち着いたトーンで説明を続ける。
「これから体育祭本番に向けて話し合いを行うのだけど、最初に決めなきゃいけないことが幾つかあるわ。競技の参加順と推薦競技の参加者について。ここで方針を固めてから練習に臨むつもりでいるわ」
「堀北さんは何か考えてるの?」
明確な意見を持っていると思ったのか、櫛田さんが鈴音ちゃんに問いかける。
「私個人の考えで行くならば、競技の順番は各々の能力で決めるべきだと思ってるわ。具体的には能力の高い人が勝つために最善の配置をするということね。メリットは今言った通り勝率が上がること。デメリットは運動できる人できない人問わず、それぞれの意志が無視される可能性があることかしら」
想定通りの質問だったのか、鈴音ちゃんはスラスラと黒板に『能力制』という文字とメリットデメリットを書き連ねていく。
「勝率を上げる配置といったけど、具体的にはどういう配置をするつもり?」
「点数の特徴として、3位以上は1つ順位が変わるごとに2点の差がつくことが挙げられるわ。つまり、他クラスと点差をつけるために平均以上の人……特に須藤君や斎藤君みたいな、運動の得意な生徒は確実に1位を取らせるつもり。それ以外の平均以上に運動が出来る生徒は、組に一人だけ配置して3位以上を取ってもらおうと思っているわ」
「よく分かってるじゃねえか堀北! それで行くべきだぜ」
名前を挙げられたことが嬉しかったのか、須藤君は嬉しそうに声を上げる。
しかし、この配置の仕方を考えると一つ懸念点が出てくる。
「でも、それで行くとクラスの人数分組に入らないよね? 1組で大体2人位は入んないといけないんじゃない? その、運動が苦手な人はどうすればいいの?」
1年生全体で160人。100m走の場合、1組で大体8人くらいだろう。そうなると各クラス必ず2人ずつ出ないといけない計算になってくる。
そんな篠原さんの指摘を受けて、鈴音ちゃんは一度深く息を吸った後言い放った。
「端的に言えば、遅い人は速い人と組んでもらうつもりでいるわ」
基本的に3位を取れるポテンシャルのある生徒と須藤君が組んだ場合、前者は自ずと4位に落ちることが確定する。ここまで単純な話でもないと思うが、それでも全体を通した場合だとかなりの差が開いて来るだろう。堅実に勝ちを取る良い作戦だ。
しかし、問題が無いと言ったら噓になる。現にそれを聞いたクラスの生徒の何人かは難色を示している。
「うーん……確かに勝てるかもだけど、それって私たちが勝つ可能性を下げてるってことだよね?」
悩ましげな様子を見せる篠原さん。意外だね、もう少し強く否定するかと思ってたんだけど……篠原さん自体が鈴音ちゃんの事を悪く思っていないからかもしれないね。
鈴音ちゃんが深めていた交流が、Dクラス全体を少しずつだが良い方向に向かわせているのが見て取れた。
「……そうね。確かに私の考えは運動が苦手な人に我慢を強いるものよ。でも、クラスが勝てばその分ポイントは大きく返ってくるわ」
「そうだけど……入賞したときのテストの点数は大きくない?」
成績が乏しい篠原さんにとって、3位以上になったときに貰えるテストの点数は非常に価値の高いものだろう。
頑張ればその順位に滑り込めるかもしれない彼女にとって、須藤君たち強い生徒と一緒にされたり、騎馬戦や二人三脚で運動音痴と組まされれば表彰台が遠のくのも事実だ。
「いい加減にしろよ篠原。おまえらのせいで負けたら責任とれんのかよ。あ?」
「それは……っ……」
こと体育祭においては運動神経の高い子たちの独壇場だね。
学力では誰よりも不要と思われていた須藤君が強い発言力を持ち、主導権を握っている。
最終的に篠原さんが折れる形となりそうだが、さてさて鈴音ちゃんはどう動くのかな?
「もちろん、勝つ為に譲ってくれた人をないがしろにするつもりもないわ。最下位を取ってしまった生徒が失うポイントは、上位を取った生徒のポイントで相殺するつもりよ」
「……まぁ、それなら」
勝つ可能性を減らす代わりに負けた時のリスクも減らせるプラン。反対派の意見も汲み取ったいい案だろう。
しかし、成長した鈴音ちゃんはそこで終わるような人間ではない。
「テストの点数が不安なら私と斎藤君がサポートするわ。……そうね。実績はそこで楽しそうにしている彼の成績を、中の下まで持って行ったと言えば証明できるかしら?」
「い、今その話はいいだろっ。しかも中の下とかわざわざ言うなって!」
「あら? 須藤君には夢のような成績だと思っていたのだけど……次のテストで手助けが要らないなら私も助かるわ」
「……よろしくお願いします」
須藤君の言葉でクラス中に笑いが広がる。このやり取りはまさしく鈴音ちゃんがこの学校で培ったものと言えるだろう。
実際の所、篠原さんの意見は個人でちゃんと勉強すれば済む話だ。しかしそこを突くことなく、相手の気持ちを汲み取って冗談まで交えて返したのだ。ちゃっかり俺もそこにメンバーに入れてる強かさもポイント高い。
退屈そうにクリップボードを持っていた茶柱先生も、思わぬやり取りに目を見開いている。
面白かったからこっそりピースサインを送っておこう……うわ睨まれた。コワー。
「……ナチュラルにハブられてるんだが」
草。凹むなよ清隆君。別に頭いいキャラで売ってないだろ君。
清隆君が凹むというしょうもないアクシデントこそあったが、想定していた時間よりも大幅に短く話し合いを終わらせることが出来た。
「それじゃあ、今日から体育祭は私が指揮を取らせてもらうわ。誰一人として不満が生まれないなんて保証は出来ないけど、協力してくれた以上最善を尽くすつもりよ」
「だから固いって堀北さん! もっとドカッとしてて良いんだよ?」
先ほど不満そうにしていた篠原さんもこの通りだ。やっぱり天性の人たらしなのかもしれないね。
「……堀北が好かれているのは喜ばしいが、何だろう……なんか複雑だな」
「お前まだ引きずってんのかよ」
────────────────
「借りてきたよ」
翌日の体育の時間。平田は学校に申請し握力測定器を入手してきていた。授業に至っては期間限定で自由時間に多くが割かれることになり各自が各々練習したいものに取り組む許可が出されていた。
採用された堀北の案は、能力に優劣をつけ、簡易的に力自慢を集めようという作戦だ。シンプルだが目安としては十分に機能するだろう。特に男子が参加する競技には純粋な力を必要とするものも少なくはない。
「どのくらいの順位目安にしてる?」
平田が測定器を渡して説明をしている最中、隣に立って居た紡がちょんちょんと肩を叩いてきた。
「そうだな……大体クラスで3位くらいが目安だな」
「じゃあ70位で行こうか。それなら目立ちすぎないし丁度いいよ」
そんなアドバイスを受けながら、須藤が測定器を握る。
「俺からやるぜ平田。まず俺がやることで高い目標を知ることが出来るからな」
よくわからない理屈だが、力自慢をしたいことだけは分かった。
「えーっと……じゃあもう1つは須藤くんの隣の外村くんからお願いしようかな」
どうやら渡されたものではなく、他の生徒から奪い取ったものらしい。随分と自信を持っているみたいだが実力はどの程度なのだろうか。
「見てろよお前ら……っらぁ!!」
測定器を右手で握り込んだ須藤は、そのまま大きな声と共に強く握り込む。デジタルの数値がグングンと上がっていく。一瞬で50を越え60、70と上昇する。
そしてデジタルが最終的に示した数値は82・4キロ。周りが一瞬ざわつく。
「馬鹿力すぎんだろ!」
「はっ、どんなもんよ! ほら、綾小路。テメェもさっさとやれ」
須藤の隣にいたせいか測定器を渡される。紡に指標を聞いといて助かったな。
「ああ」
オレは受け取った握力測定器のモニター側を自分の目で見えるように持ち握りこんだ。今まで何百何千と握り込んできたものだが、特定の数値になるように調整するのは初めてだ。
ゆっくりとバーに力を入れて握り、50を超えたあたりから微調整を行う。60を超えたあたりからさらにゆっくり調整し、70前後でピタリと止める。
「……これ以上動かないな」
そう言って測定器から手を離して隣の池へと手渡した。
それから平田の下へ報告へと向かう。
「70.3だ」
「えっ……綾小路君って何か運動してたっけ?」
「いや、特にこれと言ったスポーツはしてないぞ。強いて言うなら最近紡と一緒にトレーニングをしてることぐらいか」
平田の驚いたような表情を見て咄嗟に言い訳をする。
須藤の後だから印象が薄いと思って安心していたが、スポーツにのめり込んできた須藤と10㎏程度の差しかないのは驚かれるか。……そう言えば、パンチングマシーンの時も紡に騙された気がする。
「そっか。心強いよ! 綾小路君」
平田の純真無垢な笑みに嘘をついた罪悪感が湧いて来る。この前の船上試験でもそうだが、平田はオレの事を高く評価している節がある……まぁ、悪い気分ではないのだが。
「平田ー。俺42.6だった。ちょっとオマケして50にしてくれよー」
池が報告に来る。ちょっとなんてオマケじゃない要求だった。平田は苦笑いしながらもきっちり42・6とノートに記入する。外村が41、その次にやった宮本が48と、確かに50を下回っている結果が多い。須藤に続いて運動が得意な平田も57.9という結果だった。
「……騙したな? これだったら60程度でも問題ないだろ」
「ごめんごめん。一応安全策を取ってって事で許して? 目立った分は俺がカバーするからさ」
そう言って測定器は紡へと渡ってくる。どうやら彼以外の男子は全員測り終わったようだ。
クラスで最も運動が出来ると評価されている紡の番とあってか、あの高円寺ですら面白そうにその様子を観察していた。
「1年ぶりだなー。去年よりも上がってると良いんだけど……よっと」
軽い掛け声と共に、モニターを見ながら紡が測定器を握り込む。
一瞬にして数字が70を突破し、須藤の記録を抜かした後も一定のペースで増え続ける。そして、90を超えた段階でピタリと止まった。
「お! 去年より上がってるじゃん。はい、洋介君」
「これは……」
紡は数字が表示されたままの測定器を平田に渡す。驚いた様子の平田の周りに須藤や池が集まると。そのモニターに表示された数値を見て衝撃が広がった。
「はぁ!? 90.0って! お前インチキしてんじゃねえよ!」
「そんなに褒めるなって~」
信じられないと言った様子の須藤に胸倉をぐわんぐわんと揺らされるが、インチキのしようなどないことは須藤もよく分かっているだろう。……本当に注目をかっさらって行ったな。ありがたい限りだ。
「なぁ」
「ん、どした?」
しかし
「
「あ、バレた?」
全力を出したいのなら、須藤の様に気合と共に息を吐いて下に握り込むのが正解だ。その点紡はモニターを見ながら緩い掛け声で一瞬握っただけ。数値の上がり方を見てもそうだ。普通ならあんなにピタッと止まらないだろう。
しかし、オレがそう確信したのは全く持って『別の理由』だった。
「無人島試験の『アレ』を見てたからな。そもそもあの握り方で全力が出せるわけないだろ」
「あー……なるほどね」
そう。無人島試験にて紡が龍園に放った一撃をオレは思い出していた。
紡の体格はかなり恵まれている方だろうが、それでもあの一撃は体格を考えると到底出せるものとは思えなかったのだ。
そして、あれを繰り出せる人間の握力が、
「オレも本番になったら本気でやるんだ。ずっと隠し続けるのは不公平じゃないか?」
別に紡を疑っているわけじゃ無い。そんな段階はとうの昔に通り過ぎている。
だが、あの『白い部屋』最高傑作と呼ばれたオレと、幼少期から天性のセンスを磨き続けてきた紡。そのどちらが強いのかという好奇心によるものだ。
「ま、確かにそうだね……ごめん洋介君。ちょっとそれもう一回貸してくれる?」
「? うん。いいよ」
「ありがと。……これやると筋肉痛になるからあんまやりたくないんだよね。
平田から測定器を借りると、右手をグーパーと開いて閉じてを繰り返しガッチリと握り込む。先ほどとは大違いの気合の入り方だ。
そして、一度目を瞑った紡は小さく息を吐いて握り込む。周りの目を気にしてか、大きな声を出さずに測るつもりのようだ。
「いっつー……左手で握ればよかった。飯食えるかな今日」
右手をプラプラとさせながら測定器を渡してくる紡。結果は自分で見ろということだろうか。
一体どんな記録を見せてくれるんだろうと、柄にもなくワクワクしながらモニターをのぞき込むが、そこに表示されていたのは数字ではなかった。
「
「火事場の馬鹿力的なやつ? 不思議と
測定器の裏面に表示されている対応範囲は10~120㎏。それ以外の範囲の記録の場合にERRORと表示されるため。先ほど90㎏だった紡が不正な操作をせずにエラーになったということは、つまりは『そういうこと』なのだろう。
「ま、そういう事よ。人体って面白いよねー」
人間に限らず全ての動物は、全力を出すと筋肉や神経系に大きな負担が掛かるため、筋肉痛になったり、身体を痛めたりしてしまう。紡が言っていた筋肉痛というのはそれに起因するものだろう。
そういったことが起きないよう、普段は100%の力を発揮しないように、脳が無意識のうちに身体にリミッターを掛けている。
だが、火事や事故など非常事態が起きた場合は、
「済まないな。大丈夫か?」
「ん? 大丈夫大丈夫。今日は湿布張ってゆっくりストレッチするよ。慣れっこだからね」
スポーツや武術の型などで掛け声を発する様子を見たことがあるだろう。これも火事場の馬鹿力に関係がある。
昔は科学的に証明する手段が無かったため、何となく程度の効果を期待して声を上げていた。しかし、現在科学的にも掛け声の有用性は証明されている。
しかし、ここまでの効果を出しておきながら、その代償が筋肉痛だけとはな。
「……面白くなって来たな」
「うわ、すっげぇ怖い顔してるよ清隆君。人に見せられない位の」
一体どんな訓練を積んだらそこに至れるのだろうか? 天才というのは恐ろしいものだ。
「最近走り込みをしていると言ってたよな。何時頃にやってるんだ?」
「えっ? 大体6時半とか?」
「そうか。じゃあオレも交ぜてくれ。いかんせん体が鈍ってしょうがなくてな」
「えぇ……まあいいけど」
年甲斐もなく熱くなっている自分に驚くが、こういうのもまた青春なのだろうか?
────だが、オレがこの瞬間を人生で一番楽しんでいる事は変わらない事実だった。
──────その日の夜──────
「痛たたた……ごめん有栖ちゃん。そこのスプーンとフォーク取ってくれない?」
「みっともないですよ紡君。箸が使えなくなるってどんな運動したらそうなるんですか」
「いや、ちょっと熱くなっちゃってさ」
「……しょうがないですね。ほら、あーんしてください」
「えっ」
「食べないんですか?」
「……あーん」
「よろしい。ほら、まだまだありますよ? しっかり食べて格好いいとこ見せてくださいね?」
本格的にクラスをまとめ上げる堀北
疑われないように段々とボルテージを上げていく綾小路
クソ強い特殊能力を明かした斎藤
まるで夕食を自分で作ったかのような言い方をする坂柳の4本でした!
超高負荷な筋肉運動によって筋肉痛を起こしますが、元の体がクッソ強いのですぐ治ります。そしてその都度強化されるので悟空の界王拳みたいなもんだと思ってください。
モチベ=投稿頻度なので、まだやってないよって方は高評価や感想、お気に入り登録をしてくれると超嬉しいです!!
話の進むテンポについて
-
もっとサクサクでもいいよ
-
今のままで良いよ