ようこそクズヒモ男の教室へ 作:妄想癖のメアリー
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紡が用意してくれた弁当を食べ、英気を養ったオレが次に出場するのは借り物競走。
1組目の池が幸運を発揮し1位を取ったため、個人競技で成績を残しているオレにもプレッシャーがかなりかかっている。
正直運がかなり関わってくるため保証はできないが、推薦競技は稼げるポイントが何倍にもなるため気を引き締めていこう。10万ポイントはかなり魅力的だ。
「好きな人とか来たら終わるかもね」
「やかましいぞ。それにお前の方が波乱を起こすと思うけどな。何せ借り物競走で連れて来るのは1人だけだ」
三組目の紡が後ろから茶化してくるが、そんな雑音に惑わされる事無くスタートした。
全力で箱が置かれている場所まで走り、四つ折りにされた紙を開いた。
『友達10人連れてくること』
「……マジか」
オレはその紙に目を通した瞬間、目の前が真っ暗になるのを感じた。友達ってだけでもそれなりにハードルが高いのに、10人? ふざけてるのか? 頭の中で考えても10人なんて浮かばない。
「何ボケッとしてんだよ! 早くしろよ綾小路!」
1位を取って調子に乗った池からそう叫ばれるが、オレにはどうしようもない。
「中身何なんだよ! そんなヤベエ奴でもねえだろ?」
「友達10人だ! どうしようもないだろ」
「いや、とにかく戻って声かけて来いよ! 30秒待つよりかはマシだろ!?」
思考能力を奪われたのか、特に反論することもなく真っ先に思いついた人物の元へと向かう。
「ん? どしたの清隆君。もう終わったの?」
「お題が友達を10人連れて来ることなんだ。オレにはどうしようも「オッケー、とりあえずついて来て」……えっ」
紡に手を引っ張られ、Dクラスのテントまで引っ張られる。
「みんな聞いて!」
「あ? お前ら競技中じゃねえのかよ」
待機中だった20人ほどの生徒の注目を浴びる中、紡が声高々に呼びかけた。
「清隆君のお題が友達10人連れて来ることなんだって。お前らが付いて来るだけで1位は確実だけど────日和ってる奴いる? いねえよなぁ!」
そんなことしても10人も来るわけないと思っていたが、意外にも名乗り出てくれる生徒は多かった。
「……全く、綾小路君は紡君に感謝した方が良いわね」
「んだよ。だったらさっさと言え、付いてってやるからよ」
「わ、私も行きます!」
「ぐふふ、綾小路殿は拙者のゲーム仲間でござるからな。お供させていただくでござるよ」
「友人と呼べるかは定かじゃないが、知らない関係というわけでもないからな。俺も付いていくぞ」
「僕も綾小路君の事は友達だと思ってるし、連れてってくれると嬉しいな」
「もちろん私も行くよっ 凄い大勢になりそうだね!」
「あたしも行こうかな。クラスの為だし」
上から堀北、須藤、佐倉、博士、幸村、平田、櫛田、軽井沢と交流のある生徒が迷わず挙手をした。
その光景を見て込み上げるものがあったが、紡を合わせても9人。目標には届かない。山内が手を挙げてくれれば丁度10人になるのだが……視線を合わせたら不機嫌そうに逸らされてしまった。オレが女子にチヤホヤされているのを見て怒っているのだろうか。少しショックだ。
「はぁ……はぁ。ったく、お前ら足速すぎだろ! 俺様も付いてくぜ! 足速いのはムカつくけどなっ」
少し遅れてやって来たのは池。これでちょうど10人ピッタリだ! 夢みたいだぞ!
「よし! じゃあ行くぞお前ら!」
柄にもなくテンションが上がったためか、全員の前に立ちそう宣言する。
「随分と嬉しそうね」
「そりゃ入学当初と比べたら凄い成長だもん。喜ぶでしょ。ちなみに鈴音ちゃんも似たようなもんよ」
「……確かに」
後ろで何かごちゃごちゃ言っているが、今の俺には何も聞こえない。
そしてゴールまでたどり着いた11人。かなり早く着いたと思ったが結果は2位。ちなみに1位の生徒のお題は『眼鏡』だそうだ。流石にそれに勝つのは無理だな。
「あちゃー2位だったか。ま、でも凄いよ清隆くん!」
「そうね。友達0人がよく頑張ったわ」
「後半余計だぞ。まぁ……そうだな、皆ありがとう。正直嬉しかった」
照れくさい気持ちもあるが、名乗りを上げてくれた友人たちにお礼を言う。
「友達に言うにしてはちょっと固くない?」
「う、うるさいぞ」
そんなやり取りを見て、Dクラスには小さな笑いが広がる。
「……本当に、本当に来てよかった。『オレ一人だけ』なのが心残りだが」
そんな呟きが自然と漏れる。思い起こすのは、ホワイトルームで脱落して行った同胞たちの顔だった。
昔はなんとも思わなかったが、こうして人の温かさを知ってしまうとなんとも言えない気持ちになる。
「ん? なんか言った?」
「いいや、何でも」
目の前でオレをセンチメンタルにさせた元凶が聞き返してくる。気の利いた返しをしたかったが、そう上手くは行かないものだな。
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意外と清隆くんに友達が多くて感動しています。どうも斎藤です。良かったね夢が叶って。後は彼女作るだけだよ。
そんな下衆な事を考えていると俺の番が回ってくる。
「ああは言ったけど、たしかに好きな人とか来たらヤバいな」
お題が公表されることは無いため最悪大丈夫だろう。そもそも紙は十数枚近くあったらしいし、まぁピンポイントで来ることは無いだろう。
スタートの合図と共に駆け出し、お題が入った箱に手を入れる。さてさて中身は────
「────マジか」
嘘やん。好きな人とかより全然質悪いじゃねぇか!
……チェンジだな。よし、そうしよう。
「チェンジd「よし! 体育祭のプログラムだ!」」
隣の男子生徒がガッツポーズのままAクラスのテントへと戻って行く。妥協するのは違うな……行くか。
勢い良く飛び出した俺は、男子生徒を抜き去りAクラスのテントへと向かう。本来なら自クラスの所に行くのが正解なのだが、こればかりは譲れない。
「どうしたんですか? 紡く「ごめん。ちょっと急ぐよ」きゃっ!」
目当ての人物である有栖ちゃんがくりっとした瞳を向けてきた。そんな彼女に一言だけ謝った後、お姫様抱っこで抱き抱えゴールである運営のテントへ全速力で向かう。
本当は米俵を担ぐようにするのが1番なのだが、そんな光景は見たくないし後が怖いためやめておく。
そこでお題の紙を先生に渡し、有栖ちゃんをゆっくりと下ろす。
「お題は……あらあら」
「何だったんですか紡くん……これって」
微笑ましそうに笑いながら、有栖ちゃんに内容を見せる先生。
そこに書いてあった文字は『両想い同士の生徒(カップルじゃなくても可!)』という文字だった。
「……これって、自分と両思いの生徒じゃなくて『自分以外の両想いの2人』じゃないですか? じゃなきゃこの書き方は変ですよ」
「えっ」
「そうですね。それを想定して作ったお題です」
嘘であることを祈って先生の方を見るが、にっこりと俺の希望を打ち砕かれてしまった。そうじゃん、ちゃんと読まないとダメだろ俺!
……仕方ない。洋介くんと軽井沢さん連れて来るか……
「待ってください。この書き方では間違うのも仕方無いのでは? 事前の説明等はされてないんですよね?」
「なるほど。たしかに書き方が悪かったですね。お2人はお付き合いされてますか?」
「……いいえ。まだ付き合っては無いです」
先生と有栖ちゃんの2人で話がどんどん進んでいく。……俺置いてけぼりなんだけど……
「そうですか。では証明して頂かないといけませんね。そうでないと不正し放題になってしまいますから」
「えっ」
「らしいですよ紡君。どうしましょう?」
どうする言ったって……どうするの?
方法を考えていると、ふと有栖ちゃんが後ろを振り返った。その目線の先、100m程後方には紙を手にした生徒の姿があった。
「あれは私のクラスの町田くんですね。このまま行けばAクラスのポイントになりますが……それも悪くないでしょうか? 急に連れてこられてびっくりしましたし」
どこか思わせぶりな態度で俺の右腕にしがみつく有栖ちゃん。因みに杖を置いてきてしまった為ずっとこの体勢だ。
「ではお題無効という事で、再度……! あら、あらあら」
何も言わず連れてきて、先に俺のことが好きだと証明しろと言うのは男らしくない。有栖ちゃんが言いたいのはこういうことなのだろう。
こうなりゃヤケだ、その小さな頭を両手でがっつりホールドして口付けを行う。
「んっ……ふふっ、100点ですよ紡くん。────じゃあ今度は私から」
同じように両腕を首に回して背伸びをした状態でキスを返す有栖ちゃん。好きですと一言言えば良いのだか、それを指摘するのは野暮だろうか?
教師の前でディープな方をかます有栖ちゃん。既に到着した町田くんが気まずそうにこちらを見ている。どんな心境なんだろう? 是非とも後で教えて欲しい。
「これでどうでしょう。証明できましたか?」
「バッチリです! おめでとうございます!」
受け付けの先生だけではなく、いつの間にか奥で見ていた人たちもパチパチと拍手を送ってきた。……なにやら2つの意味を感じるが気のせいだろうか?
────結果としては無事1位を取ることが出来ました。待っててくれた町田くんにお礼を言ったら「あの場に割り込むほどの勇気は無い」と言われました。
確かに逆の立場なら絶対やんないわ。だって有栖ちゃん怖いもん。
書き忘れましたが四方綱引きは圧勝でした。
ちなみに声を上げた生徒の順番は綾小路と交流の深い順だったり(作者主観だけど)。原作とちょっとだけ変わってますね。
実を言うとこの後堀北との二人三脚がある模様。リレーと合わせて体育祭編はそれで最後かな?
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